5 / 38
本編 婚約破棄編(仮)
2 レオナルド王子視点
しおりを挟む
「綺麗だったな・・・」
俺は綺麗な宝石も好きだが、綺麗な女性も好きだ。
先ほどの驚いた顔や笑顔を思い出しながら、ミシェルの背中を見送った。うなじや、肩のラインもとても綺麗だった。
「何を仰いますか、レオナルド王子。あんなの化粧でごまかしているだけですよ」
そう言って、笑うマチルダ。マチルダも十分化粧が濃いように見えるが、そんなマチルダが言うのだから、よっぽど濃いのだろう。
「そうですよ、近くで見れば、辺境の貴族なんて土仕事ばかりしているので、毛穴が開いているにちがいありませんよ」
エブリも笑う。吹き出物などがあるエブリが言うのだから、よっぽど毛穴が開いているに違いない。
「「王子にはあんな女、相応しくありません」」
二人は声を揃えて言う。
それに呼応するように大臣達も俺に近づいてきて、そうだそうだと口を揃えて言う。
(うーむ、あの信念を持った翡翠の瞳はどんな宝石よりも綺麗に感じたし、心が穏やかになるようなあの声はもっと聴いていたいと感じたが・・・)
「ささっ、王子。変な女に騙されずに済んだお祝いをしましょう」
「おっ、それはいいな、そうしよう」
俺が考えていると、俺の許可なく大臣達が話を進めて、大臣の一人が手を叩いて、侍女たちにパーティーの準備を支持する。
「おい・・・勝手に話を進めるな」
皆が、ピタッと止まり、信じられないと言った顔で俺を見る。居心地が悪い雰囲気だ。
「次からは気を付けろ」
「さすが、王子ですっ!!」
そう言って、再び笑顔が戻る大臣や貴族たち。
どうやら、俺は変なプライドで間違えそうになったようだ。危ない、危ない。
彼らには本当に世話になっている。彼らはよく、俺に彼らがどれだけ国に貢献しているのか話をしてくれる。そして、辺境の貴族はサボっていると色々教えてくれる。まぁ、今回呼んだミシェルは彼ら以外のところ、風の噂で辺境伯のウォーリーの一人娘、ミシェルは聖女と呼ばれ厚い信頼を領民から指示を得ており、なかなか直接会えない商人たちだと聞いたから呼んだのだが。
―――ミシェルは聖女。この世で一番素晴らしい女性だ、と。
今の国は何かが違う。
俺の中にあった心のモヤモヤを彼女なら解決してくれると思った俺は、大臣にも貴族にも相談せずに結婚を申し込んだ。手紙を送ってからは本当にドキドキしたが、返って来た手紙に女性らしい品のある文字で喜んでお受けする、と書いてあった時は思わず、ガッツポーズをしてしまった。
(そうだ、その想いは)
俺は自分の胸を掴む。
その後、大臣や貴族に結婚する旨を伝えたら、ほぼ全員から反対されて断るようになって不安になってしまった。
だが・・・・・・。
「どうされました、レオナルド王子?」
俺が立ち上がると、マチルダが尋ねてくる。
「少し、散歩してくる。先に準備を始めておけ」
俺はそう告げて、部屋を出た。
皆を信頼している。
だが、今は・・・・・・
「自分の心に従おう」
俺は綺麗な宝石も好きだが、綺麗な女性も好きだ。
先ほどの驚いた顔や笑顔を思い出しながら、ミシェルの背中を見送った。うなじや、肩のラインもとても綺麗だった。
「何を仰いますか、レオナルド王子。あんなの化粧でごまかしているだけですよ」
そう言って、笑うマチルダ。マチルダも十分化粧が濃いように見えるが、そんなマチルダが言うのだから、よっぽど濃いのだろう。
「そうですよ、近くで見れば、辺境の貴族なんて土仕事ばかりしているので、毛穴が開いているにちがいありませんよ」
エブリも笑う。吹き出物などがあるエブリが言うのだから、よっぽど毛穴が開いているに違いない。
「「王子にはあんな女、相応しくありません」」
二人は声を揃えて言う。
それに呼応するように大臣達も俺に近づいてきて、そうだそうだと口を揃えて言う。
(うーむ、あの信念を持った翡翠の瞳はどんな宝石よりも綺麗に感じたし、心が穏やかになるようなあの声はもっと聴いていたいと感じたが・・・)
「ささっ、王子。変な女に騙されずに済んだお祝いをしましょう」
「おっ、それはいいな、そうしよう」
俺が考えていると、俺の許可なく大臣達が話を進めて、大臣の一人が手を叩いて、侍女たちにパーティーの準備を支持する。
「おい・・・勝手に話を進めるな」
皆が、ピタッと止まり、信じられないと言った顔で俺を見る。居心地が悪い雰囲気だ。
「次からは気を付けろ」
「さすが、王子ですっ!!」
そう言って、再び笑顔が戻る大臣や貴族たち。
どうやら、俺は変なプライドで間違えそうになったようだ。危ない、危ない。
彼らには本当に世話になっている。彼らはよく、俺に彼らがどれだけ国に貢献しているのか話をしてくれる。そして、辺境の貴族はサボっていると色々教えてくれる。まぁ、今回呼んだミシェルは彼ら以外のところ、風の噂で辺境伯のウォーリーの一人娘、ミシェルは聖女と呼ばれ厚い信頼を領民から指示を得ており、なかなか直接会えない商人たちだと聞いたから呼んだのだが。
―――ミシェルは聖女。この世で一番素晴らしい女性だ、と。
今の国は何かが違う。
俺の中にあった心のモヤモヤを彼女なら解決してくれると思った俺は、大臣にも貴族にも相談せずに結婚を申し込んだ。手紙を送ってからは本当にドキドキしたが、返って来た手紙に女性らしい品のある文字で喜んでお受けする、と書いてあった時は思わず、ガッツポーズをしてしまった。
(そうだ、その想いは)
俺は自分の胸を掴む。
その後、大臣や貴族に結婚する旨を伝えたら、ほぼ全員から反対されて断るようになって不安になってしまった。
だが・・・・・・。
「どうされました、レオナルド王子?」
俺が立ち上がると、マチルダが尋ねてくる。
「少し、散歩してくる。先に準備を始めておけ」
俺はそう告げて、部屋を出た。
皆を信頼している。
だが、今は・・・・・・
「自分の心に従おう」
2
お気に入りに追加
2,854
あなたにおすすめの小説
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
〖完結〗ご存知ないようですが、父ではなく私が侯爵です。
藍川みいな
恋愛
タイトル変更しました。
「モニカ、すまない。俺は、本物の愛を知ってしまったんだ! だから、君とは結婚出来ない!」
十七歳の誕生日、七年間婚約をしていたルーファス様に婚約を破棄されてしまった。本物の愛の相手とは、義姉のサンドラ。サンドラは、私の全てを奪っていった。
父は私を見ようともせず、義母には理不尽に殴られる。
食事は日が経って固くなったパン一つ。そんな生活が、三年間続いていた。
父はただの侯爵代理だということを、義母もサンドラも気付いていない。あと一年で、私は正式な侯爵となる。
その時、あなた達は後悔することになる。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ
いつき
恋愛
身近に最上の推しがいたら、例え結ばれなくても人参をぶら下げた馬にでもなると言うものですよね?
両親を喪い平民から貴族になると同時に、前世で見た乙女ゲーム系アニメの最推しが義兄になったレンファラン
貴族の子女として家の為に婚姻?
前世の記憶で領の発展に貢献?
推しの役に立ちたいし、アニメ通りの婚約破棄だけは避けたいところだけれど…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる