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第一部

丸薬の一夜 8 ※

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ぬちゃっ。
まだ少しでもレフラに余力が残っていたのなら、その音の出どころからも、思わず耳を塞いだはずだ。だが粘り気のある水音とひきつるような息遣いと共に、後孔から指を引き抜かれたレフラには、そんな余裕はもう残っていなかった。

この前のように辛い摩擦を伴わなかっただけでも良かったのかもしれない。だが狭い内壁をこじ開けられる辛さは変わらないのだ。その上に刺激に驚いた内壁も細かく蠕動ぜんどうを起こしていた。

丸薬の大きさはわずか二センチ。舐め溶かした事などを考慮すれば、奥に留め置かれた丸薬のサイズはそれ以下だろう。でも含まされたレフラには、そんなサイズだとは思えなかった。

「やっ、ギガイ様、いやです、いや、出ちゃいます!」

それに何よりも生じた蠕動が、中から異物を押しだそうとする排泄じみた動きをするのだ。本来なら最も人の目から隠すべき生理的な要求だ。それをこんな秘部を晒している最中に感じてしまい、レフラの感情はもはや恐怖に近かった。見開かれた双眼が潤んでくる。

「ダメだ、出すな。出せば個数を増やして入れるぞ」

だが訴えは想定内だったのだろう。レフラの必死な声音に反して、応えるギガイの声は落ち着いていた。それどころか面白がるような素振りさえある。

「いやっーー!!」

ククッと小さく笑ったギガイからの恐ろしい宣言にレフラの顔が青ざめる。限界まで見開いて首を必死に振ったレフラの双眼から、ついにポロリと涙が零れた。だって言っていた。手慣れた娼婦でも乱れるような薬だと。そんな薬を幾つも入れられて、正気を保てるはずがない。

「そうだ、そうやって堪えていろ。溶けた薬も零さないようにな」

ギガイの指先が触れたままの後孔に力を込める。締め付けた分、ますます内に含んだ丸薬を感じてしまい辛さが増した。それでも排泄への恐怖と追加される恐怖に、ハッハッと短く息を吐いてレフラはどうにか堪えようとする。

それなのに、弄うようにその窄みの縁をくるくるとギガイの指先がなぞるのだ。なぞるギガイの指先の刺激に合わせて開閉しそうになる窄みに、レフラが縋るようにギガイを見つめた。

「っあぁ、ダメです、ギガイ様…ッ…触らないで下さい……やぁ、お願い、です……」

生理的な要求は、意思の力で押し止めるだけでも苦痛を生んだ。素直であれば大切にすると言ってくれていた。差し込むような痛みの中で、お願いだから、と視線に込める。

「ふざけ過ぎたな。ほら、泣くな。すぐに治まる。しばらく堪えていろ」

思いが通じたのか。それともただの気まぐれなのか。本格的に泣きが入り始めていたレフラを見て、苦笑したギガイがレフラの身体丸ごとを引き起こした。
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