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あの日、確かに私は星を掴んだ
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あの日が来るまで。
そう、あの日が来るまで私の存在は暗くて冷たい宇宙を孤独に彷徨うハリボテだった。
自分にはできる。
そうと信じて飛び出した宇宙。
けれど、宇宙規模で見ればちっぽけな存在の私のちっぽけな自信なんてこの宇宙では無に等しことを一瞬で思い知らされる。
どこに行っても暗闇ばかり。
それでも、「自分ならたどり着ける」と心の中で自分に言い聞かせていた祈りの言葉が、いつの間にか「どうして、あの時ああしてしまったんだろう」「どうしてもっと準備してこなかったんだろう」と後悔という名の呪いの言葉に代わっていた。
綺麗な言葉。
汚い言葉。
どんな言葉を叫んでみても、真空の宇宙では声は、
響かない。
届かない。
地上を飛び立つ前までは、億千万の星々の中からどの星を選ぼうか、どうせなら一等星がいいなんて、思っていた。
でも、それは遠くで光っていてもその輝きの大きさも明るさで分かって貰える星々。
私が宇宙を泳ぐスピードは宇宙の拡張には到底及ばず、何億光年も先の星にたどり着く頃には、星々も光を失ってしまう。
無力。
それを悟った時に、私は宇宙の藻屑になってもおかしくなかった。
でも、あの日、確かに私は星を掴んだ。
いつものように、空元気と諦念を抱えながらもがくように夜空を泳いでいると、ふと手に違和感を覚えた。
ゆっくりと手を開けてみる。
すると、そこに輝く星のカケラがいた。
小さな小さな星のカケラだった。
それは、脆い脆い星のカケラだった。
輝きだって一等星には程遠い、ほのかに光る星のカケラだった。
けれど、それは私が探し求めていた星に違いなかった。
手を開けたから、星のカケラがふわっと手から離れようとしたから、私は慌てて両手で優しく星のカケラを覆い、そっと胸に抱きかかえて、私はすすり泣き、「ありがとう」と星のカケラに囁いた。
ありがとう世界。
ありがとう星々。
ありがとう神様。
ありがとう全ての者達よ。
私は誰にも響かないことを忘れて何度も何度もお礼を叫んだ。
手に入れたい物が手に入ったのだから、ハッピーエンドになると確信した。
でも、違った。
星のカケラは旅立ってしまった。
いや、私はあんなにも欲しがっていた星のカケラを手放した。
なぜなら、わずかな輝きさえ失い、ブラックホールとして私を蝕む敵となった。
脅威のブラックホールとなり、そのカケラが私のことを敵だと認識して致命傷になる攻撃をしても、私にとっては愛しく念願の星だったそれを抱きしめ、慈しみ続けたい。
そう思った。
そう願った。
けれど、ブラックホールになってしまった星のカケラも、私の手から離れれば、再び輝く星になれる可能性があると悟り、私は星のカケラを宇宙へと返した。ブラックホールになった星のカケラは黒くて、暗い宇宙にすぐに同化し見えなくなってしまった。
悟りが真理かは分からない。
結局、我が身可愛さで手放しただけで、ブラックホールはブラックホールとして宇宙を彷徨うことになるかもしれない。
こんなに寂しい宇宙を。
しかも孤独に。
もしかしたら、宇宙の藻屑として形も名も残らない物になってしまうかもしれない。
そう考えれば、やっぱり私の手元にいた方がブラックホールも幸せだったのではないかと後ろ髪を引かれる。
私に力があれば星のカケラはもっと素敵な星として輝けたのかもしれない。
そう考えると、私は自分の無力さに涙を流し、星のカケラをブラックホールにしてしまった業を背負った。
そう、あの日が来るまで私の存在は暗くて冷たい宇宙を孤独に彷徨うハリボテだった。
自分にはできる。
そうと信じて飛び出した宇宙。
けれど、宇宙規模で見ればちっぽけな存在の私のちっぽけな自信なんてこの宇宙では無に等しことを一瞬で思い知らされる。
どこに行っても暗闇ばかり。
それでも、「自分ならたどり着ける」と心の中で自分に言い聞かせていた祈りの言葉が、いつの間にか「どうして、あの時ああしてしまったんだろう」「どうしてもっと準備してこなかったんだろう」と後悔という名の呪いの言葉に代わっていた。
綺麗な言葉。
汚い言葉。
どんな言葉を叫んでみても、真空の宇宙では声は、
響かない。
届かない。
地上を飛び立つ前までは、億千万の星々の中からどの星を選ぼうか、どうせなら一等星がいいなんて、思っていた。
でも、それは遠くで光っていてもその輝きの大きさも明るさで分かって貰える星々。
私が宇宙を泳ぐスピードは宇宙の拡張には到底及ばず、何億光年も先の星にたどり着く頃には、星々も光を失ってしまう。
無力。
それを悟った時に、私は宇宙の藻屑になってもおかしくなかった。
でも、あの日、確かに私は星を掴んだ。
いつものように、空元気と諦念を抱えながらもがくように夜空を泳いでいると、ふと手に違和感を覚えた。
ゆっくりと手を開けてみる。
すると、そこに輝く星のカケラがいた。
小さな小さな星のカケラだった。
それは、脆い脆い星のカケラだった。
輝きだって一等星には程遠い、ほのかに光る星のカケラだった。
けれど、それは私が探し求めていた星に違いなかった。
手を開けたから、星のカケラがふわっと手から離れようとしたから、私は慌てて両手で優しく星のカケラを覆い、そっと胸に抱きかかえて、私はすすり泣き、「ありがとう」と星のカケラに囁いた。
ありがとう世界。
ありがとう星々。
ありがとう神様。
ありがとう全ての者達よ。
私は誰にも響かないことを忘れて何度も何度もお礼を叫んだ。
手に入れたい物が手に入ったのだから、ハッピーエンドになると確信した。
でも、違った。
星のカケラは旅立ってしまった。
いや、私はあんなにも欲しがっていた星のカケラを手放した。
なぜなら、わずかな輝きさえ失い、ブラックホールとして私を蝕む敵となった。
脅威のブラックホールとなり、そのカケラが私のことを敵だと認識して致命傷になる攻撃をしても、私にとっては愛しく念願の星だったそれを抱きしめ、慈しみ続けたい。
そう思った。
そう願った。
けれど、ブラックホールになってしまった星のカケラも、私の手から離れれば、再び輝く星になれる可能性があると悟り、私は星のカケラを宇宙へと返した。ブラックホールになった星のカケラは黒くて、暗い宇宙にすぐに同化し見えなくなってしまった。
悟りが真理かは分からない。
結局、我が身可愛さで手放しただけで、ブラックホールはブラックホールとして宇宙を彷徨うことになるかもしれない。
こんなに寂しい宇宙を。
しかも孤独に。
もしかしたら、宇宙の藻屑として形も名も残らない物になってしまうかもしれない。
そう考えれば、やっぱり私の手元にいた方がブラックホールも幸せだったのではないかと後ろ髪を引かれる。
私に力があれば星のカケラはもっと素敵な星として輝けたのかもしれない。
そう考えると、私は自分の無力さに涙を流し、星のカケラをブラックホールにしてしまった業を背負った。
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