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ちゃぷーん。
絶賛入浴中。いつの間に?
食事中スプーンを落として、ばあちゃんに叱られる幻影を見たところまで、覚えてる。温いお湯の中、沈まないように支えるのは、確認しなくてもブライトさまだ。だって王太子宮では毎日一緒だったから、わからないはずがない。
「起きた?」
ブライトさまはおれを背中から抱くように支えている。身動ぎしたのに気付いて、耳元で囁かれた。
「はい。ご迷惑かけました」
「妻の世話は夫の権利だと、何度言ったらわかるかな。照れてるのも可愛いけど、いい加減慣れてほしいな」
「食事の途中で眠るなんて、妻というより子供みたいで落ち込んでるんです」
「そうなんだ。うーん、子供にはこんなことできないなぁ」
「やんっ」
ブライトさまの手のひらが、おれの体を洗い始めた。そう言えばここのお風呂は浴槽で洗ってシャワーで流す⋯⋯前にも言ったか、とにかく全自動丸洗いは勘弁してください! 丸洗いなの! ほんっとに丸洗いなの‼︎ 衝撃的なことなので、何度でも言う! 丸洗いーーーっ!
足の指の間から、腋の下、大事なところ、お尻の隙間まで! 関係ないけど時代劇でよく言う『小股の切れ上がった美人』の『小股』って足の親指と人差し指の間なんだって! 下駄を引っ掛けた小股を見て、上の大股を想像するエッチな褒め言葉なんだって! ブライトさま、その小股までしっかり洗ってくれたよ! おれ、錯乱してるよ。なにアホなこと考えてんの⁈
余すところなく触られ、基い、洗われて、おれの口からは変な声しか出ない。洗われながら体勢を入れ替えられて、ブライトさまの膝の上を跨ぐように座らされる。こうなると、おれは胸もお腹もブライトさまにくっつけてしがみ付き、好きなように触られてしまう。
「いやん、はっ⋯⋯んーッ、あん」
王太子宮での生活で、おれの体の中でブライトさまの手が触れていないところはない。そう思っていたのに。
つぷん。
「んあっ」
背中に回った手が、お尻を彷徨っている。何かがおれの中に入ってきて、衝撃に固まった。
「愛してる、玻璃。君がわたしの名を呼んでくれなかったら、こうして君を抱きしめることは、二度となかったかもしれない」
「⋯⋯どう言うこと?」
「君には魔力が無いから、気配を追うのが難しいんだ。わたしの魔力を込めた宝飾を贈ったが、普段使いのものでは無いから、身に付けていなかっただろう?」
「はい」
「だから、わたしの名を呼んでくれるまで、気配を掴めなかったんだ」
そうなんだ。それだけでも凄いと思うんだけど、ブライトさまは辛そうに眉根を寄せた。
「本当は、婚姻の儀が終わるまで待つつもりだったけど⋯⋯これ以上、待てない」
何を待っていたんだろう。ブライトさまが切なげに見下ろしながら、おれの後ろを探る。中に入ってきた何かは、違和感だけを伝えてくるけど、この行為に意味はあるんだろうか?
「ブライトさまは何を待っているの?」
「愛の行為を最後まですること」
え⁈ 今までの、最後までやってないの⁈
だだだって、あんなに凄いことしてたのに⁈
「最後まですると、わたしの魔力が君の体内で循環して、わたしの色に染まるんだ」
どう言うこと⁈
おれは一気に頭に血を昇らせた。ブライトさまの色に染まるって、ウェディングドレスや白無垢の白みたいな感じじゃないか。ブライトさまの色に染めてほしいなんて、おれはどんな乙女だ!
「わたしの色に染まると、玻璃がどこにいても魔力を探れるようになる」
「『G P S』みたいだ」
「じーぴーえす?」
「迷い子探知機みたいなの」
「ふふ、そう。嫌かい?」
首を振った。イヤなわけがない。おれはお嫁さん側だけど、ちゃんと男子だから、乙女脳になる自分に引いただけだ。
「あのね、ブライトさま。日本の花嫁衣装は『白無垢』って言ってね、何色にも染まっていない、真っ白な衣装を着るんです。意味は、あなたの色に染まります」
白無垢の始まりは死装束だ。昔の日本は白は喪の色で、自害の作法は白装束で行ったし、亡くなった人は棺の中で白装束を纏う。
武家の娘が嫁ぐとき、産まれてから今までの自分は死にました。これより後は婚家の色に染まります、と覚悟を表したのが始まりだ。
と、ばあちゃんが言っていた。
「ぼくはブライトさまの花嫁です。あなたの色に染めてください」
ブライトさまは微笑んでキスしてくれた。
「ところで、どうやったらブライトさまの魔力に染まるんですか?」
「わたしの愛を君の中に注ぐ」
愛? 比喩的表現か。注ぐものってなんだ? 注ぐと言ったら液体? うーん⋯⋯ってアレか⁈
「そそそ、注ぐってどうやって⁈ ぼく女の子の部分、ないよ!」
だから足の間で気持ち良くなるんじゃ、ないの?
顔から火が出る!
「ここでわたしと繋がる」
「あんっ」
後ろに入り込んだ何かに、トントンと振動を与えられて、大きな声が出た。指? 指がはいってるの?
「嫌ならしない。もともと玻璃は純情だから、もう少しこの行為に、慣れてからの方がいいと考えていたんだ」
イヤじゃない。続きがあるならして欲しい。だっておれ、とっくに全部ブライトさまのものになったつもりでいたんだ。それにブライトさまの魔力を貰って染まるなんて、とてもドキドキする。
「ブライトさま、全部してく⋯⋯ッ」
最後まで言わせてもらえなかった。唇ごと言葉を奪われて、浅いところを揺蕩うように探っていた指が、ぬぷんと奥まで入り込んだ。痛くはない。でも初めての異物感に背中がのけぞった。
ブライトさまは一本だけ入れた中指で、奥をコツコツ揺らしながら、他の指を使って入り口をマッサージしている。おれの口からは荒い呼気とエッチな声ばかり出ていて、それもブライトさまに飲み込まれていた。
舌を絡めてキスをしながら、後ろの入り口を指が出入りする。剣を持つ無骨な指が驚くほど繊細に、おれの強張りを解いていく。
チャプチャプとお湯が波立ち、胸の尖りと大事なところがブライトさまに擦れた。それに気付いたブライトさまが開いた手で尖に触れた。刺激に思わず、身を捩る。
「も⋯⋯熱いッ」
温いはずのお湯の中で、のぼせそうだ。実際にお風呂でのぼせた前科のあるおれなので、早めに申告する。ブライトさまはチュッと音を立てて小鳥のキスをすると、おれの中から指を抜いて、お尻を支え て立ち上がった。シャワーで泡を流し、魔法で水気を飛ばす。タオルなんて使わなかった。
抱き上げられたまま裸で居間を通り抜け、寝室に向かう。おれはブライトさまに手足を絡める間抜けな格好で、とても恥ずかしかった。歩く振動でお互いの大事なところが擦れて、それだけでイキそうだ。
「玻璃、無理はしないで」
「無理なんかしてません」
こんなに熱い目をしているのに、まだおれを気遣う。ブライトさまが、おれを大切に思ってくれているのが分かる。ハスキー犬野郎との違いをまざまざと感じて、胸がキュンとした。あんなヤツ、もう怖くない。
ベッドに下ろされて覆いかぶさられる。
舌を絡めあって身体中を弄られ、鎖骨の下にキスマークを付けられる。初めてキスマークを付けられた時、赤い花びらに困惑した。口紅べったりのクチビルマークがキスマークだと思ってたから、虫にでも刺されたと思ったんだ。アホなこと言ったのに、ブライトさまは何故か「可愛い」って言った。目に変なフィルターがかかってるんじゃないかな。
大きく開いた足の間に、ローションが垂らされる。香油って言うんだって。ブライトさまのと一緒に擦られてイキそうになると、絶妙なタイミングで離される。ぬるついた指がまた中に入ってきて、最初の指に沿わせるようにもう一本増やされた。
二本の指は揃って出入りしたり、離れてかき回したり、入口の環を広げたりと、おれの体を翻弄した。その間、ブライトさまはずっと「いい子だ」「可愛い」「愛してる」と言い続け、おれはアンアン言いながら頷いた。
「もう、イきたいのッ」
ひんひん泣きながら訴えたのに、ブライトさまはイかせてくれない。
「イジワルぅ」
非難すると困ったような、でも熱い吐息の混じった声で返事があった。
「イき過ぎると後が辛いよ? きっと一度じゃ終われない」
⋯⋯終われない、なんだ。終わらない、じゃなくて。
何度か香油が足され、受け入れる場所からはグチュグチュと水を含んだエッチな音がしている。指の数も増えているみたい。おれはゆったりした気持ちよさにただ喘いで、クッタリと身を任せた。
どれだけの時間、おれの体を緩めていたのか。丁寧に、少しの痛みもなく愛されている。
「そろそろ、準備は良さそうだ。頑張ったね、一回イこうね」
「んにゃ?」
イくってなんだっけ? おれはぼんやりした頭で考えた。纏まらない。
「ふふ、可愛い。すっかり出来上がっているね」
「アッん⋯⋯ッ!」
なに⁈
ブライトさまの指が届く、いちばん奥を押し上げた瞬間、体の中からコリっと音が響いた。視界に星が散って真っ白に染まった。
「いいよ、イって」
ブライトさまの声が耳に吹きかけられる。
やっ、待って! そこ押さないで! コリコリしたらダメ! あっ⋯⋯、ダメッ!
「ーーーーーーッ」
スゴイの来た! 声が出ない。長く尾を引く絶頂に全身が強張り、ブライトさまの指をキツく食い締めた。それからしばらくして、グンニャリと弛緩した。あれ? 大事なところ触ってないよね?
「上手にイけたね」
言いながらゆるゆると中を擦られる。さっきのスゴいところを絶妙にずらされた。
「あっん、あん⋯⋯んふっ⋯⋯ん、あん」
指の動きに合わせて腰が揺れた。時折お腹が引き絞られて、中の指を締め付けるのを感じる。どうしよう、体に力が入らないのに、そんなところだけ貪欲だなんて。
フワフワして意識が落ちそうだ。ダメだ、まだ最後までしてない。全部ブライトさまでいっぱいになりたい。
「ね⋯⋯ちょうだい」
「どこで覚えたの? そんな誘い文句」
嬉しそうに、ブライトさまはキスをくれた。中から指が抜かれて、クチュンと小さな音がした。入り口が物欲しげによだれをこぼす。
おれ、ほんとにエッチになっちゃった。
大きく割った腿を抱え上げられる。膝がブライトさまの肩に乗せられ、前も後ろもおれの大事なところが丸見えになった。前はさっきイったばかりなのに、芯を緩く持って震えている。ブライトさまが後ろの入り口に楔をあてがった。力強くいきり勃ったそれは、ローションを纏ってヌルヌルしている。
「玻璃、わたしの玻璃。異世界になど、帰さない」
掠れた声がセクシーだ。
クチュリと音がした。先端を簡単に飲み込んだのは、ブライトさまが丁寧に緩めてくれたからだ。でなきゃこんなに大きいの、入るわけがない。
「んぁあん⋯⋯んっふっ⋯⋯⋯⋯、あぁん」
引いて挿してを繰り返して、徐々に奥まで飲み込んで行く。圧迫感と幸福感とが交互に押し寄せて、おれはブライトさまに必死にしがみついた。ブライトさまも深くおれに覆いかぶさってきて、おれの膝が胸についた。
長い時間をかけて奥までたどり着いた楔は、熱くて太くて長かった。おれは自分からはなにひとつ動いていないのに、すっかり肩で息をしている。ブライトさまの額から落ちた汗が、おれの唇を濡らした。
「今までで、いちばん、近くにいるね」
奥深くに受け入れて、ふと思ったことを口にした。と、ブライトさまがおれの唇を奪って、激しく貪った。
「はっん⋯⋯んっ、ちゅ、んちゅ⋯⋯ん」
キスの海に溺れそう。それに唇の角度が変わるたびに体が揺れて、奥が蠢いてブライトさまに絡み付いてしまう。みっちりと収められた楔の形が、リアルに感じられて身悶えた。
「馴染んだかな?」
言いながら最奥を押し上げられた。おれは呆気なくイった。
「⋯⋯可愛い」
「今の⋯⋯ダメぇ⋯⋯、スゴイぃ⋯⋯」
「じゃあ、これは?」
ずるんと引き出されて再び奥まで入ってくる。ジュッポジュッポと濡れて粘ついた音が繰り返された。
「ヤダぁん⋯⋯あん、音、恥ず、かしいッ⋯⋯ゆっくり、ダメ⋯⋯ブライトさまの、形がわかるの⋯⋯恥ずかしいッ⋯⋯あぁん」
「わたしの形、わかるんだ。いいね、覚えて?」
「ひゃ、ぁん⋯⋯」
殊更ゆっくりと抜き差しされて、おれは涙を流して首を振った。髪の毛がパサパサと音を立てている。感じすぎて腰が揺れて、知らないところを先端が擦り上げた。
ブライトさまの動きに、おれは再び押し上げられた。前を触られて一気に昇り詰めるのと違って、昇ったきり降りて来られない。ブライトさまが押し入るたびに、前からはトプトプと白いものが溢れた。
「イってるぅ⋯⋯イってるのぉ⋯⋯⋯⋯」
止まらない涙を唇で拭われて、おれは譫言のように言葉を紡いだ。
「ブライ、トさまの、魔力⋯⋯で、ぼくを、染めて⋯⋯」
「愛してる、玻璃」
グチュンと力強く押し込まれて、またイった。
『⋯⋯も、死んじゃう』
おれの呟きが終わらないうちに、抽送の速度が上がった。何度も突き込まれてまた昇って、わけがわからない。
「行くよ」
「きて」
ブライトさまが小さく呻いた。最奥が熱い。ジワリと広がる魔力と生命力の塊を、先端で塗り込めるように押しつけられた。
『あ⋯⋯これ、すき⋯⋯』
お腹がポカポカする。初めての感覚。これ魔力かなぁ。
ふわふわする。ぽやんとして意識が保てない。お酒は飲んだことないけど、ホワイトラムを入れすぎたブラウニーを食べた時みたいだ。
「ありがとう、君と愛し合えて幸せだ。玻璃は辛いところはない?」
「ぼくも幸せ。ブライトさま、もっとちょうだい」
「もちろん」
入ったままの、力を失っていなかったブライトさまが、再び中を擦り始めた。さっきよりも音が粘ついている気がする。
でも、気持ちいい。
「はん⋯⋯あ⋯⋯ぁん⋯⋯⋯⋯んぁん」
ブライトさまの首に回した手で、キスをねだる。甘えた声が鼻から抜けて、また腰が揺れた。
どうしよう、気持ちいいしかわかんない。
小鳥のキスを繰り返しながら、体の奥に広がる熱をもう一度感じた。
「可愛い。こんなに震えて感じて、わたしを欲しがってくれる」
「ね、もっと」
「魔力に酔っちゃったね。いいよ、満足するまであげるから。⋯⋯ふふ、わたしとどちらが先に満足するかな」
ブライトさまがなにか言ってる。でもわかんない。
揺すられて、何度目かわからないほどイって、奥を舐るように突かれて、また熱を受け入れて、好きって言って、気持ちいいって言って、もっとちょうだいって言って、あんあん言って⋯⋯。
ドロドロに溶けた。
絶賛入浴中。いつの間に?
食事中スプーンを落として、ばあちゃんに叱られる幻影を見たところまで、覚えてる。温いお湯の中、沈まないように支えるのは、確認しなくてもブライトさまだ。だって王太子宮では毎日一緒だったから、わからないはずがない。
「起きた?」
ブライトさまはおれを背中から抱くように支えている。身動ぎしたのに気付いて、耳元で囁かれた。
「はい。ご迷惑かけました」
「妻の世話は夫の権利だと、何度言ったらわかるかな。照れてるのも可愛いけど、いい加減慣れてほしいな」
「食事の途中で眠るなんて、妻というより子供みたいで落ち込んでるんです」
「そうなんだ。うーん、子供にはこんなことできないなぁ」
「やんっ」
ブライトさまの手のひらが、おれの体を洗い始めた。そう言えばここのお風呂は浴槽で洗ってシャワーで流す⋯⋯前にも言ったか、とにかく全自動丸洗いは勘弁してください! 丸洗いなの! ほんっとに丸洗いなの‼︎ 衝撃的なことなので、何度でも言う! 丸洗いーーーっ!
足の指の間から、腋の下、大事なところ、お尻の隙間まで! 関係ないけど時代劇でよく言う『小股の切れ上がった美人』の『小股』って足の親指と人差し指の間なんだって! 下駄を引っ掛けた小股を見て、上の大股を想像するエッチな褒め言葉なんだって! ブライトさま、その小股までしっかり洗ってくれたよ! おれ、錯乱してるよ。なにアホなこと考えてんの⁈
余すところなく触られ、基い、洗われて、おれの口からは変な声しか出ない。洗われながら体勢を入れ替えられて、ブライトさまの膝の上を跨ぐように座らされる。こうなると、おれは胸もお腹もブライトさまにくっつけてしがみ付き、好きなように触られてしまう。
「いやん、はっ⋯⋯んーッ、あん」
王太子宮での生活で、おれの体の中でブライトさまの手が触れていないところはない。そう思っていたのに。
つぷん。
「んあっ」
背中に回った手が、お尻を彷徨っている。何かがおれの中に入ってきて、衝撃に固まった。
「愛してる、玻璃。君がわたしの名を呼んでくれなかったら、こうして君を抱きしめることは、二度となかったかもしれない」
「⋯⋯どう言うこと?」
「君には魔力が無いから、気配を追うのが難しいんだ。わたしの魔力を込めた宝飾を贈ったが、普段使いのものでは無いから、身に付けていなかっただろう?」
「はい」
「だから、わたしの名を呼んでくれるまで、気配を掴めなかったんだ」
そうなんだ。それだけでも凄いと思うんだけど、ブライトさまは辛そうに眉根を寄せた。
「本当は、婚姻の儀が終わるまで待つつもりだったけど⋯⋯これ以上、待てない」
何を待っていたんだろう。ブライトさまが切なげに見下ろしながら、おれの後ろを探る。中に入ってきた何かは、違和感だけを伝えてくるけど、この行為に意味はあるんだろうか?
「ブライトさまは何を待っているの?」
「愛の行為を最後まですること」
え⁈ 今までの、最後までやってないの⁈
だだだって、あんなに凄いことしてたのに⁈
「最後まですると、わたしの魔力が君の体内で循環して、わたしの色に染まるんだ」
どう言うこと⁈
おれは一気に頭に血を昇らせた。ブライトさまの色に染まるって、ウェディングドレスや白無垢の白みたいな感じじゃないか。ブライトさまの色に染めてほしいなんて、おれはどんな乙女だ!
「わたしの色に染まると、玻璃がどこにいても魔力を探れるようになる」
「『G P S』みたいだ」
「じーぴーえす?」
「迷い子探知機みたいなの」
「ふふ、そう。嫌かい?」
首を振った。イヤなわけがない。おれはお嫁さん側だけど、ちゃんと男子だから、乙女脳になる自分に引いただけだ。
「あのね、ブライトさま。日本の花嫁衣装は『白無垢』って言ってね、何色にも染まっていない、真っ白な衣装を着るんです。意味は、あなたの色に染まります」
白無垢の始まりは死装束だ。昔の日本は白は喪の色で、自害の作法は白装束で行ったし、亡くなった人は棺の中で白装束を纏う。
武家の娘が嫁ぐとき、産まれてから今までの自分は死にました。これより後は婚家の色に染まります、と覚悟を表したのが始まりだ。
と、ばあちゃんが言っていた。
「ぼくはブライトさまの花嫁です。あなたの色に染めてください」
ブライトさまは微笑んでキスしてくれた。
「ところで、どうやったらブライトさまの魔力に染まるんですか?」
「わたしの愛を君の中に注ぐ」
愛? 比喩的表現か。注ぐものってなんだ? 注ぐと言ったら液体? うーん⋯⋯ってアレか⁈
「そそそ、注ぐってどうやって⁈ ぼく女の子の部分、ないよ!」
だから足の間で気持ち良くなるんじゃ、ないの?
顔から火が出る!
「ここでわたしと繋がる」
「あんっ」
後ろに入り込んだ何かに、トントンと振動を与えられて、大きな声が出た。指? 指がはいってるの?
「嫌ならしない。もともと玻璃は純情だから、もう少しこの行為に、慣れてからの方がいいと考えていたんだ」
イヤじゃない。続きがあるならして欲しい。だっておれ、とっくに全部ブライトさまのものになったつもりでいたんだ。それにブライトさまの魔力を貰って染まるなんて、とてもドキドキする。
「ブライトさま、全部してく⋯⋯ッ」
最後まで言わせてもらえなかった。唇ごと言葉を奪われて、浅いところを揺蕩うように探っていた指が、ぬぷんと奥まで入り込んだ。痛くはない。でも初めての異物感に背中がのけぞった。
ブライトさまは一本だけ入れた中指で、奥をコツコツ揺らしながら、他の指を使って入り口をマッサージしている。おれの口からは荒い呼気とエッチな声ばかり出ていて、それもブライトさまに飲み込まれていた。
舌を絡めてキスをしながら、後ろの入り口を指が出入りする。剣を持つ無骨な指が驚くほど繊細に、おれの強張りを解いていく。
チャプチャプとお湯が波立ち、胸の尖りと大事なところがブライトさまに擦れた。それに気付いたブライトさまが開いた手で尖に触れた。刺激に思わず、身を捩る。
「も⋯⋯熱いッ」
温いはずのお湯の中で、のぼせそうだ。実際にお風呂でのぼせた前科のあるおれなので、早めに申告する。ブライトさまはチュッと音を立てて小鳥のキスをすると、おれの中から指を抜いて、お尻を支え て立ち上がった。シャワーで泡を流し、魔法で水気を飛ばす。タオルなんて使わなかった。
抱き上げられたまま裸で居間を通り抜け、寝室に向かう。おれはブライトさまに手足を絡める間抜けな格好で、とても恥ずかしかった。歩く振動でお互いの大事なところが擦れて、それだけでイキそうだ。
「玻璃、無理はしないで」
「無理なんかしてません」
こんなに熱い目をしているのに、まだおれを気遣う。ブライトさまが、おれを大切に思ってくれているのが分かる。ハスキー犬野郎との違いをまざまざと感じて、胸がキュンとした。あんなヤツ、もう怖くない。
ベッドに下ろされて覆いかぶさられる。
舌を絡めあって身体中を弄られ、鎖骨の下にキスマークを付けられる。初めてキスマークを付けられた時、赤い花びらに困惑した。口紅べったりのクチビルマークがキスマークだと思ってたから、虫にでも刺されたと思ったんだ。アホなこと言ったのに、ブライトさまは何故か「可愛い」って言った。目に変なフィルターがかかってるんじゃないかな。
大きく開いた足の間に、ローションが垂らされる。香油って言うんだって。ブライトさまのと一緒に擦られてイキそうになると、絶妙なタイミングで離される。ぬるついた指がまた中に入ってきて、最初の指に沿わせるようにもう一本増やされた。
二本の指は揃って出入りしたり、離れてかき回したり、入口の環を広げたりと、おれの体を翻弄した。その間、ブライトさまはずっと「いい子だ」「可愛い」「愛してる」と言い続け、おれはアンアン言いながら頷いた。
「もう、イきたいのッ」
ひんひん泣きながら訴えたのに、ブライトさまはイかせてくれない。
「イジワルぅ」
非難すると困ったような、でも熱い吐息の混じった声で返事があった。
「イき過ぎると後が辛いよ? きっと一度じゃ終われない」
⋯⋯終われない、なんだ。終わらない、じゃなくて。
何度か香油が足され、受け入れる場所からはグチュグチュと水を含んだエッチな音がしている。指の数も増えているみたい。おれはゆったりした気持ちよさにただ喘いで、クッタリと身を任せた。
どれだけの時間、おれの体を緩めていたのか。丁寧に、少しの痛みもなく愛されている。
「そろそろ、準備は良さそうだ。頑張ったね、一回イこうね」
「んにゃ?」
イくってなんだっけ? おれはぼんやりした頭で考えた。纏まらない。
「ふふ、可愛い。すっかり出来上がっているね」
「アッん⋯⋯ッ!」
なに⁈
ブライトさまの指が届く、いちばん奥を押し上げた瞬間、体の中からコリっと音が響いた。視界に星が散って真っ白に染まった。
「いいよ、イって」
ブライトさまの声が耳に吹きかけられる。
やっ、待って! そこ押さないで! コリコリしたらダメ! あっ⋯⋯、ダメッ!
「ーーーーーーッ」
スゴイの来た! 声が出ない。長く尾を引く絶頂に全身が強張り、ブライトさまの指をキツく食い締めた。それからしばらくして、グンニャリと弛緩した。あれ? 大事なところ触ってないよね?
「上手にイけたね」
言いながらゆるゆると中を擦られる。さっきのスゴいところを絶妙にずらされた。
「あっん、あん⋯⋯んふっ⋯⋯ん、あん」
指の動きに合わせて腰が揺れた。時折お腹が引き絞られて、中の指を締め付けるのを感じる。どうしよう、体に力が入らないのに、そんなところだけ貪欲だなんて。
フワフワして意識が落ちそうだ。ダメだ、まだ最後までしてない。全部ブライトさまでいっぱいになりたい。
「ね⋯⋯ちょうだい」
「どこで覚えたの? そんな誘い文句」
嬉しそうに、ブライトさまはキスをくれた。中から指が抜かれて、クチュンと小さな音がした。入り口が物欲しげによだれをこぼす。
おれ、ほんとにエッチになっちゃった。
大きく割った腿を抱え上げられる。膝がブライトさまの肩に乗せられ、前も後ろもおれの大事なところが丸見えになった。前はさっきイったばかりなのに、芯を緩く持って震えている。ブライトさまが後ろの入り口に楔をあてがった。力強くいきり勃ったそれは、ローションを纏ってヌルヌルしている。
「玻璃、わたしの玻璃。異世界になど、帰さない」
掠れた声がセクシーだ。
クチュリと音がした。先端を簡単に飲み込んだのは、ブライトさまが丁寧に緩めてくれたからだ。でなきゃこんなに大きいの、入るわけがない。
「んぁあん⋯⋯んっふっ⋯⋯⋯⋯、あぁん」
引いて挿してを繰り返して、徐々に奥まで飲み込んで行く。圧迫感と幸福感とが交互に押し寄せて、おれはブライトさまに必死にしがみついた。ブライトさまも深くおれに覆いかぶさってきて、おれの膝が胸についた。
長い時間をかけて奥までたどり着いた楔は、熱くて太くて長かった。おれは自分からはなにひとつ動いていないのに、すっかり肩で息をしている。ブライトさまの額から落ちた汗が、おれの唇を濡らした。
「今までで、いちばん、近くにいるね」
奥深くに受け入れて、ふと思ったことを口にした。と、ブライトさまがおれの唇を奪って、激しく貪った。
「はっん⋯⋯んっ、ちゅ、んちゅ⋯⋯ん」
キスの海に溺れそう。それに唇の角度が変わるたびに体が揺れて、奥が蠢いてブライトさまに絡み付いてしまう。みっちりと収められた楔の形が、リアルに感じられて身悶えた。
「馴染んだかな?」
言いながら最奥を押し上げられた。おれは呆気なくイった。
「⋯⋯可愛い」
「今の⋯⋯ダメぇ⋯⋯、スゴイぃ⋯⋯」
「じゃあ、これは?」
ずるんと引き出されて再び奥まで入ってくる。ジュッポジュッポと濡れて粘ついた音が繰り返された。
「ヤダぁん⋯⋯あん、音、恥ず、かしいッ⋯⋯ゆっくり、ダメ⋯⋯ブライトさまの、形がわかるの⋯⋯恥ずかしいッ⋯⋯あぁん」
「わたしの形、わかるんだ。いいね、覚えて?」
「ひゃ、ぁん⋯⋯」
殊更ゆっくりと抜き差しされて、おれは涙を流して首を振った。髪の毛がパサパサと音を立てている。感じすぎて腰が揺れて、知らないところを先端が擦り上げた。
ブライトさまの動きに、おれは再び押し上げられた。前を触られて一気に昇り詰めるのと違って、昇ったきり降りて来られない。ブライトさまが押し入るたびに、前からはトプトプと白いものが溢れた。
「イってるぅ⋯⋯イってるのぉ⋯⋯⋯⋯」
止まらない涙を唇で拭われて、おれは譫言のように言葉を紡いだ。
「ブライ、トさまの、魔力⋯⋯で、ぼくを、染めて⋯⋯」
「愛してる、玻璃」
グチュンと力強く押し込まれて、またイった。
『⋯⋯も、死んじゃう』
おれの呟きが終わらないうちに、抽送の速度が上がった。何度も突き込まれてまた昇って、わけがわからない。
「行くよ」
「きて」
ブライトさまが小さく呻いた。最奥が熱い。ジワリと広がる魔力と生命力の塊を、先端で塗り込めるように押しつけられた。
『あ⋯⋯これ、すき⋯⋯』
お腹がポカポカする。初めての感覚。これ魔力かなぁ。
ふわふわする。ぽやんとして意識が保てない。お酒は飲んだことないけど、ホワイトラムを入れすぎたブラウニーを食べた時みたいだ。
「ありがとう、君と愛し合えて幸せだ。玻璃は辛いところはない?」
「ぼくも幸せ。ブライトさま、もっとちょうだい」
「もちろん」
入ったままの、力を失っていなかったブライトさまが、再び中を擦り始めた。さっきよりも音が粘ついている気がする。
でも、気持ちいい。
「はん⋯⋯あ⋯⋯ぁん⋯⋯⋯⋯んぁん」
ブライトさまの首に回した手で、キスをねだる。甘えた声が鼻から抜けて、また腰が揺れた。
どうしよう、気持ちいいしかわかんない。
小鳥のキスを繰り返しながら、体の奥に広がる熱をもう一度感じた。
「可愛い。こんなに震えて感じて、わたしを欲しがってくれる」
「ね、もっと」
「魔力に酔っちゃったね。いいよ、満足するまであげるから。⋯⋯ふふ、わたしとどちらが先に満足するかな」
ブライトさまがなにか言ってる。でもわかんない。
揺すられて、何度目かわからないほどイって、奥を舐るように突かれて、また熱を受け入れて、好きって言って、気持ちいいって言って、もっとちょうだいって言って、あんあん言って⋯⋯。
ドロドロに溶けた。
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しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
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