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聞きたくない
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平井の家を出ると車が1台止まっていた。四ノ宮さんが声をかけて
助手席に乗ろうとしたのを止めて俺が座った。
俺の頭ん中はぐちゃぐちゃで、ただ今は部長の顔を見たくなくて、部長の香りを嗅ぎたくなくて、部長の側にいたくなかった…
「海斗くん、そっちでいいの?」
「はい。俺はここで」
「とりあえず学の店までな。安全運転で頼むよ。送ったらそのまま帰っていいから」
「わかりました」
車はゆっくりとスピードを上げて走り出した。夜中なのに走ってる車多いんだなーと助手席の窓に頭をつけてぼーっとしていた。後からは3人の話声が聞こえてきたけれど俺は車の揺れに身を預けてるうちに寝てしまった。
「海斗くん、起きれる?着いたよ」
「うぅ…んっ」
「海斗、身体起こすよ。ダメだな。抱き上げるぞ」
俺は部長に抱き上げられても気づかずに眠っていた。
「こんばんは。海斗寝てるの?どうしたの?」
「悠人くん。ちょっとソファー借りるね」
「浅井さん酷いですよ。それでなくても女性が相手だと海斗はトラウマもあるだろうし…」
「そうだよな。でも男性の方がダメかなって…」
なんだか騒がしくて目が覚めたら
いつもの香りと温もりを感じて俺は部長に抱きしめられていると覚醒してきた。
「嫌だっ…」
抱きしめてくれていた腕から離れてソファーから落ちた。
「痛っい…」
「海斗っ!」
手を伸ばされた腕を払って自分で立ち上がった。
「海斗…ちゃんと話しよう。誤解だから…どうして彼女に会ってたのか説明させてくれないか?」
「彼女っ…」
「いやっ…そうじゃなくて…」
俺はまだ酔って回らない頭でも川上さんを抱きしめていた部長の姿が浮かんできた。どんな理由があってもあんな風に抱きしめてほしくなかった。俺はまた涙が溢れてきて床の上にポツポツとシミを作っていく…
「部長の…話は今は聞きたくありません。どうしていいのかわからないんで…でも仕事ができない俺なんかより美人で仕事もできて、おまけに親は社長さんだなんて部長の家柄に釣り合いますね」
「海斗っお前…」
肩を掴まれそうになって一歩下がったら四ノ宮さんが間に入ってくれた。
「浅井、落ち着け海斗くんが辛いのは目に見えてるだろ?もう少し落ち着くまでそっとしておいてあげよう。海斗くんごめんね。言いたい事はあるけど、とりあえずちゃんと寝ようか?悠人くんお願いできる?」
「海斗行こう…今日は一緒にいるから…」
「俺も一緒にいさせてね」
西原さんに声をかけられた。うなづいて悠人に手を引かれて店の外に出た。風が冷たく自分の心のようだった。
2人の住んでるマンションに連れて行かれた。
「明日休みだろ寝てていいから。俺も疲れたし…西原さんも休みですか?」
「うん。土曜日に休みなんて久しぶり。初めまして海斗くん。学とか四ノ宮とかの同級生の西原 涼太です。よろしくね。とりあえず寝ようか。僕も眠いんだよね」
「はい…」
俺はもう何も考えられないくらい頭が回らなかった。客間に布団を2つひいてくれる西原さんと悠人の姿をぼーっと見ていた。
布団に入ると睡魔が襲ってきた。明日、ちゃんと話をしよう。俺…どこに住んだらいいかな?もう部長の所には帰れないかもしれないな。と思いながら目を閉じた。
「海斗寝た?」
「寝たみたいだね。浅井もなんでこんな嫌われるってわかってるはずなのに…」
「でもなんで海斗の事わかったんですか?」
「四ノ宮の所に浅井から電話が来たんだよ。海斗くんが同期と飲むみたいだけど様子が変だからって…だから尾行頼んだの。そしたら海斗くん酔っ払って同期の家に行ったって報告が来たから浅井に言ったら、今すぐ行くって…同期の家で何もなかったけど相手の子、部長や僕たちが行ってびっくりしてたわー」
「そりゃそうでしょ。上司が行ったらね?」
「明日ゆっくり海斗くんと話しよう。向こうは向こうで3人で話してるよ」
「そうですね。とりあえず西原さんもゆっくり寝てください」
「うん。悠人くんもね。おやすみ」
そんな事があったとは知らず…俺はすでに夢の中だった…
助手席に乗ろうとしたのを止めて俺が座った。
俺の頭ん中はぐちゃぐちゃで、ただ今は部長の顔を見たくなくて、部長の香りを嗅ぎたくなくて、部長の側にいたくなかった…
「海斗くん、そっちでいいの?」
「はい。俺はここで」
「とりあえず学の店までな。安全運転で頼むよ。送ったらそのまま帰っていいから」
「わかりました」
車はゆっくりとスピードを上げて走り出した。夜中なのに走ってる車多いんだなーと助手席の窓に頭をつけてぼーっとしていた。後からは3人の話声が聞こえてきたけれど俺は車の揺れに身を預けてるうちに寝てしまった。
「海斗くん、起きれる?着いたよ」
「うぅ…んっ」
「海斗、身体起こすよ。ダメだな。抱き上げるぞ」
俺は部長に抱き上げられても気づかずに眠っていた。
「こんばんは。海斗寝てるの?どうしたの?」
「悠人くん。ちょっとソファー借りるね」
「浅井さん酷いですよ。それでなくても女性が相手だと海斗はトラウマもあるだろうし…」
「そうだよな。でも男性の方がダメかなって…」
なんだか騒がしくて目が覚めたら
いつもの香りと温もりを感じて俺は部長に抱きしめられていると覚醒してきた。
「嫌だっ…」
抱きしめてくれていた腕から離れてソファーから落ちた。
「痛っい…」
「海斗っ!」
手を伸ばされた腕を払って自分で立ち上がった。
「海斗…ちゃんと話しよう。誤解だから…どうして彼女に会ってたのか説明させてくれないか?」
「彼女っ…」
「いやっ…そうじゃなくて…」
俺はまだ酔って回らない頭でも川上さんを抱きしめていた部長の姿が浮かんできた。どんな理由があってもあんな風に抱きしめてほしくなかった。俺はまた涙が溢れてきて床の上にポツポツとシミを作っていく…
「部長の…話は今は聞きたくありません。どうしていいのかわからないんで…でも仕事ができない俺なんかより美人で仕事もできて、おまけに親は社長さんだなんて部長の家柄に釣り合いますね」
「海斗っお前…」
肩を掴まれそうになって一歩下がったら四ノ宮さんが間に入ってくれた。
「浅井、落ち着け海斗くんが辛いのは目に見えてるだろ?もう少し落ち着くまでそっとしておいてあげよう。海斗くんごめんね。言いたい事はあるけど、とりあえずちゃんと寝ようか?悠人くんお願いできる?」
「海斗行こう…今日は一緒にいるから…」
「俺も一緒にいさせてね」
西原さんに声をかけられた。うなづいて悠人に手を引かれて店の外に出た。風が冷たく自分の心のようだった。
2人の住んでるマンションに連れて行かれた。
「明日休みだろ寝てていいから。俺も疲れたし…西原さんも休みですか?」
「うん。土曜日に休みなんて久しぶり。初めまして海斗くん。学とか四ノ宮とかの同級生の西原 涼太です。よろしくね。とりあえず寝ようか。僕も眠いんだよね」
「はい…」
俺はもう何も考えられないくらい頭が回らなかった。客間に布団を2つひいてくれる西原さんと悠人の姿をぼーっと見ていた。
布団に入ると睡魔が襲ってきた。明日、ちゃんと話をしよう。俺…どこに住んだらいいかな?もう部長の所には帰れないかもしれないな。と思いながら目を閉じた。
「海斗寝た?」
「寝たみたいだね。浅井もなんでこんな嫌われるってわかってるはずなのに…」
「でもなんで海斗の事わかったんですか?」
「四ノ宮の所に浅井から電話が来たんだよ。海斗くんが同期と飲むみたいだけど様子が変だからって…だから尾行頼んだの。そしたら海斗くん酔っ払って同期の家に行ったって報告が来たから浅井に言ったら、今すぐ行くって…同期の家で何もなかったけど相手の子、部長や僕たちが行ってびっくりしてたわー」
「そりゃそうでしょ。上司が行ったらね?」
「明日ゆっくり海斗くんと話しよう。向こうは向こうで3人で話してるよ」
「そうですね。とりあえず西原さんもゆっくり寝てください」
「うん。悠人くんもね。おやすみ」
そんな事があったとは知らず…俺はすでに夢の中だった…
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