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孤独な旅、歓迎のニアメア王国
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もっとも力を持つ国、アリメンバー王国。
冒険者を募り、特に才があった勇者であるギルガルドを見出すことができたのも必然であり、魔王討伐後はこの国を中心に世界が回っていくだろうと言われていた国。そして、ギルガルドが遂に魔王討伐を果たし、それが実現しようとしていた。
「……ト」
その国の路地裏に六芒星が浮かび上がり、その上にギルガルド、ガードナー、マリリーンが現れた。
「ありがとう、マリリーン」
「いえいえ、どういたしまして」
ギルガルドがお礼を言うと、マリリーンは言葉では謙遜していたけれど、態度ではもっと褒めたたえて欲しそうに胸を張っていた。
「ギルガルド。まずはどうする?」
「ガードナー、まずは国王に報告だ。それから、ゆっくり休もうぜ」
「でも、テレポートですぐに移動できたのだから、水でも浴びてからにしましょうよ。汚れたままみんなの前にでるのも嫌だし」
「あーーっ、なら、フローレンスがいたら便利だったな」
「なんなら、汚れ落とししてから、テレポートすればよかったかしら?」
「「「ハハハッ」」」
三人は呑気に笑い合う。
「フローレンスっていつも大して戦闘をしないくせに、色々細かいこと言ってきてほーんとに腹が立ってたのよ。だからお灸を据えないと」
「違いない」
「マリリーンもガードナーもひどいこと言うなぁ。仲間だろ?」
「お前が言うか? ギルガルド。俺はちゃんとフローレンスも守ったぞ。って言っても、守る必要もないくらい後ろにいたけどな」
「それって、守ったって言うの、ガードナー? 私はちゃんと魔物の遠距離攻撃が来たら、魔法で守ったわよ、フローレンスも」
「あれは、守ったと言うより、マリリーンを盾にしてなかったか?」
「あー、それを言っちゃう? ひどい奴だぜギルガルドは」
楽しそうにフローレンスに対しての愚痴を言い合う三人はとても楽しそうだった。
「でも、マリリーン。迎えには行くんだろ? 魔王が死んだからあの場所だってテレポート先に選べるだろうし」
「えーーっ、私疲れてるし、面倒くさいかな」
マリリーンも本当に最初は冗談のつもりで彼女を残してテレポートをして帰って来てしまった。ただ、迎えに行くかどうかということも考えておらず、強いて言えば気分次第であり、アリメンバー王国に着いたら迎えに行くのがとても面倒くさくなってしまった。
「おいおい……、でもまっ、あいつなら、敵に標的にされづらいみたいだし、大丈夫か」
「だよねーーーっ」
ギルガルドは「流石に迎えに行くだろう」と思っていたけれど、この場の雰囲気で冗談を重ねた方が面白いと思って、「大丈夫か」と言った。それにマリリーンが便乗したので、自分も疲れていたので、面倒くさい選択肢をわざわざ率先して取らなくてもいいや、と思った。自分がそれを決めたわけではない、決めたのはテレポートができるマリリーンだと、自分の正義に嘘をついて。ガードナーもガードナーで、多数決が大事であり、テレポートができるのはマリリーン、パーティーとして決めることは勇者のギルガルドだと思っていたし、自分はフローレンスを置いてきたことについても、迎えに行くことについても肯定も否定もしていないので、彼も自分の正義は汚れていないと考えていた。
その場その場の雰囲気やノリに流される三人。
回復師が戦いが嫌いだから鳴るのと一緒で、冒険には予測がつかないトラブルをその場にあるものや、その場にいる者で解決しなければならない。杞憂なんてしていたらきりがないし、後悔してもきりがない。そんな性格が冒険者に向いているのだから三人は冒険者の適性が高い性格だったと言える。逆に、フローレンスのようなうじうじ考えるのは真逆で鬱陶しく感じる時も多かった。だから三人とも、魔物の残党が魔王城近くの国、ニアメア王国を襲っているとは全く想像せず、これから国王に褒められて褒美をもらえることで頭がいっぱいだった。
冒険者を募り、特に才があった勇者であるギルガルドを見出すことができたのも必然であり、魔王討伐後はこの国を中心に世界が回っていくだろうと言われていた国。そして、ギルガルドが遂に魔王討伐を果たし、それが実現しようとしていた。
「……ト」
その国の路地裏に六芒星が浮かび上がり、その上にギルガルド、ガードナー、マリリーンが現れた。
「ありがとう、マリリーン」
「いえいえ、どういたしまして」
ギルガルドがお礼を言うと、マリリーンは言葉では謙遜していたけれど、態度ではもっと褒めたたえて欲しそうに胸を張っていた。
「ギルガルド。まずはどうする?」
「ガードナー、まずは国王に報告だ。それから、ゆっくり休もうぜ」
「でも、テレポートですぐに移動できたのだから、水でも浴びてからにしましょうよ。汚れたままみんなの前にでるのも嫌だし」
「あーーっ、なら、フローレンスがいたら便利だったな」
「なんなら、汚れ落とししてから、テレポートすればよかったかしら?」
「「「ハハハッ」」」
三人は呑気に笑い合う。
「フローレンスっていつも大して戦闘をしないくせに、色々細かいこと言ってきてほーんとに腹が立ってたのよ。だからお灸を据えないと」
「違いない」
「マリリーンもガードナーもひどいこと言うなぁ。仲間だろ?」
「お前が言うか? ギルガルド。俺はちゃんとフローレンスも守ったぞ。って言っても、守る必要もないくらい後ろにいたけどな」
「それって、守ったって言うの、ガードナー? 私はちゃんと魔物の遠距離攻撃が来たら、魔法で守ったわよ、フローレンスも」
「あれは、守ったと言うより、マリリーンを盾にしてなかったか?」
「あー、それを言っちゃう? ひどい奴だぜギルガルドは」
楽しそうにフローレンスに対しての愚痴を言い合う三人はとても楽しそうだった。
「でも、マリリーン。迎えには行くんだろ? 魔王が死んだからあの場所だってテレポート先に選べるだろうし」
「えーーっ、私疲れてるし、面倒くさいかな」
マリリーンも本当に最初は冗談のつもりで彼女を残してテレポートをして帰って来てしまった。ただ、迎えに行くかどうかということも考えておらず、強いて言えば気分次第であり、アリメンバー王国に着いたら迎えに行くのがとても面倒くさくなってしまった。
「おいおい……、でもまっ、あいつなら、敵に標的にされづらいみたいだし、大丈夫か」
「だよねーーーっ」
ギルガルドは「流石に迎えに行くだろう」と思っていたけれど、この場の雰囲気で冗談を重ねた方が面白いと思って、「大丈夫か」と言った。それにマリリーンが便乗したので、自分も疲れていたので、面倒くさい選択肢をわざわざ率先して取らなくてもいいや、と思った。自分がそれを決めたわけではない、決めたのはテレポートができるマリリーンだと、自分の正義に嘘をついて。ガードナーもガードナーで、多数決が大事であり、テレポートができるのはマリリーン、パーティーとして決めることは勇者のギルガルドだと思っていたし、自分はフローレンスを置いてきたことについても、迎えに行くことについても肯定も否定もしていないので、彼も自分の正義は汚れていないと考えていた。
その場その場の雰囲気やノリに流される三人。
回復師が戦いが嫌いだから鳴るのと一緒で、冒険には予測がつかないトラブルをその場にあるものや、その場にいる者で解決しなければならない。杞憂なんてしていたらきりがないし、後悔してもきりがない。そんな性格が冒険者に向いているのだから三人は冒険者の適性が高い性格だったと言える。逆に、フローレンスのようなうじうじ考えるのは真逆で鬱陶しく感じる時も多かった。だから三人とも、魔物の残党が魔王城近くの国、ニアメア王国を襲っているとは全く想像せず、これから国王に褒められて褒美をもらえることで頭がいっぱいだった。
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