12 / 14
12
しおりを挟む
「ハハハッ、どうだ、王妃だ。ヴィクトリア王妃。うん、懐かしい響きだろう?」
窓を開けて新鮮な空気が入ってきたら、この嫌な気持ちもすっきりすると思いましたし、レオナード王子も頭がすっきりして自分の言っている愚かさを理解すると思ったのですが、無駄なようでした、残念です。
「なーに、最初はまぁ、大変かもしれない・・・いや、王宮での暮らしは楽しいぞ?」
私は元大臣に頭を下げました。レオナード王子の言葉にもう二度と騙されるつもりはありませんし、みすぼらしい格好のレオナード王子を信用するはずはなかったですが、財政破綻や暴動、そして逃亡したことを知っていたおかげで、この茶番がよりわかりやすく見ることができます。
「結構です。お引き取り下さい。デイジー、衛兵をお呼びして」
「なっ」
レオナード王子はデイジーを引き留めようとするけれど、足がもつれ、デイジーは捕まることなく、急いで衛兵を呼びに行った。
「あぁ、そういうことか。お前がヴィクトリアに告げ口を・・・っ」
レオナード王子が元大臣の胸ぐらを掴み壁に押し付けました。
けれど、衛兵の方々が近くにいたようで、デイジーと一緒に来た衛兵がレオナード王子を捕まえて、
「いってっ」
床に抑えつけました。
「ありがとうございます」
私がそう言うと、衛兵の方々はニコっと笑ってくださいました。
「貴様ら、俺を誰だと思っている。レオナード王子だぞ」
「では、母国へお帰りください」
「ぐっ、それは・・・・・・頼む、ヴィクトリア。俺を匿ってくれ」
「レオナード王子」
「なっなんだ」
私が声を掛けると、良い答えが返ってくると思って嬉しそうな顔をする王子。ですが・・・
「入国手続きをなさいましたか?」
「ああっ?」
「どうやらされていらっしゃらないようですね。この国では入国審査がございます。どうやって入って来たか存じませんが、この国に仇なすものは出ていっていただくようになります」
「おっ、おまえっ。まさか恨んでるのか? なぁ、恨んでるなら、詫びよう」
詫びようというのが上から・・・まぁ、仕方ありませんか。こうなってしまっても王子ですから。
「恨んではいますが、それとこれは別です。では、こう聞きましょう、レオナード王子。貴方様はこの国でどうお役に立ちますか?」
「おっ、俺には人脈が・・・・・・」
「かなり、その人脈の方々に借金があるのでは?」
「王子としての身分が・・・・・・そう、国がある」
「では、お国にお帰りなさい。きっと、貴方様は処刑されるでしょう」
あぁ、私に政治のイロハを教えてくださった大臣達もこのお方に処刑されました。皆、正義感があり良き方々だったのに亡くなり、その張本人は生きているというのは、悔しい限りです。
「レオナード王子、いいえ。レオナードっ。この国から出ていきなさいっ!!」
私は外を指さしました。すると、衛兵の方々がレオナード王子を連れて行きました。
「はっ、放せ、俺は、レオナード、レオナード王子だぞっ!! 俺は、偉いんだぁっ!!」
「本当に偉い人は自分のことを偉いとは言わないかと思いますよ。言うのは、子どもと・・・・・・」
そうして、私の黒歴史は幕を閉じました。
窓を開けて新鮮な空気が入ってきたら、この嫌な気持ちもすっきりすると思いましたし、レオナード王子も頭がすっきりして自分の言っている愚かさを理解すると思ったのですが、無駄なようでした、残念です。
「なーに、最初はまぁ、大変かもしれない・・・いや、王宮での暮らしは楽しいぞ?」
私は元大臣に頭を下げました。レオナード王子の言葉にもう二度と騙されるつもりはありませんし、みすぼらしい格好のレオナード王子を信用するはずはなかったですが、財政破綻や暴動、そして逃亡したことを知っていたおかげで、この茶番がよりわかりやすく見ることができます。
「結構です。お引き取り下さい。デイジー、衛兵をお呼びして」
「なっ」
レオナード王子はデイジーを引き留めようとするけれど、足がもつれ、デイジーは捕まることなく、急いで衛兵を呼びに行った。
「あぁ、そういうことか。お前がヴィクトリアに告げ口を・・・っ」
レオナード王子が元大臣の胸ぐらを掴み壁に押し付けました。
けれど、衛兵の方々が近くにいたようで、デイジーと一緒に来た衛兵がレオナード王子を捕まえて、
「いってっ」
床に抑えつけました。
「ありがとうございます」
私がそう言うと、衛兵の方々はニコっと笑ってくださいました。
「貴様ら、俺を誰だと思っている。レオナード王子だぞ」
「では、母国へお帰りください」
「ぐっ、それは・・・・・・頼む、ヴィクトリア。俺を匿ってくれ」
「レオナード王子」
「なっなんだ」
私が声を掛けると、良い答えが返ってくると思って嬉しそうな顔をする王子。ですが・・・
「入国手続きをなさいましたか?」
「ああっ?」
「どうやらされていらっしゃらないようですね。この国では入国審査がございます。どうやって入って来たか存じませんが、この国に仇なすものは出ていっていただくようになります」
「おっ、おまえっ。まさか恨んでるのか? なぁ、恨んでるなら、詫びよう」
詫びようというのが上から・・・まぁ、仕方ありませんか。こうなってしまっても王子ですから。
「恨んではいますが、それとこれは別です。では、こう聞きましょう、レオナード王子。貴方様はこの国でどうお役に立ちますか?」
「おっ、俺には人脈が・・・・・・」
「かなり、その人脈の方々に借金があるのでは?」
「王子としての身分が・・・・・・そう、国がある」
「では、お国にお帰りなさい。きっと、貴方様は処刑されるでしょう」
あぁ、私に政治のイロハを教えてくださった大臣達もこのお方に処刑されました。皆、正義感があり良き方々だったのに亡くなり、その張本人は生きているというのは、悔しい限りです。
「レオナード王子、いいえ。レオナードっ。この国から出ていきなさいっ!!」
私は外を指さしました。すると、衛兵の方々がレオナード王子を連れて行きました。
「はっ、放せ、俺は、レオナード、レオナード王子だぞっ!! 俺は、偉いんだぁっ!!」
「本当に偉い人は自分のことを偉いとは言わないかと思いますよ。言うのは、子どもと・・・・・・」
そうして、私の黒歴史は幕を閉じました。
23
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
【完結】わたしの欲しい言葉
彩華(あやはな)
恋愛
わたしはいらない子。
双子の妹は聖女。生まれた時から、両親は妹を可愛がった。
はじめての旅行でわたしは置いて行かれた。
わたしは・・・。
数年後、王太子と結婚した聖女たちの前に現れた帝国の使者。彼女は一足の靴を彼らの前にさしだしたー。
*ドロッとしています。
念のためティッシュをご用意ください。
(完結)浮気の証拠を見つけたので、離婚を告げてもいいですか?
アイララ
恋愛
教会の孤児院で働く夫のフラミーの為に、私は今日も夫の為に頑張っていました。
たとえ愛のない政略結婚であろうと、頑張れば夫は振り向いてくれると思ったからです。
それなのに……私は夫の部屋から浮気の証拠を見つけてしまいました。
こんなものを見つけたのなら、もう我慢の限界です。
私は浮気の証拠を突き付けて、もっと幸せな人生を歩もうと思います。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
第三王子の夫は浮気をしています
杉本凪咲
恋愛
最近、夫の帰りが遅い。
結婚して二年が経つが、ろくに話さなくなってしまった。
私を心配した侍女は冗談半分に言う。
「もしかして浮気ですかね?」
これが全ての始まりだった。
束縛の激しい夫にずっと騙されていました。許せないので浮気現場に乗り込みます。
Hibah
恋愛
オリヴィアは、夫ゲラルトに束縛される夫婦生活を送っていた。ゲラルトが仕事に行く間、中から開けられない『妻の部屋』に閉じ込められ、ゲラルトの帰宅を待つ。愛するがゆえの行動だと思い我慢するオリヴィアだったが、ある日夫婦で招かれた昼食会で、ゲラルトのキス現場を見てしまう。しかもゲラルトのキス相手は、オリヴィアの幼馴染ハンスの妹カタリーナだった。オリヴィアは幼馴染ハンスと計画して、ゲラルトとカタリーナの決定的な浮気現場を押さえるべく、計画を練る……
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる