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72. 触れて、確かめて
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「蘇芳くん、おかえり」
屋敷に戻ると、玄関先でレヴォルークの膝の上で抱えられた状態のリュカがいた。彼は赤鬼の姿を視認するなり、弾かれたようにこちらに向かってきた。両手を前に突き出し飛びかかる少年を、蘇芳は横にずれて避けた。
突然のことに勢いを殺せなかったのか、リュカが転ぶ。自分を見上げる顔には戸惑いが浮かんでいた。
「悪ぃ、リュカ。血で汚れてる今はお前に触りたくねえ」
風呂入るから待ってろ、と言い残し、早々に風呂へと向かう。赤鬼に長く仕えているセキシはいつもの通り主人のために風呂を沸かしてくれていた。血が乾いてごわつく装束を脱ぎ捨てていると、突然戸が開いた。リュカが仁王立ちで立っている。
「リュカ、部屋で待ってろって」
「俺も一緒に入る!」
「あ?」
「蘇芳が避けるせいで、転んで汚れた!」
拗ねたようにむっと唇を尖らせるリュカに、張りつめていた気持ちがふっと軽くなるのがわかる。そうかよ、と返事をしながら頬が緩むのを感じる。
かけ湯をして、互いの体を洗い合う。少年の小さな手が泡立てた絹の布を掴み、肌の上を滑る。と同時にもう片方の手も撫でてくる。蘇芳がバトーに攻撃を受けた部分を、まるで何かを確かめるようにさすってくる。不満を全面に押し出す少年に、赤鬼は首を傾げた。
「何だよ。ちゃんと約束通り無事に戻って来たろ」
「…結果的にはそうだけどさ、バトーにブスブス刺されてたじゃん!蘇芳って、いつもあんな捨て身な戦い方してんのか?」
ギロリと睨みつけられる。
「んなわけねえだろ。傷つけられたのも何十年ぶりだっての。予想以上にバトーがやるもんだから、手こずっただけだ」
「…俺、蘇芳がここ刺された時、心臓をやられたのかと思って、すげー怖かった…」
リュカの指が、バトーに刺された腕の付け根をなぞる。傷一つなく、元から怪我などしていなかったかのようにまっさらな肌が広がっている。刺青の触手が貫いた両腕も同様だ。
少年の声は消え入りそうに小さかった。不意打ちに合って胸を貫かれた時のことを思い出しているのか、今にも泣きそうだ。蘇芳は彼の顎に指を添えて顔を上げさせると、唇を押し当てた。上唇を食み、啄む。
「リュカ、泣くなよ」
「…泣いて、ねえ…んっ」
「お前の鱗のおかげで助かった。ありがとな」
「うん。怪我したとこ、もう全然痛くねえの?」
「ああ、全く何ともねえ」
「やっぱり鱗あげといて良かったじゃん。蘇芳は怒ったけどさ」
リュカは咎めるように目を細めて、泡まみれの手で蘇芳の両頬を引っ張った。確かにこれに関してはリュカの判断が正しかった。鱗の御守りが無ければ、防戦一方で負けていたかもしれない。
「そうだな。お前には感謝してる。鱗が無かったら死んでたかもしれねえ」
「…冗談でも死ぬってゆーな」
目に涙を浮かべて睨みつけてくるリュカに、蘇芳は苦笑する。直近で起きた出来事のせいで、完全に神経質になっているらしかった。自分よりも小さい頭に手を回して、額同士をくっつける。
「けどな、改めて実感したわ。竜の鱗のことは絶対に知られちゃならねえ。あれは、とんでもねえシロモンだ。鱗一枚でほぼ不死身。秘密が広まれば、全種族がお前やレヴォルークを狙ってくる。それにきっと、色んな噂が出回る。鱗だけでこの効果が得られるなら、爪や目玉や翼にはもっとすげえ力があるんじゃねえか、ってな」
想像したのか、少年の体がぶるりと震えるのが手を通して伝わってくる。恐怖を与えるのは本意ではないが、リュカに危機感が生まれるのなら、それに越したことはない。リュカは、この世界がどれほど危険か知らなさすぎる。
「いいか、絶対に他の奴に言うなよ?俺もセキシも墓まで持っていく」
しっかりと頷くリュカの頭を撫で、もう一度口づけを交わす。交代して、今度は蘇芳がリュカの体を洗ってやる。
「なあ、蘇芳が琥珀のこと刺した時、何か言ってた?」
背中を擦っていると、少年が口を開いた。処刑のことを指しているのは、すぐに分かった。
「刺してねえよ。処刑に参加してねえ」
「えっ?なんで?」
「その方が効果的だと思ったからだよ」
驚きに目を見開きこっちを振り返るリュカは、訳が分からないとでも言わんばかりだった。頭にたくさんの疑問符が浮かんで見える。
「アイツは俺に殺されたがってた。お前を傷つけた俺が逆上して、処刑の完了を待たずに殺すのを期待してた。だから刺さずに次の奴に順番を回した。本当に殺してやりたいくらい憎くてたまらねえけど、絶対に琥珀を喜ばせることはしたくなかったからな」
「でも…処刑に参加しなくて、大丈夫だったのか?皆から反感買ったりとか…」
「さあな。けど多分大丈夫だろ。他の奴らからすりゃ、俺が琥珀を殺して処刑をぶち壊す方が嫌だと思うしな。奴に恨みを持ってるのは俺だけじゃねえ。一族全員、裏切られたんだ。そいつらの怒りをないがしろにはできねえだろ?」
「そっか…。確かに、そうだよな…。それに黒鳶は、他でもない実の息子に裏切られたんだし…」
俯く少年の表情は見えない。だがきっと、黒鳶の為に心を痛めているのであろうことは手に取るように分かった。慰めるように、後頭部をわしゃわしゃと撫でる。
「リュカ、明日イズルのとこに行こうぜ」
「え?」
「報告、いるだろ。ちゃんと仇は取ったって。お前を苦しめる奴はもういねえ、ってよ」
赤鬼の提案が予想外だったのか、リュカが目を丸くする。しかしすぐに破顔した。満面の笑みでしっかりと力強く頷く。今日一番の笑顔を見られて、つられて頬が緩む。つい先程まで、バトーと死闘を繰り広げていたのが嘘のようだ。心が解れていくような感覚がする。少年の顔を見て、帰ってきたと実感した。
「戦争を生業にしてるって過酷だよな」
二人で湯船につかっていると、リュカがぽつりとこぼした。十人くらいは余裕に入れそうな程に大きい風呂だが、自然とくっついていた。
「危険、ってのは知ってたけど、予想以上だった。今回初めて戦争を目にして、どれだけ自分の考えが甘いか思い知らされた気分だった。隣にいるのが敵なのか味方なのかもわかんないくらいに入り乱れて、いつ死ぬかもわかんなくて…。現実を知ったからには、これから蘇芳が遠征に行くの、手放しに見送ったりできないなって思った」
「あー…こちとら生まれた時からそれが普通だったからな。もう今更なんとも思わねえな。それに、戦争が生業ってことを抜きにしても、この世界は弱肉強食だろ。それぞれが生きるために戦いはつきものだ。仮に戦争がなくたって、いつ死ぬか分からんねえのは変わらねえだろ。お前だって、娼館ではそうだったろ」
「…それは、確かにそうだったけど…」
リュカは両膝を抱えて、体を丸めている。無防備なうなじを、髪からしたたる水が滑っていく。蘇芳は無意識に手を伸ばし、彼の短い襟足を指で弄った。
娼館にいたリュカにはいつだって飢えが付きまとっていた。スリを働いていたことが露見する危険も。バレれば一巻の終わり。待つのは死だ。赤鬼からすれば、少年もかなり危険な橋を渡っていたように思える。
「あのさ、俺も大きくなったら父ちゃんみたいに火を噴けるんだって。そうなれば、少しは蘇芳の力になれると思う」
「あ?一緒に戦場に出るって意味か?」
まっすぐに目を見つめて、力強く頷く少年に、蘇芳は顔をしかめた。
「駄目に決まってんだろ。いきなり戦場に竜が現れてみろ。格好の的だ。全勢力がお前に向かう可能性がある」
「そこをさ、炎で一網打尽にすればよくね?うまくいけば、味方が誰も死なずに済むかもじゃん」
「そう上手いこと事が進むかよ。敵味方がごちゃ混ぜになってたらどうすんだ?敵だけを狙って火ぃ噴くとか無理だろ。味方も巻きこまれるぞ」
「あ…そっか」
リュカの目がうろうろと泳ぐ。戦争で自分がどう役立てるのか考えるも、竜族への知識が乏しいあまりに他に思い浮かばないようだった。
「お前が成竜になった時、また話し合おうぜ。今あーだこーだ言ったって仕方ねえ」
頭を撫でてやれば、小さな頭が上下に動く。蘇芳は問題を先送りにすることにした。彼としては少年がいかに強い竜に成長しようとも、戦場に出すつもりはさらさらなかった。恐らくはレヴォルークも許さないだろう。だが今それを言えば、口論になるのは火を見るよりも明らかだった。こんな日にリュカの機嫌を損ねたくはない。
「俺、父ちゃんに色んなこと教わって、強くなるからな!」
快活な笑みを見せ、やる気十分のリュカに、蘇芳は苦笑いを浮かべるほかなかった。
屋敷に戻ると、玄関先でレヴォルークの膝の上で抱えられた状態のリュカがいた。彼は赤鬼の姿を視認するなり、弾かれたようにこちらに向かってきた。両手を前に突き出し飛びかかる少年を、蘇芳は横にずれて避けた。
突然のことに勢いを殺せなかったのか、リュカが転ぶ。自分を見上げる顔には戸惑いが浮かんでいた。
「悪ぃ、リュカ。血で汚れてる今はお前に触りたくねえ」
風呂入るから待ってろ、と言い残し、早々に風呂へと向かう。赤鬼に長く仕えているセキシはいつもの通り主人のために風呂を沸かしてくれていた。血が乾いてごわつく装束を脱ぎ捨てていると、突然戸が開いた。リュカが仁王立ちで立っている。
「リュカ、部屋で待ってろって」
「俺も一緒に入る!」
「あ?」
「蘇芳が避けるせいで、転んで汚れた!」
拗ねたようにむっと唇を尖らせるリュカに、張りつめていた気持ちがふっと軽くなるのがわかる。そうかよ、と返事をしながら頬が緩むのを感じる。
かけ湯をして、互いの体を洗い合う。少年の小さな手が泡立てた絹の布を掴み、肌の上を滑る。と同時にもう片方の手も撫でてくる。蘇芳がバトーに攻撃を受けた部分を、まるで何かを確かめるようにさすってくる。不満を全面に押し出す少年に、赤鬼は首を傾げた。
「何だよ。ちゃんと約束通り無事に戻って来たろ」
「…結果的にはそうだけどさ、バトーにブスブス刺されてたじゃん!蘇芳って、いつもあんな捨て身な戦い方してんのか?」
ギロリと睨みつけられる。
「んなわけねえだろ。傷つけられたのも何十年ぶりだっての。予想以上にバトーがやるもんだから、手こずっただけだ」
「…俺、蘇芳がここ刺された時、心臓をやられたのかと思って、すげー怖かった…」
リュカの指が、バトーに刺された腕の付け根をなぞる。傷一つなく、元から怪我などしていなかったかのようにまっさらな肌が広がっている。刺青の触手が貫いた両腕も同様だ。
少年の声は消え入りそうに小さかった。不意打ちに合って胸を貫かれた時のことを思い出しているのか、今にも泣きそうだ。蘇芳は彼の顎に指を添えて顔を上げさせると、唇を押し当てた。上唇を食み、啄む。
「リュカ、泣くなよ」
「…泣いて、ねえ…んっ」
「お前の鱗のおかげで助かった。ありがとな」
「うん。怪我したとこ、もう全然痛くねえの?」
「ああ、全く何ともねえ」
「やっぱり鱗あげといて良かったじゃん。蘇芳は怒ったけどさ」
リュカは咎めるように目を細めて、泡まみれの手で蘇芳の両頬を引っ張った。確かにこれに関してはリュカの判断が正しかった。鱗の御守りが無ければ、防戦一方で負けていたかもしれない。
「そうだな。お前には感謝してる。鱗が無かったら死んでたかもしれねえ」
「…冗談でも死ぬってゆーな」
目に涙を浮かべて睨みつけてくるリュカに、蘇芳は苦笑する。直近で起きた出来事のせいで、完全に神経質になっているらしかった。自分よりも小さい頭に手を回して、額同士をくっつける。
「けどな、改めて実感したわ。竜の鱗のことは絶対に知られちゃならねえ。あれは、とんでもねえシロモンだ。鱗一枚でほぼ不死身。秘密が広まれば、全種族がお前やレヴォルークを狙ってくる。それにきっと、色んな噂が出回る。鱗だけでこの効果が得られるなら、爪や目玉や翼にはもっとすげえ力があるんじゃねえか、ってな」
想像したのか、少年の体がぶるりと震えるのが手を通して伝わってくる。恐怖を与えるのは本意ではないが、リュカに危機感が生まれるのなら、それに越したことはない。リュカは、この世界がどれほど危険か知らなさすぎる。
「いいか、絶対に他の奴に言うなよ?俺もセキシも墓まで持っていく」
しっかりと頷くリュカの頭を撫で、もう一度口づけを交わす。交代して、今度は蘇芳がリュカの体を洗ってやる。
「なあ、蘇芳が琥珀のこと刺した時、何か言ってた?」
背中を擦っていると、少年が口を開いた。処刑のことを指しているのは、すぐに分かった。
「刺してねえよ。処刑に参加してねえ」
「えっ?なんで?」
「その方が効果的だと思ったからだよ」
驚きに目を見開きこっちを振り返るリュカは、訳が分からないとでも言わんばかりだった。頭にたくさんの疑問符が浮かんで見える。
「アイツは俺に殺されたがってた。お前を傷つけた俺が逆上して、処刑の完了を待たずに殺すのを期待してた。だから刺さずに次の奴に順番を回した。本当に殺してやりたいくらい憎くてたまらねえけど、絶対に琥珀を喜ばせることはしたくなかったからな」
「でも…処刑に参加しなくて、大丈夫だったのか?皆から反感買ったりとか…」
「さあな。けど多分大丈夫だろ。他の奴らからすりゃ、俺が琥珀を殺して処刑をぶち壊す方が嫌だと思うしな。奴に恨みを持ってるのは俺だけじゃねえ。一族全員、裏切られたんだ。そいつらの怒りをないがしろにはできねえだろ?」
「そっか…。確かに、そうだよな…。それに黒鳶は、他でもない実の息子に裏切られたんだし…」
俯く少年の表情は見えない。だがきっと、黒鳶の為に心を痛めているのであろうことは手に取るように分かった。慰めるように、後頭部をわしゃわしゃと撫でる。
「リュカ、明日イズルのとこに行こうぜ」
「え?」
「報告、いるだろ。ちゃんと仇は取ったって。お前を苦しめる奴はもういねえ、ってよ」
赤鬼の提案が予想外だったのか、リュカが目を丸くする。しかしすぐに破顔した。満面の笑みでしっかりと力強く頷く。今日一番の笑顔を見られて、つられて頬が緩む。つい先程まで、バトーと死闘を繰り広げていたのが嘘のようだ。心が解れていくような感覚がする。少年の顔を見て、帰ってきたと実感した。
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二人で湯船につかっていると、リュカがぽつりとこぼした。十人くらいは余裕に入れそうな程に大きい風呂だが、自然とくっついていた。
「危険、ってのは知ってたけど、予想以上だった。今回初めて戦争を目にして、どれだけ自分の考えが甘いか思い知らされた気分だった。隣にいるのが敵なのか味方なのかもわかんないくらいに入り乱れて、いつ死ぬかもわかんなくて…。現実を知ったからには、これから蘇芳が遠征に行くの、手放しに見送ったりできないなって思った」
「あー…こちとら生まれた時からそれが普通だったからな。もう今更なんとも思わねえな。それに、戦争が生業ってことを抜きにしても、この世界は弱肉強食だろ。それぞれが生きるために戦いはつきものだ。仮に戦争がなくたって、いつ死ぬか分からんねえのは変わらねえだろ。お前だって、娼館ではそうだったろ」
「…それは、確かにそうだったけど…」
リュカは両膝を抱えて、体を丸めている。無防備なうなじを、髪からしたたる水が滑っていく。蘇芳は無意識に手を伸ばし、彼の短い襟足を指で弄った。
娼館にいたリュカにはいつだって飢えが付きまとっていた。スリを働いていたことが露見する危険も。バレれば一巻の終わり。待つのは死だ。赤鬼からすれば、少年もかなり危険な橋を渡っていたように思える。
「あのさ、俺も大きくなったら父ちゃんみたいに火を噴けるんだって。そうなれば、少しは蘇芳の力になれると思う」
「あ?一緒に戦場に出るって意味か?」
まっすぐに目を見つめて、力強く頷く少年に、蘇芳は顔をしかめた。
「駄目に決まってんだろ。いきなり戦場に竜が現れてみろ。格好の的だ。全勢力がお前に向かう可能性がある」
「そこをさ、炎で一網打尽にすればよくね?うまくいけば、味方が誰も死なずに済むかもじゃん」
「そう上手いこと事が進むかよ。敵味方がごちゃ混ぜになってたらどうすんだ?敵だけを狙って火ぃ噴くとか無理だろ。味方も巻きこまれるぞ」
「あ…そっか」
リュカの目がうろうろと泳ぐ。戦争で自分がどう役立てるのか考えるも、竜族への知識が乏しいあまりに他に思い浮かばないようだった。
「お前が成竜になった時、また話し合おうぜ。今あーだこーだ言ったって仕方ねえ」
頭を撫でてやれば、小さな頭が上下に動く。蘇芳は問題を先送りにすることにした。彼としては少年がいかに強い竜に成長しようとも、戦場に出すつもりはさらさらなかった。恐らくはレヴォルークも許さないだろう。だが今それを言えば、口論になるのは火を見るよりも明らかだった。こんな日にリュカの機嫌を損ねたくはない。
「俺、父ちゃんに色んなこと教わって、強くなるからな!」
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