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「犯罪者に発言権はないっ!! 大人しく罪を認めろっ」

 グリフの高圧的な言葉。その言葉が自分に返ってくるというのに、強い言葉を使うのは、自分から白々しくも容疑がこないようにするためでしょうか。そうだとすれば、とても浅はかなこと。この国の法律は更生を認めていますが、

(こんなことを言う貴族はあの方はお許しするでしょうか)

「それで、ヴィトリール。アナタはなぜ、グリフ様に話したのかしら?」

「えっ?」

「だってそうでしょ。もしかしたら、私の仲間かもしれないじゃない。私とグリフ様は婚約者だったのだから」

 だった。
 うん、過去形でもグリフと婚約者という言葉は金輪際使いたくないわ。

「ふん、知れたことを。それは、俺様が頼れる男だからだ」

「グリフ様はよく嘘を付かれますよね。誤った知識、それと判断も時々されていらっしゃるかと」

「そんなことはないっ」

「では、グリフ様。貴方様は私と婚約中、妹と何度か密会していましたね? それも、深夜に二人きりで」

 そう伝えると、私の友人、そして、グリフの知人たちがざわつく。

「そんなことはないっ!!」

「では、どうやって妹のヴィトリールと信頼関係が築いたのですか?」

「それはだなぁ・・・・・・」

 良い言い訳が浮かびませんか、グリフ。
 私は知っていましたよ、ヴィトリールと肉体関係にあったことを。初めショックで、何度もそうった行為を提案されましたが、拒んだ自分がいけないんじゃないかと思うこともございました。でも、今となれば、そもそも結婚前にそういうことは行うべきでないと国が定めている中、婚約者でもない相手とそう言った不貞行為を行い、嘘を重ね、罪を被せようとしている男性を選ばなくてよかったと心の底から思えます。

「お姉様と一緒にあっている時よ。一瞬で分かったわ。この男性は信頼できるって」

 ヴィトリールがグリフの腕に抱き着きながら、そう証言しました。

「だから、私はグリフ様と一緒になりますっ」

「・・・あぁ、そうだ。18歳になった俺は今、ヴィトリールの父上の無念を晴らし、清い状態でヴィトリールとの婚約を宣言するっ!!」

 それがアナタ方の書いた台本ですか。
 私に罪を着せ、そして、不貞行為及び父に危害を加えた自分たちは晴れて結婚すると。そういう訳ですか。

「そろそろかしら・・・・・・」

 私は天を見上げると、二人もそして周りの方々も空を見上げる。

「カミナリでも鳴れば、神が起こっているとでもいうつもりか、ルイズ? 残念だったな、天変地異何が起きても俺はヴィトリールを妻に娶る」

「きた・・・」

 遠い空から一羽のハトが私の元へとやって来ました。
 
(良かった)
 
 そのハトの足には吉報がくくってございました。
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