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「ルイズ、その鳩はなんだ。あと、その手紙は?」
グリフとヴィトリールがお互いに肩を寄せ合いながら怪訝な顔で私を見てきます。
「ねぇ、ヴィトリール。お父様はアナタが淹れた飲み物を薬と一緒に飲むように言われたようよ?」
「お姉様、何を仰っているんですか。人に罪を着せようとするなんて最低です・・・」
私はヴィトリールにゆっくりと近づくと、ヴィトリールはぎゅっとグリフの袖を握り、グリフを前にしてその陰に隠れようとする。でも、私はそれを逃がさない。だって、許せないもの。尊敬するお父様をひどい目に合わせた妹を。
「お父様が目を覚まされました。こちらに向かっているそうです」
私の発言で会場がざわめきます。
(彼の手紙にはお父様が何が何でもこちらへ来ると書かれているけれど、お父様のお身体が心配だわ・・・)
「なっ、何を言っているんだ。ヴィトリールの父上は確かに葬儀を・・・・・・」
「ええ、確かに葬儀は行いました。けれど、あれは偽装です。真犯人をあぶりだすための」
「「・・・・・・っ」」
青ざめていくグリフとヴィトリール。
「実行犯が実の妹というのは信じたくありませんでしたけれど・・・・・・犯人はおおよそ検討がついていました。残念です、グリフ、ヴィトリール」
二人は膝から崩れ落ちました。
犯行動機を聞くと、自分たちの不貞行為を咎められ、そして、結婚にも反対したお父様に殺意を持ったこと。早くお父様の財産を手に入れたかったからだそうです。
(短絡的な行動でしたか・・・・・・)
私はもしかしたら、妹のヴィトリールが私と同じようにこの家の未来を想って、自分がグリフと結婚した方が、家やお父様のためになると判断した、もしくは、私のことを想って、身代わりで結婚しようとしていたと頭の隅で思っていた・・・・・・いや、願っていましたけれど、そうではなかったようです。残念です。
冷ややかな目でグリフたちを見る私の学友とグリフの知人。いつの間にか、グリフの友人だったであろう二人はどこかに消えていました。
「ヴィトリール」
私が声を掛けると、妹のヴィトリールは顔を上げました。
「私はアナタを許さないし、未遂とは言え、父親殺しは重罪よ。ちゃんと罪を償いなさい。その一番初めとして、お父様にちゃーんと、謝りなさいね」
もしかしたら、お父様は許してしまうかもしれない。私が濡れ衣を着せられそうになっていると彼から聞いたから、真実を彼に話しただけであって、ヴィトリールがきちんと謝れたら、お父様は嘘を付いて誤飲したと言うかもしれない。
「うっさいわねっ!!」
そう言って、どこからか隠し持っていたナイフを右手で持ち、私に指そうとしてくるヴィトリール。
(躱せるっ)
「うおおおおおっ」
阿吽の呼吸でグリフもどこからか隠し持っていたナイフを右手で持ち、振りかぶって切りかかろうとしています。
(二人がかりは・・・・・・無理っ!!)
グリフとヴィトリールがお互いに肩を寄せ合いながら怪訝な顔で私を見てきます。
「ねぇ、ヴィトリール。お父様はアナタが淹れた飲み物を薬と一緒に飲むように言われたようよ?」
「お姉様、何を仰っているんですか。人に罪を着せようとするなんて最低です・・・」
私はヴィトリールにゆっくりと近づくと、ヴィトリールはぎゅっとグリフの袖を握り、グリフを前にしてその陰に隠れようとする。でも、私はそれを逃がさない。だって、許せないもの。尊敬するお父様をひどい目に合わせた妹を。
「お父様が目を覚まされました。こちらに向かっているそうです」
私の発言で会場がざわめきます。
(彼の手紙にはお父様が何が何でもこちらへ来ると書かれているけれど、お父様のお身体が心配だわ・・・)
「なっ、何を言っているんだ。ヴィトリールの父上は確かに葬儀を・・・・・・」
「ええ、確かに葬儀は行いました。けれど、あれは偽装です。真犯人をあぶりだすための」
「「・・・・・・っ」」
青ざめていくグリフとヴィトリール。
「実行犯が実の妹というのは信じたくありませんでしたけれど・・・・・・犯人はおおよそ検討がついていました。残念です、グリフ、ヴィトリール」
二人は膝から崩れ落ちました。
犯行動機を聞くと、自分たちの不貞行為を咎められ、そして、結婚にも反対したお父様に殺意を持ったこと。早くお父様の財産を手に入れたかったからだそうです。
(短絡的な行動でしたか・・・・・・)
私はもしかしたら、妹のヴィトリールが私と同じようにこの家の未来を想って、自分がグリフと結婚した方が、家やお父様のためになると判断した、もしくは、私のことを想って、身代わりで結婚しようとしていたと頭の隅で思っていた・・・・・・いや、願っていましたけれど、そうではなかったようです。残念です。
冷ややかな目でグリフたちを見る私の学友とグリフの知人。いつの間にか、グリフの友人だったであろう二人はどこかに消えていました。
「ヴィトリール」
私が声を掛けると、妹のヴィトリールは顔を上げました。
「私はアナタを許さないし、未遂とは言え、父親殺しは重罪よ。ちゃんと罪を償いなさい。その一番初めとして、お父様にちゃーんと、謝りなさいね」
もしかしたら、お父様は許してしまうかもしれない。私が濡れ衣を着せられそうになっていると彼から聞いたから、真実を彼に話しただけであって、ヴィトリールがきちんと謝れたら、お父様は嘘を付いて誤飲したと言うかもしれない。
「うっさいわねっ!!」
そう言って、どこからか隠し持っていたナイフを右手で持ち、私に指そうとしてくるヴィトリール。
(躱せるっ)
「うおおおおおっ」
阿吽の呼吸でグリフもどこからか隠し持っていたナイフを右手で持ち、振りかぶって切りかかろうとしています。
(二人がかりは・・・・・・無理っ!!)
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