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20 受け継ぐ者たち

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「さて・・・ユリウス」

「・・・はっ、はい」

 再び緊張するユリウス。

「わしのことは憎いか・・・」

「・・・ええ」

「ならば、よい。お前は純愛を貫け。そこにいるメーテル様がお前の大事な人なのだろう?」

「はい」

 力強く答えるユリウス。

「お前はマリアの子であり、わしの子だ。弟のアドルドに王座を任せ、自由を求めて暮らすもよし、王座について国民を導いてもよし。決めるがよい」

 ユリウスが私の目を見る。
 私は力強く頷く。



「僕は・・・王になります」



「ふふっ、そうか」

 嬉しそうに国王が笑った。

「今までの無礼をお許しください・・・父上」

 私の手を離し、両手で国王の左手を握るユリウス。今にも泣きそうだ。
 今までのユリウスは、ユリウスのことが好きなくせに悪態をついた自分を見ているようだったけど、こうやって誠実で国王を・・・お父様を敬愛している方がユリウスらしい。

「父上を尊敬し、なれるものなら・・・父上のように何度もなりたいと・・・そう思っておりました・・・」

 臣下として、国王になりたいなど不敬の極み。
 あってはならない感情に戸惑い、苦しみ、一人言えずに我慢し、苦しんでいた言葉だったのだろう。
 ユリウスはその言葉と共に涙を流した。

「お前は私の自慢の・・・息子だ」

 そう言って嬉しそうにする国王。

「なぁ、ペネロペ」

「はい、なんでしょうか?」

「あいつらを呼んでくれ」

「あいつとは?」

「旧友の三銃士・・・それと・・・」

「それと?」

「私の浮気癖が似てしまった・・・もう一人の息子じゃ」

「・・・かしこまりました」

 ペネロペさんが出ていき、王も着替えてくると言って、しばらくすると、私たちを迎えに来てくれた3人の兵士とアドルド王子が来た。
 この王国に返ってきたら会うとはわかっていたけれど、彼を目の当たりにして、私はユリウスの背中に隠れる。

「おっ、お前らがなぜここにいる?お前らがいなくなったせいでなーーーっ」

 怒りを露わにしているアドルド王子。私はユリウスの背中の服を掴みながら震えた。

(やっぱり・・・私はこの国に返ってこなきゃよかった―――)

「アドルド、ユリウス」

 国王が正装で戻ってきた。
 未だ、顔色は具合悪そうだけれど、目は決心に満ち溢れた目をしており、さすがのアドルド王子もピシッと襟を正して、直立した。

「今から後継者を決める」

「??」

 アドルド王子は「何を急に言っているんだ?」と言う顔をする。

「時期後継者は、ユリウスだ」

「はああああああっ!!??」

 アドルド王子が大声で叫んだ。
 私が聞いた史上、最大の声だった。

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