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本編
12話 リリィの尋問
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「どういうことなの?」
椅子に険しい顔をして、腕を組んで詰問するリリィ。
「えーっと・・・、何がかしら?」
妹のリリィに呼び出された私は困惑しながらリリィに困惑しながらも笑顔を作って尋ね返す。
けれど、リリィは、そんなこともわからないの?と言いたげな顔をして、さっきよりも顔が険しくなった。
(うーん・・・、話が長くなるなら私も座りたいんだけどなぁ)
なかなか切り出さないリリィを見ていると、私から何かを謝罪しなければならないようだけれども、まったく心当たりがない。
「朝、窓から見てたのよ私」
リリィはじーっと私の顔を見て、口を開いた。
「あぁ、そういう・・・」
私はようやく何が妹を怒らせているのか理解した。ただ、私はシュナイデル王子に好意を寄せているけれど、妹のリリィから奪い取ろうとは全く思っていなかった。
ビシンッ
音がして何が起きたかわからなかったけれど、視界は強制的に左に動き、左の頬に強烈な痛みが遅れてやってきた。
「何笑ってんのよっ!!」
私が再びリリィに焦点を合わせると、リリィは鬼の形相で私を見ていた。
「ごっ、誤解よ、リリィ。私は別に・・・」
『シュナイデル王子のことは好きじゃない』
そう言おうとして、次の言葉が出ないことにびっくりした。
「別に・・・なんなのよっ?」
リリィが次の言葉を催促してくる。
「何を怒っているの?リリィ」
ギリッ
リリィは歯ぎしりをした。
「あんなに楽しそうにして・・・お姉ちゃんは私のシュナイデルに媚びるような目をしていたわ」
「・・・失礼のないように接していただけよ」
「シュナイデルだって・・・あんなに無邪気に楽しそうな顔してたもんっ!!」
(あぁ・・・そういうことか)
「いい?リリィ。シュナイデル王子と話をしていたのはね、あなたの話よ?」
「えっ?」
リリィの表情はまるでとり憑いていた悪魔が抜けたように幼い子どものような顔になった。
「シュナイデル王子はあなたのことをずーっと褒めてたのよ?心にある思い出のアルバムを大事に大事に1ページごとめくるように、幸せな顔をしていたわ」
ぽかーんっとするリリィ。
そして、私の言葉を理解するのに少し時間がかかった後。
「そう・・・」
その内容を嬉しそうに受け止めたリリィはとても可愛らしい、恋する少女の顔をしていた。
「ふふっ、そうよね。こんなに頑張っている私を裏切るはずはないもの・・・。それに」
ちらっと私の顔を上目遣いで馬鹿にしたように見るリリィ。
「本当にありがとうね、おねえちゃん、お母様」
「?」
急に意味のわからないことを言いながら立ち去るリリィ。
その言葉になんだかもやもやしながら、私はリリィの背中を見送った。
椅子に険しい顔をして、腕を組んで詰問するリリィ。
「えーっと・・・、何がかしら?」
妹のリリィに呼び出された私は困惑しながらリリィに困惑しながらも笑顔を作って尋ね返す。
けれど、リリィは、そんなこともわからないの?と言いたげな顔をして、さっきよりも顔が険しくなった。
(うーん・・・、話が長くなるなら私も座りたいんだけどなぁ)
なかなか切り出さないリリィを見ていると、私から何かを謝罪しなければならないようだけれども、まったく心当たりがない。
「朝、窓から見てたのよ私」
リリィはじーっと私の顔を見て、口を開いた。
「あぁ、そういう・・・」
私はようやく何が妹を怒らせているのか理解した。ただ、私はシュナイデル王子に好意を寄せているけれど、妹のリリィから奪い取ろうとは全く思っていなかった。
ビシンッ
音がして何が起きたかわからなかったけれど、視界は強制的に左に動き、左の頬に強烈な痛みが遅れてやってきた。
「何笑ってんのよっ!!」
私が再びリリィに焦点を合わせると、リリィは鬼の形相で私を見ていた。
「ごっ、誤解よ、リリィ。私は別に・・・」
『シュナイデル王子のことは好きじゃない』
そう言おうとして、次の言葉が出ないことにびっくりした。
「別に・・・なんなのよっ?」
リリィが次の言葉を催促してくる。
「何を怒っているの?リリィ」
ギリッ
リリィは歯ぎしりをした。
「あんなに楽しそうにして・・・お姉ちゃんは私のシュナイデルに媚びるような目をしていたわ」
「・・・失礼のないように接していただけよ」
「シュナイデルだって・・・あんなに無邪気に楽しそうな顔してたもんっ!!」
(あぁ・・・そういうことか)
「いい?リリィ。シュナイデル王子と話をしていたのはね、あなたの話よ?」
「えっ?」
リリィの表情はまるでとり憑いていた悪魔が抜けたように幼い子どものような顔になった。
「シュナイデル王子はあなたのことをずーっと褒めてたのよ?心にある思い出のアルバムを大事に大事に1ページごとめくるように、幸せな顔をしていたわ」
ぽかーんっとするリリィ。
そして、私の言葉を理解するのに少し時間がかかった後。
「そう・・・」
その内容を嬉しそうに受け止めたリリィはとても可愛らしい、恋する少女の顔をしていた。
「ふふっ、そうよね。こんなに頑張っている私を裏切るはずはないもの・・・。それに」
ちらっと私の顔を上目遣いで馬鹿にしたように見るリリィ。
「本当にありがとうね、おねえちゃん、お母様」
「?」
急に意味のわからないことを言いながら立ち去るリリィ。
その言葉になんだかもやもやしながら、私はリリィの背中を見送った。
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