上 下
1 / 1

あなただけが好き

しおりを挟む
 僕とアリアは家が隣どうしの所謂幼なじみだ。
 親同士も仲が良く、僕とアリアは幼い頃から二人でよく遊んでいた。

 僕達の住むこの国には、人族、獣人族、魔人族がいる。
 魔人族は魔法が使える。だから、その力を手に入れようと人々は争いを繰り返した。その結果、今はその数が減ってしまい、滅多に出会う事はない。
 獣人族は、人族より優れた能力がある、それに、つがいという相手がいるらしい。

 僕の家族と、アリアとアリアの父親は人族だった。
 周りには獣人の友達もいる。
 僕達が十歳になった頃、同じ種族同士より、別の種族と結婚した方が、より優秀な子孫を残せるのだと学んだ。
 そして『つがい』という子供を成せる年になると、獣人のみが感知できて、それが何よりも優先されるという理不尽な制度がある事も知った。

 僕は、アリアが好きだ。

 いつも傍にいて、遊んで、ケンカした事もあったかな? 泣かせた事も、泣かされた事も、二人でいつも一緒にいたから 好きになるのは息を吸うぐらい自然なことだった。

 今、僕らは十歳だ。
 今はまだ未熟な身体だが、あと数年も経ったら、完全に子供を成せる身体になる。

 その時……どちらかが獣人に『番』と認められたら……。

 どうすればいい?


「もうっ! どうしてレイはアタシの番じゃないのかしらっ‼︎」

 十六歳になった俺に、こう言ってくる獣人の女の子は多かった。

「アタシ、レイの見た目も声も、何もかもが大好きなのにぃ」

 アリアの友人で、猫の獣人のサミィが、体をクネクネさせながら上目遣いに話してくる。

「どうも」

 金髪で碧眼の、自分でいうのも何だが、割と整った顔立ちの俺は、人族、獣人族ともに人気があるらしい。

「アリアも好きでしょう、レイのこと?」

 サミィがアリアの腕をツンツンしながら聞いている。

 それまで、俯きかげんでカフェの隅にいたアリアが、俺をチラリと見て目を逸らした。

 ……アリア……。

 いつからか、アリアは俺を避けるようになっていた。

 幼い頃は常に一緒にいたアリア。だけど、成長する度に、少しずつ女友達と遊ぶ事の方が多くなっていった。

 俺も段々と、男の友達とふざけ合う事の方が増えたけど。

 明らかに距離を感じはじめたのは、俺が自分のことを『僕』から『俺』へと変えた頃からだったか…。

 けれど、アリアが俺以外といても、俺は常にアリアを見ていた。
 アリアの友人とは、必ず友人になるようにした。
 だって、不安だろう?
 俺の知らないヤツがアリアの近くにいるなんて。

「お前、少しおかしいよ?」

 俺はよく、友達からこう言われていた。
 
 アリアに向ける俺の好意が、友人達からは異常に思えたみたいだ。

 けれど、アリアも気が付いていたはずだ。常に視界の何処かに俺がいたことに。
 でも、彼女は何も言わない。それどころか時折、俺の姿を捜してるようにも見えた。

 俺は、例え会話が無くても、アリアの視界に入っている、それだけでよかった。



 サミィの問いに、アリアはプイッと拗ねたような顔になる。

「なんとも思ってないわ」

 小さな声でアリアは言って立ち上がった。

「えっ、アリアちょっと!」

 ちょっと茶化したつもりだったサミィは、焦ってアリアの腕を引く。

「ごめん、サミィ 私帰るわ」

 アリアはそっとサミィの手を払い除けると、テーブルにお金を置いて、店を出て行った。
 サミィは慌てて「レイ、ごめんね! アタシが追いかけるから、心配しないで! 後で連絡する!」と言うと、自分の分のお代をテーブルにバンッと置いて、アリアを追いかけ店を出た。


「俺、嫌われてるのかなぁ」

 はあっとため息と共に本音が漏れた。
 彼女が不機嫌そうな顔をしている事は、よくあるけれど、こうやって帰られたのは初めてだ。

 俺を好きだと聞かれた事は、そんなに嫌な事だった?

「レイはモテるから、アリアも素直になれないのよ」

 キャシーが言う。
 向かい側に座っているキャシーは鳥の獣人。
 俺とアリアに二つ年上の彼女は、頼りになる姉のような存在だ。

「それに、レイも気持ちを伝えていない。そうでしょう?」

「ああ……そうだよ、俺は……」

 アリアのことが好きだ。

 近くにいるのが当たり前で、いないと不安でどうしようもなくなる。目が合えば心臓は高鳴り、アリアの香りがすれば、抱きしめたい衝動に駆られる。

 ずっと想っているけど、彼女に直接、口にした事はない。

「お互いに好き合っているみたいだけど? 問題は無いんじゃないの⁈」

「俺が、臆病なだけだよ……」

 アリアの本当の気持ちもわからないし……。

 
 あの制度を知った日、家に帰った俺は、父さんと母さんに言った。

「僕は大人になったら、アリアと結婚したい!」

 きっと笑って賛同してくれる、そう思っていた。

 しかし、いつも優しい母さんが急に態度を変えた。見たこともない冷たい目を俺に向けて、低い声で言ったんだ。

「そんな事、絶対許さない」

 それを聞いていた父さんは、何も言わず俺の事を何か考えるように見ていた。

 そう言えば、ああ、あの頃からだ。
 アリアが俺から離れていく様になったのは……。


「キャシー、聞いていい?」

 俺は獣人族にしか分からない、番のことが知りたかった。

「どうやって『番』って感じるのか知ってる?」

 俺とキャシーの二人だけになったテーブルで、ずっと前から知りたいと思っていた事を尋ねた。

 キャシーは目を瞬かせ、うーんと首を傾げる。

「番かぁ……。まぁ、私はまだ会っていないからハッキリとは言えないけど。聞いたところによると、特別な香りがするらしいわよ」
「香り?」
「そう、とにかく自分にとって凄く良い香りがするらしいわ、それから……その人を見た途端に、視界が一点に絞られるって事も聞いた。でも、視界は番の手を取った瞬間に元に戻るらしいけどね」

 一点に絞られる視界? そんなの、俺にとってはいつもの事だ。
 俺の視界には、アリアしか映らない。

「それで、香りの方は、子供が生まれたら分からなくなるそうよ?」

 ーーえっ⁈

「子供が生まれたら香りは感じなくなる? そういう事?」

 うんうんと頷くと、キャシーは冷めてしまったお茶を一口飲んだ。

「香りが無くなると番という事も認識が難しいかもね。でも、はじめに番と分かっているし、子供だって生まれている訳だもの。長く一緒にいたら、愛情が生まれているんじゃないかしら? まぁ、中には別れる人もいるみたいだけど」
「えっ、番は永遠に愛する者じゃないのか?」

「やあね、レイ、どうしてそう思うの?」

 キャシーはクスクス笑いながらレイを見て話す。

「獣人の番が一生一人なんて、今では稀ね。あ、でも鳥の獣人に少数と狼獣人の中にも少しはいたわ。ま、その程度よ?」

「えっ……」俺は愕然とする。

「これはね、あまり知られてないのよ。獣人達でさえ知らない者が多いと思うわ。だって『番』と出会う事自体が珍しい事だもの。だけど本当よ?」
「じゃあ、何のためにつがいなんてあるんだ⁈」

 レイの問いに、キャシーは考えるようにテーブルの上に目を落とした。
 それから、目の前にある砂糖菓子を一つ摘んで、指で潰した。粉々になる感触が楽しかったのか、また一つ指で潰す。

「それは簡単な事だわ。レイ、より優秀な子孫を残すため」
「それだけ?」
「そうよ、でもとっても大事なことでしょう? だからね、番が現れたら、今まで愛していた人も、自分の子供だって簡単に捨てるのよ。より良いものを残そうと本能が働くんだと思うわ」

 そんな……。

「ただね、番に出会うのは奇跡に近いわ。だから出会った獣人は何としても手に入れる。本能の赴くままに、それが絶対の愛だと信じてね」
「レイとアリアは人族なんだから『番』が現れて大切な人と離されない様に気をつけてね! 番制度は優先だから。それに、レイ、あなた獣人からモテるでしょ? 番だって嘘を吐かれて無理矢理結婚させられる事だってあるかも知れないわよ。……じゃ、私バロンが来たから行くわ」

 そう言うと、キャシーはちょうど迎えに来た恋人のバロンと店を出て行った。


◇◇◇


 十七歳になった俺には、縁談が次々とやってきた。
 一度も会ったことのない女性たち。
 平民の俺に、なぜか貴族が縁談を持ってくる。

 理由は全く分からないが、一つ当てはまるとすれば、容姿の良い子供が欲しいのだ。
 俺、見た目だけはいいから。

「婚約だけでもしてみたら? ほら、このお嬢さんとか美人よ、ふふ……あなたの好きな銀髪だわ」

 俺がアリアと結婚したいと言ったあの日以来、俺に対しておかしな態度を取るようになった母さんが、含み笑いをしながらアリアと同じ銀髪の女の絵姿を見せてくる。

 どうしてなんだろう。
 母さんは人が変わった様になった。
 父さんの事を愛しているはずなのに、息子である俺の事を、違う目で見ている。
 まるで……恋しているかのような目で……。

 その上、アリアとアリアの家族を避けるようになってしまった。
 なぜかたまに見かける彼女を、嫉妬した女の様な目で見ている。

 なぜ? 俺は息子なんだよ?
 母さんには父さんがいるだろう?

 母さんからは、俺に対して気持ち悪いぐらいの執着が見えていた。


◇◇◇


 この国では、生後すぐに判断の儀式がある。
 他種多用な方法を用いて、人族、獣人族、魔人族かを決定する。
 その詳しい内容は国民には知らされていないが、そこで行われる判断は、今まで一度も間違いないらしい。
 獣人族は基本、多少なりとも体に特徴が出るので分かりやすい。だが、特徴が出ていなくとも、獣人の血が濃く混ざっていれば、獣人族と判断された。

 俺もアリアも、人族と判断されていた。

 アリアの父親も人族だったが、アリアの母親は、狼獣人の血が濃く混ざっていた為、獣人族だと判断されていた。

 アリアの母親とアリアはとてもよく似ていた。
 銀色の髪も、美しい容姿も……。


 無理に母さんに見せられた絵姿を見た俺は、アリアを想った。

 アリアの、サラサラと風になびく真っ直ぐな銀の髪。
 一緒に遊んでいた頃は、よく髪を結ってあげた。

 一つにまとめようと髪を持ち上げると、そこから甘い香りがして、ドキドキした。

 顔が赤くなってしまった俺は、誤魔化そうと両手でバシバシ顔を叩いた。それを見て慌てたアリアから「どうしたの? やめて! カッコいいレイの顔が赤くなっちゃう‼︎」って泣きそうな顔して言われた事があったっけ。

 そんな事を思いだした。

 
 ーー俺は絵姿から目を背ける。

「母さん。俺は、アリアと結婚したいんだ。彼女しか要らないんだよ」

 その言葉が母さんは気に入らなかったらしい。

「そんな事許さないって言ったでしょう! それにね、アリアとは結婚できないわよ! あの子はさっき番が見つかったのよ。番は絶対よ。レイが出る幕はないわ。いい加減諦めるのね、あなたにはーー」

 そこまで聞いて、俺は急いで家を出た。

 隣の家の玄関を叩く。俺を見たおじさんは、何も言わずにアリアの部屋へ案内してくれた。

 静まり返った家の中。
 そっとアリアの部屋の扉を叩いた。

 コンコン

「アリア、俺だよ、レイだ。少し話がしたくて……ここ開けてくれないかな」

「……」


 ゆっくりと扉が開いた。

 そこにいたアリアは、俯いたままだったが「……どうぞ 入って」と小さな声で言ってくれた。

「……座って」

 窓側にある椅子を俺に勧めて、アリアはベッドに腰掛けた。

「久しぶりね……あなたがこの部屋に来るの」

 小さな声で話すアリアは、ずっと俯いている。

 キレイな銀色の髪が顔を隠して、表情がよく見えない。

 その表情を見たくて、俺はアリアをジッと見つめた。

「前より女の子らしい部屋になったね」

 こっちを向いて……アリア……。

「もう十七歳だもの、あの頃とは違うわよ」

「そうだね……」

 アリアの部屋を見回すと、ベッドサイドに懐かしい絵本が置いてあるのが見えた。

 思わず立ち上がり、それを手に取ろうとすると、アリアが慌ててその本を抱きかかえた。

「それ……」

 それは小さい頃、よく一緒に読んだ絵本だ。
 王子様が拐われたお姫様を助ける為にドラゴンと闘う。最後はハッピーエンドの……その絵本の王子様が、俺に似ていて好きだと言ってくれていた本。

「……ちっちがうのっ」

 絵本を抱きしめて、アリアは頭を左右に振る。
 髪が揺れてアリアの顔が赤くなっているのが分かった。

「何が違うの?」

 アリア……。

「なっ懐かしいなって。王子様が、あっあなたにて……ちっちがくて……」

「覚えてるよ。俺に似ているから好きだって言ってくれていたよね」

 そう言うと、アリアは顔を上げて俺を見てくれた。
 今まで泣いていたのだろう。アリアの瞳は真っ赤になっている。


「俺はアリアが好きだ」


 そう告げると、アリアの瞳に涙が浮かび、こぼれ落ちた。

 ねぇアリア、その涙の訳を俺は期待してもいい?


「君が俺を避けても、君が俺を嫌っても、ずっと君だけを好きだよ」

「嫌ってなんか……ない……レイ」

「本当? 俺を嫌いじゃない?」

「私、ずっと、レイが好き……好きなの……好き」

 ぼろぼろと泣きながら、アリアは俺の欲しかった言葉を伝えてくれた。


「番が見つかったって聞いた、本当?」

 番が見つかれば時間はない。
 明日にでも、そいつの許へアリアは連れて行かれてしまう。
 そうなれば、俺達は二度と会えなくなるだろう。

 アリアは涙を拭って、俺に詳しく教えてくれた。

「……サミィのね。あ、サミィは結婚することが決まったの。相手は、人族のすごく強そうな人よ。二人はとっても仲が良くて……それでサミィの結婚祝いを皆んなで買いに行くことになって……」

 サミィ、結婚するのか……俺、知らせてもらってないな。

「その店に、フォックス伯爵がいたの。彼は私を見るなり『番』だって言って、隣にいらっしゃった伯爵夫人とお子様達は真っ青になっていて、私……私には分からないの……番だなんて……」

「フォックス伯爵……」

 フォックス伯爵は愛妻家で有名な方だった。
 確か歳は五十程だ。
 伯爵夫人の実家は、この町の近くだったから、たまたまその店に来ていたのだろう。

 『番』というだけで、愛する妻も子供もいる、そんな人が全てを捨ててしまうなんて。

「レイを避けていた私に、天罰があたったのね……。違うわね、番が見つかったのだから……私は喜ぶべきなのに……」

 アリアは体を抱え小さく震えていた。
 その小さく震える体を俺は、守ってやりたいと思った。

「アリア……抱きしめていい?」

 告げてすぐ、彼女の返事も聞かず俺はアリアを抱きしめた。

 ずっと……ずっと、こうしたかった。

 アリアが好きで、一緒になりたくて、でもどうしたらいいのか分からない。
 せっかく思いが通じたのに、離れなくてはならないのか……。
 出来る事なら、番から離したい。

 けれど、俺は何の力もない、ただの人族だ。
 魔法が使えると言う魔人族であったなら、今すぐここから君を連れ去って俺しかいない世界へ行くのに。


 アリアの腕がそっと俺の背に回る。

「二人で何処か遠くへ行こうか……」

 俺にはそれぐらいしか言えなかった。
 連れて逃げても、直ぐに捕まるかも知れないけれど。

「ありがとう……レイ……最後に会えて嬉しかったわ」

 彼女は小さく首を振り、震える声で俺に別れの言葉を告げた。


 ゆっくりと俺から体を離したアリアは、初めて見るような哀しそうな顔をして、笑った。


「さようなら、私の初恋の王子様」


 そう言うと、俺を部屋から押し出して、静かに扉を閉めた。


◇◇◇



 明日の朝にはアリアの許へ、フォックス伯爵が迎えに来るだろう。

 その前に、どうにかしなければ……連れて逃げる?
 いや、以前貴族の逃げた番を探す為、王国にいる数少ない魔人族が駆り出された事があった。彼らは直ぐに魔法で見つけ出されたはずだ。

 それに、番と共に逃げた人族の男は消し去られたと聞いた事がある。
 目の前で愛する男を消された番は心を無くしたまま獣人と結婚した、とキャシーが言っていた。

『番って本当のところ なんなのかしらね。心がなくても子供さえ出来ればいいって事かしら? 獣人である私が分からないもの、レイには分からなくて当然よ!』



◇◇◇



 夜中、部屋の中でどうするか考えていた俺のすぐ横に、父さんがフッと現れた。
 扉も開けずに、まるで魔法みたいに……。

「父さん……えっ」

 父さんは、俺の両肩を掴み瞳を喰い入る様に見つめた。

「強制的に出すか……いや……」
 
 何やらブツブツと言い出した。
 初めて見る父さんの行動に、俺が呆気にとられていると、肩を持つ手にグッと力が加わった。

「いいか、レイよく聞くんだ。たった今、アリアがフォックス伯爵夫人の手のものに拐われた。助け出さなければきっと消される。お前が助けに行くんだ」
「ーーはっ⁈」
「番が消えれば、フォックス伯爵は、元の通り夫人を大切にする。だから、夫人はアリアを消すことにした」

「番って、いなくなってもいいの? 捜したり求めておかしくなったりしないのか?」

「番とは、複雑なようで実に簡単だ。そして可愛らしくもある」

「はぁ⁈   どこが‼︎」

 思わず声を荒げた俺に、父さんはコホンと咳払いをした。それから、俺の胸に人差し指を突きつけると、信じられない事を言う。

「お前、なぜ今までアリアとキスしなかったのだ?」


 ーー今、何故そんな事を聞くんだ?

 十七年間一緒に暮らして来たが、今の父さんの言動が全く理解できない。

「まったく、相思相愛だからすぐヤルと思っていたが、まぁ仕方ない」
「すぐにヤルって」

「今は時間がないから、私から教えてやろう」

 私は人がいいからな……と呟くと、クックックっと父さんは一人で楽しそうに笑った。

 ーーアリアが拐われているのに!

 そして父さんは、これまで俺に隠していた真実を告げた。

「レイ、お前は魔人族だ。そして私も。その上かなり魔力の強い方だぞ?」

 ニヤリとした父さんは、次にハッとした顔をして、俺の向こう側の何かを見た。

「レイすぐに行け。着いたらとにかくアリアとキスをしろ。ただし頬じゃないぞ。唇にだ、口付けろ!後はヤればわかる。レイ……迷うなよ?」

 パチンと指を鳴らす音がした瞬間、目の前に椅子に縛られているアリアがいた。
 後ろには伯爵夫人の姿もあった。
 ちょうどアリアとフォックス伯爵夫人の間に、俺は現れたようだ。

「レイッ……!」

 突然、目の前に現れた俺に驚愕するアリア。
 うん、わかるよ、普通驚く。

「お前、どうやってここへ‼︎」

 後ろからは、ヒステリックな夫人の声がした。


 でも今は夫人の事はどうでもいい、それよりも。
 俺は父さんの言葉を思い出す。

『レイ、迷うなよ』

 くそっ、俺、ファーストキスは大切にしたかったのに……。


 俺は、縛られて動けないアリアの頬に手を寄せて、そっとキスをした。

「……んっ」

 ああ……アリア……。

「……んんっ」


「ちょっと! あんた何やってんのよっ‼︎」

 ヒステリックな夫人の叫び声がする。

 横目で見ると、手に持っていたナイフを此方に向けていた。

 ……名残惜しいが仕方ない。

 今し方、アリアと口付けたと同時に、俺の身体に変化が起きた。

 大量の魔力が漲るのを感じる。


 父さんが言った通り、俺は本当に魔人族だったようだ。


「そこをどきなさいっ! 私はその女を消して夫を取り戻すのよ!」

 そう言いながら、伯爵夫人の声や手は震えている。

「まさか、そのナイフで? 俺のアリアを傷つけるつもり⁈」

「そっそうよ!」

 夫人は凶器を初めて持ったのだろう。
 夫への愛のために。

 俺はフォックス夫人を凝視した。

 どうする? 夫人を消す? ナイフを消す?
 それとも……。

 考えていると、夫人の後ろにいた子供達が震えながら夫人の腕を引いた。

「お母様やめましょう」
「やめて、おかあさま」
「……!」
「お母様いつも言ってたじゃない、人を傷つけることはいけないと」

 子供達は夫人の腕を握ったまま、グズグズと嗚咽を漏らしている。

「何故、何故なの? 私はただ、あの人と離れたくないだけなのよ」

 夫人はまだ、両手でナイフを強く握り締めていた。

「番さえいなければ、あの人はずっと私といてくれるのよ‼︎」

 夫人の両目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「二十年よ? 私は今もあの人を愛しているの。それなのに、それなのにあんな一瞬で、どうして⁈ ねぇ! どうしてよ⁈」

 ワナワナと震えるフォックス夫人の手から、ナイフがカランと音を立てて床へと落ちた。

「わああーっ‼︎」

 夫人は、小さな子供が駄々を捏ねるように床に伏して泣き出してしまった。

「お母様っ! わああん」
「ゔええっ……」

 母親の泣いた姿を見た子供達も、一緒になって泣き出してしまった。

「レイ……」


 俺はアリアの拘束を解いた。

「アリア、痛いところは無い?」

 見たところ縛られていただけで、何処にも怪我は無さそうでホッとした。

「フォックス夫人は、何も悪くないわ。私のせいだもの」

「アリアも悪くないだろう?」

 伯爵夫人は感情に任せた愚かな行動をしたんだ。  
 アリアは何も悪くない。
 アリアの白く細い手首に残った赤い締め跡に、俺はチュっと口付ける。すると跡はスッと消えた。
 それを見た彼女は驚いて俺を見た。

「レイ? どう言う事? さっきも突然現れて……あなた魔法が使えるの? えっ、魔人族なの?」

「うん、本当は魔人族らしい。俺も知ったのはほんの少し前だよ」


 説明は後でするとアリアに告げて、俺は泣いているフォックス夫人に声を掛けた。

「夫人、貴女は本当に伯爵を今も愛している?」

「……っ当たり前だわ‼︎」

 夫人は、番であるアリアを睨みつけるようにしながら俺に言った。

「伯爵は、番を選んで、あなた方を捨てようとしているのに?」

「そっそれでも、私は、あの人しかいないのよ……」

 夫人の切なげな声を聞いたアリアは、下を向いて唇を噛んでいた。
 俺はそっとアリアの顎を持ち上げ、親指でその唇を撫でる。

「アリア、君は俺を好きだと言ってくれたよね?」
「ええ」

「その気持ちは、この先も変わらない?」


 ーー番とは、複雑な様で 実に簡単だーー



 俺はアリアを見つめる。

「変わるわけないわ。私はあなたが、レイが好きよ」

 だったら……。

「アリア、俺だけのアリアにしてもいい? 俺と同じ香りにしてもかまわない?」


 そうすれば、永遠に俺から離れられなくなるけど。

 アリアは迷わず頷いてくれた。


「レイの、レイだけの私にして」


◇◇◇


 二人で家に帰ると、父さんは俺とアリアを見て言った。

「ほぉ、アリアをレイの運命に結びつけたようだね。まったく、レイ。お前は見た目も中身も私に良く似ているよ」

 くっくっと含んだ笑いをする父さん。

「番の仕組みもよく理解できたね。さすがだよ。ああ、そうだった。レイの魔力の解放条件はね、私が決めたんだ。キスが鍵となるなんて、ロマンティックだろう?」


 父さんは簡単に教えてくれた。
 魔人族は魔法が使える為、その力を手に入れようと人々が争いを繰り返した結果、今はほとんどいない。

 だが、と父さんは言う。

「魔人族は魔法が使えるのに、争いに巻き込まれて数を減らすと思うかい?」

 父さんはニッコリと笑った。

「自由を求めるには隠した方がいい事もあるだろう?」

「魔人族は精神を操ることに長けている、そういうことだよ」

 その意味を俺は理解した。



◇◇◇◇



「サミィ! おめでとう‼︎」
「とってもキレイだわ!」
「ありがとう、アリア! レイ!」

 晴れ渡る空に花びらが舞う。
 今日、俺達はサミィの結婚式に参加している。

「サミィとってもキレイだわ! 旦那さまも素敵な方ね‼︎」

 アリアは瞳をキラキラさせて二人を見ている。

「俺以外の男を誉めるのは許せないな」

 俺はワザと拗ねたように言う。

「やだ、そういうんじゃないわ」と、頬を染めるアリアを見て、俺は満足げに笑った。

 なぜか参列している女の子達が黄色い声を上げた。

「きゃあ! 笑っているわよ!」
「リアル王子様‼︎」
「誰なの? ちょっと知ってるなら紹介してよ‼︎」

 彼女達は俺に向かって言っているらしい。そんな声を聞いたアリアは、ぷうっとほっぺたを膨らまして拗ねていた。

「相変わらず、レイはモテすぎる」

 あ、拗ねている。アリア、可愛い。

「俺にはアリアだけだよ」

 そんなアリアの頬にチュッと軽くキスをした。
 みんなの前で、キスをされたアリアは頬をおさえて真っ赤になった。
 そんなアリアがとにかく可愛い。

「ちょっと! 主役そっちのけでイチャイチャしないの! それでなくても二人は目立つのに‼︎ 」

 隣にいたキャシーに怒られてしまった。


「貴方達は来年だったわね、楽しみにしてるわ!」

「ありがとう」


 俺達は来年、結婚することが決まった。

 本当は直ぐにでも一緒になりたいが、いろいろと準備が必要だから。

 父さんは勿論、アリアとの仲を反対していた母さんも、何故かその事を忘れたように喜んでくれている。
 ……父さんが何かしてくれたんだろう。
 魔人族は精神を操ることに長けているから。


「あらっ、フォックス伯爵夫妻だわ! あのお二人、二十年経って互いが『番』だとわかったそうよ! そんな事もあるのね!」

 偶然にも、結婚式に来ていたフォックス伯爵は新郎の身内だった。

 今や彼等は、奇跡の番として有名になっている。 
 結婚後に番と分かるなんて事は、今まで無かったことだからだ。
 二人の子供達も、判定の儀式をもう一度受けることになった。
 獣人族の『番』の子供は、必ず優秀な『獣人族』であるはずだからだ。
 まぁ、例え人族であっても、獣人族だと判定されるだろうが。


 ーー何事も知らなければ 幸せでいられる事もあるーー


 この国の中枢には、優秀な魔人族がいるらしい。



◇◇◇


 俺はアリアと暮らす邸を建てる。

 場所は誰にも知らせない。
 たどり着く方法すら分からないだろう。
 今はまだ友人との付き合いもあっていいが。

 でも、もう少し経ったら、誰にも邪魔されず二人で暮らそう。


 アリア、幸せに、幸せだよね? 俺は幸せだよ。

 俺は、君さえいれば何も要らないんだ。



◇◇◇


 数十年が過ぎた。

 彼女は、年を重ねてもとてもキレイだった。

「アリア、愛してる……お願いだ。俺を置いて逝かないでくれ」
「レイ……わたし……も……」


 ……アリアは俺を置いて光の国へ行ってしまった。


◇◇◇



 アリアが亡くなって、ニ年の月日が流れた。

 俺は一人で彼女と過ごしたこの場所を守るように静かに暮らしていた。

「こんな処にいたの? 随分と上手に隠したのねぇ」

「お前は……」

 二人で暮らした、二人の為の邸に突然現れたのは、金髪で碧瞳の女だった。
 けれど、それは……。

「……父さん?」
「いやね、今は女性よ!」

 ドレスの裾を持ちくるりと回ってみせる若い女性は、十七年前に死んだ父さんだ。

「久しぶりね、レイ」
「魔人族って生まれ変われるのか」

 かつて父親だった女に問う。

「力が強い者は出来るわよ」
 
 そう言ってパチンとウインクする女は、かなりの美人だ。

 アリアには負けるけど。

「ねぇ、いいの?」と言いながら、かつての父親は、アリアの好きだった俺の瞳の色のソファーに腰を下ろす。

「あなたの大切な人、この国の第二王子の婚約者に決まっちゃってるわよ?」
「ーーなっ⁈」
「彼女がいなくなってから、ずっと此処にいたなら分からなくてもおかしくないけど? アリアは生まれ変わっているわ」

 もう、お茶ぐらい出しなさいよ、と言いながら指を鳴らしてティーセットを出現させる。

「あなたが繋いだからだと思うけど。彼女は生まれ変われたのよ」

 よかったわね、と自ら注いだ紅茶をコクリと飲んだ。

「レイも、今生まれ変われば二歳差ぐらい? ま、歳下でもいいんじゃない? そうね、義弟とかどう? ちょっと禁断の恋みたいでいいわよね、私そう言うの好きよ」

「何言って、それに生まれ変わるって簡単に言うけど……どうやって⁈」

 俺は動揺している。
 

 二歳差? 義弟?
 それより俺のアリアが、他の男のモノになる⁈

「私が産んであげる。大丈夫、私はレイの事気に入ってるの。その歪んだところとか大好きよ」

 歪んでるってなんだ⁈

 紅茶を飲み干すと指を鳴らして全てを消した。
 父さんだった女は話を続ける。

「生まれ変わるには一つだけ条件がある。決して自ら命を絶ってはいけない」

 碧瞳を煌めかせ楽しそうに俺を見ている。

「すべて私がやってあげる」

 クスクスと笑う女は俺に両手を向ける。

「また会いましょう、レイ。そうそう、アリアの新しい名前はアリシアよ」



 ーー彼女は何も覚えていないけれどーー


◇◇◇



 やっと やっとだ。

「義弟になるレイよ、仲良くしてくれる?」

「こちらこそ! レイ、アリシア姉さんと呼んでくださいね!」

「はい! アリシア姉さま‼︎」

 僕は無邪気にアリシアの唇に、軽く挨拶のキスをした。

 子供のする事だからね、可愛いものでしょう?

 可愛い義弟の挨拶に、アリシアは頬を染めて微笑んだ。

 待ち焦がれた 僕のアリシア。



 それなのに……。

 ああ……なんて事だ……。

 俺の香りの中に 違う香りが混ざってる……。




◆the end◆

ここから数年後、
『義弟の婚約者が私の婚約者の番でした』の物語になります。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

はてな
2021.12.16 はてな

なぜお母さんが最初は猛反対してたのか分からないのです。。
お父さんとレイが似てるとは?

五珠 izumi
2021.12.16 五珠 izumi

はてな様、読んで頂きありがとうございます。
 レイはパパとよく似ています。
〈 レイは大きくなるにつれ、ママの理想の男性になっていきます。ママはレイを子供ではなく『一人の男』として見る様になりました。〉という病んだ設定でした。レイのパパは、そんな病んだママが好きな変わり者です。

解除
cana
2021.10.12 cana

納得。笑

解除
花雨
2021.08.10 花雨

これもお気に入り登録しときますね♪

五珠 izumi
2021.08.11 五珠 izumi

ありがとうございます

解除

あなたにおすすめの小説

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら

風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」 伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。 男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。 それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。 何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。 そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。 学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに! これで死なずにすむのでは!? ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ―― あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?

ヤンデレ狼の英雄様に無理矢理番にされました。さて、それではデスゲームを始めましょうか

井藤 美樹
恋愛
 ゼシール王国が特別ではないけど、この世界は、獣人や竜人、エルフやドワーフなどの亜人族と人族が共存して暮らしている。  とはいっても、同じ町や王都に住んでいるだけで、居住区域は別々。それは人族と亜人族を護るために必要なこと。  なんせ、人族である私にはわからない世界だけど、亜人族には番っていう者が存在するの。昔は平気で亜人族が人族を拉致していたって聞いたわ。今は法律上罰せられるから安心だけどね。  でも、年に一回、合法的に拉致できる日があるの。  それが、愛の女神レシーナ様の生誕の日――  亜人族と人族の居住区の境界にある中央区で行われる、神聖な儀式。  番を求める亜人族と年頃の人族が集まるの、結構な人数だよ。簡単に言えば集団お見合いかな。選ばれれば、一生優雅に暮らせるからね、この日にかける人族の気持ちは理解はできるけどね。私は嫌だけど。  この日ばかりはお店はお休み。これ幸いと店の掃除をしていたら、ドアをノックする音がした。  なにも考えずにドアを開けたら、亜人族の男が私に跪いて差し出してきた、女神が愛する白百合の花を―― 「やっと会えた……私の運命の番。さぁ、私たちの家に帰ろう」  たった六歳の少女に求婚してきたのは狼獣人の白銀の守護者様。  その日から、ゴールが監禁というデスゲームが始まった。  

前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。 老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。 そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

転生おばさんは有能な侍女

吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀? 転生おばさんは忙しい そして、新しい恋の予感…… てへ 豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!

水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。 正確には、夫とその愛人である私の親友に。 夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。 もう二度とあんな目に遭いたくない。 今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。 あなたの人生なんて知ったことではないけれど、 破滅するまで見守ってさしあげますわ!

あなたの『番』はご臨終です!

矢野りと
恋愛
竜人には『番』という運命の伴侶が存在する世界。『番』を求めるのは竜人の性(さが)であるが、その『番』を幼少期に亡くしてしまった王子トカタオ・タイオンは空虚な毎日を過ごしていた。 だがある日、トカタオは王命で人型になれないちびっこ竜人のお世話係にされてしまう! そして一筋縄ではいかない元気なちびっこ竜人は、毎日元気に王子を踏みつけるのである♪ 訳あって『番』と認識していない『番』同士のドタバタハッピーエンドです。 ※設定はゆるいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。