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叔父さんと僕
しおりを挟む僕達が恋人になって数ヶ月が経ったある日。話があるとリビングに呼ばれた。
「俺、会社立ち上げるんだ」
そう言って太一はニカッと笑った。
何の会社かは言わなかったけど、太一はワクワクしているようで、とても活き活きとしていた。もう殆ど準備は整っているらしく、後は認可待ちだとかなんとか言っていた。
数週間後の3月下旬。僕は、村の中心辺りに佇む古民家に連れていかれた。
改築してとても綺麗になっている。庭にはたくさんの手作り遊具があり、さながらアスレチック施設のようだ。
改築も遊具も、太一が昔の大工仲間と共に作り上げたものらしい。こっちを仕事にすればいいんじゃないのかな。と、僕は思った。
「なぁ、太一さんよ。これって“会社”とは言わないだろ」
「ははっ! 驚いたか?」
「もうさ、どこから突っ込めば良いやらだよ」
「一昨日くらいから通ってる子もちらほら居てな、俺こう見えて人気者なんだぜ? まぁ、本当に目指しているものは、まだまだこれからだけどな」
そう言って、太一はいつものようにニカッと笑う。夢を目指す少年のような、とてつもなく眩しい笑顔だ。僕も、それにつられて笑う。
『たいちせんせー』
登園してきた子供が、キラキラした笑顔で呼んでいる。なんでも、体操のお兄さんみたいだとかで人気があるらしい。
太一はヤンキーみたいな見た目なのに、昔からめっぽう子供が好きなんだそうだ。案外怖がられたりしないらしい。子供よりも大人の方が、見た目で怖がるから寄ってこないんだとか。
僕もよく女と間違われて、おっさんに痴漢にあったりしたなぁ。男とわかった途端に舌打ちしやがる。僕が悪いのかよって、何度思った事か。
とまぁ、太一が立ち上げたのは、会社ではなく小さな保育園だった。それも、後々は孤児を保護する支援施設と併せて運営するらしい。
何が1番驚いたって、太一が資格を持っていた事だ。見た目で採用されなかったので、じいちゃんのツテで大工になったんだそうだ。
さらに太一は、僕にも免許をとれと言ってきた。そして、ここで子供達に囲まれて賑やかに過ごそうと。
僕も子供は嫌いじゃないし、太一の夢を手伝えるのは嬉しい。しゃーない、いっちょ頑張るとしようか。
この『ひまわり園』で子供たちの笑顔がたくさん輝くように。
ずっと、太一と一緒に。
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