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1章
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あれから数日が経った。
お父様の遺言の通り私を除いたお兄様、お姉様たちは相続を行い、大臣や役職などもガラッと変わった。アーサー新国王になったことにより、私はこの王宮から出て行かなければならなくなった。
「えっ」
見知らぬ使用人が私の部屋に無断で入っており、その使用人に尋ねると、
「これからここは使用人の部屋になります」
と答えた。
元々みすぼらしい部屋に住んでいた私。
第十一王女ミネルヴァお姉様の時にはすでに王宮に娘が済むような場所が無く、ミネルヴァお姉様のお母様からおねだりされたお父様は王宮の増設を行ったけれどかなり費用がかかったそうだ。それも景気が良かったときの話で、私が生まれた時にはそんな財政の余裕は無く、それをおねだりする母もおらず、そして愛も・・・・・・。
でも、みすぼらしい部屋と言っても、私の16年間過ごしてきた思い出の詰まった部屋。
私を受け入れてくれた場所であり、憩いの場。
「もうしわけございません」
「いいのよ、マチルダさん。自分の仕事に専念して。ねっ?」
お父様が私に付けてくださった使用人も今やアーサー国王のモノ。これからは自分で雇わなければならないのだけれど、自分の今後の生活すら不透明な私に雇えるはずもなく、私は自分の部屋を一人で片づけた。
「よしっ、こんなものかな?」
そもそもあまり物が無かった部屋。片づけはなんとか私一人でもできた。
少し重いけれど、なんとか箱に詰めて運べそうだ。
「バイバイ・・・・・・」
私は家具だけが残った誰もいない部屋にお別れを告げた。
「・・・・・・っ」
これ以上見ていると、涙が出てしまう気がして、名残惜しいけれど私は扉を閉めた。
未練は断ち切らなければならない。
「前を向かなくちゃ」
私は荷物が入った箱を両手で抱える。
すると、視界は荷物でいっぱいだ。
前は見えず、前途多難だ。
私は荷物をもう一度床に置く。
「重いな・・・・・・」
荷物が重すぎる。
でも、歩けないはずじゃないのに・・・・・・どうして歩けないのだろう?
これからの前途多難な人生を考えると億劫になるから?
でも、これまでの人生だってなかなか大変だったけれど、乗り越えてきたじゃない。
じゃあ何が・・・・・・・・・?
未練だってもう・・・・・・
瞳を閉じて、自分の心や記憶を探ると、リチャードの泣き顔を思い出した。
「お困りですか?」
リチャードの泣き顔がいつものように凛々しい声で声を掛けてきたので、びっくりして目を開けると、心配した顔をしたリチャードが微笑んだ。
お父様の遺言の通り私を除いたお兄様、お姉様たちは相続を行い、大臣や役職などもガラッと変わった。アーサー新国王になったことにより、私はこの王宮から出て行かなければならなくなった。
「えっ」
見知らぬ使用人が私の部屋に無断で入っており、その使用人に尋ねると、
「これからここは使用人の部屋になります」
と答えた。
元々みすぼらしい部屋に住んでいた私。
第十一王女ミネルヴァお姉様の時にはすでに王宮に娘が済むような場所が無く、ミネルヴァお姉様のお母様からおねだりされたお父様は王宮の増設を行ったけれどかなり費用がかかったそうだ。それも景気が良かったときの話で、私が生まれた時にはそんな財政の余裕は無く、それをおねだりする母もおらず、そして愛も・・・・・・。
でも、みすぼらしい部屋と言っても、私の16年間過ごしてきた思い出の詰まった部屋。
私を受け入れてくれた場所であり、憩いの場。
「もうしわけございません」
「いいのよ、マチルダさん。自分の仕事に専念して。ねっ?」
お父様が私に付けてくださった使用人も今やアーサー国王のモノ。これからは自分で雇わなければならないのだけれど、自分の今後の生活すら不透明な私に雇えるはずもなく、私は自分の部屋を一人で片づけた。
「よしっ、こんなものかな?」
そもそもあまり物が無かった部屋。片づけはなんとか私一人でもできた。
少し重いけれど、なんとか箱に詰めて運べそうだ。
「バイバイ・・・・・・」
私は家具だけが残った誰もいない部屋にお別れを告げた。
「・・・・・・っ」
これ以上見ていると、涙が出てしまう気がして、名残惜しいけれど私は扉を閉めた。
未練は断ち切らなければならない。
「前を向かなくちゃ」
私は荷物が入った箱を両手で抱える。
すると、視界は荷物でいっぱいだ。
前は見えず、前途多難だ。
私は荷物をもう一度床に置く。
「重いな・・・・・・」
荷物が重すぎる。
でも、歩けないはずじゃないのに・・・・・・どうして歩けないのだろう?
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でも、これまでの人生だってなかなか大変だったけれど、乗り越えてきたじゃない。
じゃあ何が・・・・・・・・・?
未練だってもう・・・・・・
瞳を閉じて、自分の心や記憶を探ると、リチャードの泣き顔を思い出した。
「お困りですか?」
リチャードの泣き顔がいつものように凛々しい声で声を掛けてきたので、びっくりして目を開けると、心配した顔をしたリチャードが微笑んだ。
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