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わかってくれない…
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会社の裏通りにある店にやって来た。社食の方が安いので同じ社員の人はほぼいない。
平井はハンバーグ定食、僕は悩みながら油淋鶏定食にした。僕達が注文を終えた頃、部長が僕の隣に座った。メニューを見て「油淋鶏お願いします」と注文した。
「今日はそういう気分なんだ」と部長が言うと「食の好みも一緒なんだな」ため息混じりに平井に言われた。
「平井?」
「部長から聞いたよ。全部…」
「あぁ…平井には隠し通せないと思って、俺たちが付き合ってることも、一緒に暮らしてることも全部。その上で平井には海斗のことを諦めて欲しい。そして他言無用を頼んだ」
「平井…ごめん…僕…」
「いいって。そんな暗い顔すんなって」
「でも…」
「まさか小沢の相手が部長だとは思わなかったけどな。もっと早く声かけておけば俺にも希望が」
部長が言葉を遮るように「平井っそれはないから」
「部長っ…」
「そうだろ?海斗、それとも…」
「それはわかりませんが…でも平井のこと、そんな風に思ったことなくて…同期で仲がいい1人だと…」
「小沢…もういいよ。さっきも散々、部長に惚気られたから…これ以上、俺の傷口、広げんな。…で部長、さっきも言いましたけど小沢のこと…ちゃんと幸せにしてあげてくださいね。小沢を悲しませたら俺、本気で落としにかかりますからね!!」
「平井、心配するな。海斗が悲しませることは今後一切ないから、お前に取られるくらいなら、俺は…本当に情け無い男になっちまうよ。海斗以上に愛せる人がいないから心配するな」
僕は顔が熱く感じて俯いた。きっと耳まで赤くなってるだろう。
「俺は他に仲良くしてる奴もいないし、口外はしませんよ。ただ1つ俺からお願いがあります」
「お願い?」部長の眉毛がぴくりと上がった。
「はい。たまには小沢と飲みに行ってもいいですか?つうか…行きたいです。お願いします」
「2人でか?海斗と?」
「お待たせしました~ハンバーグ定食の方?油淋鶏、今持って来るのでお待ちくださいね」
少しピリついた空気が店員さんの声で落ち着いた。
「はい。油淋鶏2つ、以上でお揃いですか?ごゆっくり」
店員さんがいなくなったあと僕は
「たまになら…その代わり、学さんの所で飲むならいい?」部長の目を見て答えた。
「じゃあ迎えに行くから、飲みに行く前に平井が必ず俺に連絡しろ」
「俺ですか?」
「そりゃあ、大事な海斗を連れてくんだ。当たり前だろ。何かあったらどーする?」
部長は過保護だぁーなんて呑気に思ってたら、2人がバチバチと視線を合わせていたので「早く食べましょう。冷めちゃいます」僕は1人で食べ始めた。2人も僕に視線を向けながら食べ始めた。
『ごちそうさまでした』
「まぁ…平井には口止め料代わりだな」
平井とも、なんとか和解できたからよかったなぁーと思って会社に戻った。午後も頑張ろう!
「あぁ…外に行ってたのか?浅井くん、俺の部屋に来てくれないか?」明るい声が聞こえた。
「佐伯常務…わかりました。今から行きます」
佐伯常務って部長のおじさんなんだよなぁーと2人の後姿を見ていたら
「ねぇ…君たち、浅井部長の部下だよね?」僕たちは川上さんに声をかけられた。
「はい。何でしょう?」
「私、部長ともっとお近づきになりたいの。先週はいい雰囲気だったのよ。お父様も一緒にお食事したりして。ふふふっ…でも何だか今日の朝は機嫌悪かったみたいで…誘っても断られちゃって…」
「えっ」
「君たちも一緒でいいから、部長をご飯に誘ってくれない?」
え?お父さんも一緒って?
「いい加減にしてくれないか、川上さん。俺の部下にまで声をかけて…何が目的ですか?」
あれ?さっき常務と一緒に行ったんじゃ…
「浅井部長っ私は……部長をお慕い申しています。だからっ先週のように、お父様とご一緒にお食事したり、部長が…秘書の勉強をしたいなら、秘書検定を受けたいのなら全面的にバックアップしたいと思っています。その為なら何だってします。部長のお力になります」
一気に捲し立てて言ったので、僕も平井も唖然としてしまったが部長は違った。
「俺が、いつ秘書の勉強をしたいと?秘書検定を受けたいと言いましたか?俺は受けるつもりはありません。必要ないから」
「だって部長は…社…いえっ」
「何か勘違いしてないですか?俺はただ秘書になってもらいたい人の為に見学に行って話を聞いていただけだが、これからその人と一緒に探すから、川上さんの力は全く必要じゃないです」
「私じゃ、だめなんでしょうか?秘書主任もしていますし、部長のことを誰よりも好きなんです。これから先も全面的にお支えしたいと…」
川上さんが部長の元に手を伸ばしたとき
「川上さん、これだけ浅井くんが断ってるのにまだわからない?しつこくないかい?」
「常務…先程行ったばかりじゃ…」
「君が浅井くんの部下に声をかけてるのが気になって…ねぇ?小沢くん、平井くん大丈夫かい?もう戻っても大丈夫だよ。後はこっちで対処するから」
『はい。失礼します』
俺たちは先に部署に戻った。昼休みが終わった人たちが戻って来るなり僕たちの所にやって来た。
「さっきのあれ何?」
「一体、何があったの?」
「あの2人って付き合ってるんじゃなかったの?」
僕は何も言えなかった…まさか川上さんが、あんなに必死で部長のことを…そう思うと胸が少し苦しくて咄嗟にワイシャツを掴んだ。その時にネックレスに通した指輪が当たる感じがした。大丈夫。透さんも断ってたし、常務もいてくれるから…そう思い仕事に戻った。
平井はハンバーグ定食、僕は悩みながら油淋鶏定食にした。僕達が注文を終えた頃、部長が僕の隣に座った。メニューを見て「油淋鶏お願いします」と注文した。
「今日はそういう気分なんだ」と部長が言うと「食の好みも一緒なんだな」ため息混じりに平井に言われた。
「平井?」
「部長から聞いたよ。全部…」
「あぁ…平井には隠し通せないと思って、俺たちが付き合ってることも、一緒に暮らしてることも全部。その上で平井には海斗のことを諦めて欲しい。そして他言無用を頼んだ」
「平井…ごめん…僕…」
「いいって。そんな暗い顔すんなって」
「でも…」
「まさか小沢の相手が部長だとは思わなかったけどな。もっと早く声かけておけば俺にも希望が」
部長が言葉を遮るように「平井っそれはないから」
「部長っ…」
「そうだろ?海斗、それとも…」
「それはわかりませんが…でも平井のこと、そんな風に思ったことなくて…同期で仲がいい1人だと…」
「小沢…もういいよ。さっきも散々、部長に惚気られたから…これ以上、俺の傷口、広げんな。…で部長、さっきも言いましたけど小沢のこと…ちゃんと幸せにしてあげてくださいね。小沢を悲しませたら俺、本気で落としにかかりますからね!!」
「平井、心配するな。海斗が悲しませることは今後一切ないから、お前に取られるくらいなら、俺は…本当に情け無い男になっちまうよ。海斗以上に愛せる人がいないから心配するな」
僕は顔が熱く感じて俯いた。きっと耳まで赤くなってるだろう。
「俺は他に仲良くしてる奴もいないし、口外はしませんよ。ただ1つ俺からお願いがあります」
「お願い?」部長の眉毛がぴくりと上がった。
「はい。たまには小沢と飲みに行ってもいいですか?つうか…行きたいです。お願いします」
「2人でか?海斗と?」
「お待たせしました~ハンバーグ定食の方?油淋鶏、今持って来るのでお待ちくださいね」
少しピリついた空気が店員さんの声で落ち着いた。
「はい。油淋鶏2つ、以上でお揃いですか?ごゆっくり」
店員さんがいなくなったあと僕は
「たまになら…その代わり、学さんの所で飲むならいい?」部長の目を見て答えた。
「じゃあ迎えに行くから、飲みに行く前に平井が必ず俺に連絡しろ」
「俺ですか?」
「そりゃあ、大事な海斗を連れてくんだ。当たり前だろ。何かあったらどーする?」
部長は過保護だぁーなんて呑気に思ってたら、2人がバチバチと視線を合わせていたので「早く食べましょう。冷めちゃいます」僕は1人で食べ始めた。2人も僕に視線を向けながら食べ始めた。
『ごちそうさまでした』
「まぁ…平井には口止め料代わりだな」
平井とも、なんとか和解できたからよかったなぁーと思って会社に戻った。午後も頑張ろう!
「あぁ…外に行ってたのか?浅井くん、俺の部屋に来てくれないか?」明るい声が聞こえた。
「佐伯常務…わかりました。今から行きます」
佐伯常務って部長のおじさんなんだよなぁーと2人の後姿を見ていたら
「ねぇ…君たち、浅井部長の部下だよね?」僕たちは川上さんに声をかけられた。
「はい。何でしょう?」
「私、部長ともっとお近づきになりたいの。先週はいい雰囲気だったのよ。お父様も一緒にお食事したりして。ふふふっ…でも何だか今日の朝は機嫌悪かったみたいで…誘っても断られちゃって…」
「えっ」
「君たちも一緒でいいから、部長をご飯に誘ってくれない?」
え?お父さんも一緒って?
「いい加減にしてくれないか、川上さん。俺の部下にまで声をかけて…何が目的ですか?」
あれ?さっき常務と一緒に行ったんじゃ…
「浅井部長っ私は……部長をお慕い申しています。だからっ先週のように、お父様とご一緒にお食事したり、部長が…秘書の勉強をしたいなら、秘書検定を受けたいのなら全面的にバックアップしたいと思っています。その為なら何だってします。部長のお力になります」
一気に捲し立てて言ったので、僕も平井も唖然としてしまったが部長は違った。
「俺が、いつ秘書の勉強をしたいと?秘書検定を受けたいと言いましたか?俺は受けるつもりはありません。必要ないから」
「だって部長は…社…いえっ」
「何か勘違いしてないですか?俺はただ秘書になってもらいたい人の為に見学に行って話を聞いていただけだが、これからその人と一緒に探すから、川上さんの力は全く必要じゃないです」
「私じゃ、だめなんでしょうか?秘書主任もしていますし、部長のことを誰よりも好きなんです。これから先も全面的にお支えしたいと…」
川上さんが部長の元に手を伸ばしたとき
「川上さん、これだけ浅井くんが断ってるのにまだわからない?しつこくないかい?」
「常務…先程行ったばかりじゃ…」
「君が浅井くんの部下に声をかけてるのが気になって…ねぇ?小沢くん、平井くん大丈夫かい?もう戻っても大丈夫だよ。後はこっちで対処するから」
『はい。失礼します』
俺たちは先に部署に戻った。昼休みが終わった人たちが戻って来るなり僕たちの所にやって来た。
「さっきのあれ何?」
「一体、何があったの?」
「あの2人って付き合ってるんじゃなかったの?」
僕は何も言えなかった…まさか川上さんが、あんなに必死で部長のことを…そう思うと胸が少し苦しくて咄嗟にワイシャツを掴んだ。その時にネックレスに通した指輪が当たる感じがした。大丈夫。透さんも断ってたし、常務もいてくれるから…そう思い仕事に戻った。
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