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「はぁ・・・」
お父様が頭を抱えている。
「大丈夫ですか、お父様?」
私がお父様に近寄ろうとするとギロっと睨んでくる。
「エカチュリーナよ・・・。お前に王子を落とすほどの気品の高さと、色気がないことは察しておった・・・。だがな、エカチュリーナ。よりにもよって、そんな薄汚いどこの骨ともわからないゴミを拾ってきて、そいつと結婚するだと・・・?」
「あぁ、ごめんなさいお父様。私も彼をお風呂に入れて正装させてからお父様にお会いしようとしてたの。そしたら・・・」
「いいかげんにしろっ!!!」
お父様が大声を出して私は耳を塞ぐ。
「そんな小汚い男が我が家の風呂を使うだと・・・?恥を知れっ、馬鹿者がっ!!いいか?妹のリーウェンが王子の心を射止めて来たからお前にかまけている暇が無かっただけで、ちゃんとお前にも縁談を用意する予定だったんだ」
(かまけている暇ねぇ・・・)
私は生まれてこの方、お父様にかまってもらった記憶がほぼない。
毎日に毎日、貴族同士の付き合いが大事だと飲み歩いたり、見栄をはったパーティーをしていたお父様。
お爺様が築いた財産をほとんど散財した結果、私たちを利用しようと決めたくせによく言うなと、私は呆れてしまった。
「まったく・・・リーウェンに感謝しろ。そうだ、無能なお前はヴァルド公爵に嫁がせる。なーに、安心しろ、ヴァルド公爵とは仲がいい。ちゃんと愛人ではなく、正妻として迎えるようにお願いしてやる」
仲がいいなんて嘘。
ヴァルド公爵と言えば、お父様が多額の借金をしている相手。
財産は腐るほど持っているが、自身の美にお金をつかうことなく、脂肪をたらふく蓄え、脂汗をいつも流しているし、年齢も確かお父様よりも上だったはずだ。そして、その見てくれから、いくらお金を持っていようとほとんどの女性が相手にしない男性だ。そんなところにお嫁に行くなんて溜まったもんじゃない。
「ふっ」
私は鼻で笑った妹のリーウェンを冷めた目で見る。
彼女は勝ち誇った顔をしながら、私から目線を逸らす。
まったく。
かわいらしい顔をしているかもしれないけれど、性格の悪さがにじみ出ている。そんな憎たらしい笑いばかりしていたら、顔の筋肉がその顔でしか笑えなくなるに違いない。
「なんだ、リーウェンに嫉妬か?姉としての自覚がないのか、お前には・・・っ」
私がリーウェンを睨んでいると、お父様が注意してくる。
(あっ、お父様が見てないからって、リーウェンめ。また憎たらしい顔をして、私を見てるしっ)
まぁ、そんなことはどうでもいい。リーウェンが何をしようと、誰と結婚しようと私には関係ない。
(だって・・・リーウェンは・・・。いやいや、そんなことより、私の結婚先だ)
「あの、私、ヴァルド公爵のところなんて絶対に嫌ですし、彼は・・・」
「まだ言うかっ!!!この親不孝娘!!いったい何様だと思っているんだっ!!?」
(えーっと、お父様は年配者として、そして親として感謝しているんですけど、金を稼ぐ道具としてしか見ていないお父様への敬意は、これ以上は無理・・・かな)
私はお父様に呆れてしまい、ため息をついた。
お父様が頭を抱えている。
「大丈夫ですか、お父様?」
私がお父様に近寄ろうとするとギロっと睨んでくる。
「エカチュリーナよ・・・。お前に王子を落とすほどの気品の高さと、色気がないことは察しておった・・・。だがな、エカチュリーナ。よりにもよって、そんな薄汚いどこの骨ともわからないゴミを拾ってきて、そいつと結婚するだと・・・?」
「あぁ、ごめんなさいお父様。私も彼をお風呂に入れて正装させてからお父様にお会いしようとしてたの。そしたら・・・」
「いいかげんにしろっ!!!」
お父様が大声を出して私は耳を塞ぐ。
「そんな小汚い男が我が家の風呂を使うだと・・・?恥を知れっ、馬鹿者がっ!!いいか?妹のリーウェンが王子の心を射止めて来たからお前にかまけている暇が無かっただけで、ちゃんとお前にも縁談を用意する予定だったんだ」
(かまけている暇ねぇ・・・)
私は生まれてこの方、お父様にかまってもらった記憶がほぼない。
毎日に毎日、貴族同士の付き合いが大事だと飲み歩いたり、見栄をはったパーティーをしていたお父様。
お爺様が築いた財産をほとんど散財した結果、私たちを利用しようと決めたくせによく言うなと、私は呆れてしまった。
「まったく・・・リーウェンに感謝しろ。そうだ、無能なお前はヴァルド公爵に嫁がせる。なーに、安心しろ、ヴァルド公爵とは仲がいい。ちゃんと愛人ではなく、正妻として迎えるようにお願いしてやる」
仲がいいなんて嘘。
ヴァルド公爵と言えば、お父様が多額の借金をしている相手。
財産は腐るほど持っているが、自身の美にお金をつかうことなく、脂肪をたらふく蓄え、脂汗をいつも流しているし、年齢も確かお父様よりも上だったはずだ。そして、その見てくれから、いくらお金を持っていようとほとんどの女性が相手にしない男性だ。そんなところにお嫁に行くなんて溜まったもんじゃない。
「ふっ」
私は鼻で笑った妹のリーウェンを冷めた目で見る。
彼女は勝ち誇った顔をしながら、私から目線を逸らす。
まったく。
かわいらしい顔をしているかもしれないけれど、性格の悪さがにじみ出ている。そんな憎たらしい笑いばかりしていたら、顔の筋肉がその顔でしか笑えなくなるに違いない。
「なんだ、リーウェンに嫉妬か?姉としての自覚がないのか、お前には・・・っ」
私がリーウェンを睨んでいると、お父様が注意してくる。
(あっ、お父様が見てないからって、リーウェンめ。また憎たらしい顔をして、私を見てるしっ)
まぁ、そんなことはどうでもいい。リーウェンが何をしようと、誰と結婚しようと私には関係ない。
(だって・・・リーウェンは・・・。いやいや、そんなことより、私の結婚先だ)
「あの、私、ヴァルド公爵のところなんて絶対に嫌ですし、彼は・・・」
「まだ言うかっ!!!この親不孝娘!!いったい何様だと思っているんだっ!!?」
(えーっと、お父様は年配者として、そして親として感謝しているんですけど、金を稼ぐ道具としてしか見ていないお父様への敬意は、これ以上は無理・・・かな)
私はお父様に呆れてしまい、ため息をついた。
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