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 状況を整理しましょう。

(まず、私はなぜか、ロープで縛られている)

 少し身体をよじったり、動いてみたけれど、結び目がほどける様子はない。

(次に私は執事に見張られている。逃げられそうには……ないわね)

 私が振り返ると、執事は静かな瞳で私を見ていた。笑顔を見せても、執事は愛想笑いもしてくれなかった。ちょっと、凹む。

(そして、婚約者のカイジンとウィル王子がテーブルの上で……トランプゲームをやっている。キングとクイーンのフルハウスとウィル王子が言っていたから、きっとポーカーね)

 私は再び、カイジンとウィル王子を見る。変わり果てた姿のカイジンの背中は見ていて悲しかった。

(でも、ポーカーってことは賭け事をしているのかしら?)

「嘘でしょ……」

 私がカイジンに渡したお金の入った袋がテーブルの上にあった。そして、ディーラーらしき人がその袋をカイジンの手元から没収しようとしてる。

「こっ、これはダメだっ!!」

 カイジンは悪あがきをしてその袋に手を伸ばした時、ディーラーらしき人がナイフを一瞬で出して、カイジンのクビにそっとつけた。

「ルールはルールです」

「くっ……」

 カイジンはその袋を諦めた。でも、それは私の家のお金だ。私は目を覚ましたばかりで状況を把握しようとしていたら、ウィン王子は立ち上がり、ポーカーはお開きになろうとしている。

「まっ、待ってくれ」

 カイジンが手を伸ばそうとすると、ディーラーらしき人がギロっと睨む。すると、カイジンは慌てて手を引っ込めて、愛想笑いを浮かべて、

「いや、俺が悪かった。だから、もう一度チャンスをくれ」

「なら、わかるだろ? カイジン」

 そう言うと、カイジンは振り返る。

「アイツをベットする」

 ペット?
 なんで、私がペットになるの?

(いや違う……ベット。カイジンはベットと言ったっ)

「アイツ呼ばわりも好きじゃないよ、ボクは」

「あぁ、クレアをベットする」

 はしたない言葉は使いたくないですが、「どの面下げて言ってるんですかっ」と言いたくなるような偉そうな顔をしていました。

「それと、彼女を怯えさせたことも謝りたまえ」

「それはいいじゃないですか。あなただって、こんな賭けに応じた悪い……いえっなんでも。すまなかったクレア」

 王子が出ていこうとすると、カイジンは速やかに私に謝って来た。

「すまなかったじゃ……ないでしょ。ふざけないでよっ」

 私が暴れようとすると、執事の方が転ばないようにそっと私を抑える。それでも、私は暴れたけれど、王子は席に着き、カイジンもテーブルを向いてしまい、ディーラーはカードをシャッフルし出す。



 
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