48 / 138
どうやら歓迎されていないようです
サラブレットの能力者
しおりを挟む
凪先輩は、含みがある言い方をした。
いつものような、わたしをからかうための、もったいぶった雰囲気ではない。
「そんな風に言われたら、もっと気になりますけど!」
「ああ、そうだな」
わたしは上目づかいになって不満そうに言うと、凪先輩は、そのまま黙りこんだ。
どう口にするべきか、迷っているというような表情だ。
なにかしら話してくれる気配がするため、わたしは歩きながら、凪先輩のほうから口を開くのを待った。
「紘一は、サラブレッドなんだよ」
ようやく口にした凪先輩の言葉は、それがどういうことをあらわすのか、わたしには、すぐにはわからなかった。
首をかしげたわたしへ、凪先輩は続けた。
「心が読める能力を一族の長男が先祖代々継いでいて、彼はその直系にあたる。苗字の『左部』は、人の心が読めるという『覚』という伝説の妖怪からきているそうだ。ぼくも苦労したクチだが、皆の期待を背負うということに対して彼はその比ではない」
そこまで口にした凪先輩は、わたしのほうを向いて、なんとも言えない困ったような表情を見せた。
「きみは素直な性格だ。それ自体は良いことなのだが、あまり他人を信用するな。そういう意味では、好き嫌いがはっきりしていて態度にもでている留城也のほうが、わかりやすく扱いやすいだろうな」
「――それって、結局わたしは、どうすればいいんですか?」
わたしは聞き返す。
凪先輩はようやく、いつもの真面目な表情になって、わたしに言った。
「ここで聞いたことは忘れろ。気にするな。きみの単独行動をとめるために話したが、中途半端に思いだすと、紘一に考えを読まれることになる」
だったら、こんな話で釘を刺さないで欲しい。
遠回しな理由を言わずに、勝手な行動をとるなって言い方だけにしてくれなきゃ!
そうじゃないと、絶対わたしは紘一先輩の前で、この会話を頭の中に思い浮かべちゃう気がするじゃない?
「まったく。このチームは癖のあるメンバーばかり集まる」
そうつぶやきながらこちらを流し見た凪先輩へ向かって、わたしは思いっきり心の中で叫んだ。
それは凪先輩も一緒ですから!
いつものような、わたしをからかうための、もったいぶった雰囲気ではない。
「そんな風に言われたら、もっと気になりますけど!」
「ああ、そうだな」
わたしは上目づかいになって不満そうに言うと、凪先輩は、そのまま黙りこんだ。
どう口にするべきか、迷っているというような表情だ。
なにかしら話してくれる気配がするため、わたしは歩きながら、凪先輩のほうから口を開くのを待った。
「紘一は、サラブレッドなんだよ」
ようやく口にした凪先輩の言葉は、それがどういうことをあらわすのか、わたしには、すぐにはわからなかった。
首をかしげたわたしへ、凪先輩は続けた。
「心が読める能力を一族の長男が先祖代々継いでいて、彼はその直系にあたる。苗字の『左部』は、人の心が読めるという『覚』という伝説の妖怪からきているそうだ。ぼくも苦労したクチだが、皆の期待を背負うということに対して彼はその比ではない」
そこまで口にした凪先輩は、わたしのほうを向いて、なんとも言えない困ったような表情を見せた。
「きみは素直な性格だ。それ自体は良いことなのだが、あまり他人を信用するな。そういう意味では、好き嫌いがはっきりしていて態度にもでている留城也のほうが、わかりやすく扱いやすいだろうな」
「――それって、結局わたしは、どうすればいいんですか?」
わたしは聞き返す。
凪先輩はようやく、いつもの真面目な表情になって、わたしに言った。
「ここで聞いたことは忘れろ。気にするな。きみの単独行動をとめるために話したが、中途半端に思いだすと、紘一に考えを読まれることになる」
だったら、こんな話で釘を刺さないで欲しい。
遠回しな理由を言わずに、勝手な行動をとるなって言い方だけにしてくれなきゃ!
そうじゃないと、絶対わたしは紘一先輩の前で、この会話を頭の中に思い浮かべちゃう気がするじゃない?
「まったく。このチームは癖のあるメンバーばかり集まる」
そうつぶやきながらこちらを流し見た凪先輩へ向かって、わたしは思いっきり心の中で叫んだ。
それは凪先輩も一緒ですから!
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる