キミと2回目の恋をしよう

なの

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8話

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なんだか早口で俺の顔も見ずにいってしまった相澤くんのことが気になった。何か怒らせてしまっただろうか?何か気分を悪くさせることが……そう考えてハッとした。

あぁ……俺が寝てたからか?そりゃそうだ。仕事から疲れて帰ってきてるのにソファーで寝られたら怒りたくもなるよな。こんな記憶がない俺を受け入れてそのまま同居人でいさせてくれる相澤くんに感謝しないとな。明日は早く起きてちゃんと見送るか…でもそんなことしない方がいいのか?と色々考えてるうちに日付が変わりそうだった。俺は急いでシャワーを浴びて自分のベットに横になった。天井を見上げても何も思い出さない。せめて何か思い出すきっかけがあればいいのに……と思った瞬間。あの場面はなんだったんだろう?

昼間見た画像を頭の中で思い出して見る。俺と相澤くんの顔以外は誰の顔もわからなかった。

「メモにでも残すか……」
部屋にあったパソコンを開いたが暗証番号がわからなかった。試しに自分の誕生日を入れたらエラーになってしまった。相澤くんなら知ってるだろうか?いや……そんなの知るわけないよな。そう思って引き出しからノートとペンを出して今日の日付と画像の詳細を書いた。それと…相澤くんが帰ってくる時間には寝ない。と付け加えて書いておいた。
俺は携帯のアラームをセットしてベットに横になった。さっき寝てしまったからか眠気はなかなか訪れなかった。その代わり何故か相澤くんのことを考えてしまう。明日どんな顔で会ったらいいんだろう。こんなんで本当にやっていけるのか?そう思いながらも明日は起きれないと困ると思って無理矢理目を閉じた。

目覚ましの音で目を覚ました。まだきっと相澤くんは寝ているだろうと思っていたのに……

「先輩…おはようございます。俺、今日は早く行くので朝ごはんと昼ごはんちゃんと食べてくださいね。では……」
玄関に向かう相澤くんを呼び止めた。

「相澤くん、今日は遅いの?」
すると顔がなんか曇った気がした。

「多分、残業です。なので先に寝てていいですからね。先輩も来週から仕事始まるのでゆっくりしててください。なかなか一緒にいられなくてすみません。あまり無理しないでくださいね。じゃあいってきます」
俺の返事も聞かずに家を出てってしまった。

相澤くんがなぜか怒っているような感じがしたが昨日寝てしまったことを謝らなかったからだろうか?相澤くんの本心を聞くのが怖い。俺は相澤くんが買っておいてくれた朝ごはんを食べながらTVをつけた。どのチャンネルも朝のニュースで同じような内容を伝えていた。やれ強盗がおきた。殺人事件の容疑者が捕まった。芸能人が結婚した……どのニュースを見ても誰の顔を見ても何もわからない。この世界で俺だけが取り残されたような気がした。

腰が痛くて時計に目をやるともうとっくに12時を回っていた。朝のニュースは昼のニュースに変わっていた。俺は今まで一体何をしていたんだろう?結局何も思い出せずにこのままずっといるんだろうか?そんなのは耐えられそうにない。何か思い出すきっかけが欲しい。俺はいけないと分かりながらも相澤くんの部屋のドアノブに手をかけた。

ドアを開けようとしたら電話の着信音が部屋中に響いてきた。ドアノブから手を離し電話の画面を見るとそこには「海野」と表示がされていた。

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