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エリスを説得するために、まず会いたいという気持ちを本気で書いた手紙。
でも、エリスが返事をくれるのは半ば諦めていた。
コンコンッ
「はいっ」
「失礼いたします」
アンが断りを入れて、私の部屋の扉を開けて一礼して入ってくる。
「お手紙が来ました」
「誰からっ!?」
私はロイドからの手紙だと思い、思わず椅子を立ち上がる。
けれど、アンの顔は申し訳なさそうな顔をしていて、違うと気づき、ゆっくりと椅子に腰かける。
「エリス様からです」
「エリスっ!?」
私は再び立ち上がる。
だって、私が送った翌々日に届いたのだ。
私の感覚として、ロイドに送った手紙があまりにもこないので、手紙という伝達手段がこんなにも早くできることを忘れていた。私はアンからの手紙を恐る恐る受け取り、手紙をゆっくり開ける。
エリスの書き方は挑戦的だった。
『・・・お待ちしております。ニーナ』
エリスからの文章からは、もう義姉とは呼ばない覚悟が感じられた。
「ニーナ様・・・」
思わず私は固唾を飲んでいた。
「大丈夫よ、アン。喧嘩に行くわけじゃないんだから」
そう戦う訳じゃない。
仮にもエリスはロイドの妹であり、これから私の義妹になり、ファミリーになるのだから。
私には実の妹はいない。けれど、昔、妹や弟の多いアンが私に教えてくれたことがある。下の弟妹というのは、甘えたい時に駄々っ子になることもあるらしい。そういうときは大人として接してあげるのが一番だと聞いた。
「ありがとうね、アン」
「???」
私はアンの昔の言葉にお礼を言って、気合を入れて両頬を叩く。
それから、準備をして、エリスから指定された日時にレイオス家へと向かった。
イライラ・・・
「少しは落ち着きなさい。アン」
「でも~~~」
懐中時計を見ると、指定された時刻から30分は過ぎている。私たちは失礼が無いように30分前から来ているので、かれこれ1時間は待たされている。
私は窓の外を見る。いい天気だ。
『今日はロイドはいらっしゃいますか?』
レイオス家に着いた私はレイオス家の執事にいの一番に尋ねた。
けれど、その執事はとても申し訳そうな顔をして、
『申し訳ありません。ロイド様は所用で出かけております』
と言われてしまった。
私はがっかりしてしまったけれど、出かけているのであれば、天気が良くて良かった。
「でも、お茶ぐらい出すのがマナーじゃないですか? まったく・・・」
シフォン家はお客様を大事にする。私もアンなら絶対にお客様を丁寧にもてなしてくると確信している。そんなアンだからこそ、この対応にはとても腹が立っているのだろう。
「アンはやっぱり、私にとってかけがいのない存在だわ」
「ニーナ様っ!? なっ、何を急に言い出すんですかっ!?」
顔を真っ赤にして、アワアワするアンはとてもかわいい。
「アンが恋したら、私全力で応援するからね」
「いいですよ、恥ずかしいですからっ」
「えー、いいじゃない。私たち親友でしょ?」
そう言うと、アンはとても嬉しそうな顔をしたけれど、顔左右に何度も振って、目を閉じ気持ちを落ち着けて取り繕い、
「こほんっ。私とニーナ様は主と従者の関係です」
とつれないことを言うアン。
でも、顔はまんざらじゃない顔をしている。
「じゃあ、勝手に思ってますからいいですよーだ」
私が意地悪な言い方をすると、アンがちらっと私の表情を確認したので、笑顔で返すと、アンの表情も綻んだ。
「あらあら、よそ様の家で随分楽しそうじゃないですか? ニーナ」
私たちは笑うのを止めて、声のする方を見ると、エリスがいた。
でも、エリスが返事をくれるのは半ば諦めていた。
コンコンッ
「はいっ」
「失礼いたします」
アンが断りを入れて、私の部屋の扉を開けて一礼して入ってくる。
「お手紙が来ました」
「誰からっ!?」
私はロイドからの手紙だと思い、思わず椅子を立ち上がる。
けれど、アンの顔は申し訳なさそうな顔をしていて、違うと気づき、ゆっくりと椅子に腰かける。
「エリス様からです」
「エリスっ!?」
私は再び立ち上がる。
だって、私が送った翌々日に届いたのだ。
私の感覚として、ロイドに送った手紙があまりにもこないので、手紙という伝達手段がこんなにも早くできることを忘れていた。私はアンからの手紙を恐る恐る受け取り、手紙をゆっくり開ける。
エリスの書き方は挑戦的だった。
『・・・お待ちしております。ニーナ』
エリスからの文章からは、もう義姉とは呼ばない覚悟が感じられた。
「ニーナ様・・・」
思わず私は固唾を飲んでいた。
「大丈夫よ、アン。喧嘩に行くわけじゃないんだから」
そう戦う訳じゃない。
仮にもエリスはロイドの妹であり、これから私の義妹になり、ファミリーになるのだから。
私には実の妹はいない。けれど、昔、妹や弟の多いアンが私に教えてくれたことがある。下の弟妹というのは、甘えたい時に駄々っ子になることもあるらしい。そういうときは大人として接してあげるのが一番だと聞いた。
「ありがとうね、アン」
「???」
私はアンの昔の言葉にお礼を言って、気合を入れて両頬を叩く。
それから、準備をして、エリスから指定された日時にレイオス家へと向かった。
イライラ・・・
「少しは落ち着きなさい。アン」
「でも~~~」
懐中時計を見ると、指定された時刻から30分は過ぎている。私たちは失礼が無いように30分前から来ているので、かれこれ1時間は待たされている。
私は窓の外を見る。いい天気だ。
『今日はロイドはいらっしゃいますか?』
レイオス家に着いた私はレイオス家の執事にいの一番に尋ねた。
けれど、その執事はとても申し訳そうな顔をして、
『申し訳ありません。ロイド様は所用で出かけております』
と言われてしまった。
私はがっかりしてしまったけれど、出かけているのであれば、天気が良くて良かった。
「でも、お茶ぐらい出すのがマナーじゃないですか? まったく・・・」
シフォン家はお客様を大事にする。私もアンなら絶対にお客様を丁寧にもてなしてくると確信している。そんなアンだからこそ、この対応にはとても腹が立っているのだろう。
「アンはやっぱり、私にとってかけがいのない存在だわ」
「ニーナ様っ!? なっ、何を急に言い出すんですかっ!?」
顔を真っ赤にして、アワアワするアンはとてもかわいい。
「アンが恋したら、私全力で応援するからね」
「いいですよ、恥ずかしいですからっ」
「えー、いいじゃない。私たち親友でしょ?」
そう言うと、アンはとても嬉しそうな顔をしたけれど、顔左右に何度も振って、目を閉じ気持ちを落ち着けて取り繕い、
「こほんっ。私とニーナ様は主と従者の関係です」
とつれないことを言うアン。
でも、顔はまんざらじゃない顔をしている。
「じゃあ、勝手に思ってますからいいですよーだ」
私が意地悪な言い方をすると、アンがちらっと私の表情を確認したので、笑顔で返すと、アンの表情も綻んだ。
「あらあら、よそ様の家で随分楽しそうじゃないですか? ニーナ」
私たちは笑うのを止めて、声のする方を見ると、エリスがいた。
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