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2人への制裁
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「じゃあ川上さんも来たので、さっきの映像を見てもらいましょう。あとは例のあれも用意してください」
社長がそう言うと「承知いたしました」と角谷さんが答えた。
例のアレってなんだ?と思いながら、さっきのムカつく画像を見ていた。川上さんは、まさかこんな映像を見させられるとは思わなかったんだろう。だんだんと顔が真っ青になって座り込んでしまった。
そして、さっきとは別の画像が流れた。それは今現在、俺たちがいる会議室の画像だ。川上さんが海斗に近づいて話をしているが、周りの音がうるさくて声がはっきりと聞こえない。でも明らかに海斗の表情が落ち込んでるように見える。川上さんが海斗から離れた場面で一時停止された。
「川上さん、この映像で小沢さんに何を言ったんですか?お聞きの通り、椅子やテーブルの音にかき消されて聞こえずらいんですが、教えてもらえますか?」
笑みを浮かべて優しく社長に問いかけられた。
「あの…大したことは言ってなかったと思います。明日の会議は人数も多いから、準備が大変だねって言っただけだと…思います」
「角谷さんから聞いた話と違うんですが?皆さんに教えてあげてくれませんか?」
「はい。自分は…近くにいたので聞こえたんです。小沢さんには秘書なんて向いてない。浅井副社長の秘書は自分がなるから心配しなくていい。そう聞こえましたが、川上さん、自分の聞き間違えだったのでしょうか?」
川上さんは体を縮こませ、目を泳がせている。嘘がバレた子どもか。
「川上さん、あなたに私の大事な息子の秘書にはさせるつもりは最初からありませんでしたよ。せっかく再教育中なのに残念です」
「っそんな……社長」
「えー皆さん、顧問弁護士の私の方からもお伝えいたしますが、小沢さんを陥れて、傷つける行為をしただけではなく、この会社にいる人たちに仕事ができないと社会的評価を下げさせた行為は名誉毀損に値する事案です。小沢さんがもし訴えたら、損害賠償請求、いわば精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。…証拠は、今皆さんがその目で見たこの映像が証拠となりますね」
「そんな…そんな名誉毀損とかそんなつもりじゃなかったんです。私は…室長に言われたからやっただけで、傷つけるつもりなんて」
「でも結局、誘いに乗ったんですよね?そんなに透の秘書になりたかったの?君がなりたいって言っても、叔父の俺が許すと思う?無理だね。絶対にね」
「……すみません…でした」
「室長、反論も何もなさそうですね。皆さん、私は残念でなりません。こんな2人にまだ若く頑張っている小沢くんを陥れて、傷つける行為をしたことを…社長権限で2人を今日付けで解雇にします。反論するならどうぞご自由になさってください。また小沢くんには後ほどお話しして2人に名誉毀損、及び慰謝料請求をするか聞いておきます。室長も川上さんも再就職先は川上不動産ですかね?行けるといいですけど…」
「社長それはどういう……」室長がやっと顔をあげて声を出した。
「私は、この会議の前に知っているんですよ?この映像のことは、川上社長に全て伝えてあります。我が社の社員が傷付けられたのに放置するような人間ではありません。お分かりになられましたか?
あぁ、大崎部長と設楽営業部長代理はいかがですか?先ほどは室長の肩を持つようなご意見を言っていたような気がしますが?」
「いや…私は、ちょっと思ってしまっただけで、決して小沢さんを傷付けようとか…そんなこと思ってません」
「私も、憶測で言ってしまったのは反省しています。今後は二度と言いません」
「そうですか…残念ですね。陰でコソコソ言うのも本当はあってはいけないのに、部長という立場のお2人揃ってこういう考えなんて…今後、小沢くんに室長たちがこうなったのはお前のせいだって言いそうですしね…どうしましょうか?」
『絶対に言いません』
おー声が揃ったよ。親父、許すのか?俺は許せない。そんな海斗を見ていた奴を、思わず眼光を投げかけた。
「でも疑いの芽は早く摘んでおきたいんですよ私は…前々から考えていたんですが、お2人にはマレーシア支社に行っていただきたいと思っています。お2人とも海外事業部ですし、いいお仕事してくれること願っていますよ」
「社長…それは…」
「嫌なのですか?では後ほど話し合いをいたしましょうか?他にはありますか?」
そんなこと言われたら誰も何も言えないだろ?親父は本当に海斗が好きなんだな。最初は会わせるのが不安だったが会わせておいてよかったよ。
「それでは、時間も押してるので終了でよろしいですか?ちなみに透の秘書はもう既に決まっています。もちろんここにいる中にはいません。それに…まだどこの誰とは会えませんが、今後どんなことがあってもその方にお願いします。それでは皆さん解散してください。室長、川上さん、大崎さん、設楽さん、茂、透は残ってください。あと…角谷さん、小沢さんを呼んで来てください」
おいおい…最後に爆弾を落としやがったぞ。みんなが俺の方を向いてるじゃないか…
まぁ…俺も海斗以外の秘書ならいらないからな。
これで海斗も少しは落ち着くといいけど…とりあえず、これから話をするけど、大丈夫かな?
社長がそう言うと「承知いたしました」と角谷さんが答えた。
例のアレってなんだ?と思いながら、さっきのムカつく画像を見ていた。川上さんは、まさかこんな映像を見させられるとは思わなかったんだろう。だんだんと顔が真っ青になって座り込んでしまった。
そして、さっきとは別の画像が流れた。それは今現在、俺たちがいる会議室の画像だ。川上さんが海斗に近づいて話をしているが、周りの音がうるさくて声がはっきりと聞こえない。でも明らかに海斗の表情が落ち込んでるように見える。川上さんが海斗から離れた場面で一時停止された。
「川上さん、この映像で小沢さんに何を言ったんですか?お聞きの通り、椅子やテーブルの音にかき消されて聞こえずらいんですが、教えてもらえますか?」
笑みを浮かべて優しく社長に問いかけられた。
「あの…大したことは言ってなかったと思います。明日の会議は人数も多いから、準備が大変だねって言っただけだと…思います」
「角谷さんから聞いた話と違うんですが?皆さんに教えてあげてくれませんか?」
「はい。自分は…近くにいたので聞こえたんです。小沢さんには秘書なんて向いてない。浅井副社長の秘書は自分がなるから心配しなくていい。そう聞こえましたが、川上さん、自分の聞き間違えだったのでしょうか?」
川上さんは体を縮こませ、目を泳がせている。嘘がバレた子どもか。
「川上さん、あなたに私の大事な息子の秘書にはさせるつもりは最初からありませんでしたよ。せっかく再教育中なのに残念です」
「っそんな……社長」
「えー皆さん、顧問弁護士の私の方からもお伝えいたしますが、小沢さんを陥れて、傷つける行為をしただけではなく、この会社にいる人たちに仕事ができないと社会的評価を下げさせた行為は名誉毀損に値する事案です。小沢さんがもし訴えたら、損害賠償請求、いわば精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。…証拠は、今皆さんがその目で見たこの映像が証拠となりますね」
「そんな…そんな名誉毀損とかそんなつもりじゃなかったんです。私は…室長に言われたからやっただけで、傷つけるつもりなんて」
「でも結局、誘いに乗ったんですよね?そんなに透の秘書になりたかったの?君がなりたいって言っても、叔父の俺が許すと思う?無理だね。絶対にね」
「……すみません…でした」
「室長、反論も何もなさそうですね。皆さん、私は残念でなりません。こんな2人にまだ若く頑張っている小沢くんを陥れて、傷つける行為をしたことを…社長権限で2人を今日付けで解雇にします。反論するならどうぞご自由になさってください。また小沢くんには後ほどお話しして2人に名誉毀損、及び慰謝料請求をするか聞いておきます。室長も川上さんも再就職先は川上不動産ですかね?行けるといいですけど…」
「社長それはどういう……」室長がやっと顔をあげて声を出した。
「私は、この会議の前に知っているんですよ?この映像のことは、川上社長に全て伝えてあります。我が社の社員が傷付けられたのに放置するような人間ではありません。お分かりになられましたか?
あぁ、大崎部長と設楽営業部長代理はいかがですか?先ほどは室長の肩を持つようなご意見を言っていたような気がしますが?」
「いや…私は、ちょっと思ってしまっただけで、決して小沢さんを傷付けようとか…そんなこと思ってません」
「私も、憶測で言ってしまったのは反省しています。今後は二度と言いません」
「そうですか…残念ですね。陰でコソコソ言うのも本当はあってはいけないのに、部長という立場のお2人揃ってこういう考えなんて…今後、小沢くんに室長たちがこうなったのはお前のせいだって言いそうですしね…どうしましょうか?」
『絶対に言いません』
おー声が揃ったよ。親父、許すのか?俺は許せない。そんな海斗を見ていた奴を、思わず眼光を投げかけた。
「でも疑いの芽は早く摘んでおきたいんですよ私は…前々から考えていたんですが、お2人にはマレーシア支社に行っていただきたいと思っています。お2人とも海外事業部ですし、いいお仕事してくれること願っていますよ」
「社長…それは…」
「嫌なのですか?では後ほど話し合いをいたしましょうか?他にはありますか?」
そんなこと言われたら誰も何も言えないだろ?親父は本当に海斗が好きなんだな。最初は会わせるのが不安だったが会わせておいてよかったよ。
「それでは、時間も押してるので終了でよろしいですか?ちなみに透の秘書はもう既に決まっています。もちろんここにいる中にはいません。それに…まだどこの誰とは会えませんが、今後どんなことがあってもその方にお願いします。それでは皆さん解散してください。室長、川上さん、大崎さん、設楽さん、茂、透は残ってください。あと…角谷さん、小沢さんを呼んで来てください」
おいおい…最後に爆弾を落としやがったぞ。みんなが俺の方を向いてるじゃないか…
まぁ…俺も海斗以外の秘書ならいらないからな。
これで海斗も少しは落ち着くといいけど…とりあえず、これから話をするけど、大丈夫かな?
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