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「この七聖剣をお納めください」

 王様から指示を受けた兵士から剣を預かる。
 鞘は地の部分は白く、金と銀で文様をつけ、飴玉くらいの大きさのダイヤモンド、パール、ルビー、サファイア、トパーズ、エメラルド、アメジストの7つの宝石が輝いていた。

「剣の方にも施されておりますよ」

 王様の顔を見ると、手を差し出して見てもいいと合図をして貰った。王座の間で抜刀などご法度だと思いつつも、王様のご厚意を無下にするのもはばかられたし、その剣の柄を掴んだ時に太さや重さ、長さや重心のバランスなど、どれをとってもしっくりくるその剣の魅力に吸い込まれそうになっていた僕は会釈をして剣を抜いた。

 刃を見た時、その造形に心を奪われた。
 文明は前世の方が発展していたと思っていたけれど、数千年の歴史、それも世界でも絶賛される日本刀をも凌ぐ造形品だと思った。鉄なのか、オリハルコンなのかは詳しくわからないけれど、金属部分の純度は高い。それなのに、鞘と同じ宝石が今度は指輪につけるようなサイズで7つ埋め込まれている・・・というよりは同化しているという表現が正しい気がする。誰かが埋め込んだと言うよりは一緒に造られたと言う方が正しいかもしれない。

 僕はちらっと、あのギャルのような女神が思い浮かんだ。
 あの女神も宝石は好きそうだけれど、こんな繊細な作品を創れるのだろうか。

「はははっ、お気に召されたかな。勇者ユーゴ」

 王は王座から立ち上がり、笑顔で僕の所へ向かってくる。
 
「ええ、こんなに綺麗な剣は見たことがありません」

 さすがに王が近づいてくるのに、剣を出したままにするのもはばかられて、まだまだ見ていたかったけれど、刀身を鞘に納める。

「彼なら、秘められし七つの力を引き出せるはずです」

 占いの巫女、ミーシャが国王に進言すると国王はこくっと頷く。

「この国を、あなたに託しましたぞ」

 そう言って、国王は僕の手を両手で握った。
 前世の仕事では、僕がそうやって取引先の工場長に無理なお願いをしていたことを思い出す。

「わかりました」

 今度は僕がお願いを聞く番だ。

「おお・・・っ」

 驚きながらも、喜んでくれる国王。
 さっきは微妙な返事をしかできなかったけれど、力強く返事をした。
 だって、勇者なんだから。
 今度は、歯車なんかじゃない。選ばれし存在なのだから。

(ゲームみたいに最低限の装備じゃなくて国宝級の剣・・・めっちゃテンションあがるぜ)

 この時の心も剣も純で、錆びれる未来なんて全く想像していなかった。

 

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