32 / 33
番外:ある男のひとりごと
しおりを挟む
……ああ、俺を地獄に誘う鐘の音がする……
純白の衣装に身を包んだお前はさながら花のようだった。
「とってもきれいだ」
思わずそう言ってしまった俺にお前は、
「そんなことないよ、私の顔なんて平凡だし、お肌も若い頃みたいにプリプリじゃないもん」
と首を振る。お前の顔が平凡だって? 肌がどうだって? お前は何もわかっちゃいない。本当にそうなら、俺はこの日までどんなに楽だったろうよ。
次から次へと現れる狼を一人ずつ確実につぶしていくのは、どんなに大変だったか。無防備すぎるお前にはよもや解るまい。
「一応、お前のツレには知らせたからな。もうそろそろ来るだろうよ」
と言った俺に照れながら一言、
「うん、ありがとう」
と言ったお前は、俺が今まで見てきた中での最高の笑顔だった。その笑顔の理由がアイツだというのが腹立たしい。俺はお前から目を逸らした。そして、
「俺もアイツのことで使われるのは癪に障るが、今日のお前の顔に免じておとなしく使われてやる。全く、愛されている顔しやがって」
そう言った俺に、お前は口を尖らせるが、まだたったの一月だ。一月でお前はすっかり女の顔になった。それを愛されてないとどうして言える。
ああ、くれてやる、くれてやるともさ。そして、俺がぐぅの音もでないほどアイツに幸せにしてもらえ!
ま、俺の横にはもう、お前と同じくらい危なっかしい奴がいるからな。こいつにかまけてなきゃ、お前をアイツに取られるようなドジは踏まなかったかもしれないが。
それも良かったんだよな。お前がこんなに幸せそうに笑っているんだから。
とにかく、おめでとう更紗。俺の大切な姉さん。
※更紗の弟正巳のブラックな脳内をお届けしました。
純白の衣装に身を包んだお前はさながら花のようだった。
「とってもきれいだ」
思わずそう言ってしまった俺にお前は、
「そんなことないよ、私の顔なんて平凡だし、お肌も若い頃みたいにプリプリじゃないもん」
と首を振る。お前の顔が平凡だって? 肌がどうだって? お前は何もわかっちゃいない。本当にそうなら、俺はこの日までどんなに楽だったろうよ。
次から次へと現れる狼を一人ずつ確実につぶしていくのは、どんなに大変だったか。無防備すぎるお前にはよもや解るまい。
「一応、お前のツレには知らせたからな。もうそろそろ来るだろうよ」
と言った俺に照れながら一言、
「うん、ありがとう」
と言ったお前は、俺が今まで見てきた中での最高の笑顔だった。その笑顔の理由がアイツだというのが腹立たしい。俺はお前から目を逸らした。そして、
「俺もアイツのことで使われるのは癪に障るが、今日のお前の顔に免じておとなしく使われてやる。全く、愛されている顔しやがって」
そう言った俺に、お前は口を尖らせるが、まだたったの一月だ。一月でお前はすっかり女の顔になった。それを愛されてないとどうして言える。
ああ、くれてやる、くれてやるともさ。そして、俺がぐぅの音もでないほどアイツに幸せにしてもらえ!
ま、俺の横にはもう、お前と同じくらい危なっかしい奴がいるからな。こいつにかまけてなきゃ、お前をアイツに取られるようなドジは踏まなかったかもしれないが。
それも良かったんだよな。お前がこんなに幸せそうに笑っているんだから。
とにかく、おめでとう更紗。俺の大切な姉さん。
※更紗の弟正巳のブラックな脳内をお届けしました。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる