私には何もありませんよ? 影の薄い末っ子王女は王の遺言書に名前が無い。何もかも失った私は―――

「遺言書を読み上げます」

 宰相リチャードがラファエル王の遺言書を手に持つと、12人の兄姉がピリついた。
 遺言書の内容を聞くと、
 ある兄姉は周りに優越を見せつけるように大声で喜んだり、鼻で笑ったり・・・
 ある兄姉ははしたなく爪を噛んだり、ハンカチを噛んだり・・・・・・

―――でも、みなさん・・・・・・いいじゃないですか。お父様から贈り物があって。

 私には何もありませんよ?
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