上 下
7 / 7

7

しおりを挟む
 後日談。

 私たちは寒さから解放された。
 もちろん魔法や火を使えば簡単に寒さを忘れることはできたけれど、まいどまいど魔法をさせなければいけないというのも面倒くさいし、人によっては魔法以外のことに才能がある人だってごまんといる。魔法が苦手な人でも普通に暮らせるというのは、権力者にとっては不都合かもしれないけれど、私の創った国にはそんな人はいない。

「うわーすごい・・・スノーバードにホワイトタイガー、それとそれと・・・見たことないかっこいいのがいる~」

 私が久しぶりに造形物を造っていると男の子が指をさしてはしゃいでいる。

「それなんて名前?」

「うーん、まだ名前を決めてないんだけれど、何がいいと思う?」

「ペガススッ」

 強いて言えば私なのかもしれないけれど、私は能力を囲い込みするんじゃなくて、みんなができるようにしたい。
 まぁ、それがフェなんとか王子には面白くなくて、独創性豊かなメリルの方を選んだのかもしれない。まぁ、私だってメリルに負ける気はしないけれど、あいにくお披露目する場が無かった。

「ばいばい、ありがとうね」

 私は親御さんのところへ歩いて行く男の子に手を振ると、男の子も手を振り返してくれている。

「あっ、たまには雪まつりとか言って、造形物の品評会とかやれば盛り上がるかな?」

 空を見上げると雪が降っている。
 
「さて、そろそろ家に帰りましょうかね」

 そう、雪がない世界を創ったはずだったけれど、私の創った世界・・・まぁ、国も最初は雪が降らなかったが、1年の3分の1くらい雪が降る。やはり、自然は偉大と言うことだろう。当時では私の力の方が勝っていたけれど、どんどん全世界的は雪が多くなり、気温も下がったようだ。

 もう一度自然に逆らってもいいのだけれど、それをやると、毎日暖を取るために火を起こしたり魔法で温めたりするのと変わりがなくなるので、やらないと決めた。みんなもたまには雪が降った方がいいと言ってくれるのでケッカオーライだ。

 ただ、メリル夫妻が住んでいるアイスワールドはかなりその寒さと雪にやられているようで少しずつ街が雪に埋もれてきていて、城もかなり寒いと聞く。私の国に移り住みたいという人も後を絶たないくらいだ。

 フェなんとか王子はメリルにその対応をなんとかしろとお願いしたらしいけど、メリルは何にもできないそうだ。それもそのはず・・・というわけじゃないけれど、彼女は覚えは良いけれど、私が教えていない魔法は使えないのだ。もっと正確に言うと、物凄い丁寧に教えれば、人並み以上に魔法を使えるけれど、教えないと自分で学ぼうとか、研究して新たな魔法を生み出そうとかそういう概念がない。

 私が甘やかしてきたせいなのかもしれないけれど、まぁ仕方ない。
 とはいえ、さすがに今回の件は私も呆れてるからなるべく助けたくない。
 今思えば、今までメリルにしてもらってよかったことなんて一度もない。
 
 は。

「ただいま」

「おかえり、ハルラ」

 メリルたちのおかげでこうして、私のことを魔女としてではなく、一人の女性として名前で呼んでくれる人を見つけることができたのだ。

 だから、まぁ・・・ちゃんとお詫びをしてきたら赦してあげよう。
 なーんて、あの性格だから謝れない気がするけどね。

 おしまい。





 
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(32件)

むーたん
2021.08.07 むーたん

正直に言うとよくわからない話でした。
あとざまぁも無かったのでなんと言えばいいのか分かりませんが…次回作に期待します。

西東友一
2021.08.10 西東友一

むーたん様

お読みいただき誠にありがとうございました。
精進していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

解除
かなみん
2021.07.10 かなみん

ご返事ありがとうございました!
ごめんなさい、リワールドの方が建国でしたね、読み違えをしていました。
私個人的に指パッチンでの瞬間移動、妹のやってたスケートの魔法など魔法がとても面白いと思ったので、縋り付くクソ王子よりよっぽどそちらを見たいなと思います☺️

西東友一
2021.08.10 西東友一

かなみん様
お付き合いいただきありがとうございました。

解除
かなみん
2021.07.09 かなみん

完結お疲れ様でした。
婚約破棄の際の王子とのやり取りに2/7も取っているのに対して、建国の流れがサラッとしていて「ん?国創るの?」となった瞬間があったり、今どうなってるの?と思って終わりました。
異世界を創造したのではなく、土地に結界を張って理想郷を創ったイメージで今理解をしています。
また、理想郷を創る魔法が「悪夢」なのはどうしてだろうなぁと思いました

西東友一
2021.07.09 西東友一

かなみん様
労いの言葉及び、ご感想ありがとうございます。
貴重なご意見ありがとうございます。
配分等を意識して、今後精進していきたいと思います。

最後の質問ですがその場から消えるのが「サイレントナイトメア」
理想郷を創る魔法が「リワールド」になります。

本当にありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです

シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」  卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?  娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。  しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。  婚約破棄されている令嬢のお母様視点。  サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。  過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。

【完結】婚約破棄にて奴隷生活から解放されたので、もう貴方の面倒は見ませんよ?

かのん
恋愛
 ℌot ランキング乗ることができました! ありがとうございます!  婚約相手から奴隷のような扱いを受けていた伯爵令嬢のミリー。第二王子の婚約破棄の流れで、大嫌いな婚約者のエレンから婚約破棄を言い渡される。  婚約者という奴隷生活からの解放に、ミリーは歓喜した。その上、憧れの存在であるトーマス公爵に助けられて~。  婚約破棄によって奴隷生活から解放されたミリーはもう、元婚約者の面倒はみません!  4月1日より毎日更新していきます。およそ、十何話で完結予定。内容はないので、それでも良い方は読んでいただけたら嬉しいです。   作者 かのん

【完結済み】婚約破棄致しましょう

木嶋うめ香
恋愛
生徒会室で、いつものように仕事をしていた私は、婚約者であるフィリップ殿下に「私は運命の相手を見つけたのだ」と一人の令嬢を紹介されました。 運命の相手ですか、それでは邪魔者は不要ですね。 殿下、婚約破棄致しましょう。 第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。 応援して下さった皆様ありがとうございます。 本作の感想欄を開けました。 お返事等は書ける時間が取れそうにありませんが、感想頂けたら嬉しいです。 賞を頂いた記念に、何かお礼の小話でもアップできたらいいなと思っています。 リクエストありましたらそちらも書いて頂けたら、先着三名様まで受け付けますのでご希望ありましたら是非書いて頂けたら嬉しいです。

【完結・全3話】不細工だと捨てられましたが、貴方の代わりに呪いを受けていました。もう代わりは辞めます。呪いの処理はご自身で!

酒本 アズサ
恋愛
「お前のような不細工な婚約者がいるなんて恥ずかしいんだよ。今頃婚約破棄の書状がお前の家に届いているだろうさ」 年頃の男女が集められた王家主催のお茶会でそう言ったのは、幼い頃からの婚約者セザール様。 確かに私は見た目がよくない、血色は悪く、肌も髪もかさついている上、目も落ちくぼんでみっともない。 だけどこれはあの日呪われたセザール様を助けたい一心で、身代わりになる魔導具を使った結果なのに。 当時は私に申し訳なさそうにしながらも感謝していたのに、時と共に忘れてしまわれたのですね。 結局婚約破棄されてしまった私は、抱き続けていた恋心と共に身代わりの魔導具も捨てます。 当然呪いは本来の標的に向かいますからね? 日に日に本来の美しさを取り戻す私とは対照的に、セザール様は……。 恩を忘れた愚かな婚約者には同情しません!

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました

miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。 婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。 お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。 ※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。 ※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。