上 下
11 / 15

海の岩戸 冒険バージョン

しおりを挟む
 むかしむかし。

 大きな大きな海の真ん中で

 深い深い海の底。

 ちょうちんをぶらさげたアンコウさんがお腹を空かせて泳いでいました。

「楽して、エサが食べらるところはないかな?」

 お腹をすかせたアンコウさんがしばらく泳いると、イカの群れがいました。

「ぐへへっ、おいしそうだっ。それーーーっ」

 アンコウさんがいっしょうけんめい泳いでイカの群れを追いますが、イカたちはすぐさま逃げて、ぜんぜんつかまりません。

「くそ~~~~」

 ごはんをたべていないアンコウさんは力尽きてイカを追うのをあきらめます。

「クスクスクスッ」

「ケッケッケッ」

 ヒラメさんやカレイさんたちが、そんなアンコウさんを見てこそこそしながら、笑っています。

 アンコウさんはにらみつけますが、ヒラメさんやカレイさんはよゆうの顔をしています。

 それもそのはず。
 
 短いきょりだと、ヒラメさんもカレイさんも泳ぐのがとてもはやいのです。

 その素早さを活かしてイカを捕まえておいしそうに食べています。

「おい、じろじろ見んなよ。ここはのろまのお前にはにゃ無理だ、あっち行け」


 アンコウさんはくやしそうな顔をしながらエサを食べられるところを探します。



「ん?」

 アンコウさんがふたたび、泳いでいると岩場を見つけました。

 アンコウさんは作戦を考えようと、岩場にもぐりこみました。

「んーー、どうしようかな?おなかがすいて、素早く泳げないし・・・」

 アンコウさんが困った顔をして岩場にいると、イカがのんびり泳いでやってきました。

 パクッ

「ん、うまいっ」

 アンコウさんは久しぶりのごはんを涙を流して食べました。

 アンコウさんが周りをよく見ると、イカが好きなプランクトンがたくさんいます。

「ここで、隠れていればおいしいイカがくるんじゃないか?」

 アンコウさんはちょうちんを消して、隠れているとイカがどんどん来ます。


「ムシャムシャムシャ・・・こりゃいいや。カレイたちみたいに頑張らなくたって、ボクは楽してごはんを食べられるぞ。ヘヘヘッ」

 アンコウさんはそこを家と決めて、楽してごはんを食べるようになりました。

 めでたし、めでたし。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

おむつオナニーやりかた

rtokpr
エッセイ・ノンフィクション
おむつオナニーのやりかたです

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...