89 / 101
副社長就任披露パーティー開催です
しおりを挟む
「海斗、準備はできた?」
「はい。透さんも?」
「うんできたんだけど、行く前に…海斗に伝えたいことがあるんだけど、いいかな?」
「伝えたいことって、なん…ですか?」
なんだか急に不安になってしまって俯いてたら
「海斗、不安なことじゃないよ」と僕を持ち上げて透さんの膝の上に乗せられた。向かえ合わせに座らせれて
「実は俺、浅井から里中に姓を変えたんだ」
「え?名字を?」
「そう」
「なんで、ですか?」
「もう隠す必要がなくなったから、社長の息子だからって今はもう贔屓なんかされないだろ?それにこれから親子で仕事をするのに別々の名字だと、それこそ説明するのが面倒だって思ったから。今日のパーティーでみんなの前で言うつもりだけど、海斗がびっくりしちゃうから伝えたんだ。あとあと知ったら悲しむかと思って」
「そうなんですね。でもみんなびっくりしますね」
「そうだな。それと…海斗、これ俺が持ってていい?」
僕のネックレスに通した結婚指輪を持ち上げた。
「良いですよ。透さんが持っててくれるんですか?」
「うん。今日俺が頑張れるようにお守り」
「はい。僕はこのネックレスがあるから大丈夫です」
「海斗、ありがとう。今日は海斗の誕生日でもあるんだ、良い日にしような」
お互いに抱きしめ合って、いつもより深いキスを堪能してしまった。
透さんの車に乗せてもらいホテルリゾティアに向かった。僕は実行委員のメンバーと合流して今日の最終的な打ち合わせを始めた。みんなどことなく緊張している様子に僕も緊張してきた。
受付の準備が整って一息ついた頃から、徐々に人が集まり始めた。招待客リストに従いチェックして、帰りに渡す記念品の引換券も渡して行く。間違えがないように、でも人数が多いのでスピーディーにしないといけない。
ふと見ると、社長と透さんの姿が見えた。
「かっこいい」思わず口から出そうになって、慌てて手で押さえた。
本当なら一番に見たかったのだが、思ったよりも早くに招待客の皆様が来てくれたので、控え室に行けなかったのだ。
思った以上に透さんは見惚れるほどかっこよかった。
そしてたまに見えるカフスは僕が誕生日プレゼントに贈ったものだ。身につけてくれる姿だけで、つい顔が緩みそうになる。
招待客も揃い、そろそろ開式の時間が近付いてきて僕たちも会場の中に入った。
司会台には華やかなパーティードレスに身を包んだ紅林さんが立っていた。
そろそろ始まるんだと、ワクワクしていると
「皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。大変長らくお待たせしました。只今より新副社長浅井透、就任披露パーティーを開催させていただきます。私は、本日司会を努めさせていただきます総務課の紅林と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
司会の紅林さんの挨拶と共にパーティーが開催された。
「それでは開式にあたり、主催者を代表して、代表取締役社長、里中よりご挨拶を申し上げます」
司会の方に紹介され社長が登壇した。
「皆様、本日はお忙しい中、副社長就任披露にお集まりいただきありがとうございます。ここで皆様に新副社長をご紹介いたします」
社長に促され透さんも社長の横に並んだ。
「皆様、本日はありがとうございます。このたび副社長に就任いたしました浅井透、改め里中透です。社長の息子と揶揄されるのが嫌で、反抗期を過ごしてまいりました。でもいずれこの会社を継ぎたいと思うようになり、社長の息子だからと贔屓されたくなかった為、母の旧姓の浅井と名乗って今日まで来ましたが、本日から本名の里中に性を戻しました。私が副社長就任にあたり、心からの感謝の気持ちと、未来への希望を皆様と共有したく、本日、この場に立たせていただいております。これからも皆様と共に歩んでまいりたいと思っております。今後とも、よろしくお願いいたします」
盛大な拍手と歓声に包まれた。
次に来賓の祝辞を代表して芳賀さんが挨拶をしてくれた。
「それでは皆様、お手元にお飲み物のご準備をお願いいたします」
ホテルの方から僕もシャンパンをもらった。
「乾杯のご発生は、中原専務にお願いしたいと存じます。中原専務、よろしくお願いいたします」
中原専務の声でみんなで乾杯をした。
「これよりしばしご歓談のお時間とさせていただきます」
社長と副社長の2ショットの写真撮影をみんながしていたので僕も一緒に撮りに行った。その後もみんなと歓談をして美味しそうな料理を食べたりと会は和やかな雰囲気に包まれた。
「はい。透さんも?」
「うんできたんだけど、行く前に…海斗に伝えたいことがあるんだけど、いいかな?」
「伝えたいことって、なん…ですか?」
なんだか急に不安になってしまって俯いてたら
「海斗、不安なことじゃないよ」と僕を持ち上げて透さんの膝の上に乗せられた。向かえ合わせに座らせれて
「実は俺、浅井から里中に姓を変えたんだ」
「え?名字を?」
「そう」
「なんで、ですか?」
「もう隠す必要がなくなったから、社長の息子だからって今はもう贔屓なんかされないだろ?それにこれから親子で仕事をするのに別々の名字だと、それこそ説明するのが面倒だって思ったから。今日のパーティーでみんなの前で言うつもりだけど、海斗がびっくりしちゃうから伝えたんだ。あとあと知ったら悲しむかと思って」
「そうなんですね。でもみんなびっくりしますね」
「そうだな。それと…海斗、これ俺が持ってていい?」
僕のネックレスに通した結婚指輪を持ち上げた。
「良いですよ。透さんが持っててくれるんですか?」
「うん。今日俺が頑張れるようにお守り」
「はい。僕はこのネックレスがあるから大丈夫です」
「海斗、ありがとう。今日は海斗の誕生日でもあるんだ、良い日にしような」
お互いに抱きしめ合って、いつもより深いキスを堪能してしまった。
透さんの車に乗せてもらいホテルリゾティアに向かった。僕は実行委員のメンバーと合流して今日の最終的な打ち合わせを始めた。みんなどことなく緊張している様子に僕も緊張してきた。
受付の準備が整って一息ついた頃から、徐々に人が集まり始めた。招待客リストに従いチェックして、帰りに渡す記念品の引換券も渡して行く。間違えがないように、でも人数が多いのでスピーディーにしないといけない。
ふと見ると、社長と透さんの姿が見えた。
「かっこいい」思わず口から出そうになって、慌てて手で押さえた。
本当なら一番に見たかったのだが、思ったよりも早くに招待客の皆様が来てくれたので、控え室に行けなかったのだ。
思った以上に透さんは見惚れるほどかっこよかった。
そしてたまに見えるカフスは僕が誕生日プレゼントに贈ったものだ。身につけてくれる姿だけで、つい顔が緩みそうになる。
招待客も揃い、そろそろ開式の時間が近付いてきて僕たちも会場の中に入った。
司会台には華やかなパーティードレスに身を包んだ紅林さんが立っていた。
そろそろ始まるんだと、ワクワクしていると
「皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。大変長らくお待たせしました。只今より新副社長浅井透、就任披露パーティーを開催させていただきます。私は、本日司会を努めさせていただきます総務課の紅林と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
司会の紅林さんの挨拶と共にパーティーが開催された。
「それでは開式にあたり、主催者を代表して、代表取締役社長、里中よりご挨拶を申し上げます」
司会の方に紹介され社長が登壇した。
「皆様、本日はお忙しい中、副社長就任披露にお集まりいただきありがとうございます。ここで皆様に新副社長をご紹介いたします」
社長に促され透さんも社長の横に並んだ。
「皆様、本日はありがとうございます。このたび副社長に就任いたしました浅井透、改め里中透です。社長の息子と揶揄されるのが嫌で、反抗期を過ごしてまいりました。でもいずれこの会社を継ぎたいと思うようになり、社長の息子だからと贔屓されたくなかった為、母の旧姓の浅井と名乗って今日まで来ましたが、本日から本名の里中に性を戻しました。私が副社長就任にあたり、心からの感謝の気持ちと、未来への希望を皆様と共有したく、本日、この場に立たせていただいております。これからも皆様と共に歩んでまいりたいと思っております。今後とも、よろしくお願いいたします」
盛大な拍手と歓声に包まれた。
次に来賓の祝辞を代表して芳賀さんが挨拶をしてくれた。
「それでは皆様、お手元にお飲み物のご準備をお願いいたします」
ホテルの方から僕もシャンパンをもらった。
「乾杯のご発生は、中原専務にお願いしたいと存じます。中原専務、よろしくお願いいたします」
中原専務の声でみんなで乾杯をした。
「これよりしばしご歓談のお時間とさせていただきます」
社長と副社長の2ショットの写真撮影をみんながしていたので僕も一緒に撮りに行った。その後もみんなと歓談をして美味しそうな料理を食べたりと会は和やかな雰囲気に包まれた。
317
お気に入りに追加
826
あなたにおすすめの小説
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
漢方薬局「泡影堂」調剤録
珈琲屋
BL
母子家庭苦労人真面目長男(17)× 生活力0放浪癖漢方医(32)の体格差&年の差恋愛(予定)。じりじり片恋。
キヨフミには最近悩みがあった。3歳児と5歳児を抱えての家事と諸々、加えて勉強。父はとうになく、母はいっさい頼りにならず、妹は受験真っ最中だ。この先俺が生き残るには…そうだ、「泡影堂」にいこう。
高校生×漢方医の先生の話をメインに、二人に関わる人々の話を閑話で書いていく予定です。
メイン2章、閑話1章の順で進めていきます。恋愛は非常にゆっくりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる