101 / 101
第2章
101回
しおりを挟む
101
「失礼いたします」
「ノアはどうだ?」
執務室に入るなりノアのことを心配する父上は昔から変わっていない。
「いつも通りにまだごねています。本当に結婚式当日でいいんですか?もう言ってあげたほうが……」
「ダメだ」
強い口調で言われ背筋が伸びた。やっぱりダメなのか……俺が落ち込んでいるように見えたのだろう父上はホルト先生の弟ナイル先生の話をし始めた。
「彼らも色々ありながらも今は3人の子ども達と幸せにしてるだろう?だからノアもきっと大丈夫だ」
そう言われても俺は今のノアがナイル先生のように受け入れてくれるか不安で仕方がない。
そうこの獣人の世界に来た人間は妊娠できるように体が作り替えられてしまう。なぜそうなるのかいまだにわからないが…ただ運命の伴侶に出会えた者だけがここにいる獣人と子孫を残すことができる。まだ俺とノアはキスしかしたことがない。いずれは子作りをしたいが……ノアが受け入れてくれるのか、また俺に子どもを産んでくれる人と結婚した方がいいと言ってるノアに実はノア自身が俺の子どもを産めるんだと伝えて怖がりはしないか不安でしかない。
ナイル先生の子どもにも何度か会ったことがある。3人のうち1人は人間だが2人は獣人だ。ノアにとても懐いていてノアは自分の弟のように可愛がってはいるが……果たして……そんなに上手くいくのだろうか……
式の前日まで駄々をこねてみんなを困らせていたノアだったが、とうとう諦めてくれた。そして式の当日、父上から話があった。
「ノア、いよいよカイルと結婚だな。おめでとう。ただ1つだけノアに内緒にしていたことがある」
そう父上が硬い口調で言い始めるとノアは俯き体が震えていた。
「ノア、大丈夫だ」
俺はそっとノアの肩を抱いた。
「ノアの体はカイルの子どもが産めるように、作り替えられているんだ。なぜそうなるのかはパパにもわからないが、ノアはナイル先生のように子どもが産めるようになるんだ。カイルと仲良くしていればな」
そう言って穏やかに笑う父上にノアが抱きついた。
「パパ本当?僕、カイルの赤ちゃん産めるようになるの?」
目をキラキラさせてノアは嬉しそうに言ってくれた。
ノアが悩むかも……と考えていたのが嘘のようだ。すると今度は俺の方を振り向き
「カイルは僕がカイルの子どもを産んだら喜んでくれる?誰かと結婚しない?」
不安そうな顔で言うノアの手を引いて思いっきり抱きしめた。
「だから前から言ってる。ノアが……ノアだけが俺の伴侶だから」
ノアはきっと不安だったのだろう。そういえばナイル先生にもどうして子どもがいるのか聞いていたけど、先生も本当のことは言わなかったんだろう。ノアは自分が産めるなんて想像もしていなかったと思うが……俺たちにも、いつか子どもができたらきっとノアは子どもにたくさんの愛情を注いでくれるだろう。自分が受けれなかった親からの愛情を……俺もノアに惜しみない愛を送り続けよう。
「失礼いたします」
「ノアはどうだ?」
執務室に入るなりノアのことを心配する父上は昔から変わっていない。
「いつも通りにまだごねています。本当に結婚式当日でいいんですか?もう言ってあげたほうが……」
「ダメだ」
強い口調で言われ背筋が伸びた。やっぱりダメなのか……俺が落ち込んでいるように見えたのだろう父上はホルト先生の弟ナイル先生の話をし始めた。
「彼らも色々ありながらも今は3人の子ども達と幸せにしてるだろう?だからノアもきっと大丈夫だ」
そう言われても俺は今のノアがナイル先生のように受け入れてくれるか不安で仕方がない。
そうこの獣人の世界に来た人間は妊娠できるように体が作り替えられてしまう。なぜそうなるのかいまだにわからないが…ただ運命の伴侶に出会えた者だけがここにいる獣人と子孫を残すことができる。まだ俺とノアはキスしかしたことがない。いずれは子作りをしたいが……ノアが受け入れてくれるのか、また俺に子どもを産んでくれる人と結婚した方がいいと言ってるノアに実はノア自身が俺の子どもを産めるんだと伝えて怖がりはしないか不安でしかない。
ナイル先生の子どもにも何度か会ったことがある。3人のうち1人は人間だが2人は獣人だ。ノアにとても懐いていてノアは自分の弟のように可愛がってはいるが……果たして……そんなに上手くいくのだろうか……
式の前日まで駄々をこねてみんなを困らせていたノアだったが、とうとう諦めてくれた。そして式の当日、父上から話があった。
「ノア、いよいよカイルと結婚だな。おめでとう。ただ1つだけノアに内緒にしていたことがある」
そう父上が硬い口調で言い始めるとノアは俯き体が震えていた。
「ノア、大丈夫だ」
俺はそっとノアの肩を抱いた。
「ノアの体はカイルの子どもが産めるように、作り替えられているんだ。なぜそうなるのかはパパにもわからないが、ノアはナイル先生のように子どもが産めるようになるんだ。カイルと仲良くしていればな」
そう言って穏やかに笑う父上にノアが抱きついた。
「パパ本当?僕、カイルの赤ちゃん産めるようになるの?」
目をキラキラさせてノアは嬉しそうに言ってくれた。
ノアが悩むかも……と考えていたのが嘘のようだ。すると今度は俺の方を振り向き
「カイルは僕がカイルの子どもを産んだら喜んでくれる?誰かと結婚しない?」
不安そうな顔で言うノアの手を引いて思いっきり抱きしめた。
「だから前から言ってる。ノアが……ノアだけが俺の伴侶だから」
ノアはきっと不安だったのだろう。そういえばナイル先生にもどうして子どもがいるのか聞いていたけど、先生も本当のことは言わなかったんだろう。ノアは自分が産めるなんて想像もしていなかったと思うが……俺たちにも、いつか子どもができたらきっとノアは子どもにたくさんの愛情を注いでくれるだろう。自分が受けれなかった親からの愛情を……俺もノアに惜しみない愛を送り続けよう。
202
お気に入りに追加
959
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。


BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
許せませんな!
意地悪したら更に嫌われるだけってなぜ理解しないんだ!
ノアは無事でしょうか?
しんぱいです( ノД`)…
みみみみみさん。コメントありがとうございます。
普通は嫌われるって理解するんですけどね。
ノアの心配してくださり、ありがとうございます。運命の相手が側にいてくれてるので大丈夫です。
この国の王たちってどの程度敬われてるの?っていつも思ってます。
当たり前のようにみんなカイルに話しかけて家にまで会いに行ってるけど…
そんな簡単に会えるようなお城なの?
警備上大丈夫なの?そしてそんな簡単に会えるような存在なの?
みみみみみさんコメントありがとうございます。
ノアが人間から来たこともあり、普通の子として育って欲しかったという願いから、ノアの知り合いには距離をとらずに接している設定です。わかりづらい表現で申し訳ありません。
今後もおかしいと思うことがあるかもしれませんが広い心で応援していただければ嬉しいです。よろしくお願いいたします。
みかんさんコメントありがとうございます。
多分こんな状況になるとは思ってなかったんでしょうね。運命の伴侶だから絶対というのがあったと思いますが…この状況になったので色々変わってくると思います。
お読みくださりありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。