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やった! 見える人発見~♪
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「もしかしてそれって私に言ってるの?」
そう言った私と、金髪で淡い紫の瞳をした男の人と目が合う。
「もしかしなくても、君のことだよ」
すると、男の人はきょとんとしてそう言った。いたよ、私が分かる人! それから男の人は、
「早く帰らないと、お父様やお母様が心配するよ」
と言いかけたが、私の全身をまじまじと見て、
「あ……まさかお葬式のあととか?」
と聞く。
そうか、こっちでもそういうときはカラフルじゃないんだなと、どこかホッとしながら、あながちお葬式も間違いじゃないなと思ってしまって私はコクリと頷いた。ただそれは、この男の人が考えているみたいに私の身内のじゃなくて、自分本人のなんだけど。きっと今頃日本の私の家ではお通夜が行われているはず。すると男の人は、
「そうか……ゴメン」
そういって頭を下げる。
「別に謝らなくてもいいですよ。ただ、今はこれから先、どうしていいか判らなくて空を見ていただけですから」
そうなのだ、疲れないしお腹空かないし(ここにきてから約半日、当然何も食べてない。でも全然大丈夫)別にふらふら漂っててもなんの問題もない。ただ、ここが私の生まれ育った町ならともかく、知らない町ってか、知らない世界じゃねぇ……知り合いでもない人の生活を見てもなぁって話。男の人はそれに対して、
「にしても、ちゃんとお家には帰らなきゃね」
にっこり笑ってそう諭す。
(いや、そのお家にたどり着く術さえわかんないんですってば)と心の中では激しく反論しながら、上っ面だけは笑みを張り付ける。腐ったって日本人(いや今日の話だからさすがにまだ腐っちゃいないだろうけどさ)、本心隠して笑うのは得意中の得意よ。でも、
「ま、ここにこうしてるのもなんだし、ウチでお茶でも飲んで行かない」
と言われて一瞬躊躇する。すると男の人は、
「い……いや、変な下心なんてないよ。ただ、今いいお茶を買ってきたからさ」
何を勘違いしたのか、大慌てでそう言って持っている紙袋を振り回す。あー、でも私が心配してるのはそこじゃないんだな。確かに、普通の状態なら貞操の危機なんだろうけど……(違う?)
「おじゃましてもいいんですか?」
と遠慮がちに言う私に、
「僕は全然構わないよ。ただ、散らかってるから、呆れないでほしいけど。
あ、僕の名前はジェラルド・サンダーボルト。みんなはジル・サンダーって呼んでるよ」
男の人改め、ジル・サンダーはそういって私に右手を差し出した。私はその右手に自分の手を乗せようとしたが、スカっとすり抜けちゃった! 慌てて乗せたフリをしてふわりと石垣から降りる。正直冷や汗ものだったけど(そうは言っても実際冷や汗はかかないんだけどさ)ジル・サンダーはあれっ? って表情をしただけで気づいてないっぽい。化け物認定で騒がれないのはありがたかったけど、なんだかなぁ……
そして私は、ジル・サンダーに付いて行った。今のとこ唯一会話できる貴重な人だし。この世界のこと聞きたいじゃない。
そう言った私と、金髪で淡い紫の瞳をした男の人と目が合う。
「もしかしなくても、君のことだよ」
すると、男の人はきょとんとしてそう言った。いたよ、私が分かる人! それから男の人は、
「早く帰らないと、お父様やお母様が心配するよ」
と言いかけたが、私の全身をまじまじと見て、
「あ……まさかお葬式のあととか?」
と聞く。
そうか、こっちでもそういうときはカラフルじゃないんだなと、どこかホッとしながら、あながちお葬式も間違いじゃないなと思ってしまって私はコクリと頷いた。ただそれは、この男の人が考えているみたいに私の身内のじゃなくて、自分本人のなんだけど。きっと今頃日本の私の家ではお通夜が行われているはず。すると男の人は、
「そうか……ゴメン」
そういって頭を下げる。
「別に謝らなくてもいいですよ。ただ、今はこれから先、どうしていいか判らなくて空を見ていただけですから」
そうなのだ、疲れないしお腹空かないし(ここにきてから約半日、当然何も食べてない。でも全然大丈夫)別にふらふら漂っててもなんの問題もない。ただ、ここが私の生まれ育った町ならともかく、知らない町ってか、知らない世界じゃねぇ……知り合いでもない人の生活を見てもなぁって話。男の人はそれに対して、
「にしても、ちゃんとお家には帰らなきゃね」
にっこり笑ってそう諭す。
(いや、そのお家にたどり着く術さえわかんないんですってば)と心の中では激しく反論しながら、上っ面だけは笑みを張り付ける。腐ったって日本人(いや今日の話だからさすがにまだ腐っちゃいないだろうけどさ)、本心隠して笑うのは得意中の得意よ。でも、
「ま、ここにこうしてるのもなんだし、ウチでお茶でも飲んで行かない」
と言われて一瞬躊躇する。すると男の人は、
「い……いや、変な下心なんてないよ。ただ、今いいお茶を買ってきたからさ」
何を勘違いしたのか、大慌てでそう言って持っている紙袋を振り回す。あー、でも私が心配してるのはそこじゃないんだな。確かに、普通の状態なら貞操の危機なんだろうけど……(違う?)
「おじゃましてもいいんですか?」
と遠慮がちに言う私に、
「僕は全然構わないよ。ただ、散らかってるから、呆れないでほしいけど。
あ、僕の名前はジェラルド・サンダーボルト。みんなはジル・サンダーって呼んでるよ」
男の人改め、ジル・サンダーはそういって私に右手を差し出した。私はその右手に自分の手を乗せようとしたが、スカっとすり抜けちゃった! 慌てて乗せたフリをしてふわりと石垣から降りる。正直冷や汗ものだったけど(そうは言っても実際冷や汗はかかないんだけどさ)ジル・サンダーはあれっ? って表情をしただけで気づいてないっぽい。化け物認定で騒がれないのはありがたかったけど、なんだかなぁ……
そして私は、ジル・サンダーに付いて行った。今のとこ唯一会話できる貴重な人だし。この世界のこと聞きたいじゃない。
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