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捕獲
しおりを挟む電話が終わったのか小倉さんが戻ってきて、優太さんと話してた。仕事の話かな?
とりあえず駅、近いかな?話終わったら聞いてみようかな?明日から仕事あるんだよなー今日はどこ泊まろう…スーツとか買わないとだよな…なんて色々考えてたら…
「海斗くんってどんな服が好き?」と聞かれた…
「特にこだわりはないです。基本スーツだから普段着あまり着る機会もなくて…」
「そっかぁー」
そんな話をしていたら店のドアが思いっきり開いて透さんが現れた。
「海斗っ…よかった…」そう言って思いっきり抱きしめられた。止まってた涙がまた溢れてきた。
「ごめん…っなさい…」
「いや…俺が悪かった。逃げだすほど辛かったんだろっ…ごめんな」そう言って頭を撫でてくれた。
透さんの心臓に耳を当てるとドキドキと心拍が早かった。走って来てくれたんだ。心配させてしまったんだろう。思い出したら、また辛くなって、情けなくなって…俺…子供じゃないか…
「海斗、心配したんだぞ」
「っえ?なんで?悠人がいるの?」
「学さんとご飯食べにマスターの所に行ったら浅井さんが海斗に逃げられたって…びっくりしたんだぞ。子供みたいな行動しやがって…まぁー少しは気持ちわかるけど…」
「浅井さん…って?悠人知ってたの?」
「お前…知らなかったの?浅井さん、うちの店の常連さん」
「え?常連さんだったんですか?」透さんの顔を見ると頭を掻きながら「まぁーな。海斗の事もよく見てたよ。全く気づきもしないで悠人くんと少し話して帰っちゃうからな」そう言って笑った。
すると学さんが「俺と浅井、それからここにいる小倉と優太は高校の同級生、あと2人いるけど…よく6人で遊んでたり、色々な…まぁーこの2人はくっついたけど…」
そういえば同級生って言ってたなぁーと思ってたら…
「ちーっす…って、わぁーなんなんだ?」と黒いジャケットにパンツの服装に、ちょっとゴツメのネックレスや指輪を身に着けている見た目チャラい感じの人が入ってきた。
「四ノ宮…」
「なになに?みんなどうーした?事件か?時間なら涼太も呼んじゃう?……あれ?…初めて見る顔だね?俺、四ノ宮 昴、ここにいるメンバーの同級生、まぁ…悠人くんは学の恋人だけどな!」
「初めまして、小沢 海斗です。僕は…」
「海斗は俺のだから、ちょっかいかけるな」と言って俺を抱き寄せられた。恥ずかしくて俯いてると
「浅井の彼氏?お前社長になるのに大丈夫なのか?あのご令嬢は?」
「ご令嬢って…?」
「四ノ宮、余計な事を…海斗、気にするなっていうか…?海斗?」
俺は気づいたら涙が溢れていた。
何か言い合いする声が聞こえてきたけど、全く耳に入ってこなかった。
そっか…そうだよね。透さんは、いずれ社長になるんだもん。ご令嬢と結婚するのがいいんだよね。男しか好きになれないって言ってたって、やっぱり世間体を気にしたら…ね。でも透さんに好きって言われて嬉しかったな。ご飯も…美味しかったし…あぁー仕事辞めないと…と考えていたら、いきなりキスされた。びっくりして目を開けると「海斗わかったか?」と透さんに言われた。
「なに?なにをですか?」
「聞いてなかったの?」
「だから…なんですか?なんにも聞こえなくて…」
「はぁー」と大きいため息の後に〝女に興味のない俺に無理だろ見合いなんて…第一、勃たないんだよ。女相手じゃ。だから子供だってできない。跡取りなんて期待されても無理なんだよ。俺は海斗が好きだから親父にカミングアウトして、それでもいいなら社長になる、ダメなら辞めるから〟「そう今、話してたんだけど…わかってくれたか?」
「えっ…そんな事、言ってたんですか?」
「本当の事だからね。今まで親父に隠してだけど、もういいんだ。そしたら見合い話なんて、持ってこないだろうし…じゃあ帰ろうか…」
「おいおい話終わりか?」
「四ノ宮、お前相変わらずだな、今日仕事は?」
「あぁーとりあえずひと段落したんだよ」
「いずれお前に頼む案件あるかもしれない…まぁ何でも屋のお前なら大した仕事じゃないだろうけど…」
「なになに?女関係?いいよ。いいよ。なんでもするよー透ちゃんのお願いなら」
「キモいわーその言い方。じゃあまたな」
「海斗…また店おいで。今度は2人で…待ってるから」
「悠人…ありがとう。またな」
みんなにお礼をいって、透さんの車に乗った。
「海斗…色々辛いことがありすぎて頭ん中、わけわかんなくなってるかもしれないけど…俺からは逃げないでくれないか?お前がいなくなって、どうしたらお前のことわかってあげれるかな?って考えてた。これからは辛い時は辛い、悲しい時は悲しい。そう言ってくれないかな?言っていいんだよ。自分の殻に閉じこもらなくていいから」と頭を撫でられた。
「透さん…俺…どうしていいかわかんなくなっちゃって…子供みたいに逃げ出すような事しちゃって…ごめんなさい」
「いいよ。海斗がまた俺の所に来てくれたから。じゃあ帰るか」
透さんと一緒にあの家に帰れるんだ…と思ったら心がポカポカしてきた。
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