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幼馴染み二人と西の森の事件に巻き込まれる

2 僕でもいいの?

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「これは対になってるものだから、ディオルグとエルフィードの会話が他のやつに聞かれることはない。
 最終的には頭ん中で考えるだけで言葉を伝える魔導具になる予定だが、まだ試作中だからな。
 声を送るときにはこれに触れて魔力を流しながら実際に話してくれ。対の魔導具にその声が伝わる。
 声が届くときは勝手に耳元で聞こえるようだ。生活環境も何もかも違う奴だと難しいが、お前らならどうにかなるだろ。ラルフィン挟んで常に一緒だもんな?」

 僕を挟んで…っていうのはよくわからないけど、いつも一緒っていうのは間違ってない。

「期間は?」
「あー、特に決まってないな。改良されたらそれをまた頼むかも知れん」
「……俺、魔力を流すとかわからないんですが……」
「エルフィードが教えてくれるだろ」

 ディーが凄く嫌そうな顔をした。
 エルはなんか楽しそうだけど。

「あって損はないだろ。ラルフィンを守りやすくなるとも思わないか?ラルフィンが一人になる状況は考えられないが、二人と一人に分かれることは考えられるだろ?」
「「確かに」」

 さっきからなんで僕が引き合いに出されてるのかさっぱりわかんない。
 でもこれ、ディーじゃなくてもいいんじゃない?

「ね」
「「ん?」」
「これ、僕がつけてもいい?」
「「は?」」
「だって、離れててもエルとお話できるんでしょ?きっと僕の魔力でも使えるよね?」

 魔水晶はないからエルみたいな魔法を使うことは無理だけど、魔力は誰でも持ってるものだから。ディーが一回使えるなら、きっと僕も一回くらいつかえるはず!
 魔導具っていうのがよくわからないけれど、店主さんの説明を聞いてる分に、魔力を使う道具…みたいなものだよね?
 わくわくしながら返事を待っていたら、店主さんも、ディーとエルも、困った顔で笑った。

「坊主はだめだな」
「え」
「フィーには持たせられない」
「そうだね。フィーが持つのは私も反対」
「え」

 むぅ。
 なんで?
 僕にだって魔力あるはずなのに!

「なんでディーはよくて僕はだめなの」
「どれほどの魔力を消費するのかわからない代物をフィーにもたせるわけにいかないだろ」
「もし一回分でも魔力切れで倒れちゃったら、私達がどれほど心配すると思うの?」
「だったら、ディーだって……」
「俺はいいんだよ」
「ディーはいいよ。倒れようが心配しないから」
「えー……」

 ディーが倒れたら、僕だって心配するのに。

「でも」
「それにな、坊主」

 店主さんが苦笑したまま、僕の言葉を遮った。

「坊主の役目は癒すことだろ?肝心なときに魔力切れで動けなくなっていたら、そこの二人を誰が癒やすんだ?」
「あ……そっか……」
「そうだな。癒やしが役目のフィーは絶対に倒れちゃ駄目だな?」
「私達はフィーが癒やしてくれるから魔物と戦えるんだよ?」

 右から、左から。
 ディーとエルに頬にキスをされた。
 そうだよね。僕には大事な役目があった。

「わかった。僕、二人のために頑張る!」
「ああ。頼んだ」
「私達の命任せるからね」
「うん!」

 純粋に頼られてることが嬉しくて。
 店主さんと二人が『やれやれ』って顔で苦笑してたことに僕は全然気づかなかった。


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