7 / 26
雨降りの散歩
しおりを挟む雨の日は必ず散歩に行く。
坊やは傘を持ち、長靴を履いて意気揚々と玄関を出る。
坊やは傘をさし、そっと水溜まりに挑む。
足元を覗き、俯く坊やは傘ごとお辞儀をする。
しかし、坊やが雨に打たれることはない。
何故なら、お母さんが後ろから傘で覆ってくれているのだもの。
傘を叩く雨が弱まり、ふと、坊やは雨が上がったと思い傘を閉じる。
違うんだよ。
お母さんの背中はびしょ濡れである。
雨が止んだのではないことに気づき、再び傘をさす。
暫くするとまた遊び、始め閉じた傘に挟まり、まるで傘お化けのようになっている。
後ろから差し出す傘は相変わらず。
濡れる背中も相変わらず。
『可愛い』と胸が高鳴るばかりで。
家に帰る頃には、長靴に水が入り、坊やの傘は外も内も濡れている。
お母さんはびしょ濡れなのに、にこにこと坊やを見守っている。
こうして、幸せな雨降りのお散歩を終えた。
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる