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幼馴染み二人と僕の15歳の試練
36 暁亭で
しおりを挟む手を繋いでゆっくり歩く。
三人で、まだ動き出さない静かな街の中を、色々話しながらゆっくり、ゆっくり。
はあ、って、吐く息が、ほんの少しだけ白い。
そして到着した一月ぶりの暁亭。
ディーが扉を開いたら、低めのベルの音が響く。
「ん?…よう、久しぶりだな」
中からの声は、店主さん。
「「「おはようございます」」」
三人一緒に挨拶。
手は、まだ繋いだまま。
「おはようさん。……あれから姿見せないと思ってたら…神殿にいたのか」
「ええ。フィーが倒れてしまって」
「神殿長から看病頼まれたんで」
「ああ、なるほど」
店主さんは僕をまじまじと見てから、ふっと表情を和らげた。
「あれは凄かったな。あれ、お前だろ?坊主」
あれ、って、浄化のこと?
「えと……多分?」
二人からも言われたけど、僕自身はあまり自覚ないから、よくわかんない。
苦笑した店主さんは、僕の頭を撫でてから、ちょっと重そうな袋を出してきた。
「ディーとエルに報酬だ」
「「報酬?」」
「ああ。南門魔物討伐の。国からのな」
「なるほど。ありがとうございます」
「フィーの服、買おうか」
「……僕のじゃなくて、二人のために使ってよ…」
装備品とか、色々お金かかるのに。
むぅむぅしてたら、くすって笑われた。
「あ、レヴィ殿」
「ん?」
「すみません。今日はフィーを泊めたいんですが。宿代とか、……まだ冒険者じゃないですが、いいですか?」
「宿代?ああ、んなもんいいよ。別に部屋を取るわけじゃないだろ?それに、来年には冒険者だ。特に文句はないよ」
あ、そっか。
いっつも日帰りだったから、あまり気にしてなかった。
「だが、泊まりって?いつも夜には神殿に戻っていただろ?」
「あー……あの、僕、無理なことしたから、神殿長さんから、『神殿に入ること禁止』の、罰を受けて……」
「なんだそりゃ」
「なので、お泊りです。店主」
店主さんは僕達をまじまじと見て、なるほど、って呟いた。
「そういうことか。泊まるのは今夜だけ?」
「明日はちょっと別の宿を取ろうと思ってるんで」
「おう。……あんまり泣かせるなよ。声響くから」
「できる限り」
ディー、苦笑して。
その間に、エルに手を引かれて二階に向かう。
「エル、さっきのどういこと?」
「フィーが可愛いってこと」
「えー…またそれ?さっきもおんなじこと言ってた…」
「……まあ、おんなじ意味だから」
「よくわかんない……」
むぅぅとしながら、促されて部屋に入った。
そしたら、すぐにエルに抱きしめられて、キスされる。
口の中を撫でるように舌が動いてて、身体が震えた。
すがるものが欲しくてエルの背中に両腕を回して抱きついたとき、ディーも戻ってきた。
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