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竜司と子猫の長い一日

僕に下着をプレゼントしたいって竜司さんが言い出した件

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「ん、ぁ……ん、んっ」

 鼻で息をしてても苦しい。
 ぐりぐり、腰を押し付けられる。
 押し付けてきたと思ったら揺らされる。
 唇が熱い。
 口の中、ぐちゃぐちゃ。
 んく、んく、って、溜まった唾液を飲む。
 竜司さんが僕に覆いかぶさるように上にいるから、唾液が溜まるのは僕ばかり。

「りゅ……っ、…っ、ん」
「ん?」

 合間になんとか呼んだら、僕の口の中を蹂躙してた竜司さんが止まってくれて、唇を離してくれた。

「おぼ、れるっ」
「ん??」
「……だえきで、おぼれる…っ、くるしっ」

 あ、唇がじんじんする。
 竜司さんの唇も濡れててらてら光って、赤くなっていやらしくなってる。
 僕が息も絶え絶えに訴えたら、竜司さんはしばし沈黙したあとにまた吹き出した。

「悪かったな。お前がお子様だってこと忘れてた」
「ち、ちがうしっ」

 またお子様って言った!
 そのお子様に勃ってるんだから、竜司さんは変態ってことでいいのか!!
 変態変態と心のなかでだけ罵っていたら、つ…って唇を撫でられた。
 ……今、片腕だけで僕の体が支えられてる。

「気持ちよかっただろ?」
「っ」
「焦らすキスよりこっちのほうがいいと思わないか?」
「……ん」
「こんなキスは誰も教えてくれなかったか?」

 舌を舐め合うようなキスは何度もしたことある。
 けど、こんなふうにぐちゃぐちゃにもとろとろにもならなかった。

「はじめて」

 すごく、気持ちよかった。食べられそうなのが心地よかった。
 僕がそう言ったら、竜司さんは口元に笑みを浮かべる大人な笑い方をした。
 ……また、僕の胸がドクドクなり始める。

「俺はこのキスが好きだ」

 ─⁠─⁠─⁠だから覚えろ

 そう、暗に言われた気がする。
 言われなくても、覚えたもん。
 竜司さんとするキスは、お互いを食べるキス。
 体中が熱くなって、食べても食べてももっと欲しくなるキス。

「僕も食べる」

 口の中、寂しい。

 僕は竜司さんから腕を離した。
 竜司さんも僕の腰から腕を解いて、床に足がついた。
 竜司さんを見上げたら、大きな手が僕の頭を撫でて髪を梳く。
 目を見たまま、僕は自分のシャツのボタンを外した。
 長袖のシャツの下には何もつけてない。
 ボタンを一個一個外していけば、胸元はすぐにあらわになる。
 竜司さんの視線が僕の胸元に降りてきた。
 どう、映る?
 僕をお子様と言う竜司さんの目に、僕の体はどう映る?

「乳首、勃っちゃった」

 ボタンを中頃まではずしたら、肩からシャツを落とす。
 キスだけで僕の乳首は硬くしこってる。
 肌の手入れは欠かさない。乳首だって例外じゃない。少しでもベビーピンクで維持できるように、スキンケアには手間も費用もかける。
 硬くなった乳首を強調させるように、胸を手で揉み上げる。それからツンとした乳首を指でつまみ上げた。

「あぅんん」

 竜司さんから目を離さない。
 竜司さんは僕の胸から目を離さない。赤くなってた唇をぺろりと舐めて口角を上げた。

「たべたい?」
「ああ。齧り付きたくなるな」
「ふふ。でも、駄目。唇は竜司さんが食べたでしょ?……今度は僕が食べたい」
「悪い子だな」
「どうせお子様だし?」

 乳首から手を離して、ボタンを全部外してシャツを足元に落とした。
 ……正直、痩せ過ぎだとは思うけど、中々肉がつかないから仕方ない。とりあえずあばらが浮いてないからいいことにする。
 ベルトを抜く。
 スキニージーンズはすぐに脱げないけど、盛り上がってるはずの股間や日焼けしてない太腿を少しずつ晒しながら足を抜いていく。
 ジーンズを脱ぐときは竜司さんから視線を外したけど、竜司さんからの視線はずっと感じてた。

「それは、のぞみの趣味か?」
「それ?」

 ジーンズも脱ぎ捨てて背を伸ばしたら、竜司さんの熱くなった視線にぶつかった。

「これ」

 さわ……っと腰を触られた。や、腰じゃなくて腰骨?もっと言うなら、下着の紐。

「ああ」

 僕がつけてるのは、白のレース透け透けの女性用の紐パン。Tバック仕様。

とおる─⁠─⁠─⁠今日別れた元彼の趣味。こういうのがエロくて好きって言ってたから。……竜司さんは嫌?似合わない?」

 あいつの趣味だけど、それなりに気に入ってる。だって、俺に似合ってると思うから。

 竜司さんは眉間に皺を寄せた。……好きじゃない?
 けど、手でその眉間をもみほぐすと、とてもとても渋い顔で溜息をついた。

「……似合ってる」

 地獄の底から絞り出したような声。怖いわ。

「無理して言わなくても……。ほら、すぐ脱ぐし」
「無理はしてない。……ただ」
「なに?」
「………」

 だんまり竜司さん。
 そこで黙られると気になって仕方ない。

「だまんないで。脱ぐから。……それとも、やめる?無理?」
「そうじゃなくて」
「じゃあ、なに」
「……お前の付き合ってた奴と同じ趣味ってのが癪に障る」
「は?」
「お前に似合ってるから脱がせるのも惜しい。でも、別の誰かのために付けてた下着を喜ぶことも出来ない」

 なんだそれ。

「なあ」
「なに?」
「……俺が下着をプレゼントしたら、のぞみはそれをつけてくれるか」
「……」

 ……歴代の元彼たちからも、下着なんてプレゼントされたことはない。プレイ用の下着一式なら、貰ったことあったけど。
 セフレやマッチング相手なら尚更。
 今つけてるやつだって、あいつが好きって言うから自分で買ったものだ。それまで使ってたボクサータイプの下着は全部捨てた。
 いらない、って言えば良い。
 だって、竜司さんとは今夜限りの関係のはずだし。だから、下着を貰ったって、それを身につけてる姿を見せることもないし、恐らく捨ててしまう。

「のぞみ」
「……つけるよ。竜司さんの、好きなもの」

 言葉に出てきたのは間逆なことだった。

「今日は、我慢して?」




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