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 ローブを脱いだミーシャは巫女姿だった。

 とはいえ、前世でよく見た白に赤い袴というわけでもなく、神事を行う身としてふしだらだと言われてしまうかもしれない姿。黒と紫を基調にした服であり、脚や肩などは彼女の綺麗な素肌を露出させている服で目のやり場に困った。

「座って」

「うん」

 彼女が椅子にローブをかけて、椅子に座ろうとするのに合わせて、椅子を押してあげる。

 僕もオスと言えば、オスなのだろう。
 久しぶりに女性を見て、それもこんなに可愛らしい女性で、それもそれも肌の露出もある。脈が早まるのを感じて、彼女のうなじを見て、カブリつきたくなった。

(さっきのハチミツのせいかな?)

 前世では毎日が疲れすぎていて、アガペーだのエロースだのそんな気持なんか忘れていたけれど、今は元気な青年の身体ゆえにちょっとやばいな。

「あっ、そうだ。いいものが手に入ったんだ。ミーシャは甘い物は好きかい?」

「えっ、ええ・・・」

 僕はさっそく、キラービーのハチミツを壺から取り出す。

「それは・・・?」

「キラービーのハチミツだよ。ほら・・・綺麗でしょ」

 紅茶にハチミツを垂らす。
 窓から入る太陽の光で琥珀のようなオレンジ色の輝きをするキラービーのハチミツ。
 あんなに美味しかったんだから、ミーシャも喜んでくれるに違いない。それにここに来るまでにかなり疲れているとすれば、キラービーのハチミツの効果は彼女にぴったりだ。

 僕はちらっと彼女を見る。
 けれど、彼女の顔は浮かない。というより、少し青ざめているような気がする。

「大丈夫?体調悪い?」

 僕は心配になって、ミーシャに声をかける。

「えっ、ええ・・・」

 放心状態のような感じだけれど、きっとこのハチミツ入りの紅茶を飲めば、元気になるはずだ。

「どうぞ」

 僕は紅茶の入ったミーシャの前にカップを差し出した。

「・・・」

 ミーシャはなかなかカップに手をかけない。
 そして、口を開いた。

「ねぇ、これを私に飲んで欲しいのよね・・・?」

「喉も乾いているでしょ?飲んでよ」

「・・・」

 カップに手を出すミーシャ。一杯に注いだカップが重いのかその手は震えていた。

「シッ」

 僕はミーシャを唇に人差し指で振れる。

「誰か来た・・・」

(人数はざっと、4,5人・・・いや・・・裏口に2人・・・6人か)

 良かった。
 僕の危機察知能力は衰えたわけじゃなかった。
 逆にミーシャの気配を消す力が強かったようだ。

(いや・・・殺意が無かったからか?まぁ、いいや。家を壊されても嫌だし、さっさと片づけよっと)

 

 僕は「虫の知らせ」のスキルを手に入れた。

 
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