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第20話 隣国の立太子の事情に巻き込まれる。
Chapter-24
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「何だよみんな……お、俺……なんか、したか?」
俺、ジャックが、思ったままを口にすると、周囲の皆が、何故か、驚ききったような顔を、俺に向けてきた。
「いや……まさか、ジャックが物事の本質をつく発言をするとは思ってもみなくてなぁ」
アルヴィンのやつが、すごく感心した、というように、まだ目を円くしたまま言ってくる。
「いくらなんでも言いすぎじゃねぇのか、親友」
「いやぁすまん、俺がガスパル王と話している間も料理がっついてたようにしか見えなくてな。許せ親友」
俺がヤブ睨みを向けて問い質すように言うと、アルヴィンは、はっはっはっ、と笑い飛ばすようにそう言った。
「いやでも、確かにジャックの言うとおりなんだ。別にシレジアは今、どこと戦争したり、今すぐ戦争になるような状況じゃないんだよ」
アルヴィンは、俺のことで少し緊張感が抜けたような感じで、そう言った。
「でも、シレジアはファルクと仲が悪いでしょう? いつファルクと戦争が始まるかわからないって意味では、そう言う緊張は持っていたほうがいいんじゃないの?」
キャロが、強気な様子でそう言ったが、
「いや、まず、そんな緊張持ってない国なんてないんだ」
と、アルヴィンは困ったようにそう言った。
「例えば、俺達はここに何しに来たよ?」
「え? それはシレジア王国の立太子の儀に親善使節団として参加するためでしょ?」
アルヴィンが、床を指差すようにして訊ねると、キャロはそう答える。
「それはなんで来ることになったんだ?」
「それは……シレジアが帝国と友好条約を結んでいるからでしょう?」
「あ!」
アルヴィンの再度の問いかけに、キャロはなんでそんな質問をしているのかといった感じで、首を傾げるようにしながら答えたんだけど、ミーラは、何かに気付いたように声を上げた。
「それはつまり、帝国もファルク王国からの侵攻に備えているということですね」
「あ、そっか!」
ミーラの答えに、それを聞いたキャロも声を上げた。
「そう言うこと。でも、帝国は別に今有事ってわけじゃないよな」
「でも、ファルクとの国境線から、シャロンはアドラスシティより近いから、より緊張している、ってことにはなりませんか?」
ミーラがアルヴィンに反論した。
「それはファルクにとって必ずしも有利な材料じゃないよ。その分、シレジアは国境を侵犯されたら動きが素早い。実際、ファルクが領土的野心を持っているのは、どっちかって言うと近しいシレジアにじゃなくて、まだ誰の領地かはっきりしてない帝国西方領だろ」
「それに、今日の晩餐会にも参加してたけど、ファルクからも使節団が来てたぜ」
「えっ、それホント!?」
アルヴィンの言葉に続けて、俺が、そう言うと、キャロが驚いたような声を出した。
なんか、アルヴィンが、信じられないものを見た、という感じで、こっちを見てるんだが……
「なんだよ、その顔は……」
「いやてっきり、食事の場じゃ食い物と姉弟子にしか目に行ってないんじゃないかと思っていたんだが……ジャックがしっかりそう言うの見ているとはな」
アルヴィンは感心したように言うが、ちっとも嬉しくねぇ。
つうか、普段どんな目で俺を見てるんだよ。
「つまりあれだろ、シレジアとしても別に進んでファルクと事を起こしたくないって考えていいってことだよな? これ」
「まぁ、そうなんだが、ジャックに言われると、なんか負けた気になるな」
「どこまで失礼な目で俺を見てやがるんだお前は」
今度は、流石に口に出た。
「シレジアが今、平時だって考えれば、わざわざ第1王子を差し置いて、シグル王子を王太子に選ぶのには理由があるんだ、って言いたいわけだよな、アルヴィンは」
「そう言うこと。いくら選択権があるとは言っても、長子を差し置いて三男を次期国王に取り立てるとなると、やっぱりそれなりにゴダゴダするだろうからな」
俺の言葉に、アルヴィンは少し楽になったような様子で答えると、エミの方を見た。
俺も、エミに視線を向ける。
「エミもそのあたりは気づいてたのか?」
「アルヴィンやジャックほどはっきりとは。でも、第1王子でも平時の王なら申し分ない、って言った時点で、ちょっとキナ臭いなとは感じた」
やっぱり、そこが一番気になるよな。
アドラーシールムの貴族だって、別に長男相続が絶対ってわけじゃなくて、次男より下や女子に継がせることもある。
けど、それってお家騒動の原因にもなりやすいんだ。
あまり揉めないで済むのは、長子が女子でそちらに相続させる場合ぐらい。
それ以外はたいてい、揉め事の原因になるんだよな。
「それで禍根が残っても仕方ないって解って第3王子に継承させようってんだから、なんかあるよな。ただ、俺はそれがなにかまではわからないが……アルヴィンにはそれもわかるのか?」
俺は、少し真剣な表情になって、アルヴィンに問いかけてみた。
「俺もはっきりとはまだ言い切れないけど、姉弟子?」
「なんだ?」
アルヴィンは、そこで、リリーさんに声をかけた。
「姉弟子は、以前にもここへ、シレジアへ来たことがあるんですよね?」
「ああ、ガスパル王の戴冠式のときだ。と言っても、そんなに前じゃないな」
「そのときって、もう、今のシレジア国防軍は存在していました?」
「いや、当時はまだ、帝国と同じように、地方領主が兵団を保持している形態だった」
リリーさんとそんなやり取りをすると、アルヴィンは、何か解ってきたという感じの顔をする。
「とすると、考えられるのは……?」
アルヴィンが何か言いかけた時、エミが、晩餐会場に持っていこうとしてアルヴィンに止められていた、ショートソードを持って、宿舎の玄関の方へと近づいていく。
「どうしたの、エミ」
「誰か、来た」
エミと一番付き合いの長いキャロが、ハッとしたように問いかけると、エミはそう言いながら、玄関口で剣の柄に手をかける。
コン、コン
扉がノックされた。
「はーい。どちらさまで?」
アルヴィンが、扉に向かって声を張り上げた。
「アドラーシールム帝国親善使節団の方々にあっては、お寛ぎの所申し訳ない」
扉の外から、声が帰ってくる。
「私はアシル・アセルマン・シエルラ。シレジア王国第1王子でございます。よろしければ、マイケル・アルヴィン・バックエショフ子爵殿と、リリー・シャーロット・キャロッサ準男爵にお目通り願えればと」
第1王子がここに?
何の用だろ?
「エミ、開けていいぞ」
アルヴィンが言うと、エミは、コクン、と頷き、剣の柄から手を離して、姿勢を正してから、玄関の扉を開けた。
「これは、夜分遅くになってから申し訳ありません。マイケル殿、リリー殿、それから、ご同行の皆様も」
第3王子が王位継承者になるって話があるぐらいだから、どんな優男かと思っていたけど、いざ会ってみたら、確かに第3王子よりは年上だってわかるぐらいで、やっぱり武官っぽい感じの、痩せているなりにしっかりした体格の人物だった。
アルヴィンは、手振りでソファに座るように促す。
アシル王子は、一礼してから、アルヴィン、リリーさんと向かい合う形で、ソファに座った。
「いえいえ、それで、どんな用事です?」
「実は、マイケル殿とリリー殿に、折り入ってお願いがございまして。急ぎの用事ゆえ、遅い時間と知りながら参った次第でございます」
「あ、失礼、自分のことは、アルヴィンと。近しいものにはそう呼ばせておりますので」
「承知しました、アルヴィン殿」
あ、しっかりそれ言うのね、アルヴィン。
でも、なんでそんなにマイケル呼びが嫌なんだ?
別に、変な名前じゃないと思うが。
「それで、お願いというのは」
「あ、待った」
ばっ、と、アルヴィンは、手を広げて、遮るようにしながら言った。
「もし、それが、シレジア王家の王位継承権に纏わる話でしたら、どちらにしても我々が介在するべき話ではありませんし、そんな事をしたら碌な事になりませんよ?」
アルヴィンは、険しい表情で、アシル王子に、そう言った。
リリーさんも、険しい表情をしている。
「お恥ずかしながら、我々の力だけではどうすることも出来ず……アドラーシールム帝国使節団としてではなく、アルヴィン殿とリリー殿に個人的に力を貸していただけたらと思うのです」
心苦しそうな表情をしながら言うアシル王子。
「俺と姉弟子に? 一体またどうして?」
アルヴィンは、一時リリーさんと顔を見合わせてから、そう訊ねた。
「それは、相手も魔導師を雇っているからなのです」
魔導師を雇っている……か、魔導師というと第2王子のブリアック王子のことが思い浮かぶけど、それを雇っている、というのはおかしな話だな。ということは、別の魔導師か?
「でも、今の話し方だと……つまり」
「はい」
アルヴィンの言葉に、アシル王子は肯定の声を出す。
「明日の立太子の儀、妨害、と言うより、父上と弟シグルを亡き者にしようという勢力があるのです」
アシル王子に言わせてしまってから、アルヴィンは、あちゃーという感じで、いつものように、面倒なことは嫌だと言わんばかりの顔になった。
俺、ジャックが、思ったままを口にすると、周囲の皆が、何故か、驚ききったような顔を、俺に向けてきた。
「いや……まさか、ジャックが物事の本質をつく発言をするとは思ってもみなくてなぁ」
アルヴィンのやつが、すごく感心した、というように、まだ目を円くしたまま言ってくる。
「いくらなんでも言いすぎじゃねぇのか、親友」
「いやぁすまん、俺がガスパル王と話している間も料理がっついてたようにしか見えなくてな。許せ親友」
俺がヤブ睨みを向けて問い質すように言うと、アルヴィンは、はっはっはっ、と笑い飛ばすようにそう言った。
「いやでも、確かにジャックの言うとおりなんだ。別にシレジアは今、どこと戦争したり、今すぐ戦争になるような状況じゃないんだよ」
アルヴィンは、俺のことで少し緊張感が抜けたような感じで、そう言った。
「でも、シレジアはファルクと仲が悪いでしょう? いつファルクと戦争が始まるかわからないって意味では、そう言う緊張は持っていたほうがいいんじゃないの?」
キャロが、強気な様子でそう言ったが、
「いや、まず、そんな緊張持ってない国なんてないんだ」
と、アルヴィンは困ったようにそう言った。
「例えば、俺達はここに何しに来たよ?」
「え? それはシレジア王国の立太子の儀に親善使節団として参加するためでしょ?」
アルヴィンが、床を指差すようにして訊ねると、キャロはそう答える。
「それはなんで来ることになったんだ?」
「それは……シレジアが帝国と友好条約を結んでいるからでしょう?」
「あ!」
アルヴィンの再度の問いかけに、キャロはなんでそんな質問をしているのかといった感じで、首を傾げるようにしながら答えたんだけど、ミーラは、何かに気付いたように声を上げた。
「それはつまり、帝国もファルク王国からの侵攻に備えているということですね」
「あ、そっか!」
ミーラの答えに、それを聞いたキャロも声を上げた。
「そう言うこと。でも、帝国は別に今有事ってわけじゃないよな」
「でも、ファルクとの国境線から、シャロンはアドラスシティより近いから、より緊張している、ってことにはなりませんか?」
ミーラがアルヴィンに反論した。
「それはファルクにとって必ずしも有利な材料じゃないよ。その分、シレジアは国境を侵犯されたら動きが素早い。実際、ファルクが領土的野心を持っているのは、どっちかって言うと近しいシレジアにじゃなくて、まだ誰の領地かはっきりしてない帝国西方領だろ」
「それに、今日の晩餐会にも参加してたけど、ファルクからも使節団が来てたぜ」
「えっ、それホント!?」
アルヴィンの言葉に続けて、俺が、そう言うと、キャロが驚いたような声を出した。
なんか、アルヴィンが、信じられないものを見た、という感じで、こっちを見てるんだが……
「なんだよ、その顔は……」
「いやてっきり、食事の場じゃ食い物と姉弟子にしか目に行ってないんじゃないかと思っていたんだが……ジャックがしっかりそう言うの見ているとはな」
アルヴィンは感心したように言うが、ちっとも嬉しくねぇ。
つうか、普段どんな目で俺を見てるんだよ。
「つまりあれだろ、シレジアとしても別に進んでファルクと事を起こしたくないって考えていいってことだよな? これ」
「まぁ、そうなんだが、ジャックに言われると、なんか負けた気になるな」
「どこまで失礼な目で俺を見てやがるんだお前は」
今度は、流石に口に出た。
「シレジアが今、平時だって考えれば、わざわざ第1王子を差し置いて、シグル王子を王太子に選ぶのには理由があるんだ、って言いたいわけだよな、アルヴィンは」
「そう言うこと。いくら選択権があるとは言っても、長子を差し置いて三男を次期国王に取り立てるとなると、やっぱりそれなりにゴダゴダするだろうからな」
俺の言葉に、アルヴィンは少し楽になったような様子で答えると、エミの方を見た。
俺も、エミに視線を向ける。
「エミもそのあたりは気づいてたのか?」
「アルヴィンやジャックほどはっきりとは。でも、第1王子でも平時の王なら申し分ない、って言った時点で、ちょっとキナ臭いなとは感じた」
やっぱり、そこが一番気になるよな。
アドラーシールムの貴族だって、別に長男相続が絶対ってわけじゃなくて、次男より下や女子に継がせることもある。
けど、それってお家騒動の原因にもなりやすいんだ。
あまり揉めないで済むのは、長子が女子でそちらに相続させる場合ぐらい。
それ以外はたいてい、揉め事の原因になるんだよな。
「それで禍根が残っても仕方ないって解って第3王子に継承させようってんだから、なんかあるよな。ただ、俺はそれがなにかまではわからないが……アルヴィンにはそれもわかるのか?」
俺は、少し真剣な表情になって、アルヴィンに問いかけてみた。
「俺もはっきりとはまだ言い切れないけど、姉弟子?」
「なんだ?」
アルヴィンは、そこで、リリーさんに声をかけた。
「姉弟子は、以前にもここへ、シレジアへ来たことがあるんですよね?」
「ああ、ガスパル王の戴冠式のときだ。と言っても、そんなに前じゃないな」
「そのときって、もう、今のシレジア国防軍は存在していました?」
「いや、当時はまだ、帝国と同じように、地方領主が兵団を保持している形態だった」
リリーさんとそんなやり取りをすると、アルヴィンは、何か解ってきたという感じの顔をする。
「とすると、考えられるのは……?」
アルヴィンが何か言いかけた時、エミが、晩餐会場に持っていこうとしてアルヴィンに止められていた、ショートソードを持って、宿舎の玄関の方へと近づいていく。
「どうしたの、エミ」
「誰か、来た」
エミと一番付き合いの長いキャロが、ハッとしたように問いかけると、エミはそう言いながら、玄関口で剣の柄に手をかける。
コン、コン
扉がノックされた。
「はーい。どちらさまで?」
アルヴィンが、扉に向かって声を張り上げた。
「アドラーシールム帝国親善使節団の方々にあっては、お寛ぎの所申し訳ない」
扉の外から、声が帰ってくる。
「私はアシル・アセルマン・シエルラ。シレジア王国第1王子でございます。よろしければ、マイケル・アルヴィン・バックエショフ子爵殿と、リリー・シャーロット・キャロッサ準男爵にお目通り願えればと」
第1王子がここに?
何の用だろ?
「エミ、開けていいぞ」
アルヴィンが言うと、エミは、コクン、と頷き、剣の柄から手を離して、姿勢を正してから、玄関の扉を開けた。
「これは、夜分遅くになってから申し訳ありません。マイケル殿、リリー殿、それから、ご同行の皆様も」
第3王子が王位継承者になるって話があるぐらいだから、どんな優男かと思っていたけど、いざ会ってみたら、確かに第3王子よりは年上だってわかるぐらいで、やっぱり武官っぽい感じの、痩せているなりにしっかりした体格の人物だった。
アルヴィンは、手振りでソファに座るように促す。
アシル王子は、一礼してから、アルヴィン、リリーさんと向かい合う形で、ソファに座った。
「いえいえ、それで、どんな用事です?」
「実は、マイケル殿とリリー殿に、折り入ってお願いがございまして。急ぎの用事ゆえ、遅い時間と知りながら参った次第でございます」
「あ、失礼、自分のことは、アルヴィンと。近しいものにはそう呼ばせておりますので」
「承知しました、アルヴィン殿」
あ、しっかりそれ言うのね、アルヴィン。
でも、なんでそんなにマイケル呼びが嫌なんだ?
別に、変な名前じゃないと思うが。
「それで、お願いというのは」
「あ、待った」
ばっ、と、アルヴィンは、手を広げて、遮るようにしながら言った。
「もし、それが、シレジア王家の王位継承権に纏わる話でしたら、どちらにしても我々が介在するべき話ではありませんし、そんな事をしたら碌な事になりませんよ?」
アルヴィンは、険しい表情で、アシル王子に、そう言った。
リリーさんも、険しい表情をしている。
「お恥ずかしながら、我々の力だけではどうすることも出来ず……アドラーシールム帝国使節団としてではなく、アルヴィン殿とリリー殿に個人的に力を貸していただけたらと思うのです」
心苦しそうな表情をしながら言うアシル王子。
「俺と姉弟子に? 一体またどうして?」
アルヴィンは、一時リリーさんと顔を見合わせてから、そう訊ねた。
「それは、相手も魔導師を雇っているからなのです」
魔導師を雇っている……か、魔導師というと第2王子のブリアック王子のことが思い浮かぶけど、それを雇っている、というのはおかしな話だな。ということは、別の魔導師か?
「でも、今の話し方だと……つまり」
「はい」
アルヴィンの言葉に、アシル王子は肯定の声を出す。
「明日の立太子の儀、妨害、と言うより、父上と弟シグルを亡き者にしようという勢力があるのです」
アシル王子に言わせてしまってから、アルヴィンは、あちゃーという感じで、いつものように、面倒なことは嫌だと言わんばかりの顔になった。
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