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後日談。
私たちは寒さから解放された。
もちろん魔法や火を使えば簡単に寒さを忘れることはできたけれど、まいどまいど魔法をさせなければいけないというのも面倒くさいし、人によっては魔法以外のことに才能がある人だってごまんといる。魔法が苦手な人でも普通に暮らせるというのは、権力者にとっては不都合かもしれないけれど、私の創った国にはそんな人はいない。
「うわーすごい・・・スノーバードにホワイトタイガー、それとそれと・・・見たことないかっこいいのがいる~」
私が久しぶりに造形物を造っていると男の子が指をさしてはしゃいでいる。
「それなんて名前?」
「うーん、まだ名前を決めてないんだけれど、何がいいと思う?」
「ペガススッ」
強いて言えば私なのかもしれないけれど、私は能力を囲い込みするんじゃなくて、みんなができるようにしたい。
まぁ、それがフェなんとか王子には面白くなくて、独創性豊かなメリルの方を選んだのかもしれない。まぁ、私だってメリルに負ける気はしないけれど、あいにくお披露目する場が無かった。
「ばいばい、ありがとうね」
私は親御さんのところへ歩いて行く男の子に手を振ると、男の子も手を振り返してくれている。
「あっ、たまには雪まつりとか言って、造形物の品評会とかやれば盛り上がるかな?」
空を見上げると雪が降っている。
「さて、そろそろ家に帰りましょうかね」
そう、雪がない世界を創ったはずだったけれど、私の創った世界・・・まぁ、国も最初は雪が降らなかったが、1年の3分の1くらい雪が降る。やはり、自然は偉大と言うことだろう。当時では私の力の方が勝っていたけれど、どんどん全世界的は雪が多くなり、気温も下がったようだ。
もう一度自然に逆らってもいいのだけれど、それをやると、毎日暖を取るために火を起こしたり魔法で温めたりするのと変わりがなくなるので、やらないと決めた。みんなもたまには雪が降った方がいいと言ってくれるのでケッカオーライだ。
ただ、メリル夫妻が住んでいるアイスワールドはかなりその寒さと雪にやられているようで少しずつ街が雪に埋もれてきていて、城もかなり寒いと聞く。私の国に移り住みたいという人も後を絶たないくらいだ。
フェなんとか王子はメリルにその対応をなんとかしろとお願いしたらしいけど、メリルは何にもできないそうだ。それもそのはず・・・というわけじゃないけれど、彼女は覚えは良いけれど、私が教えていない魔法は使えないのだ。もっと正確に言うと、物凄い丁寧に教えれば、人並み以上に魔法を使えるけれど、教えないと自分で学ぼうとか、研究して新たな魔法を生み出そうとかそういう概念がない。
私が甘やかしてきたせいなのかもしれないけれど、まぁ仕方ない。
とはいえ、さすがに今回の件は私も呆れてるからなるべく助けたくない。
今思えば、今までメリルにしてもらってよかったことなんて一度もない。
今までは。
「ただいま」
「おかえり、ハルラ」
メリルたちのおかげでこうして、私のことを魔女としてではなく、一人の女性として名前で呼んでくれる人を見つけることができたのだ。
だから、まぁ・・・ちゃんとお詫びをしてきたら赦してあげよう。
なーんて、あの性格だから謝れない気がするけどね。
おしまい。
私たちは寒さから解放された。
もちろん魔法や火を使えば簡単に寒さを忘れることはできたけれど、まいどまいど魔法をさせなければいけないというのも面倒くさいし、人によっては魔法以外のことに才能がある人だってごまんといる。魔法が苦手な人でも普通に暮らせるというのは、権力者にとっては不都合かもしれないけれど、私の創った国にはそんな人はいない。
「うわーすごい・・・スノーバードにホワイトタイガー、それとそれと・・・見たことないかっこいいのがいる~」
私が久しぶりに造形物を造っていると男の子が指をさしてはしゃいでいる。
「それなんて名前?」
「うーん、まだ名前を決めてないんだけれど、何がいいと思う?」
「ペガススッ」
強いて言えば私なのかもしれないけれど、私は能力を囲い込みするんじゃなくて、みんなができるようにしたい。
まぁ、それがフェなんとか王子には面白くなくて、独創性豊かなメリルの方を選んだのかもしれない。まぁ、私だってメリルに負ける気はしないけれど、あいにくお披露目する場が無かった。
「ばいばい、ありがとうね」
私は親御さんのところへ歩いて行く男の子に手を振ると、男の子も手を振り返してくれている。
「あっ、たまには雪まつりとか言って、造形物の品評会とかやれば盛り上がるかな?」
空を見上げると雪が降っている。
「さて、そろそろ家に帰りましょうかね」
そう、雪がない世界を創ったはずだったけれど、私の創った世界・・・まぁ、国も最初は雪が降らなかったが、1年の3分の1くらい雪が降る。やはり、自然は偉大と言うことだろう。当時では私の力の方が勝っていたけれど、どんどん全世界的は雪が多くなり、気温も下がったようだ。
もう一度自然に逆らってもいいのだけれど、それをやると、毎日暖を取るために火を起こしたり魔法で温めたりするのと変わりがなくなるので、やらないと決めた。みんなもたまには雪が降った方がいいと言ってくれるのでケッカオーライだ。
ただ、メリル夫妻が住んでいるアイスワールドはかなりその寒さと雪にやられているようで少しずつ街が雪に埋もれてきていて、城もかなり寒いと聞く。私の国に移り住みたいという人も後を絶たないくらいだ。
フェなんとか王子はメリルにその対応をなんとかしろとお願いしたらしいけど、メリルは何にもできないそうだ。それもそのはず・・・というわけじゃないけれど、彼女は覚えは良いけれど、私が教えていない魔法は使えないのだ。もっと正確に言うと、物凄い丁寧に教えれば、人並み以上に魔法を使えるけれど、教えないと自分で学ぼうとか、研究して新たな魔法を生み出そうとかそういう概念がない。
私が甘やかしてきたせいなのかもしれないけれど、まぁ仕方ない。
とはいえ、さすがに今回の件は私も呆れてるからなるべく助けたくない。
今思えば、今までメリルにしてもらってよかったことなんて一度もない。
今までは。
「ただいま」
「おかえり、ハルラ」
メリルたちのおかげでこうして、私のことを魔女としてではなく、一人の女性として名前で呼んでくれる人を見つけることができたのだ。
だから、まぁ・・・ちゃんとお詫びをしてきたら赦してあげよう。
なーんて、あの性格だから謝れない気がするけどね。
おしまい。
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