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暴れたりないなら、踊ろうよ

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 むかし、むかし。
 ひとびとはみんな仲良く暮していましたが、
 山から、オニがあらわれて、畑や田んぼ、おうちを荒らしていました。

 村のひとたちは、オニをたおそうとしますが、
 オニのからだは大きくて、オニにはまったくかないません。

「ねえ、なんでおにさんはあばれるの?」
 みゆちゃんは、おかあさんにたずねます。

「おには、ひとがきらいだから、いやがらせしてくるんだよ」
「へー」

 その夜、みゆちゃんは、ひとりで山へ行きました。
 暗い夜道はこわいけど、いっしょうけんめいがんばりました。

 すると、光が見えてきます。
 こっそりのぞいてみてみると、
 そこには、たきびがありました。
 
 たきびのまわりで、オニたちは、つかみあいながら、けんかしています。
「ああ、あばれたい、あばれたい」
「ああ、むかむかする、なんでかわからないけれど、むかむかする」

「いいえ、わたしのほうがむかむかしているわ」
「なにをいっているのわたしよ、わたし。むかむかがとまらないわ」

 みんな、みんなオニたちは、つらそうなかおをして、つかんで、たたいて、けっている。
 みゆちゃんは、こっそりのぞいていましたが、がまんできなくなりました。

「もーやめて!!なんで、みんなけんかするの?なんで、みんなお友だちをきずつけるの?」
 みゆちゃんがさけぶと、おにのみんなは止まります。

「おうおう。おれたちはむかむかしてるんだ」
「そうよ、そうよ。わたしたちはあばれたくてしかたないの」
「そうだそうだ。おれたちをとめるんじゃねえ」

「じゃあ、みんなからだをうごかして、むかむかがなくなればいいんだよね?」
 みゆちゃんのことばに、オニたちはかおをみあわせます。

「そりゃ、そうだな。うんうん」
「おうよ、そうだよ、そうなんだよ」
 おにたちはうなづきます。

「でも・・・、あばれることでしか、むかむかはなくならないんだよな」
 ちいさなオニがいうと、オニたちはだまってしまいます。

「じゃあ、わたしにいいかんがえがあるの。てつだって」
 えがおでいうみゆちゃん。
 おにたちはかおをみあわせて、かんがえます。

 けれど、みゆちゃんのじしんがあるかおをみて、
「てつだってやるけど、ムカムカがなおらなかったら、ゆるさないからな」
「ふふん、まかせなさい。きっとみんなたのしくなるから」

 みゆちゃんのいうことをきいて、おにたちはきをきって、きをはこんで、きをくみたてます。
「はい、あかおにさん、それはこっち。はい、あおおにさん、それはあっち。こおにさん、えだをまんなかにもってきて」

 みるみるうちにきはつみあがっていき、おによりおおきくなりました。。
「じゃあ、ひをつけて、みどりおにさん」
 みどりおにがひをつけると、おおきなひができあがりました。

「うおおおお」
「すごいぞー」
 おにたちはくちぐちにこえをだします。
「でも、これだけじゃムカムカはきえないし、おれたちはあばれたいんだぞ?」
 おにたちはみゆちゃんをみます。

「さあ、みんな。うたっておどろう!!」
 みゆちゃんがおどりだします。
 すると、おにたちもみゆちゃんをまねしておどりだしました。

 よーい、よいよい、おまつりだ。
 みゆちゃん、ならって、おどるぞ、そら。
 そーれ、それそれ、おまつりだ。

 うたっておどろう、えいさっさ。
 みんなでなかよく、えいさっさ。
 みんなであわせて、えいさっさ。

 おにのたのしそうなおんがくと、おおきなたきびの光につれられて、
 村のひとびとも、やってきました。

「あっ、おかあさん、おとうさん。むらのみんなも。はやく、きてきて、おどろうよ」
 村のひとたちもかおをみあわせて、どうしようかかんがえます。

「おいら、おにといっしょにおどる」
「あたいも、おどりたい」
 おとこのことおんなこがおにのおどりのわにはいっていきます。
 すると村のひとびともおどりのわに加わっていきます。

 こうして、むらびともおにたちも、みゆちゃんが、つくったおどりとうたで、みんななかよくなれたとさ。
 めでたし、めでたし。
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