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冷たい雨が降る夜に
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「あー今日も疲れた。何作ろうかなー」そう思いながら駅前のスーパーに行って今日はハンバーグにしよっと材料を買い込んだ。雨降りそう…早く帰らなきゃ。
駅から徒歩10分、築年数も浅いこのマンションに大学の時から付き合っている彼と卒業と同時に同棲を始めてからもう3年になる。
アイツ今日早番だったって言ってたから、もう帰ってるかな?
そういえば最近ご無沙汰だなぁー
たまには俺から誘おうかな?
明日休みだし…イチャイチャできるかな?
なんて思いながら部屋の鍵を開け玄関の靴箱の上に鍵を置いた。
靴を脱ごうとして何かにつまづいた。
「…あっ」
見慣れない女性物のヒールが乱雑に置いてあって心臓がドキドキ、バクバクしてきた…今にも口から出てきそうだ…
エコバッグを握っている手は汗で湿ってきた。
廊下のドアをそっと開けると
「…あーっ…いいっ…もっと…」
「あーこの奥好きだもんな」
「もっと…奥…ま…でぇ…」
「してやるよっ…ぅう…気持ち…いいな…」
なに?なに?なんなの??
俺は大股でリビングを横切り、思いっきり寝室のドアを開けた。
「えっ…」
「あっ」
そこには知らない女の尻に自分の竿を突っ込んでいる奴がいた…
「ふざけんな…っ」
エコバッグの中身を2人目掛けて全部ぶちまけた。
2人で色んな店で行って色々悩んで、やっと気に入ったベッドを買ったのに、そのベッドを知らない女と使うなんて…涙がいくつもいくつも溢れてきた。
涙を拭うこともせずに俺は、クローゼットからスーツケースを取り出して目についた服を詰めていく、こんな部屋にはもう二度と帰らない。今日はネカフェでも泊まろう。そう思いながら俺は放心状態でベッドの上に全裸でいる奴に向かって財布から下ろしたばかりの5万円を投げつけ「残りの物は捨ててくれ」と言って玄関を出た。
さっきは降ってなかった雨が降り出してきていた。
こんなあっけない終わり方って何だよ…好きだった。愛してた…
俺の初めてはアイツだったのに…俺はアイツしか知らないのに…
自分達のマンションに連れ込んでやってるとは思わなかった。
アイツは女も抱けたんだ…知らなかった。男だけだと思ってた。今まで気づかなかっただけで俺以外にもあのベットで抱いてたのかもな。だから最近してなかったのかな?そっか…女の体の方がよかったのか…俺よりも…
傘もささず、あてもなく、ふらふらしながらスーツケースを引いて歩いていると「大丈夫ですか?…って海斗…びしょびしょじゃん。何してんの?その荷物…」
「悠人…」
「とりあえず店寄ってけよ。話聞いてやるから」
幼馴染の悠人だった。この先にあるBAR「ハーデンベルギア」で働いている。お酒だけじゃなくて料理も美味しいお店だ。
店の名前は花の名前だと聞いたことがある…意味は~運命的な出会い~と言ってたっけ?
何でも経営者の学さんと悠人がそうだったと聞いた事があるが他人の恋愛に興味のなかった俺はろくに話も聞かなかった。
「学さん、なんか暖かいものある?」
「どうした?悠人。って…海斗じゃん、どうした?」
「すみません。学さん」
「海斗、スーツケースの中身は…無事だよね?なら着替えてこいよ。着てるスーツも台無しになるぞ。こっちだから。早く」
BARの奥の部屋で着替えさせてもらった。
「お前スウェットって…」
「スーツケースに入ってたのがスーツとこれだけだったの」
スーツケースの中は数着のハンガーにかかっていたスーツと、朝脱いだスウェット、少しの下着しか入ってなかった。お気に入りのセーターやビンデージのジーンズも置いてきっちゃったな…なんて思ってたら…
「とりあえずこれ…温まるから」
学さんがホットワインとビーフシチューを出してくれた。両手でグラスを持つと冷たかった手がだんだん温まるのを感じた。学さんのビーフシチューは絶品で品切れの日もあるのに今日はラッキーだなぁーと思って一口頬張ろうとすると悠人から
「…で、家出てきたの?けんか?」
「アイツ女とセックスしてたっ…」
『はっ…?』2人が同時に叫んだ
「見たのか?」
「突っ込んでるとこ丸見えだった」
「それは…それは…」
「最悪だよなぁー3年も暮らしたのに裏切られた…女もいけるなんて知らなくて…もう俺、恋愛する気はないわーもう嫌だよ…グスッ…やっぱ男同士なんて最初っから無理だったのかなっ……あっ…ごめん…」
「海斗、今日は飲もう。飲んで嫌なこと全部忘れよう。学さん俺も飲んでいい?海斗に付き合いたいんだけど…」
「飲んでもいいが…カウンターから離れるなよ」
「うん。じゃあ…海斗の失恋記念日に…カンパーイ」
「他人事だと思って…」
それから俺は飲みまくった。明日は運良く土曜日で仕事は休みだ。潰れたら、きっとソファーにでも寝かしてくれると思って…た…
聞いた事がある心地よいバリトンの声がした
「小沢、起きれるか?小沢…とりあえず運ぶぞ」
「うーうっーん」
「お前、本当に連れて帰るのか?起きたらびっくりするんだろうな。浅井…優しくしろよ」
「わかってる。やっと手に入ったんだ。泣かせない。辛かったな海斗。俺が絶対にお前を幸せにするからな」
そんな会話を学さんと鬼上司の浅井さんがしているなんて知らなかった俺はそのまま眠っていた。
駅から徒歩10分、築年数も浅いこのマンションに大学の時から付き合っている彼と卒業と同時に同棲を始めてからもう3年になる。
アイツ今日早番だったって言ってたから、もう帰ってるかな?
そういえば最近ご無沙汰だなぁー
たまには俺から誘おうかな?
明日休みだし…イチャイチャできるかな?
なんて思いながら部屋の鍵を開け玄関の靴箱の上に鍵を置いた。
靴を脱ごうとして何かにつまづいた。
「…あっ」
見慣れない女性物のヒールが乱雑に置いてあって心臓がドキドキ、バクバクしてきた…今にも口から出てきそうだ…
エコバッグを握っている手は汗で湿ってきた。
廊下のドアをそっと開けると
「…あーっ…いいっ…もっと…」
「あーこの奥好きだもんな」
「もっと…奥…ま…でぇ…」
「してやるよっ…ぅう…気持ち…いいな…」
なに?なに?なんなの??
俺は大股でリビングを横切り、思いっきり寝室のドアを開けた。
「えっ…」
「あっ」
そこには知らない女の尻に自分の竿を突っ込んでいる奴がいた…
「ふざけんな…っ」
エコバッグの中身を2人目掛けて全部ぶちまけた。
2人で色んな店で行って色々悩んで、やっと気に入ったベッドを買ったのに、そのベッドを知らない女と使うなんて…涙がいくつもいくつも溢れてきた。
涙を拭うこともせずに俺は、クローゼットからスーツケースを取り出して目についた服を詰めていく、こんな部屋にはもう二度と帰らない。今日はネカフェでも泊まろう。そう思いながら俺は放心状態でベッドの上に全裸でいる奴に向かって財布から下ろしたばかりの5万円を投げつけ「残りの物は捨ててくれ」と言って玄関を出た。
さっきは降ってなかった雨が降り出してきていた。
こんなあっけない終わり方って何だよ…好きだった。愛してた…
俺の初めてはアイツだったのに…俺はアイツしか知らないのに…
自分達のマンションに連れ込んでやってるとは思わなかった。
アイツは女も抱けたんだ…知らなかった。男だけだと思ってた。今まで気づかなかっただけで俺以外にもあのベットで抱いてたのかもな。だから最近してなかったのかな?そっか…女の体の方がよかったのか…俺よりも…
傘もささず、あてもなく、ふらふらしながらスーツケースを引いて歩いていると「大丈夫ですか?…って海斗…びしょびしょじゃん。何してんの?その荷物…」
「悠人…」
「とりあえず店寄ってけよ。話聞いてやるから」
幼馴染の悠人だった。この先にあるBAR「ハーデンベルギア」で働いている。お酒だけじゃなくて料理も美味しいお店だ。
店の名前は花の名前だと聞いたことがある…意味は~運命的な出会い~と言ってたっけ?
何でも経営者の学さんと悠人がそうだったと聞いた事があるが他人の恋愛に興味のなかった俺はろくに話も聞かなかった。
「学さん、なんか暖かいものある?」
「どうした?悠人。って…海斗じゃん、どうした?」
「すみません。学さん」
「海斗、スーツケースの中身は…無事だよね?なら着替えてこいよ。着てるスーツも台無しになるぞ。こっちだから。早く」
BARの奥の部屋で着替えさせてもらった。
「お前スウェットって…」
「スーツケースに入ってたのがスーツとこれだけだったの」
スーツケースの中は数着のハンガーにかかっていたスーツと、朝脱いだスウェット、少しの下着しか入ってなかった。お気に入りのセーターやビンデージのジーンズも置いてきっちゃったな…なんて思ってたら…
「とりあえずこれ…温まるから」
学さんがホットワインとビーフシチューを出してくれた。両手でグラスを持つと冷たかった手がだんだん温まるのを感じた。学さんのビーフシチューは絶品で品切れの日もあるのに今日はラッキーだなぁーと思って一口頬張ろうとすると悠人から
「…で、家出てきたの?けんか?」
「アイツ女とセックスしてたっ…」
『はっ…?』2人が同時に叫んだ
「見たのか?」
「突っ込んでるとこ丸見えだった」
「それは…それは…」
「最悪だよなぁー3年も暮らしたのに裏切られた…女もいけるなんて知らなくて…もう俺、恋愛する気はないわーもう嫌だよ…グスッ…やっぱ男同士なんて最初っから無理だったのかなっ……あっ…ごめん…」
「海斗、今日は飲もう。飲んで嫌なこと全部忘れよう。学さん俺も飲んでいい?海斗に付き合いたいんだけど…」
「飲んでもいいが…カウンターから離れるなよ」
「うん。じゃあ…海斗の失恋記念日に…カンパーイ」
「他人事だと思って…」
それから俺は飲みまくった。明日は運良く土曜日で仕事は休みだ。潰れたら、きっとソファーにでも寝かしてくれると思って…た…
聞いた事がある心地よいバリトンの声がした
「小沢、起きれるか?小沢…とりあえず運ぶぞ」
「うーうっーん」
「お前、本当に連れて帰るのか?起きたらびっくりするんだろうな。浅井…優しくしろよ」
「わかってる。やっと手に入ったんだ。泣かせない。辛かったな海斗。俺が絶対にお前を幸せにするからな」
そんな会話を学さんと鬼上司の浅井さんがしているなんて知らなかった俺はそのまま眠っていた。
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