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変わる?変わらない?

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「これは何の嫌がらせですかっ!」

ドアバァンッと食堂に突入してくるマイア第一夫人と第二夫人。
突入してくるなり俺にギロリと視線を向け、そう怒鳴りつける。………まあ、その距離は遠いのだが…。

怒鳴り込んできた理由だが、食事を凄く質素な物に変えたからだ。当然そうすることに理由があったからなのだけど…。

「マイア、ライラ…ソレは僕がそうしてくれと頼んだんだ」
「あなたっ!?何故そんな…」
「どうしてこんなことを…」

第二夫人はライラっていうのか、初めて知ったわ…。じゃなくて…父さんが二人に言う。続けて…

「お前たちがいつまでも引き籠っているからじゃ…」
「「お父様(お義父様)…」」

「僕たちはね…今までの関係を改善したいと思っているんだ。時間はかかるかもしれない…でも少しでも前に進まないと…ね」
「その一歩目として家族全員での食事、というワケじゃ…なのにお前たちが出てこんから…」

「「それは…ユーリウスがっ」」

俺のせいにするの止めてくれないっ!?………いや、俺のせいだけれども…。

「ユーリウスのせいにするでない!元はと言えば儂のせいなのだから」

義祖父さん…本当に変わったな。それはそれとして暇さえあれば俺に勝負を挑んでくるのを止めて欲しいんですけどっ!?

「同じ家族なのだ。家族内で貴族だ平民だ…などと、どうかしている。いや、そもそも貴族だ人族だという至上主義がおかしいのじゃ」
「お義父さん…」

父さんは義祖父さんの言葉にちょっと感動しているような感じだな。あっ、セイ兄も…。
義兄義姉は「今さらかぁ…でも気付いてくれたなら良っか!」みたいな感じ。

「し、しかしお父様…」
「今さら変えろ、と言われれば戸惑うのも分かる。だが変わってはくれんか?………家族なのだから」

「「………………」」

義祖父さんの言葉は優しく、だが力強く、ソレを言いきった。その言葉が二人の夫人に響いたのかは分からないが。
食堂内に少し沈黙の時間が流れ、その静寂を破ったのは第一夫人のマイア。

「………部屋に戻ります」
「あ…マイア」

顔を俯かせながら少し重そうな足取りで食堂を出て行く。心配そうにライラ第二夫人が後を追った。
食堂内にいた全員がそんな二人を見送った。

「分かってはいたが、まだまだ時間が掛かりそうじゃな…」
「そうですね…」

二人に顔を出させることには成功したものの、作戦としては失敗だった。でも義祖父さんも父さんも、そして誰も諦めていない。二人は変われる、と信じている。
まあ、何より義祖父さん自身が変わったからな。前例が目の前にいるのだから。

というか義祖父さんは一晩で変わり過ぎなのよ?
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