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祭りは家族と?
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そして花火大会当日、河川敷で色とりどりの花火の合間に、
「確かにきれいだけどさ、途切れて下向いたら急に現実に引き戻されるよな」
とため息をつく学に、
「確かに色気ねぇよな」
とダイサクも相づちを打つ。
「だからってこんだけ混んでるとなかなか好みの浴衣美人に声かけんのも難しいしな」
「んで、そういうのに限ってカレシ持ちだったりするしな」
女ばっかりのグループは何気にガード堅いしなと言った学は、
「それはそうと、お前ら祭りの当日は暇? 一緒に回ろうぜ」
と、後の二人に言った。
「バイトの手伝いはあるけど、合わせてくれれば構わないよ」
とすぐに承諾した大輔に対して、
「俺は……ちょっと……」
ダイサクは言葉を濁した。
「そうか、神神飯店も屋台出すんだったよな。でも、出ずっぱりじゃないだろ?」
時間を合わせてもらえばいいじゃんと言う大輔に、
「それは、そうなんだけどさ……いや、えーっとその……家族が……」
というダイサクの返事は何とも歯切れ悪い。それを聞いて、
「へっ? 田舎から親でも出てくんの?」
と素っ頓狂な声を上げた学に、
「ま、まぁそんなとこ。盆休みだから……」
ダイサクはしどろもどろでそう答えた。
実は祭り当日、ダイサクの愛知の家族が来る予定はまったくない。しかも、
「屋台毎年二人ダイジョブね。祭り楽しむ良いよ。
それに、中華点心浴衣変ね」
と、屋台を手伝わなくても良いという玉璽。
ちなみに当日開はいつものコック服、玉璽はチャイナドレスを着て屋台に立つ。ただ、唐揚げ串、春巻き、揚げ餃子の中に『屋台には必須』と玉爾が譲らず韓国料理のトッポッキが入っているのがいかにも神神流ではあるのだが。
実は玉璽はキムチたっぷりのチヂミも焼きたかったのだが、調理法の違うものを何種類も作れなかったのと、あまりにも激辛テイストのため、激辛苦手な天衣が全力で
『そんな激辛ばっか売れないよぉ』
と、せめて一つに絞れと言ったからで、それならと唐揚げ串と同じ紙コップを利用できるという理由でトッポッキに決まったのだった。
とにかく、手伝うことがなくなったダイサクはならばと、
「じゃぁ、テンテンちゃん、俺と祭り回らない?」
と、天衣を誘ったのだ。
「ダイサク君と回るの?……うーん、どうしようかな」
すると、天衣は少し困ったような表情をしたが、
「別に、良いけど?」
とすぐに承諾した。すかさず、
「良いね、ダイサク、小天デートしてくるアル」
とニヤニヤ笑いながら開が言う。
「で、デートってそんなんじゃないよね。あたしとダイサク君は家族……そう家族みたいなもんでしょ!」
それに対してそうムキになって言う天衣の言葉を思い出しながら、
「そう家族、うん家族とだ」
と何度も家族を強調するダイサクの頬はかなり緩んでいたのだった。
「確かにきれいだけどさ、途切れて下向いたら急に現実に引き戻されるよな」
とため息をつく学に、
「確かに色気ねぇよな」
とダイサクも相づちを打つ。
「だからってこんだけ混んでるとなかなか好みの浴衣美人に声かけんのも難しいしな」
「んで、そういうのに限ってカレシ持ちだったりするしな」
女ばっかりのグループは何気にガード堅いしなと言った学は、
「それはそうと、お前ら祭りの当日は暇? 一緒に回ろうぜ」
と、後の二人に言った。
「バイトの手伝いはあるけど、合わせてくれれば構わないよ」
とすぐに承諾した大輔に対して、
「俺は……ちょっと……」
ダイサクは言葉を濁した。
「そうか、神神飯店も屋台出すんだったよな。でも、出ずっぱりじゃないだろ?」
時間を合わせてもらえばいいじゃんと言う大輔に、
「それは、そうなんだけどさ……いや、えーっとその……家族が……」
というダイサクの返事は何とも歯切れ悪い。それを聞いて、
「へっ? 田舎から親でも出てくんの?」
と素っ頓狂な声を上げた学に、
「ま、まぁそんなとこ。盆休みだから……」
ダイサクはしどろもどろでそう答えた。
実は祭り当日、ダイサクの愛知の家族が来る予定はまったくない。しかも、
「屋台毎年二人ダイジョブね。祭り楽しむ良いよ。
それに、中華点心浴衣変ね」
と、屋台を手伝わなくても良いという玉璽。
ちなみに当日開はいつものコック服、玉璽はチャイナドレスを着て屋台に立つ。ただ、唐揚げ串、春巻き、揚げ餃子の中に『屋台には必須』と玉爾が譲らず韓国料理のトッポッキが入っているのがいかにも神神流ではあるのだが。
実は玉璽はキムチたっぷりのチヂミも焼きたかったのだが、調理法の違うものを何種類も作れなかったのと、あまりにも激辛テイストのため、激辛苦手な天衣が全力で
『そんな激辛ばっか売れないよぉ』
と、せめて一つに絞れと言ったからで、それならと唐揚げ串と同じ紙コップを利用できるという理由でトッポッキに決まったのだった。
とにかく、手伝うことがなくなったダイサクはならばと、
「じゃぁ、テンテンちゃん、俺と祭り回らない?」
と、天衣を誘ったのだ。
「ダイサク君と回るの?……うーん、どうしようかな」
すると、天衣は少し困ったような表情をしたが、
「別に、良いけど?」
とすぐに承諾した。すかさず、
「良いね、ダイサク、小天デートしてくるアル」
とニヤニヤ笑いながら開が言う。
「で、デートってそんなんじゃないよね。あたしとダイサク君は家族……そう家族みたいなもんでしょ!」
それに対してそうムキになって言う天衣の言葉を思い出しながら、
「そう家族、うん家族とだ」
と何度も家族を強調するダイサクの頬はかなり緩んでいたのだった。
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