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2話 ミーヤの勘
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タロウさんは次の日も、その次の日も、サカナを持ってきてくれた。ボクは少しずつ体重が増えて行った。体重が重くなっているはずなのに、身体が軽くなったように感じたのは、やっぱりボクはやせ過ぎだったのだろう。
「じゃあな」
ボクが適正体重になって元気になったくらいのある日、タロウさんが別れ際にそう呟いた。
「はい」
ボクは返事を返して、逆の方向へと向かおうとした。
(あれ?)
でも、胸がざわついた。
いつも別れ際に何も言わないタロウさんがお別れの言葉を珍しく言ったのが気になった。ボクはタロウさんを追いかけた。
「タロウさんっ!!」
ボクがタロウさんの背中に叫ぶと、珍しくタロウさんがびっくりした顔でふり返った。
「また、明日っ!!」
そう言うと、タロウさんは鼻で笑って、
「・・・あぁ、また明日な」
と答えた。
それから、ボクはタロウさんの背中を追って、この海の街を一緒に走り回るようになった。後々、タロウさんに聞いたら、あの日を境にタロウさんはボクから立ち去ろうとしていたということだった。ボクは自分に才能なんて一つもないと思っていたけれど、ボクは勘だけはいいみたいだ。
「じゃあな」
ボクが適正体重になって元気になったくらいのある日、タロウさんが別れ際にそう呟いた。
「はい」
ボクは返事を返して、逆の方向へと向かおうとした。
(あれ?)
でも、胸がざわついた。
いつも別れ際に何も言わないタロウさんがお別れの言葉を珍しく言ったのが気になった。ボクはタロウさんを追いかけた。
「タロウさんっ!!」
ボクがタロウさんの背中に叫ぶと、珍しくタロウさんがびっくりした顔でふり返った。
「また、明日っ!!」
そう言うと、タロウさんは鼻で笑って、
「・・・あぁ、また明日な」
と答えた。
それから、ボクはタロウさんの背中を追って、この海の街を一緒に走り回るようになった。後々、タロウさんに聞いたら、あの日を境にタロウさんはボクから立ち去ろうとしていたということだった。ボクは自分に才能なんて一つもないと思っていたけれど、ボクは勘だけはいいみたいだ。
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