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第9話
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第 0.5章
「運命に抗う物語が昔から好きで、無駄な作業の繰り返しにもかかわらず、そのために闘う精神はかけがえのないものだと思う。」
「やだ。読み上げないで」
「岩を押して坂を登り続ける。終点に達したら、岩はすぐにも坂の下まで転がり落ち、その岩をふたたび頂上まで押し上げなければならなかった。」
「まあいい、読んでいいわ。」
「明るい春の日の夕暮れ近く、バラ色の小さな雲が澄み切った空に高く垂れこめ、出征する父親に別れを告げていた。」
「読んでくれてありがとう…気が整ったわ」
「本家にこの魔王城へ手を出させる気持ちはちっともないわよ。お引き取りしなさい。」
「この学校を受けた理由は学費…いえ、貴校の建学理念に…」
「プップー」
いつの間にか少女が道の真ん中に自転車を漕ぎています。後ろに行動機械があって、少女にクラクションが鳴らされました。
昼過ぎに、駅舎が見えてきました。
「本屋は世の中で最も景色の悪い場所だわ」
第 1章
レグヴァンさんがル・デスフォージに入ろうとした姿は少女に見られました。
「悪魔的な才能を持った人が…」
レグヴァンさんが少女を避けようとしていました。
「初めての方はこんにちは。そうでない方は初めまして。悪魔だわ。それに魔王だわ。」
「翼と苗字さえ変わったら一般人のくせに…」
「心の友と思ったのに、間違ったわ…」
「あたい、魔王姫の都合のいい友じゃねーつーの」
「この世界、誰でも簡単には触れることができるし、存在すると結論づけることができるのだろう。私は自分の人生の意味を魔王の末裔に託していたが、またしても自分自身の浅はかさを痛感したわ。」
「バカね…大切なのは血統だよ」
「魔王の血統であっても、生活は平常通りじゃないかしら?魔王でも、ラ・シテの議会の連中でも、空の真上に向かって走る汽車を生み出せないわ」
「裏を返せば、もし世界が不条理であるべきなら、このようなことはすべて世界の常識ということになるだろう。心配していることに問う気持ちがないけど、希望を持てよ。心から希望の存在を認めれば、何でもできるわ」
「希望… 」
「"希望 "という無限の力を秘めた言葉は、この狂しさと有限の世間に響き渡れるの。人生に意味を与え、そして裏切ってあげていいわ。」
「ありがとうね、モニックさん…すっきりしたわ」
「お助けキャラになってあげると言ったじゃないかしら?」
「それはそれで…でも、モニックさんの言ったこと、結局受け売りじゃなくない?それ、読み終わって古本として売るつもりかしら」
少女がレグヴァンさんの持っている本を指します。タイトルに「岩の神話 Le Mythe de le rocher」が書いてあります。
「それは…」
「それに、その無駄かねがかからなかったらよかったわ。大学側の図書室にあったよ。貸し出しもできるの」
「とにかく!助けられたんじゃない!って感じでぜぇーーんぜん嬉しくもなんともないんだから!」
第 1.5章
「パパ、この下の行の一元二次方程式をまた解けないだけど、教えなさいよ」
「生意気だな。ため口をきくことをいつ教えたっけ?」
「娘なんだから、助けてくれるのは当然だろう?このままだと、私はもう勉強しないよ。怒ったから」
「サラ、脅しても無駄だ。」
少女がエンリさんの事務所に入ります。
「サラちゃんが黙ったほうがいいわ。 お父さんがどれだけ怒っているか見てごらん?」
「読書専門家になりたくないし、いい高校には行きたくないし、自分の自由を少しも持ちたいのよ。 ユージェ姉ちゃん、私、すごくつらいと感じるよ。」
サラちゃんは口を尖らせながら、少女に飛びかかったり抱きついたり、涙がこぼれるのを抑えようとしました。
「中学校の知識を把握しないと、将来はもっと辛くなるわよ」
少女がサラちゃんに説教しました。
「どうして私の将来を決めるのに、私の自分の考えを聞いてくれないの?将来に必要ないことを学びたくもないし…」
「バカみたいなことをし続けて、後で一人で後悔してもしょうもないわ。まるで後悔が効くかのようにね。」
突然、少女が高い声でサラさんの言い訳に割って入りました。
「ユージェ姉ちゃんの言うことを聞くのが一番だよ。」
エンリさんが笑ってサラさんに言います。
第 2章
「どうしてここに来た?」
エンリさんの質問に、少女が即答しました。
「明日の憲兵のストライキ、そのチャンスを利用したいわ」
「明日、エライことになるかもね。そのおかけで、このバカ娘の宿題を指導しくてはならなくなったな」
「法律専門家のアドバイスが欲しいわ…私も、連邦憲法第▶▶条第◐項…に守られているのかしら?」
「医師が自分のために処方することはめったにないし、聖職者が常に神の教えに従って行動することもない。弁護士も自分の利益を守るために法律に頼ることを恐れているんだ。法律というのは鋭いナイフのように、上手く扱わなかったら、自分に傷付けてしまう。」
「安易に憲法を使うことができないとわかっているわ…けど、本家…税務署に勝つ手段はもう思い出せないの…」
「これはあなたの人生における大きな瞬間だ。一生忘れられない思い出になるだろう。友人と盛り上げる話題だけのことではないのよ。後で思い浮かべたときに、いつ思い浮かべても口元に笑みが浮かぶのであれば、すればいい。もしそうと思わないなら、あるいはあまり自信を持たないなら、諦めていい。まだ余裕がたっぷりあるからだ。」
「そう…かも」
「猫は自分のマットの上に座っている、物語はそんなでは始まらない。猫は犬のマットの上に座っている、それが物語の始まり方だ。」
「一元二次方程式の部分もうできた?すぐにチャックするよ」
「ぇ!これは宿題じゃなく、猫のマットだ」
「猫のマットにも借りたいわ」
「また出た!変な連邦語。新編ユージェ姉ちゃん辞書にも出版したい?」
「人のことをわらうなよ!自分の方程式を先に解けなさいよ!」
第 3章
少女がある建物の3階の外に飛んでいます。
「ジョニーだよーhere's johnny」
「うわわわわわわわああー…なんだ、翼の魔族の子か、ロッテってやつがいないじゃ勝てないなあ、よし、入っていいわよ」
女の子が少女のために窓を開けました。
「お邪魔します-」
「魔族のくせに…魔族は粗末にしてもいい。」
「傲慢は他人があなたを愛することを妨げ、偏見はあなたが他人を愛することを妨げる。」
「ちょっと、言い過ぎましたの。」
「単刀直入に言うわ。明日、お顔が欲しいわ」
「何のメリットもないのに」
「姫様のこと、知っているよ。シルドウィグスボーグから逃げてきただろう?私たちを沈むへと導くチカラが、実は私たちを蘇るへとも導くということを、誰も信じないだろう。お互いを理解し、その理解から、私たち全員を鼓舞するような強い闘いが生まれるだろう。…想像力はパワーだ。L'imagination prend le pouvoir」
「…何だ、この気持は?」
女の子が動揺しました。
少女がポケットから一枚の紙を出して読み始めました。
「Solsorte er som regel godt tilfreds med at sidde på hustage og synge. クロウタドリは屋根の上に座って鳴くのが好きだ。Men det uanset hvor højt en fugl kan flyve, er den stadig nødt til at lede efter mad på jorden. しかし、鳥はどんなに高く飛んでも、地上で餌を探さなければならない。…」
「もういい…中途半端なシルドウィグスボーグ語で耳が痛いわ…狡猾な奴でしたの。よかろう…私の母語まで説得してくる理屈っぽいやつに、所詮勝てないわ」
「やったわ。他の切り札も考えたけど…応じてくれて嬉しい限りだわ」
「この恩は貸したら返すもんだと思った方がいいわな~!」」
「そこは近接未来形le futur procheでしょ?」
第 4章
下ブルティーノは落ち着いた旧市街で、人々の生活や心のリズムはラングラード川の流れのようにゆったりとしています。温かく、慈愛に満ちた土地であります。この土地に住む人々は平凡な娯楽や、まだ我慢できる退屈なことに慣れてしまったことを、楽しさと呼びます。社会的地位から怠けったり、現状に絶望的に安住している人がたくさんいるからです。5月16日の朝、100人の憲兵隊がゴードロー=レ・オーブレでデモを行った時、多くの学生が不意にやってくる短い休暇を楽しんでいました。翼の生えた一人の高校生が、初めて革命運動を起こしました。古い非合理的な支配秩序を打ち破り、自分たちの時代にふさわしい新しい秩序、構造を打ち立てようと、自らの力で挑戦する者が数十年現れませんでした。
少女がジャン・ジョレ広場にある騎兵の銅像の上に立ちました。
「ブルティーノ人は自分たちの利益がどこにあるのかがわからないのであれば、それは残念なことだ。」
広場まばらであって、少女の友人以外にまれに数人が近寄ってきます。
「サン=エティエンヌの誰もが私を怪物のように見ていた。しばらくは惨めな気持ちで、世界は奇妙で恐ろしい場所だと感じた。しかし…」
どんどん人が集めてきました。
「正統性を求める闘いにおいて、間違ったアプローチをとらないようにしよう。 自由への欲望を満たすために、敵意と憎悪の杯を飲むのはやめよう。」
荷車を持った商人たちも集まってきました。
「魔族と人間よ、我々は自由の名の下に団結する! 新しい公正な世界のために戦う!」
ジャン・ジョレ広場は感動し、面白がり、好奇心を抱き、その状況を見守る多くの人々にとって一時的にホットスポットとなりました。実に素晴らしい光景でした。
「シンメイさんどいて、降りるわよ」
少女が銅像から降りようとしましたが、バランスが崩れて、うつ伏せになりました。
「ヤオマーホーイー腰马合一かよ」
「ヤオマー?面白い言葉だ。メイっち、もっと教えて」
「マシュー、右手をピンと張って、掌を下に向けた敬礼をやめてもらえるかしら?」
「グラン、この子すごいでしょ?」
「絶品な本だね。いくら?へぇー、高いよ、もっと安かったら、あたし買うよ」
「新品のコーヒーはいかがでしょうか?へぇー、ジェニーちゃんの演説、もう終わったね」
だが理性はやがて、かつてのロマンチックな熱狂に取って代わるのでしょう。
第 5章
「ブルティーノはブルティーノ人のブルティーノだ」
熱狂に落ちいた人たち、多くの人が学生で、通りに繰り出し、いつの間にか統一されたスローガンを叫び、人々に語りかけました。
「パンッ パンッ」
シュートでしたが、発砲のように聞こえます。銃弾が少女の翼にギリギリですれ違って、ミローの魔法によって止められました。
多くの人が散らすように逃げましたが、一部の人が少女たちを囲もうとします。
「魔王様の仰る通り」
「緊急退散だ!みなさんは身の安全を確保してください!」
少女がそばの人を払って、銃弾の行く方向に走りました。
「憲兵のお姉ちゃん、大丈夫ですか?」
「ここは危ないよ、魔王…お嬢さん」
「私、そんな事態になると思わなかったのに…」
「ううん、お嬢さんが悪くないよ。ラ・シテの軍隊が派遣してくると誰も知る機会がないじゃない?」
「魔王の末裔だから、何でも自分の力で終わらせると思った…」
少女が泣き始めましたが、泣き声が人のどよめくに沈んでしまいした。
ジャン・ジョレ広場は大混雑になってきました。新しく入ってきた市民たちは武器を持ってきて、学生らに配りました。民兵と呼んでいいくらいの武器を持つ人も多くなりました。人々は軍隊の行動機械を揺すり、中の慌てた兵士を追い出しました。ボーフィルさんは私服姿で礼儀正しい長者のような顔で、「私にやらせて、兵士を解放するよ」と言いました。
「カオスChienlitだね」
「その銃、使える?自分に傷付けやしないね」
「大丈夫だ。メイっちの体術と合わせて、ヘイバイシャンサー黑白双煞になるぞ」
「心が残忍で手口があくどいな人じゃないもん」
「下手なトランペット・ソロに過ぎない。」
ラ・シテの評論家のコメントでした。
「電車もバスもなくなった。路上には油まみれの紙くずやゴミが散乱している。」
数日後の新聞に連続した記事が載せています。
「矛盾は確かに存在している。これ、今回の学生運動は希望の箱だ。学生たちは、この頼りない連合が彼らの望みに従うことがないにせよ、デモの隊列が膨れ上がるのを見て喜んだ。
彼らは、自分たちがブルティーノを少しでも変えると信じていた。しかし、ラ・シテの連邦政府に既得権益を持つ人を除けば、ほとんどの人は楽しくてあり、この革命はこの春、人々に与えられた大型連休のようなものだ。」
「県外への電話線が修復されたあと、学生運動は心を失った。大学にはいつも仕事のない大学生があふれているが、人生はとどまることなく続くものだ。結果的に、ラ・シテからブルティーノに対する態度の変化から見ると、5月16日に始まった学生運動は大成功だった。本来の日常に戻ったとしても、この教訓は明確で、時代の混沌を物語っている。この数日間は、ブルティーノの人々の記憶に永遠に深く残るだろう。」
ブルティーノを研究するある歴史学者が書いた本に載せています。
第 6章
ひっくり返された世界では、真実は偽りの一瞬にすぎない。
「旧サン=エティエンヌ=ブルティノー自治領の慣習法では、貴族を撃ったことは重罪だよ…この数日に黙ったまま、衛兵隊が何とかしてくれるとも思った?あいつらはもうラ・シテに戻ったよ」
ゴードロー=レ・オーブレ署の取調室に、ミノさんが女の人を取り調べています。
「生まれたときに捨てられて、15歳の誕生日まで孤児院で育ち、学校にも行かなかった。名前も孤児院の院長から付けられた。」
「16歳のとき初めて働きに出て、最初の仕事はスラム街にある工場で牛乳瓶の洗浄をやるだった。旦那さんは私をいじめしやすい子だと思って給料をくれなかったが、食事と宿をくれた彼に感謝していた。」
「最初に軍に入りたいと思ったのは、18歳のときにポスターを見たときだった。それ以来、人が捨てた新聞紙を拾って、文字を習いた。捨てたら惜しいからたくさん取っておいた。万年筆を買う余裕がなかったから、炭の燃えかすを使った。」
「オイルランプを灯す余裕がないから、晴れた夜には公園の一角を見つけて月と星をあかりとして、雨の日には劇場のライトを借りて下水道の隣にこもる。」
「衛兵隊の筆記試験に合格した日、私は身だしなみを整え、なかなか入ろうとしないカフェでレタスと卵のサンドイッチを食べた。健康診断の日で、私と同年代の人たちや彼らの家族も周りにいて、彼らのことを心配してくれていたのに、私は急に涙が出た。私を心配してくれた人はかいないから。一回でも欲しい、一回でも…」
「順番が回ってきたとき、すぐに涙を拭った。心の弱い人は衛兵隊にいられないから。」
「その日、私は公職者であり、町の平和を守らないといけないから。隊長に重大な使命が与えられたから…」
第 7章
数日後のTchi Hauに、シンメイさんとシアナさんが課題をしています。
「閉じた系では、どのような過程でも魔力量の合計値を一定に保つか加えることができるであろう。」
「そうだけど…」
「そこで、もしも魔力が吸い込まれるアナがあって、全ての魔力はそのアナから逃れることはできない。すべての情報は視野の外からは知覚できないなら、それは何だと思う?」
「なんだろうね…魔力の壺?」
「正解だけど嫌だ。ぜんぜん格好良くない。ブラックホールとかと名付けたらどうだ?」
「格好より理解しやすさが大事じゃない?…ごめん、お客さん、臨時休業ですけど…ユージェ姫?」
「悪いけど、シンメイさん、数学の課題、貸してもらえるかしら?明日は再登校だけと、もう終わらないわ」
「1位に課題がパクリされて情けないわ…それより、目の下のクマ、ひどくない?」
「メイっち、大人のことが分かっていないのね。」
「あ、シアナさん、先日もありがとう」
「シアナ・グネルのシノワ料理以外何でも屋はリピーター多数だ」
「シノワ料理屋で居候するなら1つくらいレシピを覚えなさいよ」
シンメイさんが課題を置いて、エプロンを取ろうとしています。
「ユージェ姫、お腹空いた?パスタでも茹でてあげるよ」
「シュウマイパスタ!」
「シアナの分がないわ。食べたいなら自分で開発しなさい」
「いいえ、結構だわ。これからミローさんを訪ねて行くの」
「ミローって?」
「銃撃を止めた民兵だわ。あのとき彼女が魔法を使ったけど、憲兵の古いルールでは魔女が務められないらしいわ。シアナさんのおじさんも通じてようやって憲兵の偉い方を説得しかけているの」
「さすが魔王の末裔だ。市長と地区長の連名を集めるチカラでここまで迫力があるんだ」
「連名は出していないわ」
第 8章
「法の第一の属性は“義務”であり、つまり命令だわ。人々が犯罪を控えるのは、道徳的な要因もあるが、法的制裁を恐れてのことでもある。」
シアナさんが左手を上げて言います:
「朕は法律なりLe droit, c'est moi」
「要するに、民兵として魔法を使ったが、やむ得ないときの緊急避難ってことと、市民を守る結果が違法性を阻却している。」
「それに、魔女が憲兵になれないことは“法”か“習わし”か、公にしないことが多かった。憲兵の透明性が問われると思うのね」
「強いわね…魔王姫…あたいが思っている以上に…」
レグヴァンさんが少女の後ろに現れました。
「モニックさん?どうしてここに?」
「これから何度も、あなたと言葉を交わすことがあるんだから」
「臨時休業…」
「モニック先生が私の恩師だわ」
「バカね…大切なのはその知識を誰に聞いたかじゃなく、どこでそれを活用するか」
「先生!言うことが並べません!」
シアナさんが皆に無視されました。
「お金なんかじゃ、人の心は買えやしないけど、グルメなら話が変わるわ」
「臨時休業…ユージェ姫の友たちだから、まあ、いいよ」
「アンディーブendiveを持ってきたの、どうしたらいいと分かっているのね、シノワの女将さん?」
「シノワ料理の仕方ではその苦さを人の舌から逸らすことが処理しにくいよ」
「おはよう…アンディーブ…エンダイブのハム和えendives-au-jambon」
「いい考えだね。って、いつまでこんなに遅く起きるつもりかしら?時差ボケも常識の範囲に外れたわ」
「予期せぬ言葉や行動で、人生が変わることもあるわ。どう思う、子供のフリをしているお嬢さん?」
「この御肉は、捨てるまで捨てません」
シアナさんがレグヴァンさんお腹を万年筆でつつきました。
「死にたいかしら?」
「シアナ・グネルが死んだ。おしまいおしまい…せっかく人が集まったから、1セッションしてみない?」
「セッション禁止!『東部大陸語で』シンカンちゃん、キッチン、手伝ってくれる?」
「禁止することは禁じる!Il est interdit d'interdire !」
第 9章
「ミローなら署にいないよ。自宅待機で処分を待つ状態だから」
「そうなの?」
「ユージェちゃん、いい考えだけと、Lex retro non agit法律は遡及適用されない。という概念は学んだ?」
「準備したものが使えない…悲しさと嬉しさが混在するわ」
「ミローは署の人にとっては万緑叢中紅一点だ。署の中にもかなり揉めているよ。頭が古いじじは少数派だけと、脅威が半端ないって、いずれにせよ、彼も妥協するだろう」
「どうやってするの?」
「要するに、non-coopération非協力だ」
「とても純粋な戦術だわ。」
「あ、そういえば、見てほしいものがあるよ。ユージェちゃんを撃ったやつの事件記録だ。慣習法からしたら、貴族はまだ平民の生殺の権を握っているよ。」
「慣習の意義で貴族だから接近してくれたの?私から見たら、憲兵ってまともな組織に見えないわ」
「一部の人にとって、ただ続けるだけの仕事だ。関与しないとしても、憲兵側は勝手に動いて、傷害事件と処理し、この子を監獄に送ってしまう。この子を引き取って、ある500歳の吸血鬼のように、屋敷にメイドを置いたらどう?」
「人に晒す悪趣味がないけれと、一応言って置くわ。奴隷制度を反対するの。それにカラステングだもの」
「念写をする程度の能力があるか?」
「なんだそれ?心が紙の女神像にも取り込まれたかしら?…けど、情報ありがとう。」
少女が事件記録のファイルを受け取りました。
「考え直したら来ていいよ。今日いっぱい文書管理をするから署を出ない」
「傷ついたことがなかったように愛し続けたい。誰も見ていなくても踊り続けたい。」
上流階級の知識人はいつも雄弁に語るが、農民と一緒に土地に入ったことはまったくなく、空虚な話をするだけです。少女はあまりにも愚かで、自分がいかに哀れなやつであるかを自覚していませんでした。一瞬で、少女が女の人の達観さがうらやましくなりました。初めて具体的な人間の救い主になりたい気持ちが生まれました。
「権力はビーチにつながる。Dessous le pouvoir c'est la plage」
少女が微笑んでミノさんのデスクに向かいました。
幕間5-1
神様にかじられたリンゴのように、誰にでも欠点はあります。神様がその香りを特に好みのあるからこそ、より欠点の多い者もいます。
峰室のある団地の一室で、女の子が家に帰ります。
「清めよ!Joroydelas」
玄関に入ったら、女の子とそっくりのもう一人の女の子が、箸より太くて黒い棒を持って変な言葉を繰り返しています。
「ばかばか!Riditerlig」
女の子が自分のそっくりさんに棒を指されました。
自分が有線テレビを契約しないが、女の子が一瞬、町のレストランで有線テレビでよく見かける戊蔵特別市のドッキリ番組でもこの僻地まで来ると思いました。
「忘却の魔法が効かない?あれ?今日学んだばっかりなのに…」
「それ、魔法かしら?そんなに簡単で魔法が使えるのなら、極東の研究所の連中はみんな失業して、朝張あさばりの鉱場で働きされたわ」
ついにツッコミをしてしまった女の子が、自分のそっくりさんが着た制服に “五月原”の名札が縫われています。
「私もサツキガワラだわ。親戚といっても珍客だもの。峰室まで訪ねて来たら、先に手紙と電話をくれたらいいのに」
「峰室?長野崎じゃないのか?」
女の子がすでに他界した萩内はぎうち教授が提出した他世界干渉仮説を思い出しました。
先に別の研究の職で採用されなかったら、興味深い萩内教授の研究を引き継ぐのでしょう。
「ねぇ、これからいう事は信じがたいかもしれないけど…」
幕間5-2
「事情は大体理解してきたけど」
女の子のそっくりさんが一冊の図画書を拾い上げます。表紙に “稲幸山最速伝説”が書いてあります。
「僕の世界ではこんなの禁書を持っていたら再教育収容所に収容されてしまうけど…この面から見たら…」
「気分転換で歩道で拾った空っぽマッチ箱から古市で物々交換をしたら、連環図画書をもらったことと言ったら、信じてくれるかしら?」
「その…他世界干渉仮説?ってことも信じてしまった僕にとって、不可能なことも可能性が無限だぞ」
「可能性を起こりやすさに差異が認められない全ての場合の数に対する、期待していた事象の場合と定義したら0から1じゃなくない?」
「静かにtyschoiam」
「オッボジュモイ!【О боже мой!】未だにその呪術が効いていると思ってるかしら?これならどうだ?一つの呪文を教えてあげよう。人に寝させる呪文だわ。寝ろ、バリネズミも寝ろ、ネズミも寝ろ…♪Спят, спят ежата, спят мышата,」
「バカにしないで。曲調の聞こえる呪文はどこに存在するかよ」
「ノイズの化け物と戦う時に使うかもね」
女の子に失望した女の子のそっくりさんが図画書をぺらぺらとめくります。
「ばかばかしい…まって、稲幸山に行ったら…」
「私たちの世界で共通している教育はこれくらいかしら…ちょっと試算させて」
「この科目の学科委員だぞ」
しばらくすると、女の子がフーッと一息吐きました。
「成功する確率は45.82%、小数点以降2桁まで保留する結果は説得力が高いらしいけど…どうでもいいわ」
「僕は気にしない!どこでもここよりいいんだ」
「失敗したらどうなるの?アップルパイになって虚無の空間に5億年過ごすことか、ねこみみも生えて“おかえりご主人様”ばかり言う人形になってしまうか、誰も保証付けてくれないわよ」
「僕たちのパワーは能力によって決まるのではなく、僕たちの選択によって決まる。」
「タ?Так? もうライ麦パン【ржаной хлеб】であんたの口を封印したい気持ちが収まらないわ…あと2日で配給券がくるけど…」
「残りの人生を峰室で過ごしたいのか、それとも世界を変えるチャンスが欲しいのか。」
「こんなにしつこいなら、あんたを追い出して、23度の夜風と添い寝することでもさせるわよ」
「こんな早く夕暮れで23度?セルシウス度?」
「ファーレンエイ度だよ」
女の子が唖然としたそっくりさんから黒い棒を奪いました。
「いい棒だ。まだ余熱があるね。これで焼き芋を作ろう」
「加熱魔法の授業だったから…僕の魔法の杖が…」
「余計な魔法だね。…ちょっと、お湯を沸かす火力がそんなにいらないわよ。私の燃料配給券が予定より早く使い終わってしまったら、責任を取ってくれるかしら?」
「運命に抗う物語が昔から好きで、無駄な作業の繰り返しにもかかわらず、そのために闘う精神はかけがえのないものだと思う。」
「やだ。読み上げないで」
「岩を押して坂を登り続ける。終点に達したら、岩はすぐにも坂の下まで転がり落ち、その岩をふたたび頂上まで押し上げなければならなかった。」
「まあいい、読んでいいわ。」
「明るい春の日の夕暮れ近く、バラ色の小さな雲が澄み切った空に高く垂れこめ、出征する父親に別れを告げていた。」
「読んでくれてありがとう…気が整ったわ」
「本家にこの魔王城へ手を出させる気持ちはちっともないわよ。お引き取りしなさい。」
「この学校を受けた理由は学費…いえ、貴校の建学理念に…」
「プップー」
いつの間にか少女が道の真ん中に自転車を漕ぎています。後ろに行動機械があって、少女にクラクションが鳴らされました。
昼過ぎに、駅舎が見えてきました。
「本屋は世の中で最も景色の悪い場所だわ」
第 1章
レグヴァンさんがル・デスフォージに入ろうとした姿は少女に見られました。
「悪魔的な才能を持った人が…」
レグヴァンさんが少女を避けようとしていました。
「初めての方はこんにちは。そうでない方は初めまして。悪魔だわ。それに魔王だわ。」
「翼と苗字さえ変わったら一般人のくせに…」
「心の友と思ったのに、間違ったわ…」
「あたい、魔王姫の都合のいい友じゃねーつーの」
「この世界、誰でも簡単には触れることができるし、存在すると結論づけることができるのだろう。私は自分の人生の意味を魔王の末裔に託していたが、またしても自分自身の浅はかさを痛感したわ。」
「バカね…大切なのは血統だよ」
「魔王の血統であっても、生活は平常通りじゃないかしら?魔王でも、ラ・シテの議会の連中でも、空の真上に向かって走る汽車を生み出せないわ」
「裏を返せば、もし世界が不条理であるべきなら、このようなことはすべて世界の常識ということになるだろう。心配していることに問う気持ちがないけど、希望を持てよ。心から希望の存在を認めれば、何でもできるわ」
「希望… 」
「"希望 "という無限の力を秘めた言葉は、この狂しさと有限の世間に響き渡れるの。人生に意味を与え、そして裏切ってあげていいわ。」
「ありがとうね、モニックさん…すっきりしたわ」
「お助けキャラになってあげると言ったじゃないかしら?」
「それはそれで…でも、モニックさんの言ったこと、結局受け売りじゃなくない?それ、読み終わって古本として売るつもりかしら」
少女がレグヴァンさんの持っている本を指します。タイトルに「岩の神話 Le Mythe de le rocher」が書いてあります。
「それは…」
「それに、その無駄かねがかからなかったらよかったわ。大学側の図書室にあったよ。貸し出しもできるの」
「とにかく!助けられたんじゃない!って感じでぜぇーーんぜん嬉しくもなんともないんだから!」
第 1.5章
「パパ、この下の行の一元二次方程式をまた解けないだけど、教えなさいよ」
「生意気だな。ため口をきくことをいつ教えたっけ?」
「娘なんだから、助けてくれるのは当然だろう?このままだと、私はもう勉強しないよ。怒ったから」
「サラ、脅しても無駄だ。」
少女がエンリさんの事務所に入ります。
「サラちゃんが黙ったほうがいいわ。 お父さんがどれだけ怒っているか見てごらん?」
「読書専門家になりたくないし、いい高校には行きたくないし、自分の自由を少しも持ちたいのよ。 ユージェ姉ちゃん、私、すごくつらいと感じるよ。」
サラちゃんは口を尖らせながら、少女に飛びかかったり抱きついたり、涙がこぼれるのを抑えようとしました。
「中学校の知識を把握しないと、将来はもっと辛くなるわよ」
少女がサラちゃんに説教しました。
「どうして私の将来を決めるのに、私の自分の考えを聞いてくれないの?将来に必要ないことを学びたくもないし…」
「バカみたいなことをし続けて、後で一人で後悔してもしょうもないわ。まるで後悔が効くかのようにね。」
突然、少女が高い声でサラさんの言い訳に割って入りました。
「ユージェ姉ちゃんの言うことを聞くのが一番だよ。」
エンリさんが笑ってサラさんに言います。
第 2章
「どうしてここに来た?」
エンリさんの質問に、少女が即答しました。
「明日の憲兵のストライキ、そのチャンスを利用したいわ」
「明日、エライことになるかもね。そのおかけで、このバカ娘の宿題を指導しくてはならなくなったな」
「法律専門家のアドバイスが欲しいわ…私も、連邦憲法第▶▶条第◐項…に守られているのかしら?」
「医師が自分のために処方することはめったにないし、聖職者が常に神の教えに従って行動することもない。弁護士も自分の利益を守るために法律に頼ることを恐れているんだ。法律というのは鋭いナイフのように、上手く扱わなかったら、自分に傷付けてしまう。」
「安易に憲法を使うことができないとわかっているわ…けど、本家…税務署に勝つ手段はもう思い出せないの…」
「これはあなたの人生における大きな瞬間だ。一生忘れられない思い出になるだろう。友人と盛り上げる話題だけのことではないのよ。後で思い浮かべたときに、いつ思い浮かべても口元に笑みが浮かぶのであれば、すればいい。もしそうと思わないなら、あるいはあまり自信を持たないなら、諦めていい。まだ余裕がたっぷりあるからだ。」
「そう…かも」
「猫は自分のマットの上に座っている、物語はそんなでは始まらない。猫は犬のマットの上に座っている、それが物語の始まり方だ。」
「一元二次方程式の部分もうできた?すぐにチャックするよ」
「ぇ!これは宿題じゃなく、猫のマットだ」
「猫のマットにも借りたいわ」
「また出た!変な連邦語。新編ユージェ姉ちゃん辞書にも出版したい?」
「人のことをわらうなよ!自分の方程式を先に解けなさいよ!」
第 3章
少女がある建物の3階の外に飛んでいます。
「ジョニーだよーhere's johnny」
「うわわわわわわわああー…なんだ、翼の魔族の子か、ロッテってやつがいないじゃ勝てないなあ、よし、入っていいわよ」
女の子が少女のために窓を開けました。
「お邪魔します-」
「魔族のくせに…魔族は粗末にしてもいい。」
「傲慢は他人があなたを愛することを妨げ、偏見はあなたが他人を愛することを妨げる。」
「ちょっと、言い過ぎましたの。」
「単刀直入に言うわ。明日、お顔が欲しいわ」
「何のメリットもないのに」
「姫様のこと、知っているよ。シルドウィグスボーグから逃げてきただろう?私たちを沈むへと導くチカラが、実は私たちを蘇るへとも導くということを、誰も信じないだろう。お互いを理解し、その理解から、私たち全員を鼓舞するような強い闘いが生まれるだろう。…想像力はパワーだ。L'imagination prend le pouvoir」
「…何だ、この気持は?」
女の子が動揺しました。
少女がポケットから一枚の紙を出して読み始めました。
「Solsorte er som regel godt tilfreds med at sidde på hustage og synge. クロウタドリは屋根の上に座って鳴くのが好きだ。Men det uanset hvor højt en fugl kan flyve, er den stadig nødt til at lede efter mad på jorden. しかし、鳥はどんなに高く飛んでも、地上で餌を探さなければならない。…」
「もういい…中途半端なシルドウィグスボーグ語で耳が痛いわ…狡猾な奴でしたの。よかろう…私の母語まで説得してくる理屈っぽいやつに、所詮勝てないわ」
「やったわ。他の切り札も考えたけど…応じてくれて嬉しい限りだわ」
「この恩は貸したら返すもんだと思った方がいいわな~!」」
「そこは近接未来形le futur procheでしょ?」
第 4章
下ブルティーノは落ち着いた旧市街で、人々の生活や心のリズムはラングラード川の流れのようにゆったりとしています。温かく、慈愛に満ちた土地であります。この土地に住む人々は平凡な娯楽や、まだ我慢できる退屈なことに慣れてしまったことを、楽しさと呼びます。社会的地位から怠けったり、現状に絶望的に安住している人がたくさんいるからです。5月16日の朝、100人の憲兵隊がゴードロー=レ・オーブレでデモを行った時、多くの学生が不意にやってくる短い休暇を楽しんでいました。翼の生えた一人の高校生が、初めて革命運動を起こしました。古い非合理的な支配秩序を打ち破り、自分たちの時代にふさわしい新しい秩序、構造を打ち立てようと、自らの力で挑戦する者が数十年現れませんでした。
少女がジャン・ジョレ広場にある騎兵の銅像の上に立ちました。
「ブルティーノ人は自分たちの利益がどこにあるのかがわからないのであれば、それは残念なことだ。」
広場まばらであって、少女の友人以外にまれに数人が近寄ってきます。
「サン=エティエンヌの誰もが私を怪物のように見ていた。しばらくは惨めな気持ちで、世界は奇妙で恐ろしい場所だと感じた。しかし…」
どんどん人が集めてきました。
「正統性を求める闘いにおいて、間違ったアプローチをとらないようにしよう。 自由への欲望を満たすために、敵意と憎悪の杯を飲むのはやめよう。」
荷車を持った商人たちも集まってきました。
「魔族と人間よ、我々は自由の名の下に団結する! 新しい公正な世界のために戦う!」
ジャン・ジョレ広場は感動し、面白がり、好奇心を抱き、その状況を見守る多くの人々にとって一時的にホットスポットとなりました。実に素晴らしい光景でした。
「シンメイさんどいて、降りるわよ」
少女が銅像から降りようとしましたが、バランスが崩れて、うつ伏せになりました。
「ヤオマーホーイー腰马合一かよ」
「ヤオマー?面白い言葉だ。メイっち、もっと教えて」
「マシュー、右手をピンと張って、掌を下に向けた敬礼をやめてもらえるかしら?」
「グラン、この子すごいでしょ?」
「絶品な本だね。いくら?へぇー、高いよ、もっと安かったら、あたし買うよ」
「新品のコーヒーはいかがでしょうか?へぇー、ジェニーちゃんの演説、もう終わったね」
だが理性はやがて、かつてのロマンチックな熱狂に取って代わるのでしょう。
第 5章
「ブルティーノはブルティーノ人のブルティーノだ」
熱狂に落ちいた人たち、多くの人が学生で、通りに繰り出し、いつの間にか統一されたスローガンを叫び、人々に語りかけました。
「パンッ パンッ」
シュートでしたが、発砲のように聞こえます。銃弾が少女の翼にギリギリですれ違って、ミローの魔法によって止められました。
多くの人が散らすように逃げましたが、一部の人が少女たちを囲もうとします。
「魔王様の仰る通り」
「緊急退散だ!みなさんは身の安全を確保してください!」
少女がそばの人を払って、銃弾の行く方向に走りました。
「憲兵のお姉ちゃん、大丈夫ですか?」
「ここは危ないよ、魔王…お嬢さん」
「私、そんな事態になると思わなかったのに…」
「ううん、お嬢さんが悪くないよ。ラ・シテの軍隊が派遣してくると誰も知る機会がないじゃない?」
「魔王の末裔だから、何でも自分の力で終わらせると思った…」
少女が泣き始めましたが、泣き声が人のどよめくに沈んでしまいした。
ジャン・ジョレ広場は大混雑になってきました。新しく入ってきた市民たちは武器を持ってきて、学生らに配りました。民兵と呼んでいいくらいの武器を持つ人も多くなりました。人々は軍隊の行動機械を揺すり、中の慌てた兵士を追い出しました。ボーフィルさんは私服姿で礼儀正しい長者のような顔で、「私にやらせて、兵士を解放するよ」と言いました。
「カオスChienlitだね」
「その銃、使える?自分に傷付けやしないね」
「大丈夫だ。メイっちの体術と合わせて、ヘイバイシャンサー黑白双煞になるぞ」
「心が残忍で手口があくどいな人じゃないもん」
「下手なトランペット・ソロに過ぎない。」
ラ・シテの評論家のコメントでした。
「電車もバスもなくなった。路上には油まみれの紙くずやゴミが散乱している。」
数日後の新聞に連続した記事が載せています。
「矛盾は確かに存在している。これ、今回の学生運動は希望の箱だ。学生たちは、この頼りない連合が彼らの望みに従うことがないにせよ、デモの隊列が膨れ上がるのを見て喜んだ。
彼らは、自分たちがブルティーノを少しでも変えると信じていた。しかし、ラ・シテの連邦政府に既得権益を持つ人を除けば、ほとんどの人は楽しくてあり、この革命はこの春、人々に与えられた大型連休のようなものだ。」
「県外への電話線が修復されたあと、学生運動は心を失った。大学にはいつも仕事のない大学生があふれているが、人生はとどまることなく続くものだ。結果的に、ラ・シテからブルティーノに対する態度の変化から見ると、5月16日に始まった学生運動は大成功だった。本来の日常に戻ったとしても、この教訓は明確で、時代の混沌を物語っている。この数日間は、ブルティーノの人々の記憶に永遠に深く残るだろう。」
ブルティーノを研究するある歴史学者が書いた本に載せています。
第 6章
ひっくり返された世界では、真実は偽りの一瞬にすぎない。
「旧サン=エティエンヌ=ブルティノー自治領の慣習法では、貴族を撃ったことは重罪だよ…この数日に黙ったまま、衛兵隊が何とかしてくれるとも思った?あいつらはもうラ・シテに戻ったよ」
ゴードロー=レ・オーブレ署の取調室に、ミノさんが女の人を取り調べています。
「生まれたときに捨てられて、15歳の誕生日まで孤児院で育ち、学校にも行かなかった。名前も孤児院の院長から付けられた。」
「16歳のとき初めて働きに出て、最初の仕事はスラム街にある工場で牛乳瓶の洗浄をやるだった。旦那さんは私をいじめしやすい子だと思って給料をくれなかったが、食事と宿をくれた彼に感謝していた。」
「最初に軍に入りたいと思ったのは、18歳のときにポスターを見たときだった。それ以来、人が捨てた新聞紙を拾って、文字を習いた。捨てたら惜しいからたくさん取っておいた。万年筆を買う余裕がなかったから、炭の燃えかすを使った。」
「オイルランプを灯す余裕がないから、晴れた夜には公園の一角を見つけて月と星をあかりとして、雨の日には劇場のライトを借りて下水道の隣にこもる。」
「衛兵隊の筆記試験に合格した日、私は身だしなみを整え、なかなか入ろうとしないカフェでレタスと卵のサンドイッチを食べた。健康診断の日で、私と同年代の人たちや彼らの家族も周りにいて、彼らのことを心配してくれていたのに、私は急に涙が出た。私を心配してくれた人はかいないから。一回でも欲しい、一回でも…」
「順番が回ってきたとき、すぐに涙を拭った。心の弱い人は衛兵隊にいられないから。」
「その日、私は公職者であり、町の平和を守らないといけないから。隊長に重大な使命が与えられたから…」
第 7章
数日後のTchi Hauに、シンメイさんとシアナさんが課題をしています。
「閉じた系では、どのような過程でも魔力量の合計値を一定に保つか加えることができるであろう。」
「そうだけど…」
「そこで、もしも魔力が吸い込まれるアナがあって、全ての魔力はそのアナから逃れることはできない。すべての情報は視野の外からは知覚できないなら、それは何だと思う?」
「なんだろうね…魔力の壺?」
「正解だけど嫌だ。ぜんぜん格好良くない。ブラックホールとかと名付けたらどうだ?」
「格好より理解しやすさが大事じゃない?…ごめん、お客さん、臨時休業ですけど…ユージェ姫?」
「悪いけど、シンメイさん、数学の課題、貸してもらえるかしら?明日は再登校だけと、もう終わらないわ」
「1位に課題がパクリされて情けないわ…それより、目の下のクマ、ひどくない?」
「メイっち、大人のことが分かっていないのね。」
「あ、シアナさん、先日もありがとう」
「シアナ・グネルのシノワ料理以外何でも屋はリピーター多数だ」
「シノワ料理屋で居候するなら1つくらいレシピを覚えなさいよ」
シンメイさんが課題を置いて、エプロンを取ろうとしています。
「ユージェ姫、お腹空いた?パスタでも茹でてあげるよ」
「シュウマイパスタ!」
「シアナの分がないわ。食べたいなら自分で開発しなさい」
「いいえ、結構だわ。これからミローさんを訪ねて行くの」
「ミローって?」
「銃撃を止めた民兵だわ。あのとき彼女が魔法を使ったけど、憲兵の古いルールでは魔女が務められないらしいわ。シアナさんのおじさんも通じてようやって憲兵の偉い方を説得しかけているの」
「さすが魔王の末裔だ。市長と地区長の連名を集めるチカラでここまで迫力があるんだ」
「連名は出していないわ」
第 8章
「法の第一の属性は“義務”であり、つまり命令だわ。人々が犯罪を控えるのは、道徳的な要因もあるが、法的制裁を恐れてのことでもある。」
シアナさんが左手を上げて言います:
「朕は法律なりLe droit, c'est moi」
「要するに、民兵として魔法を使ったが、やむ得ないときの緊急避難ってことと、市民を守る結果が違法性を阻却している。」
「それに、魔女が憲兵になれないことは“法”か“習わし”か、公にしないことが多かった。憲兵の透明性が問われると思うのね」
「強いわね…魔王姫…あたいが思っている以上に…」
レグヴァンさんが少女の後ろに現れました。
「モニックさん?どうしてここに?」
「これから何度も、あなたと言葉を交わすことがあるんだから」
「臨時休業…」
「モニック先生が私の恩師だわ」
「バカね…大切なのはその知識を誰に聞いたかじゃなく、どこでそれを活用するか」
「先生!言うことが並べません!」
シアナさんが皆に無視されました。
「お金なんかじゃ、人の心は買えやしないけど、グルメなら話が変わるわ」
「臨時休業…ユージェ姫の友たちだから、まあ、いいよ」
「アンディーブendiveを持ってきたの、どうしたらいいと分かっているのね、シノワの女将さん?」
「シノワ料理の仕方ではその苦さを人の舌から逸らすことが処理しにくいよ」
「おはよう…アンディーブ…エンダイブのハム和えendives-au-jambon」
「いい考えだね。って、いつまでこんなに遅く起きるつもりかしら?時差ボケも常識の範囲に外れたわ」
「予期せぬ言葉や行動で、人生が変わることもあるわ。どう思う、子供のフリをしているお嬢さん?」
「この御肉は、捨てるまで捨てません」
シアナさんがレグヴァンさんお腹を万年筆でつつきました。
「死にたいかしら?」
「シアナ・グネルが死んだ。おしまいおしまい…せっかく人が集まったから、1セッションしてみない?」
「セッション禁止!『東部大陸語で』シンカンちゃん、キッチン、手伝ってくれる?」
「禁止することは禁じる!Il est interdit d'interdire !」
第 9章
「ミローなら署にいないよ。自宅待機で処分を待つ状態だから」
「そうなの?」
「ユージェちゃん、いい考えだけと、Lex retro non agit法律は遡及適用されない。という概念は学んだ?」
「準備したものが使えない…悲しさと嬉しさが混在するわ」
「ミローは署の人にとっては万緑叢中紅一点だ。署の中にもかなり揉めているよ。頭が古いじじは少数派だけと、脅威が半端ないって、いずれにせよ、彼も妥協するだろう」
「どうやってするの?」
「要するに、non-coopération非協力だ」
「とても純粋な戦術だわ。」
「あ、そういえば、見てほしいものがあるよ。ユージェちゃんを撃ったやつの事件記録だ。慣習法からしたら、貴族はまだ平民の生殺の権を握っているよ。」
「慣習の意義で貴族だから接近してくれたの?私から見たら、憲兵ってまともな組織に見えないわ」
「一部の人にとって、ただ続けるだけの仕事だ。関与しないとしても、憲兵側は勝手に動いて、傷害事件と処理し、この子を監獄に送ってしまう。この子を引き取って、ある500歳の吸血鬼のように、屋敷にメイドを置いたらどう?」
「人に晒す悪趣味がないけれと、一応言って置くわ。奴隷制度を反対するの。それにカラステングだもの」
「念写をする程度の能力があるか?」
「なんだそれ?心が紙の女神像にも取り込まれたかしら?…けど、情報ありがとう。」
少女が事件記録のファイルを受け取りました。
「考え直したら来ていいよ。今日いっぱい文書管理をするから署を出ない」
「傷ついたことがなかったように愛し続けたい。誰も見ていなくても踊り続けたい。」
上流階級の知識人はいつも雄弁に語るが、農民と一緒に土地に入ったことはまったくなく、空虚な話をするだけです。少女はあまりにも愚かで、自分がいかに哀れなやつであるかを自覚していませんでした。一瞬で、少女が女の人の達観さがうらやましくなりました。初めて具体的な人間の救い主になりたい気持ちが生まれました。
「権力はビーチにつながる。Dessous le pouvoir c'est la plage」
少女が微笑んでミノさんのデスクに向かいました。
幕間5-1
神様にかじられたリンゴのように、誰にでも欠点はあります。神様がその香りを特に好みのあるからこそ、より欠点の多い者もいます。
峰室のある団地の一室で、女の子が家に帰ります。
「清めよ!Joroydelas」
玄関に入ったら、女の子とそっくりのもう一人の女の子が、箸より太くて黒い棒を持って変な言葉を繰り返しています。
「ばかばか!Riditerlig」
女の子が自分のそっくりさんに棒を指されました。
自分が有線テレビを契約しないが、女の子が一瞬、町のレストランで有線テレビでよく見かける戊蔵特別市のドッキリ番組でもこの僻地まで来ると思いました。
「忘却の魔法が効かない?あれ?今日学んだばっかりなのに…」
「それ、魔法かしら?そんなに簡単で魔法が使えるのなら、極東の研究所の連中はみんな失業して、朝張あさばりの鉱場で働きされたわ」
ついにツッコミをしてしまった女の子が、自分のそっくりさんが着た制服に “五月原”の名札が縫われています。
「私もサツキガワラだわ。親戚といっても珍客だもの。峰室まで訪ねて来たら、先に手紙と電話をくれたらいいのに」
「峰室?長野崎じゃないのか?」
女の子がすでに他界した萩内はぎうち教授が提出した他世界干渉仮説を思い出しました。
先に別の研究の職で採用されなかったら、興味深い萩内教授の研究を引き継ぐのでしょう。
「ねぇ、これからいう事は信じがたいかもしれないけど…」
幕間5-2
「事情は大体理解してきたけど」
女の子のそっくりさんが一冊の図画書を拾い上げます。表紙に “稲幸山最速伝説”が書いてあります。
「僕の世界ではこんなの禁書を持っていたら再教育収容所に収容されてしまうけど…この面から見たら…」
「気分転換で歩道で拾った空っぽマッチ箱から古市で物々交換をしたら、連環図画書をもらったことと言ったら、信じてくれるかしら?」
「その…他世界干渉仮説?ってことも信じてしまった僕にとって、不可能なことも可能性が無限だぞ」
「可能性を起こりやすさに差異が認められない全ての場合の数に対する、期待していた事象の場合と定義したら0から1じゃなくない?」
「静かにtyschoiam」
「オッボジュモイ!【О боже мой!】未だにその呪術が効いていると思ってるかしら?これならどうだ?一つの呪文を教えてあげよう。人に寝させる呪文だわ。寝ろ、バリネズミも寝ろ、ネズミも寝ろ…♪Спят, спят ежата, спят мышата,」
「バカにしないで。曲調の聞こえる呪文はどこに存在するかよ」
「ノイズの化け物と戦う時に使うかもね」
女の子に失望した女の子のそっくりさんが図画書をぺらぺらとめくります。
「ばかばかしい…まって、稲幸山に行ったら…」
「私たちの世界で共通している教育はこれくらいかしら…ちょっと試算させて」
「この科目の学科委員だぞ」
しばらくすると、女の子がフーッと一息吐きました。
「成功する確率は45.82%、小数点以降2桁まで保留する結果は説得力が高いらしいけど…どうでもいいわ」
「僕は気にしない!どこでもここよりいいんだ」
「失敗したらどうなるの?アップルパイになって虚無の空間に5億年過ごすことか、ねこみみも生えて“おかえりご主人様”ばかり言う人形になってしまうか、誰も保証付けてくれないわよ」
「僕たちのパワーは能力によって決まるのではなく、僕たちの選択によって決まる。」
「タ?Так? もうライ麦パン【ржаной хлеб】であんたの口を封印したい気持ちが収まらないわ…あと2日で配給券がくるけど…」
「残りの人生を峰室で過ごしたいのか、それとも世界を変えるチャンスが欲しいのか。」
「こんなにしつこいなら、あんたを追い出して、23度の夜風と添い寝することでもさせるわよ」
「こんな早く夕暮れで23度?セルシウス度?」
「ファーレンエイ度だよ」
女の子が唖然としたそっくりさんから黒い棒を奪いました。
「いい棒だ。まだ余熱があるね。これで焼き芋を作ろう」
「加熱魔法の授業だったから…僕の魔法の杖が…」
「余計な魔法だね。…ちょっと、お湯を沸かす火力がそんなにいらないわよ。私の燃料配給券が予定より早く使い終わってしまったら、責任を取ってくれるかしら?」
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