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25.祝福生み出し合う世界(最終話)

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 七色の世界。
 様々な色が自分らしくいられる世界。時には主張し、時には調和しながら暮らしていく。そんな中で、一番主張せず、他の色を受け止める白色が輝く時がある。それが、結婚式。
 純白な衣装を身にまとったミシェルは何よりも綺麗で他の様々な色がその日だけは引き立て役になり、ミシェルの美しさに花を添えた。

 そんな綺麗な彼女に最後の仕上げをするのはマハラジャ。彼女の薬指に相応しい高い透明度と輝きを持つダイヤの指輪をはめ、ミシェルもマハラジャにお返しするように彼の薬指にエメラルビイアを指輪をつける。エメラルビイアとは、エメラルドとルビーとサファイアという生成される条件が異なるはずの3つの宝石が奇跡によって一つになった唯一の宝石。

 生粋の宝石と三つ巴の宝石。二人は指輪を集まった人々に見せて、二人が結ばれたことを示した。

「きれいです」

 ミシェルにかかっていたベールを上げたマハラジャはいつも通り優しい笑顔をしていたけれど、ミシェルの美しい姿に頬を赤らめていた。

「ありがとうございます・・・」

 ミシェルも彼と同じように頬を赤らめて笑う。
 お互いの赤らみはお互いの唇を疼かせて、二人はお互い惹かれ合うように唇を重ねた。二人の頭には挙式の順番なんてものはどこかに行ってしまい、相手のことしか考えられなかった。

 二人はその後、結婚の誓いを署名しチャペルから出ていく。
 すると、外には二人を待っていた国民達が手にお米を持って待っていた。

「ライスシャワー・・・?」

 ミシェルは驚いた。
 ライスシャワーは作物が豊かだったエバーガーデニア王国の文化。結婚する二人が食べ物に困らないようにと祈るものであり、ガラハラ王国の文化ではなかったけれど、祝福されるミシェルが喜ぶことを考えた国民達が商人に話を聞いて、用意してきたのだ。

 その心遣いがミシェルには嬉しかった。

「行こうか」

 マハラジャがミシェルの手を取って歩いていく。
 二人は国民が作った幸せの雨の中を幸せな笑顔で歩いていく。

(人にも作れるんだ・・・)

 ゴロゴロゴロ・・・ッ

「すっ、すいません。お米を見たら・・・お腹が鳴っちゃって」

「では、披露宴に急ぎましょうか。どうぞ、皆さんもぜひ参加してください」

 ライスシャワーがマハラジャとミシェルを幸せにし、マハラジャとミシェルの振る舞いがみんなを笑顔にした。

 その後、ガラハラ王国の人々は素敵な王と王妃に導かれ豊かで幸せに暮らすことができ、マハラジャとミシェルも子宝にも恵まれ、仲睦まじく暮らしていきました。
 

  FIN


・・・エピローグに続く
 
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