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本編2 エガスト王国編
29 ※28より1週間前
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アーサーと隔離されて1週間。
私は客室に軟禁されていた。部屋はノーバルダム王国の様式とは違い、重厚な柱とアーチなどが特徴的で質実剛健という感じだった。私は見慣れた場所ではないけれど、なんとなくここがどこか雰囲気で察することができた。
(ここは西の王国、エガスト王国かな)
ウォーリー伯爵領はノーバルダム王国に西側に位置し、エガスト王国とは敵対をしているのだが、商人などが時々エガスト王国の絨毯や洋服、そして建物を描いた絵画を運んでくれる。華やかさのあるオリエンタルな雰囲気とは違ったオクシデンタル雰囲気は捕まっているせいもあって、圧迫感があった。
私は捕まって連れて来られた時、牢屋にでも入れられるのではないかと心配していた。けれど、連れてこられた場所は客室で、ちゃんとした料理も与えられて、暖かな布団も用意されていた。本来なら居心地がいい場所なのだろうけど、私は食べ物もほとんど喉を通らなかったし、夜も眠れなかった。
だって、私はお父様に大見得を切ったのに、エレメンタル王国にたどり着くこともできず、何も結果を出していないし、私がこうして何もできないでいる間に、お父様がレオナルド王子や中央貴族に嫌なことをされていないか心配だった。
(アーサー・・・無事でいて)
私はおでこ前で手を組んでアーサーの無事を祈る。お父様も心配だけれど、今私が一番心配なのは、アーサーだ。私たちは敵対国に捕まったとすれば、私はもちろん、ウォーリー伯爵領で密かに英雄扱いされているアーサーは、エガスト王国では大悪党に思われていても不思議ではない。私に食事を持ってきたり、片づけてくれたりする人たちにアーサーの安否を何度もしたが、誰も答えてはくれなかった。
時計は少しずつ、でも、確かに進んでいき、私にとって、無駄な時間が徐々に過ぎていく。
剣さえあれば、私は戦えるのに。
(・・・本当に?)
料理を持ってきてくれる人たちは複数人で私の元に訪れる。流石に彼らを争わずに部屋から抜け出すのは難しいだろう。アーサーと火を囲んで拘束されてしまった時、まったく動けず足手まといだった私。貴族のたしなみとしての剣技はできても、それはあくまでもスポーツ。時には殺意に近い敵意もあったけれど、それはあくまでも貴族の戯れの範囲で、本物の殺意の前ではかわいいものだった。
料理を持ってきてくれている人たちは私に殺意を向けていない。けれど、そんな武装していない人たちを攻撃、場合によっては人質にして、ここから抜け出すことが私にできるのか。
「私は、ウォーリー伯爵の娘、ミシェルよ・・・・・・・・・やらないとっ」
それが覚悟だ。
レオナルド王子のところへ嫁ぐと言ったのだって、自分を含めみんなが幸せになれると思っていた。けれど、レオナルド王子に拝謁した時に感じたのは、誰かがレオナルド王子の妃になれば、誰かが妃になれない、だからお前ごときがなるんじゃねぇ、という雰囲気をヒシヒシと感じた。
私は拳を握りしめる。けれど、私の拳はやけに小さく見えて、頼りなかった。
(やっぱり・・・・・・できない・・・・・・でも・・・・・・)
もし、食事を持ってくる人たちが私に敵意をむけてくれているなら、私も自分の持てる技で応戦する・・・と思う。そうじゃなくても、笑顔で毒を入れているとかなら、流石の私だって感情が高ぶって、彼らを攻撃できるだろう。
決断。
お父様が言っていた領主として大切なことである決断がこんなにも大変だと思わなかった。
「ふぅーーーーーっ」
私は目を閉じて深呼吸をする。
すると、まぶたの裏に、生まれ育った家や、緑豊かな自然、山から見える朝日、教会、農作業や林業、商売をする領民の笑顔・・・・・・そして、お父様やアーサーの笑顔が浮かんだ。
そうだ、大切な物を見失ってはいけない。
私は領主の娘だ。
私は・・・・・・守りたいものがある。
コンコンッ
扉を叩く音が鳴った。
まだ少し覚悟は決まっていないけれどやるしかない・・・。
私は客室に軟禁されていた。部屋はノーバルダム王国の様式とは違い、重厚な柱とアーチなどが特徴的で質実剛健という感じだった。私は見慣れた場所ではないけれど、なんとなくここがどこか雰囲気で察することができた。
(ここは西の王国、エガスト王国かな)
ウォーリー伯爵領はノーバルダム王国に西側に位置し、エガスト王国とは敵対をしているのだが、商人などが時々エガスト王国の絨毯や洋服、そして建物を描いた絵画を運んでくれる。華やかさのあるオリエンタルな雰囲気とは違ったオクシデンタル雰囲気は捕まっているせいもあって、圧迫感があった。
私は捕まって連れて来られた時、牢屋にでも入れられるのではないかと心配していた。けれど、連れてこられた場所は客室で、ちゃんとした料理も与えられて、暖かな布団も用意されていた。本来なら居心地がいい場所なのだろうけど、私は食べ物もほとんど喉を通らなかったし、夜も眠れなかった。
だって、私はお父様に大見得を切ったのに、エレメンタル王国にたどり着くこともできず、何も結果を出していないし、私がこうして何もできないでいる間に、お父様がレオナルド王子や中央貴族に嫌なことをされていないか心配だった。
(アーサー・・・無事でいて)
私はおでこ前で手を組んでアーサーの無事を祈る。お父様も心配だけれど、今私が一番心配なのは、アーサーだ。私たちは敵対国に捕まったとすれば、私はもちろん、ウォーリー伯爵領で密かに英雄扱いされているアーサーは、エガスト王国では大悪党に思われていても不思議ではない。私に食事を持ってきたり、片づけてくれたりする人たちにアーサーの安否を何度もしたが、誰も答えてはくれなかった。
時計は少しずつ、でも、確かに進んでいき、私にとって、無駄な時間が徐々に過ぎていく。
剣さえあれば、私は戦えるのに。
(・・・本当に?)
料理を持ってきてくれる人たちは複数人で私の元に訪れる。流石に彼らを争わずに部屋から抜け出すのは難しいだろう。アーサーと火を囲んで拘束されてしまった時、まったく動けず足手まといだった私。貴族のたしなみとしての剣技はできても、それはあくまでもスポーツ。時には殺意に近い敵意もあったけれど、それはあくまでも貴族の戯れの範囲で、本物の殺意の前ではかわいいものだった。
料理を持ってきてくれている人たちは私に殺意を向けていない。けれど、そんな武装していない人たちを攻撃、場合によっては人質にして、ここから抜け出すことが私にできるのか。
「私は、ウォーリー伯爵の娘、ミシェルよ・・・・・・・・・やらないとっ」
それが覚悟だ。
レオナルド王子のところへ嫁ぐと言ったのだって、自分を含めみんなが幸せになれると思っていた。けれど、レオナルド王子に拝謁した時に感じたのは、誰かがレオナルド王子の妃になれば、誰かが妃になれない、だからお前ごときがなるんじゃねぇ、という雰囲気をヒシヒシと感じた。
私は拳を握りしめる。けれど、私の拳はやけに小さく見えて、頼りなかった。
(やっぱり・・・・・・できない・・・・・・でも・・・・・・)
もし、食事を持ってくる人たちが私に敵意をむけてくれているなら、私も自分の持てる技で応戦する・・・と思う。そうじゃなくても、笑顔で毒を入れているとかなら、流石の私だって感情が高ぶって、彼らを攻撃できるだろう。
決断。
お父様が言っていた領主として大切なことである決断がこんなにも大変だと思わなかった。
「ふぅーーーーーっ」
私は目を閉じて深呼吸をする。
すると、まぶたの裏に、生まれ育った家や、緑豊かな自然、山から見える朝日、教会、農作業や林業、商売をする領民の笑顔・・・・・・そして、お父様やアーサーの笑顔が浮かんだ。
そうだ、大切な物を見失ってはいけない。
私は領主の娘だ。
私は・・・・・・守りたいものがある。
コンコンッ
扉を叩く音が鳴った。
まだ少し覚悟は決まっていないけれどやるしかない・・・。
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