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第1章
第36話
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しがみついて泣いてるノアを抱きしめて心苦しいけどノアに言い聞かせた。
「ノア、俺は獣族の中でも強いんだ。それに俺は団長といって他の騎士たちをまとめる人なんだ。だから俺が行かないとみんなが困る。俺もノアと離れるのは寂しけど仕事だから行ってくるけど、ちゃんとノアの元に帰って来るからな」
そう言うと泣きながらも頷いてくれた。俺がいなくなって寂しいと思ってくれているのかと思うだけで幸せな気持ちになった。
「ノア必ず帰るから約束な」
そう言ってノアの柔らかい髪を撫であげて俺は小さなおでこに気持ちを込めてキスをした。
「ノア待っててね」
するとノアもするって言ってくれて俺のおでこに小さな唇を押し当ててくれた。
「行ってらっしゃい」
「行ってくるね」
父上、母上、姉上、リアムとサイモン先生にノアのことをお願いして父上にノアを預けるとライナスがやってきた。
「カール様が到着されました」
わざわざ迎えにきてくれたのか、俺は自分の真剣(本物の刀剣)を持ちカールの元に向かった。
ノアが父上に抱っこされて窓に張りついて見ているのが目に入った。
「ノアのお見送り付きか……羨ましいな」
「まぁ……な。それよりも頼むぞカール」
「わかってる。でもカイル今回ばかりはかなり厄介みたいだ。お互い怪我をしないようにしよう。ちゃんとノアの元に帰れるようにな」
「当たり前だろ」
カールが翼を広げ俺とライナスを乗せると空に舞い上がった。ノアが大きく手を振ってくれてるのが見えた。ノアがキスをしてくれたおでこに手を当てるとなんだかとても温かい感じがして力が湧いてきた。絶対に帰るんだノアの元に…俺たちは野獣たちがいるという場所に向かった。
そこは秘境と呼ばれる奥地にある場所だが珍しい木の実があることで有名だ。でも最近は野獣も出るしこの奥には落ちたら生きては戻れないと言われる高い崖があることで普通の獣人は近寄らないが年に数人その珍しい木の実を求めて探しに入る奴らがいるのは知っていた。
「酷いな」
あまりにも酷い惨状は空の上からでもわかった。木々が薙ぎ倒され見るも無惨に荒れ果てていた。
地上に降りると近くの地上部隊と飛行部隊は先に着いて待っていた。俺は獣の姿に変身した。野獣と戦うのにはこの方がいいからな。先に来ていた彼らに詳細を聞いてみた。
「怪我人は?」
「野獣に遭遇したのはカラス獣人だったらしく飛んで逃げたそうです」
「他の地上部隊は明日の未明に到着予定です」
「そうか…それまでにやっつけるか?でもどこに行った?一体何匹いるんだ?」
野獣たちは地下に潜ってるのか、それともどこかに潜んでいるのか、なかなか姿をあらわさなかった。地上部隊の面々が集まってきたが、それでも見つからずたまに会う野獣たちは俺たちには無害のものがほとんどだった。時間が進むうちに俺たちも焦りが見えてきた。
「どこに行ったんだ?場所を移動したか?それとも飛べる野獣だったか?今回は被害も少なかったようだし一旦引き上げてまた来る形にしようか?」
「そうだな。いつまでも会えないのにいても仕方がないよな。もうあれから1週間も経っていた。今回は仕方がないが諦めるか」
その時だった。
「グオォォォー」
と大きな声と共に1匹の大きな野獣が姿を現した。
今まで出会ったどんな大きな野獣よりもそいつは大きくて初めて見る大柄な野獣に腰が抜けそうな新人隊員が目に入った。
「みんな気合を入れろ!みんなにも待ってる人がいるんだろ。絶対に全員で帰るんだ」
『おぉー』
俺の掛け声でみんなの士気が上がるのを感じた。
俺たちは今までの訓練を思い出したがあまりにも相手が強すぎた。俺の真剣は強い鋼鉄でできているはずなのに野獣の足に少しだけしか刺ささらず折れてしまった。まずいっと咄嗟に思った。だからノアは俺に行くなと止めたんじゃないかと、でも今こいつを殺めないと国民に被害が及ぶ可能性がある。俺は身体に力を込めた。1人の力では無理でもみんなの力を合わせれば
「このまま追い込んで、あの崖の上から落とすぞ」
あの崖はこの野獣の何倍もの高さがある。途中には大きい岩がゴロゴロあってそのまま海に落ちるが野獣と同じくらい大柄な海洋部隊が待っていてくれる。きっと海の奥底まで連れてってくれるだろう。でもあと少しのところで野獣も抵抗してきて俺たちは弾き飛ばされた。あれだけ訓練をしてきた仲間が動けなくなって倒れていた。ライナスも足を負傷したようで動けなかった。俺はなんとか起き上がり飛行部隊の仲間たちと追い込んだ。野獣の片足が崖から落ちる寸前、バランスを崩した野獣が大きく両手を広げた瞬間、鋭い爪が俺の体に突き刺さった。
周りの悲鳴にも似た大きな声と共に「ザバーン」と大きな音が聞こえて野獣が海に落ちたとわかったときには俺は起き上がることができなく、息をするのも辛かった。遠くでみんなの声が聞こえた。
「団長しっかりしてください」
「団長みんなで帰るんです」
「カイル王子、ノアがノアが待ってます」
「カイル寝るな。ノアが待ってる」
「カイルしっかりしろ。早く救護部隊」
俺はみんなの声を聞きながら思うのはノアのことだった。
ノア、またいっぱい絵を描いてね。
ノア、算数頑張るんだよ。
ノア、いっぱい食べて大きくなってね。
ノアに会えてよかった。
ノアに会いたい……俺の……俺の運命の子……
「ノア、俺は獣族の中でも強いんだ。それに俺は団長といって他の騎士たちをまとめる人なんだ。だから俺が行かないとみんなが困る。俺もノアと離れるのは寂しけど仕事だから行ってくるけど、ちゃんとノアの元に帰って来るからな」
そう言うと泣きながらも頷いてくれた。俺がいなくなって寂しいと思ってくれているのかと思うだけで幸せな気持ちになった。
「ノア必ず帰るから約束な」
そう言ってノアの柔らかい髪を撫であげて俺は小さなおでこに気持ちを込めてキスをした。
「ノア待っててね」
するとノアもするって言ってくれて俺のおでこに小さな唇を押し当ててくれた。
「行ってらっしゃい」
「行ってくるね」
父上、母上、姉上、リアムとサイモン先生にノアのことをお願いして父上にノアを預けるとライナスがやってきた。
「カール様が到着されました」
わざわざ迎えにきてくれたのか、俺は自分の真剣(本物の刀剣)を持ちカールの元に向かった。
ノアが父上に抱っこされて窓に張りついて見ているのが目に入った。
「ノアのお見送り付きか……羨ましいな」
「まぁ……な。それよりも頼むぞカール」
「わかってる。でもカイル今回ばかりはかなり厄介みたいだ。お互い怪我をしないようにしよう。ちゃんとノアの元に帰れるようにな」
「当たり前だろ」
カールが翼を広げ俺とライナスを乗せると空に舞い上がった。ノアが大きく手を振ってくれてるのが見えた。ノアがキスをしてくれたおでこに手を当てるとなんだかとても温かい感じがして力が湧いてきた。絶対に帰るんだノアの元に…俺たちは野獣たちがいるという場所に向かった。
そこは秘境と呼ばれる奥地にある場所だが珍しい木の実があることで有名だ。でも最近は野獣も出るしこの奥には落ちたら生きては戻れないと言われる高い崖があることで普通の獣人は近寄らないが年に数人その珍しい木の実を求めて探しに入る奴らがいるのは知っていた。
「酷いな」
あまりにも酷い惨状は空の上からでもわかった。木々が薙ぎ倒され見るも無惨に荒れ果てていた。
地上に降りると近くの地上部隊と飛行部隊は先に着いて待っていた。俺は獣の姿に変身した。野獣と戦うのにはこの方がいいからな。先に来ていた彼らに詳細を聞いてみた。
「怪我人は?」
「野獣に遭遇したのはカラス獣人だったらしく飛んで逃げたそうです」
「他の地上部隊は明日の未明に到着予定です」
「そうか…それまでにやっつけるか?でもどこに行った?一体何匹いるんだ?」
野獣たちは地下に潜ってるのか、それともどこかに潜んでいるのか、なかなか姿をあらわさなかった。地上部隊の面々が集まってきたが、それでも見つからずたまに会う野獣たちは俺たちには無害のものがほとんどだった。時間が進むうちに俺たちも焦りが見えてきた。
「どこに行ったんだ?場所を移動したか?それとも飛べる野獣だったか?今回は被害も少なかったようだし一旦引き上げてまた来る形にしようか?」
「そうだな。いつまでも会えないのにいても仕方がないよな。もうあれから1週間も経っていた。今回は仕方がないが諦めるか」
その時だった。
「グオォォォー」
と大きな声と共に1匹の大きな野獣が姿を現した。
今まで出会ったどんな大きな野獣よりもそいつは大きくて初めて見る大柄な野獣に腰が抜けそうな新人隊員が目に入った。
「みんな気合を入れろ!みんなにも待ってる人がいるんだろ。絶対に全員で帰るんだ」
『おぉー』
俺の掛け声でみんなの士気が上がるのを感じた。
俺たちは今までの訓練を思い出したがあまりにも相手が強すぎた。俺の真剣は強い鋼鉄でできているはずなのに野獣の足に少しだけしか刺ささらず折れてしまった。まずいっと咄嗟に思った。だからノアは俺に行くなと止めたんじゃないかと、でも今こいつを殺めないと国民に被害が及ぶ可能性がある。俺は身体に力を込めた。1人の力では無理でもみんなの力を合わせれば
「このまま追い込んで、あの崖の上から落とすぞ」
あの崖はこの野獣の何倍もの高さがある。途中には大きい岩がゴロゴロあってそのまま海に落ちるが野獣と同じくらい大柄な海洋部隊が待っていてくれる。きっと海の奥底まで連れてってくれるだろう。でもあと少しのところで野獣も抵抗してきて俺たちは弾き飛ばされた。あれだけ訓練をしてきた仲間が動けなくなって倒れていた。ライナスも足を負傷したようで動けなかった。俺はなんとか起き上がり飛行部隊の仲間たちと追い込んだ。野獣の片足が崖から落ちる寸前、バランスを崩した野獣が大きく両手を広げた瞬間、鋭い爪が俺の体に突き刺さった。
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「団長しっかりしてください」
「団長みんなで帰るんです」
「カイル王子、ノアがノアが待ってます」
「カイル寝るな。ノアが待ってる」
「カイルしっかりしろ。早く救護部隊」
俺はみんなの声を聞きながら思うのはノアのことだった。
ノア、またいっぱい絵を描いてね。
ノア、算数頑張るんだよ。
ノア、いっぱい食べて大きくなってね。
ノアに会えてよかった。
ノアに会いたい……俺の……俺の運命の子……
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