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本編
14話 死角からの刺客
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夜の一人歩き。
禁止されていたからか、月明かりとは言え、怖さと高揚感が入り混じっていた。
カサッ
私はびくっと、庭園の草陰を見るけれど人影はない。小動物か小鳥か、それとも風か。
「ふふっ」
味わったことのないスリルに私はワクワクしながら歩く。
とはいえ、私は人には出会わないように気を付けながら、いや、まったく気を付けていないけれど、会わないことを祈りながら歩いた。
だって、悪い人はもちろんのこと、お父様やお母様、告げ口するような衛兵さんやメイドさんにも、リリィにも気づかれたら、怒られるに決まっているのだから。
誰にも会ってはいけない・・・
「でも、シュナイデル王子なら・・・会いたいな」
ガサガサガサッ!!
小動物や小鳥、風ではありえない音が後ろの方から聞こえてくるのに気いた私は慌てて振りむく。
聞かれてはいけない独り言を聞かれてしまったかもしれない焦りで、私は顔を赤らめていた。
「へっへっへっ」
私の赤らんだ顔はすぐさま真っ青になった。
振り返ると、全く知らない3人の男たちがいた。
愛する国民。全員を覚えているわけではないけれど、それとなくほとんどの人は把握しているけれど、彼らの顔は全く記憶にないし、服装もボロボロでほとんど洗っていないその砂っぽい服だったけれど、見たこともない彼らは異国の人間であることは容易に想像がついた。
(なんで、こんな人たちが私の国に・・・っ)
私の国は心は豊かだと思っているけれど、財政状況だってそんなに良くないから、私をさらう価値なんてほとんどない。
「こんばん・・・わ」
ジリッ
返事もせずに距離をじわじわ詰めてくる3人。
念のため、あいさつをしてみたけれど、やっぱり交友的ではないようだ。
(彼らが私の前に現れた理由なんて考えている暇はないわっ。逃げないと)
私は彼らの様子を見ながら、距離を確保するため足を後ろに引く。
しかし、その行為は彼らの一歩でほぼ無意味になる。
私は高まる心拍を整え、走り出して逃げるタイミングを探す。
でも、怖くて怖くて呼吸も心拍もなかなか落ち着かない。
(お父様の言う通りだった・・・)
今はお父様の言葉を思い出している場合でもないのに、この一時を争う緊張感から目を背けるように必要ないことに気持ちが持っていかれてしまう。
「くっ・・・」
私は後ろへ走った。
動きずらい寝間着。
ドタドタ走ってくる3人の足音。
「ううううぅぅっ」
(いやだ、いやだ、いやだっ)
私は王宮の方へ走る。
夜に出かけるという、私にとって、大人へ一歩を踏み出したことを後悔しながら―――
禁止されていたからか、月明かりとは言え、怖さと高揚感が入り混じっていた。
カサッ
私はびくっと、庭園の草陰を見るけれど人影はない。小動物か小鳥か、それとも風か。
「ふふっ」
味わったことのないスリルに私はワクワクしながら歩く。
とはいえ、私は人には出会わないように気を付けながら、いや、まったく気を付けていないけれど、会わないことを祈りながら歩いた。
だって、悪い人はもちろんのこと、お父様やお母様、告げ口するような衛兵さんやメイドさんにも、リリィにも気づかれたら、怒られるに決まっているのだから。
誰にも会ってはいけない・・・
「でも、シュナイデル王子なら・・・会いたいな」
ガサガサガサッ!!
小動物や小鳥、風ではありえない音が後ろの方から聞こえてくるのに気いた私は慌てて振りむく。
聞かれてはいけない独り言を聞かれてしまったかもしれない焦りで、私は顔を赤らめていた。
「へっへっへっ」
私の赤らんだ顔はすぐさま真っ青になった。
振り返ると、全く知らない3人の男たちがいた。
愛する国民。全員を覚えているわけではないけれど、それとなくほとんどの人は把握しているけれど、彼らの顔は全く記憶にないし、服装もボロボロでほとんど洗っていないその砂っぽい服だったけれど、見たこともない彼らは異国の人間であることは容易に想像がついた。
(なんで、こんな人たちが私の国に・・・っ)
私の国は心は豊かだと思っているけれど、財政状況だってそんなに良くないから、私をさらう価値なんてほとんどない。
「こんばん・・・わ」
ジリッ
返事もせずに距離をじわじわ詰めてくる3人。
念のため、あいさつをしてみたけれど、やっぱり交友的ではないようだ。
(彼らが私の前に現れた理由なんて考えている暇はないわっ。逃げないと)
私は彼らの様子を見ながら、距離を確保するため足を後ろに引く。
しかし、その行為は彼らの一歩でほぼ無意味になる。
私は高まる心拍を整え、走り出して逃げるタイミングを探す。
でも、怖くて怖くて呼吸も心拍もなかなか落ち着かない。
(お父様の言う通りだった・・・)
今はお父様の言葉を思い出している場合でもないのに、この一時を争う緊張感から目を背けるように必要ないことに気持ちが持っていかれてしまう。
「くっ・・・」
私は後ろへ走った。
動きずらい寝間着。
ドタドタ走ってくる3人の足音。
「ううううぅぅっ」
(いやだ、いやだ、いやだっ)
私は王宮の方へ走る。
夜に出かけるという、私にとって、大人へ一歩を踏み出したことを後悔しながら―――
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