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2章
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「ううん・・・・・・」
私は寝心地の悪さに目を覚ました。
末端とは言え、王家に名を連ねていた私のベッドはそれなりに良いもので、ロビン先生の前では嫌な顔を一切しなかったけれど、ロビン先生の家のベッドの方が固く感じた。その結果、眠りが浅く長い夢を見ていたのかもしれない。私は夢から解放されて目を覚ますと、やっぱり腰が痛い。でも、それは覚悟をしていたことだし、ベッドを用意していただいたことに感謝し、慣れていく決心がある。
でも、状況はそんな話じゃなかった。
「えっ・・・・・・?」
私は確かにベッドの上に寝ていた。
でも、私は縛られていた。
「えっ、えっ、えっ・・・・・・」
まだ、自虐的な夢を見ているのかと思ったけれど、動けば私を縛っているロープが擦れて痛い。
この痛みは本物だ。
私は困惑しながら、状況を整理しようと頭を働かせる。なぜ、縛られているのか、なぜ、自分がこんな目にあっているのかなど、なぜと言った疑問が浮かぶけれど、それで解決できるはずがない。はっきりした記憶から時系列に私は記憶を遡る。
(私はロビン先生と夕食を食べて、眠くなって・・・・・・ベッドに入った記憶は・・・・・・ないわ)
「ちっ、気が付いたか」
最近聞いた男性の声が聞こえたので、その声の主を見るとやはりジャスティンだった。
「・・・たく、ちゃんと混ぜたのか?」
薄暗い部屋でジャスティンは座りながら、ナイフの側面で自分の左手を何度も叩いていた。
「・・・ええ」
ジャスティンが話す相手は・・・・・・ロビン先生だった。
私と目が合ったロビン先生は気まずそうに私から目を逸らす。
「じゃあ、薬が効かなかったってのか・・・・・・ったく、高い金を払ってんのに。あいつ、ボコす」
指を鳴らすジャスティンの目は獰猛な狼のような目だった。それを見たロビン先生は絡まれたくないと思ったのか、後ろを振り向き少し距離を取った。
「なんだよ、俺が怖いってか?」
しかし、ジャスティンはロビン先生に詰め寄り後ろから肩を組んだ。いや、肩を組んだと言うよりは首を絞めつけているようだったし、手に持った刃物が暗闇にも関わらず光って見えた。
「・・・・・・っ」
ロビン先生は抵抗することなく、少し震えながらも両目を閉じた。それを見たジャスティンは、
「ふっ。いい子ちゃんぶるなよ、セ・ン・セ。普段いい人ぶっているあんたが一番の悪党だぜ? まったく・・・・・・かわいい教え子を裏の社会に売るなんて、極悪党だと思うが・・・違うか?」
これからの人生を捧げようと思っていた恩師のロビン先生。
(そんな先生が・・・・・・私を・・・・・・・・・売った?)
ありえないその言葉を否定しつつも、私は縛られていることなど忘れて動揺するしかなかった。
私は寝心地の悪さに目を覚ました。
末端とは言え、王家に名を連ねていた私のベッドはそれなりに良いもので、ロビン先生の前では嫌な顔を一切しなかったけれど、ロビン先生の家のベッドの方が固く感じた。その結果、眠りが浅く長い夢を見ていたのかもしれない。私は夢から解放されて目を覚ますと、やっぱり腰が痛い。でも、それは覚悟をしていたことだし、ベッドを用意していただいたことに感謝し、慣れていく決心がある。
でも、状況はそんな話じゃなかった。
「えっ・・・・・・?」
私は確かにベッドの上に寝ていた。
でも、私は縛られていた。
「えっ、えっ、えっ・・・・・・」
まだ、自虐的な夢を見ているのかと思ったけれど、動けば私を縛っているロープが擦れて痛い。
この痛みは本物だ。
私は困惑しながら、状況を整理しようと頭を働かせる。なぜ、縛られているのか、なぜ、自分がこんな目にあっているのかなど、なぜと言った疑問が浮かぶけれど、それで解決できるはずがない。はっきりした記憶から時系列に私は記憶を遡る。
(私はロビン先生と夕食を食べて、眠くなって・・・・・・ベッドに入った記憶は・・・・・・ないわ)
「ちっ、気が付いたか」
最近聞いた男性の声が聞こえたので、その声の主を見るとやはりジャスティンだった。
「・・・たく、ちゃんと混ぜたのか?」
薄暗い部屋でジャスティンは座りながら、ナイフの側面で自分の左手を何度も叩いていた。
「・・・ええ」
ジャスティンが話す相手は・・・・・・ロビン先生だった。
私と目が合ったロビン先生は気まずそうに私から目を逸らす。
「じゃあ、薬が効かなかったってのか・・・・・・ったく、高い金を払ってんのに。あいつ、ボコす」
指を鳴らすジャスティンの目は獰猛な狼のような目だった。それを見たロビン先生は絡まれたくないと思ったのか、後ろを振り向き少し距離を取った。
「なんだよ、俺が怖いってか?」
しかし、ジャスティンはロビン先生に詰め寄り後ろから肩を組んだ。いや、肩を組んだと言うよりは首を絞めつけているようだったし、手に持った刃物が暗闇にも関わらず光って見えた。
「・・・・・・っ」
ロビン先生は抵抗することなく、少し震えながらも両目を閉じた。それを見たジャスティンは、
「ふっ。いい子ちゃんぶるなよ、セ・ン・セ。普段いい人ぶっているあんたが一番の悪党だぜ? まったく・・・・・・かわいい教え子を裏の社会に売るなんて、極悪党だと思うが・・・違うか?」
これからの人生を捧げようと思っていた恩師のロビン先生。
(そんな先生が・・・・・・私を・・・・・・・・・売った?)
ありえないその言葉を否定しつつも、私は縛られていることなど忘れて動揺するしかなかった。
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