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「あっ、お父様ったら・・・」

「どうしたんだい?エカチュリーナ姫」

「もう、からかわないでよ、ライアン王子」

 私はライアン王子の王宮で新聞を広げながら彼とじゃれつく。

「あぁ、貴族の位をはく奪されちゃったんだ・・・」

 ライアン王子はじゃれつきながらも、新聞の記事を速読していたようで、私が話をしたかったことを見抜いてしまう。

「ええ、私たちが話した後も悪事を続けていたみたい。残念だけれど、自業自得よ」

 お父様の性格を考えれば、お父様はかなりショックだったに違いない。
 ただ、私はというと、想像よりもショックを受けることも、同情する気持ちも湧いてこなかった。
 
 どうしてか考えてみると、育てるためにお父様が私にお金を使ってくれたことには感謝をしているけれど、お父様の見栄に付き合わされている気しかしなかったし、最低限しか会話していなかったから、どこか他人事だったんだと推測した。

「これで、貴族の娘じゃなくなっちゃったね、エカチュリーナ」

 意地悪な顔で微笑むライアン王子。

「貴族の娘じゃなかったら、私と婚約破棄されますか?ライアン王子」

 私も意地悪な顔で微笑み返すと、

「まさか、御冗談を」

 執事のような態度で頭を下げるライアン王子。それを見た私と、その態度を続けるライアン王子はどちらが先ということもなくほぼ同時に笑い合った。

「大丈夫。国王も、国民もちゃんと納得させるから。安心して、花嫁に来てほしい」

 私の両手を大きな手で握るライアン王子。

「・・・はいっ」

 私も嬉しくなって返事をした。
 きっと、『神眼』で見なくても、彼と一緒にいれば私は幸せになれる。
 そう、最初からわかっていた。
 
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