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第2話 ソロモンの犬耳達
Chapter-07
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昭和17年、西暦1942年────新学暦206年。
7月7日。
東京湾。
湾内に浮かぶ重巡洋艦『利根』の甲板上で、聯合艦隊司令部や軍令部、それに陸軍参謀本部の人間もが見守る中、それは始まった。
同じく『筑摩』の後部甲板上に、大日本帝国海軍の────否、そもそも軍人として毛色が違う、宗教儀式に使うようなローブ姿の、3人ほどの小柄な人間が立っている。
その中心に立っている人物が、やはり儀式に使うような杖を掲げる。杖頭から光が空、天に向かって一直線に上っていったかと思うと、より強い光の条が、東京湾を囲む日本列島の陸地の各方位から、10には満たない程度か、集まってくる。
「!」
そのうちの1条は、東京市内の方角から、極端な弾道曲線のアーチを描きながら、飛んできた。
──あの方角は…………
ある者はそう考えたが、その直後、光が集まって海面に達すると、そこから海面が沸騰したかのように、大量の白い水煙が発生する。
沸騰したかのように、というのは、視覚的にそう形容できると言うだけで、実際には、発生した水煙の量から想像できるような熱も、また、塩水である海水が急加熱された事を想像させるような、塩が焦げるような匂いも、発生していなかったからだ。
発生した大量の水煙は霧となり、利根と筑摩、それに数隻の巡洋艦と駆逐艦の遊弋する範囲以外は、陸地が見えなくなる程のそれに包まれた。
「お、おおっ!」
利根の甲板上で、どよめきが起こる。
光でできているのか、それとも実体があるのか、掴みどころのないような、ただ、巨大な────見上げるような、塚のような形状のものが現れ、その一方にトンネルの出入り口が形成されていた。
「────!!」
周囲の霧が晴れていく中、軍人たちが呆然とそれ見上げていると、今度は、別の衝撃と驚愕が、彼らを襲った。その表情は、先程の不可思議とは異なり、いくらかの、戦慄、緊張を伴っていた。
巨大なトンネルから、それは姿を表した。
基準排水量59,400トン、全長255m。
43.5口径46cm砲を前部に3連装2基、後部に連装1基。
チハーキュ帝国海軍ユリン級戦艦、ネームシップ『ユリン』。
前年、新学暦205年の11月の末に、スターリー第2海軍工廠で完成したばかりの、チハーキュ海軍最新鋭にして最強の戦艦が、世界の境を超えて東京湾にその巨体を進ませる。
「これは…………これと撃ち合えるのは、『大和』と『武蔵』ぐらいじゃないか……」
三和義勇、聯合艦隊作戦参謀が、その巨体を見て呟く。
三和は、自身が航空隊上がりの、山本五十六大将が代表格の航空主兵論者派閥の人間だが、とは言え、自国の建造した世界最大の戦艦と、同格のそれを目の前にすれば、その威容を感じざるを得ない。
それに────
「我々もまた、様々な観点から、洋上航空作戦を研究してきました」
以前、マデリン・グレイス・ローレンス少将の司令部との情報交換会を開いた時、その事を告げられた。
「そして導かれた結果は、航空攻撃を阻止する手段さえあれば、戦艦は極めて撃破困難な存在になるということです。そしてその手段として、我が海軍では戦闘機の充実を図ると同時に、電波警戒器の開発を進めてきたのです」
三和は、マデリンの言葉をリフレインさせるとともに、眼の前のユリンのマストにも装着されている、DKA-1 超短波電波警戒器のアンテナに視線をとられる。
日本海軍では電波探信儀と呼んでいる。イギリスではRadio Direction Finder、同じ英語でもアメリカではRAdio Direction And Rangding、レーダーと呼称しているものだ。
この事を突きつけられた時、三和は大きく戦慄した。
三和は、1930年代に各国で流行した「戦闘機不要論」の推進者の1人だった。攻撃機の高性能化により、航空攻撃の阻止は不可能になり、その為、戦闘機の価値は低下し、同時に大型水上艦は無価値になる、というものだ。
この考え方は、日華事変において、三菱G3M 九六式陸上攻撃機が、複葉機を含む中華民国軍の戦闘機の前に大損害を出し、その対策として、開発されたばかりの三菱A6M 零式艦上戦闘機を護衛機として投入したことで劇的な改善を見たことで、鳴りを潜めていたが、この間の戦闘機搭乗員の養成数の縮小は、現在にまで尾を引いている。
チハーキュでは、セレスSe12艦上爆撃機のような高速攻撃機を開発しておきながら、航空攻撃を阻止不可能とは考えず、更に踏み込んで戦闘機が優位に戦う為に、電波探信儀の開発を積極的に進めていたわけだ。
そして同時に、戦艦を無価値と結論付けなかった。常に艦隊の先鋒に配置し、戦闘展開の序盤は脆弱な空母の盾として機能させ、味方の攻勢の段階に入った時点で、突撃の尖兵として運用する。
ユリンはただ単純に戦艦として強いだけではなく、この洋上戦闘ドクトリンに沿って設計されていることが見て取れる。
やや高い位置にマウントされた16cm砲連装の副砲塔は、艦橋構造物と大小1基ずつの煙突を挟んで前後に配置されているが、左右位置はその前後で点対称になるように、艦軸上から横へオフセットされている。こうすることで、側面に対する射角を大きく取り、副砲の装備数を2基4門に減じている。そのかわり、本来副砲が並ぶべき側面には、これでもかと、高角砲、機銃を装備していた。
チハーキュ艦のデファクトスタンダードであるスチームターボ・スチームエレクトリック併用機関は総軸出力158,000hpを誇り、大和とほぼ同等の27ノットとなっている。これは、計画段階では32ノットだったものを、技術の限界と、エボールグ世界での海軍軍縮条約の制限から、このスペックに落ち着いたと言う。
「それにしても、だ」
渡辺安次戦務参謀が、訝しげな表情をしながら呟く。
「なぜ山本長官は、この艦が来ると解っていて、大和を歓待によこさなかったんだ……航空機が主役と考えたいのは解るが、せめて対等の艦を持っている事を見せたほうが良かっただろうに……」
渡辺の呟きは、この場にいる海軍関係者ほぼ全員が共有しているものだった。この威容を見て改めて圧倒されたものの、最新鋭戦艦1隻を派遣してくるというのは、あらかじめ知らされていたのである。
そうしている間にも、ユリンに引き連れられる形で、チハーキュ帝国海軍地球派遣艦隊の後続が、不可思議のトンネルを抜けて東京湾へと姿を表す。
レムリアス級空母『レムリアス』『アフルヘイムラー』。ミッドウェイ沖に突如出現することになったトヨカムネア級の次級で、基準排水量は30,500トンとされていて、寸法的にも翔鶴型よりやや大きめになっている。
シルフィオン級軽空母『シルフィオン』『エルファリオン』。サイズ的には祥鳳型と大差がないが、最初から空母としてのみの用途で設計・建造されたため、搭載機数はやや多い。
そして、ラピス・デル・プエルト級重巡洋艦『ラピス・デル・プエルト』……────この艦を見て、日本海軍の高官達は微妙な心境をしているかのような、わずかに引きつった苦笑を浮かべた。
簡単に言うと「やってることが大和と似たようなもん」────主砲に46口径24cm砲を、連装で前部2基・後部1基搭載しているが、────この砲の形式名が「50口径20cm艦載砲mod.203」────早い話が、重巡洋艦の備砲をエボールグ世界での「ラミューズ海海軍軍縮条約」で20cmが上限とされているのを、スケーリングを誤魔化して24cm砲を20cm砲と言い張ってるわけである。
エルディラス級戦艦『シャーウィス』。これは現代的ではあるものの、備砲は主砲として45口径32.4cm砲を連装で前後の2基のみ、中間砲として35口径30cm砲をセミケースメイト式で点対称配置にしている、地球ではプレ・ドレッドノートスタイルとされている旧態な戦艦だ。ではなぜチハーキュ海軍がこれを戦艦でございと言っているのかと言うと、地球で言うところのドレットノートスタイルの戦艦は、軍縮条約で、戦艦全体の中でさらに制限があるため、ドレッドノートスタイルの一等戦艦を補完する目的で、二等戦艦として整備が続けられているわけである。
これら主力艦の直掩となる水雷戦隊も姿を表す。あらかじめ知らされていたように、軽巡洋艦は対空能力確保のために本来の備砲を一部下ろして両用砲になっていて、駆逐艦は竣工時の初春型の艦体を少し大きくして復元性を確保したような姿をしている。
ただ、そんなチグハグした見た目をしている軽巡洋艦でも、艦体はずっと洗練されているように見えて、日本海軍側の関係者は複雑に心境になっていた。
これは、日本側の事情だ。こちらはこちらで、ロンドン海軍軍縮条約下において、重巡洋艦の艦体を軽巡洋艦の枠で建造しておくという手段に使ってしまっていた(最上型、利根型)為、現状の軽巡洋艦は5,500トン級と呼ばれる、1920年頃の設計のままの旧式艦ばかりなのである。
「機帆艦は、流石に来なかったな」
黒島亀人専任参謀が呟いた。
以前も説明したが、エボールグでの燃料調達の事情から、主戦力ではなく主に警護用の艦・艦艇は、帆を張れるマストを持っていて、帆走できるようになっている。
今回の、地球派遣艦隊第一波には機帆艦は含まれていない一方、機走専門のチハーキュ艦を見ると、空母も含めて、どいつもこいつも、集合式の大煙突に、小煙突が組み合わさっている。
これも機帆艦の存在と同じで、機走専用艦に関しても、航続距離を稼ごうと、オール重油専燃ではなく、ボイラーの一部が燃焼持続時間の長い石炭を併用可能とする混焼缶にしていて、黒煙の発生の差から煙路を分岐しているためだ。
そしてやはり、その目的で低速時の効率と回転数変動に強いレシプロユニットを併用する。レシプロとタービンでは回転特性に差があるが、地球の艦が同じタービンでも回転数に大きな差がある巡航用タービンと高速用タービンを分けて出力域でどちらか一方を使っている(補足すると、ほとんどの場合使っていない側のタービンは回転抵抗として空転させているが、日本はクラッチで切り離している)が、チハーキュはデッドウェイト化を嫌って、レシプロユニットは動力伝達を電気式とし(モーターはタービンと回転に対する反応が近い)、戦闘出力時もレシプロも動力に貢献する構造をしている艦が多い。
…………と、黒島が感想を胸中で呟きつつ、眺めていると、最後の最後で、ヌッ、とそれが姿を表した。
補給艦が機帆併用、なのまでは良かったが、舷側にパドルボックス付きの外輪を張り出したパドルホイーラーなのは想定の範囲外だった。
軍艦にも増して、民間船は燃料補給がシビアなことから、機帆併用船が主流なのだが、帆走用のマストがあると船体上部のスペースが限られるため、その分船体内のスペースをより貨物用に確保したれということで未だに外輪にしたがる悪癖が海運業の身に染み付いてしまっていた。
なんせ、石油を運ぶはずのタンカーが、外輪船の上に燃料節約のために平気で帆を張って航走しているのである。
軍籍のフネでも、速度を要求していないタイプの補給艦、輸送艦などは、民間の海運協会の推奨規格型貨物船の外輪艦も多い。
「?」
日本海軍の人間が妙なリアクションをとり、日本陸軍の人間がそれを何事かと見ている前を、海運協会推奨規格9,850トン型補給艦『ルシナンテス』は、悠々と横切っていった。
「ふう……」
筑摩の後部甲板上では、トンネルを出現させたローブ姿の人間のリーダー────チハーキュ海軍 エラ・ノルフェス・ディアナ医療技術中尉が、緊張と疲労との両方から滲んだ汗を、手拭いで拭っていた。
「お疲れさまでした。うまく行ってよかったですね」
「本当よ……こんな大魔法、専門外だっての」
他のローブ姿の2人、エラの部下に声をかけられて、エラは、疲労感に少しの憤りを混ぜてそう言った。
自国の発展を科学技術に頼ることへ舵を切ったチハーキュ帝国だったが、魔学文明圏との対立もあって、自国も魔法研究をすべて放棄してしまったわけではない。
軍も例外ではなく、艦隊司令部には魔導師資格を持つ人間が技術士官や士官待遇軍属として乗り込んでいる事がある。
チハーキュ帝国でマイノリティだが比較的多数派である、ダークエルフの国家公認魔導師資格持ちであるエラは、海軍に入隊した後進の魔導師の訓練カリキュラムのため、 ────練習船『ジノプス』に乗り込んでいた。突然現れた不明機、米軍のSBD『ドーントレス』に立て続けに3発の500lb爆弾を受け、ジノプスは轟沈。この場にいるエラらは九死に一生を得たが、教え子、短期間とは言え生活を共にしていた訓練生、ジノプス乗組員の多くが帰らない身になった。
「どーしてこんなに急いでるんだか……」
「お疲れ様です、どうぞ」
エラがぼやき節を口にしていると、そこへ、筑摩の下士官の1人が、コップに入った麦茶を持ってきた。エラも、他の2人も、それを受け取り、口につけて煽った。
「────どうにも、性急だなぁ……」
利根の甲板上にも、エラと同じ疑問を呟く人間がいた。
大日本帝国陸軍、辻政信中佐は、地球派遣艦隊の威容を見ながら、思考を巡らせる。
──誤認とは言え、皇太女殿下を乗せた艦隊に先制攻撃など受けたら、謝罪させてハイ終わりというわけにはいかないのは解る…………
言いつつ、辻は戦闘を行くユリンを注視する。
──だが、……門外漢とは言え、明らかに、意図がただの報復にしては過剰な戦力を送り込んできているのは解る……この後、陸軍航空隊も来ると言うし、これはまだ第一陣という話もあるし、相応の損害を強いた上で矛を収めるという様子ではないが……
眉を顰めて怪訝そうにしながら、思考を巡らせていた辻だったが、
「まぁ、毒を喰らわば皿まで、か」
と、声に出して呟き、唇に歪な笑みを浮かべた。
同日。
惑星エボールグ。
チハーキュ帝国、本土カムイガルド亜大陸。
帝都レングード。
エボールグの南半球に位置するカムイガルドの季節は、冬。
旧暦末期の独立戦争時代、チイイニ朝の独立軍の本拠地として、盆地の城塞都市として独立後の発展の契機となったレングードは、薄い雪化粧をしている。
空は雲に遮られ、二重太陽は見ることができない。
「そうか、無事、東京に着いたか」
内閣総理大臣、セルゲリオス・ハドソン・グレンは、首相官邸の執務室でその報告を受けた。
「はい。東京は軍港施設がありませんので、軍港施設の横須賀へ移動するとのことです。明日、陸軍航空隊も出発予定です」
「結構だ。行動の仔細は国防参謀本部に任せるが、可能な限り、海軍省本省(この場合、チハーキュ帝国のそれのこと)とは連絡を密にするようにと」
「はい。伝えてあります」
────1ヶ月前。
チハーキュ帝国皇太女、ヒカル・エヴァンジェリン・ブレイク・チイイニ・チハーキュ・レムゼンが同道している訓練艦隊が突如消息を絶ち、当然、チハーキュ側もこの事態に、国家全体がひっくり返るかのような大騒ぎになった。
動機から、魔学圏の盟主国、イビム連合王国かその周辺の疑いの関与が濃厚と推測し、示威行動も兼ねて、最新鋭戦艦ユリンを含む捜索艦隊を、推定消息海域に向かわせようとした、まさにその直前。
北西の沿岸部に存在する、魔法研究都市モスクラーの国立研究所から、ヒカルが身につけている、皇室の護符の所在地を掴んだ、という報告がなされた。
モスクラーとレングードは鉄道なら2晩かかるが、その時ばかりは軍の航空機が手配され、4時間後にモスクラーのアミュレット捜索班はレングードに到着した。
お互い採るものも取り敢えず、セルゲリオス達閣僚が受けた報告は、
「異世界にいるゥ!?」
────当然のようにこうなった。
アミュレットに仕込まれた魔術式は、会話と言うか、厳密には言語ではないが、脳内のイメージを伝達することによる遠隔の意思疎通も可能である。
…………そんな物があるなら電気通信設備なんか必要ないじゃないか、と言われるかも知れないが、こんな異世界との間でも連絡ができるようなものが、ポンポン手に入るワケがない。真っ更から作ったら、国家予算1・2年分が吹っ飛ぶ。しかも誰もが使えるのかと言うと、そう言うわけでもない。魔導の素質がまーったくない者というのもいて、そういう者がこうしたマジックアイテムを持っても無価値になってしまう。
科学技術は、“万人に平等”という点が最も強いのだ。また、力の根源をそちらに移したからこそ、選民思想から脱却できた面もある。
ちなみに最初に、レングード側からヒカルにコンタクトを取った時、ヒカルは艦隊を保護した国の皇帝と歓談中であったと言う。
次に、練習艦隊を帰すにしても、相手の国────アメリカ合衆国への報復を行うにせよ、日本への援助をするにせよ、双方が行き来できるようにする必要がある。
訓練艦隊が異世界────地球へ迷い込んだ以上、両者の世界は連絡する事ができることは明らかだ。
モスクラーの研究所は、以前から、伝承に現れる世界転移現象を研究し、それについて、現実に起きうるものだと研究報告を出していた。
ただ、自然現象では起きうるが、人為的に再現するとなると、都合よく行うことは不可能、と考えられていた。
まず、空間に存在する複数の世界の相対位置を把握しなければならない。次に、接続点を造るには、双方に、物質が魔法的エネルギーを抱えている状態で流れている、本来不可視の流れ、“アストラルストリーム”の集中点である必要がある。
前者に関しては、今回、奇跡的にヒカルのアミュレットで把握することができたが、後者は、そうそう都合よくそんな場所が────────まさか、ヒカルが滞在している日本の帝都、東京にそれが存在していると判明した時、世界接続試行班の研究員は変な笑い声を上げたと言う。
条件が整い、大規模結節点の準備がなされている最中、試験的に設置された連絡・意思伝達用の結節点から、相手国、アメリカ合衆国の情報が、チハーキュ政府にもたらされてきた。
「────これは!」
セルゲリオス等は、その情報を見て、驚愕した。
────現在。
「アメリカ合衆国は、我が国の生命線になる」
薄い雪化粧をした、レングードの都心部を見ながら、セルゲリオスは、険しい表情で、声に出していた。
「なんとしても、手に入れなければならない」
7月7日。
東京湾。
湾内に浮かぶ重巡洋艦『利根』の甲板上で、聯合艦隊司令部や軍令部、それに陸軍参謀本部の人間もが見守る中、それは始まった。
同じく『筑摩』の後部甲板上に、大日本帝国海軍の────否、そもそも軍人として毛色が違う、宗教儀式に使うようなローブ姿の、3人ほどの小柄な人間が立っている。
その中心に立っている人物が、やはり儀式に使うような杖を掲げる。杖頭から光が空、天に向かって一直線に上っていったかと思うと、より強い光の条が、東京湾を囲む日本列島の陸地の各方位から、10には満たない程度か、集まってくる。
「!」
そのうちの1条は、東京市内の方角から、極端な弾道曲線のアーチを描きながら、飛んできた。
──あの方角は…………
ある者はそう考えたが、その直後、光が集まって海面に達すると、そこから海面が沸騰したかのように、大量の白い水煙が発生する。
沸騰したかのように、というのは、視覚的にそう形容できると言うだけで、実際には、発生した水煙の量から想像できるような熱も、また、塩水である海水が急加熱された事を想像させるような、塩が焦げるような匂いも、発生していなかったからだ。
発生した大量の水煙は霧となり、利根と筑摩、それに数隻の巡洋艦と駆逐艦の遊弋する範囲以外は、陸地が見えなくなる程のそれに包まれた。
「お、おおっ!」
利根の甲板上で、どよめきが起こる。
光でできているのか、それとも実体があるのか、掴みどころのないような、ただ、巨大な────見上げるような、塚のような形状のものが現れ、その一方にトンネルの出入り口が形成されていた。
「────!!」
周囲の霧が晴れていく中、軍人たちが呆然とそれ見上げていると、今度は、別の衝撃と驚愕が、彼らを襲った。その表情は、先程の不可思議とは異なり、いくらかの、戦慄、緊張を伴っていた。
巨大なトンネルから、それは姿を表した。
基準排水量59,400トン、全長255m。
43.5口径46cm砲を前部に3連装2基、後部に連装1基。
チハーキュ帝国海軍ユリン級戦艦、ネームシップ『ユリン』。
前年、新学暦205年の11月の末に、スターリー第2海軍工廠で完成したばかりの、チハーキュ海軍最新鋭にして最強の戦艦が、世界の境を超えて東京湾にその巨体を進ませる。
「これは…………これと撃ち合えるのは、『大和』と『武蔵』ぐらいじゃないか……」
三和義勇、聯合艦隊作戦参謀が、その巨体を見て呟く。
三和は、自身が航空隊上がりの、山本五十六大将が代表格の航空主兵論者派閥の人間だが、とは言え、自国の建造した世界最大の戦艦と、同格のそれを目の前にすれば、その威容を感じざるを得ない。
それに────
「我々もまた、様々な観点から、洋上航空作戦を研究してきました」
以前、マデリン・グレイス・ローレンス少将の司令部との情報交換会を開いた時、その事を告げられた。
「そして導かれた結果は、航空攻撃を阻止する手段さえあれば、戦艦は極めて撃破困難な存在になるということです。そしてその手段として、我が海軍では戦闘機の充実を図ると同時に、電波警戒器の開発を進めてきたのです」
三和は、マデリンの言葉をリフレインさせるとともに、眼の前のユリンのマストにも装着されている、DKA-1 超短波電波警戒器のアンテナに視線をとられる。
日本海軍では電波探信儀と呼んでいる。イギリスではRadio Direction Finder、同じ英語でもアメリカではRAdio Direction And Rangding、レーダーと呼称しているものだ。
この事を突きつけられた時、三和は大きく戦慄した。
三和は、1930年代に各国で流行した「戦闘機不要論」の推進者の1人だった。攻撃機の高性能化により、航空攻撃の阻止は不可能になり、その為、戦闘機の価値は低下し、同時に大型水上艦は無価値になる、というものだ。
この考え方は、日華事変において、三菱G3M 九六式陸上攻撃機が、複葉機を含む中華民国軍の戦闘機の前に大損害を出し、その対策として、開発されたばかりの三菱A6M 零式艦上戦闘機を護衛機として投入したことで劇的な改善を見たことで、鳴りを潜めていたが、この間の戦闘機搭乗員の養成数の縮小は、現在にまで尾を引いている。
チハーキュでは、セレスSe12艦上爆撃機のような高速攻撃機を開発しておきながら、航空攻撃を阻止不可能とは考えず、更に踏み込んで戦闘機が優位に戦う為に、電波探信儀の開発を積極的に進めていたわけだ。
そして同時に、戦艦を無価値と結論付けなかった。常に艦隊の先鋒に配置し、戦闘展開の序盤は脆弱な空母の盾として機能させ、味方の攻勢の段階に入った時点で、突撃の尖兵として運用する。
ユリンはただ単純に戦艦として強いだけではなく、この洋上戦闘ドクトリンに沿って設計されていることが見て取れる。
やや高い位置にマウントされた16cm砲連装の副砲塔は、艦橋構造物と大小1基ずつの煙突を挟んで前後に配置されているが、左右位置はその前後で点対称になるように、艦軸上から横へオフセットされている。こうすることで、側面に対する射角を大きく取り、副砲の装備数を2基4門に減じている。そのかわり、本来副砲が並ぶべき側面には、これでもかと、高角砲、機銃を装備していた。
チハーキュ艦のデファクトスタンダードであるスチームターボ・スチームエレクトリック併用機関は総軸出力158,000hpを誇り、大和とほぼ同等の27ノットとなっている。これは、計画段階では32ノットだったものを、技術の限界と、エボールグ世界での海軍軍縮条約の制限から、このスペックに落ち着いたと言う。
「それにしても、だ」
渡辺安次戦務参謀が、訝しげな表情をしながら呟く。
「なぜ山本長官は、この艦が来ると解っていて、大和を歓待によこさなかったんだ……航空機が主役と考えたいのは解るが、せめて対等の艦を持っている事を見せたほうが良かっただろうに……」
渡辺の呟きは、この場にいる海軍関係者ほぼ全員が共有しているものだった。この威容を見て改めて圧倒されたものの、最新鋭戦艦1隻を派遣してくるというのは、あらかじめ知らされていたのである。
そうしている間にも、ユリンに引き連れられる形で、チハーキュ帝国海軍地球派遣艦隊の後続が、不可思議のトンネルを抜けて東京湾へと姿を表す。
レムリアス級空母『レムリアス』『アフルヘイムラー』。ミッドウェイ沖に突如出現することになったトヨカムネア級の次級で、基準排水量は30,500トンとされていて、寸法的にも翔鶴型よりやや大きめになっている。
シルフィオン級軽空母『シルフィオン』『エルファリオン』。サイズ的には祥鳳型と大差がないが、最初から空母としてのみの用途で設計・建造されたため、搭載機数はやや多い。
そして、ラピス・デル・プエルト級重巡洋艦『ラピス・デル・プエルト』……────この艦を見て、日本海軍の高官達は微妙な心境をしているかのような、わずかに引きつった苦笑を浮かべた。
簡単に言うと「やってることが大和と似たようなもん」────主砲に46口径24cm砲を、連装で前部2基・後部1基搭載しているが、────この砲の形式名が「50口径20cm艦載砲mod.203」────早い話が、重巡洋艦の備砲をエボールグ世界での「ラミューズ海海軍軍縮条約」で20cmが上限とされているのを、スケーリングを誤魔化して24cm砲を20cm砲と言い張ってるわけである。
エルディラス級戦艦『シャーウィス』。これは現代的ではあるものの、備砲は主砲として45口径32.4cm砲を連装で前後の2基のみ、中間砲として35口径30cm砲をセミケースメイト式で点対称配置にしている、地球ではプレ・ドレッドノートスタイルとされている旧態な戦艦だ。ではなぜチハーキュ海軍がこれを戦艦でございと言っているのかと言うと、地球で言うところのドレットノートスタイルの戦艦は、軍縮条約で、戦艦全体の中でさらに制限があるため、ドレッドノートスタイルの一等戦艦を補完する目的で、二等戦艦として整備が続けられているわけである。
これら主力艦の直掩となる水雷戦隊も姿を表す。あらかじめ知らされていたように、軽巡洋艦は対空能力確保のために本来の備砲を一部下ろして両用砲になっていて、駆逐艦は竣工時の初春型の艦体を少し大きくして復元性を確保したような姿をしている。
ただ、そんなチグハグした見た目をしている軽巡洋艦でも、艦体はずっと洗練されているように見えて、日本海軍側の関係者は複雑に心境になっていた。
これは、日本側の事情だ。こちらはこちらで、ロンドン海軍軍縮条約下において、重巡洋艦の艦体を軽巡洋艦の枠で建造しておくという手段に使ってしまっていた(最上型、利根型)為、現状の軽巡洋艦は5,500トン級と呼ばれる、1920年頃の設計のままの旧式艦ばかりなのである。
「機帆艦は、流石に来なかったな」
黒島亀人専任参謀が呟いた。
以前も説明したが、エボールグでの燃料調達の事情から、主戦力ではなく主に警護用の艦・艦艇は、帆を張れるマストを持っていて、帆走できるようになっている。
今回の、地球派遣艦隊第一波には機帆艦は含まれていない一方、機走専門のチハーキュ艦を見ると、空母も含めて、どいつもこいつも、集合式の大煙突に、小煙突が組み合わさっている。
これも機帆艦の存在と同じで、機走専用艦に関しても、航続距離を稼ごうと、オール重油専燃ではなく、ボイラーの一部が燃焼持続時間の長い石炭を併用可能とする混焼缶にしていて、黒煙の発生の差から煙路を分岐しているためだ。
そしてやはり、その目的で低速時の効率と回転数変動に強いレシプロユニットを併用する。レシプロとタービンでは回転特性に差があるが、地球の艦が同じタービンでも回転数に大きな差がある巡航用タービンと高速用タービンを分けて出力域でどちらか一方を使っている(補足すると、ほとんどの場合使っていない側のタービンは回転抵抗として空転させているが、日本はクラッチで切り離している)が、チハーキュはデッドウェイト化を嫌って、レシプロユニットは動力伝達を電気式とし(モーターはタービンと回転に対する反応が近い)、戦闘出力時もレシプロも動力に貢献する構造をしている艦が多い。
…………と、黒島が感想を胸中で呟きつつ、眺めていると、最後の最後で、ヌッ、とそれが姿を表した。
補給艦が機帆併用、なのまでは良かったが、舷側にパドルボックス付きの外輪を張り出したパドルホイーラーなのは想定の範囲外だった。
軍艦にも増して、民間船は燃料補給がシビアなことから、機帆併用船が主流なのだが、帆走用のマストがあると船体上部のスペースが限られるため、その分船体内のスペースをより貨物用に確保したれということで未だに外輪にしたがる悪癖が海運業の身に染み付いてしまっていた。
なんせ、石油を運ぶはずのタンカーが、外輪船の上に燃料節約のために平気で帆を張って航走しているのである。
軍籍のフネでも、速度を要求していないタイプの補給艦、輸送艦などは、民間の海運協会の推奨規格型貨物船の外輪艦も多い。
「?」
日本海軍の人間が妙なリアクションをとり、日本陸軍の人間がそれを何事かと見ている前を、海運協会推奨規格9,850トン型補給艦『ルシナンテス』は、悠々と横切っていった。
「ふう……」
筑摩の後部甲板上では、トンネルを出現させたローブ姿の人間のリーダー────チハーキュ海軍 エラ・ノルフェス・ディアナ医療技術中尉が、緊張と疲労との両方から滲んだ汗を、手拭いで拭っていた。
「お疲れさまでした。うまく行ってよかったですね」
「本当よ……こんな大魔法、専門外だっての」
他のローブ姿の2人、エラの部下に声をかけられて、エラは、疲労感に少しの憤りを混ぜてそう言った。
自国の発展を科学技術に頼ることへ舵を切ったチハーキュ帝国だったが、魔学文明圏との対立もあって、自国も魔法研究をすべて放棄してしまったわけではない。
軍も例外ではなく、艦隊司令部には魔導師資格を持つ人間が技術士官や士官待遇軍属として乗り込んでいる事がある。
チハーキュ帝国でマイノリティだが比較的多数派である、ダークエルフの国家公認魔導師資格持ちであるエラは、海軍に入隊した後進の魔導師の訓練カリキュラムのため、 ────練習船『ジノプス』に乗り込んでいた。突然現れた不明機、米軍のSBD『ドーントレス』に立て続けに3発の500lb爆弾を受け、ジノプスは轟沈。この場にいるエラらは九死に一生を得たが、教え子、短期間とは言え生活を共にしていた訓練生、ジノプス乗組員の多くが帰らない身になった。
「どーしてこんなに急いでるんだか……」
「お疲れ様です、どうぞ」
エラがぼやき節を口にしていると、そこへ、筑摩の下士官の1人が、コップに入った麦茶を持ってきた。エラも、他の2人も、それを受け取り、口につけて煽った。
「────どうにも、性急だなぁ……」
利根の甲板上にも、エラと同じ疑問を呟く人間がいた。
大日本帝国陸軍、辻政信中佐は、地球派遣艦隊の威容を見ながら、思考を巡らせる。
──誤認とは言え、皇太女殿下を乗せた艦隊に先制攻撃など受けたら、謝罪させてハイ終わりというわけにはいかないのは解る…………
言いつつ、辻は戦闘を行くユリンを注視する。
──だが、……門外漢とは言え、明らかに、意図がただの報復にしては過剰な戦力を送り込んできているのは解る……この後、陸軍航空隊も来ると言うし、これはまだ第一陣という話もあるし、相応の損害を強いた上で矛を収めるという様子ではないが……
眉を顰めて怪訝そうにしながら、思考を巡らせていた辻だったが、
「まぁ、毒を喰らわば皿まで、か」
と、声に出して呟き、唇に歪な笑みを浮かべた。
同日。
惑星エボールグ。
チハーキュ帝国、本土カムイガルド亜大陸。
帝都レングード。
エボールグの南半球に位置するカムイガルドの季節は、冬。
旧暦末期の独立戦争時代、チイイニ朝の独立軍の本拠地として、盆地の城塞都市として独立後の発展の契機となったレングードは、薄い雪化粧をしている。
空は雲に遮られ、二重太陽は見ることができない。
「そうか、無事、東京に着いたか」
内閣総理大臣、セルゲリオス・ハドソン・グレンは、首相官邸の執務室でその報告を受けた。
「はい。東京は軍港施設がありませんので、軍港施設の横須賀へ移動するとのことです。明日、陸軍航空隊も出発予定です」
「結構だ。行動の仔細は国防参謀本部に任せるが、可能な限り、海軍省本省(この場合、チハーキュ帝国のそれのこと)とは連絡を密にするようにと」
「はい。伝えてあります」
────1ヶ月前。
チハーキュ帝国皇太女、ヒカル・エヴァンジェリン・ブレイク・チイイニ・チハーキュ・レムゼンが同道している訓練艦隊が突如消息を絶ち、当然、チハーキュ側もこの事態に、国家全体がひっくり返るかのような大騒ぎになった。
動機から、魔学圏の盟主国、イビム連合王国かその周辺の疑いの関与が濃厚と推測し、示威行動も兼ねて、最新鋭戦艦ユリンを含む捜索艦隊を、推定消息海域に向かわせようとした、まさにその直前。
北西の沿岸部に存在する、魔法研究都市モスクラーの国立研究所から、ヒカルが身につけている、皇室の護符の所在地を掴んだ、という報告がなされた。
モスクラーとレングードは鉄道なら2晩かかるが、その時ばかりは軍の航空機が手配され、4時間後にモスクラーのアミュレット捜索班はレングードに到着した。
お互い採るものも取り敢えず、セルゲリオス達閣僚が受けた報告は、
「異世界にいるゥ!?」
────当然のようにこうなった。
アミュレットに仕込まれた魔術式は、会話と言うか、厳密には言語ではないが、脳内のイメージを伝達することによる遠隔の意思疎通も可能である。
…………そんな物があるなら電気通信設備なんか必要ないじゃないか、と言われるかも知れないが、こんな異世界との間でも連絡ができるようなものが、ポンポン手に入るワケがない。真っ更から作ったら、国家予算1・2年分が吹っ飛ぶ。しかも誰もが使えるのかと言うと、そう言うわけでもない。魔導の素質がまーったくない者というのもいて、そういう者がこうしたマジックアイテムを持っても無価値になってしまう。
科学技術は、“万人に平等”という点が最も強いのだ。また、力の根源をそちらに移したからこそ、選民思想から脱却できた面もある。
ちなみに最初に、レングード側からヒカルにコンタクトを取った時、ヒカルは艦隊を保護した国の皇帝と歓談中であったと言う。
次に、練習艦隊を帰すにしても、相手の国────アメリカ合衆国への報復を行うにせよ、日本への援助をするにせよ、双方が行き来できるようにする必要がある。
訓練艦隊が異世界────地球へ迷い込んだ以上、両者の世界は連絡する事ができることは明らかだ。
モスクラーの研究所は、以前から、伝承に現れる世界転移現象を研究し、それについて、現実に起きうるものだと研究報告を出していた。
ただ、自然現象では起きうるが、人為的に再現するとなると、都合よく行うことは不可能、と考えられていた。
まず、空間に存在する複数の世界の相対位置を把握しなければならない。次に、接続点を造るには、双方に、物質が魔法的エネルギーを抱えている状態で流れている、本来不可視の流れ、“アストラルストリーム”の集中点である必要がある。
前者に関しては、今回、奇跡的にヒカルのアミュレットで把握することができたが、後者は、そうそう都合よくそんな場所が────────まさか、ヒカルが滞在している日本の帝都、東京にそれが存在していると判明した時、世界接続試行班の研究員は変な笑い声を上げたと言う。
条件が整い、大規模結節点の準備がなされている最中、試験的に設置された連絡・意思伝達用の結節点から、相手国、アメリカ合衆国の情報が、チハーキュ政府にもたらされてきた。
「────これは!」
セルゲリオス等は、その情報を見て、驚愕した。
────現在。
「アメリカ合衆国は、我が国の生命線になる」
薄い雪化粧をした、レングードの都心部を見ながら、セルゲリオスは、険しい表情で、声に出していた。
「なんとしても、手に入れなければならない」
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